次の執筆が多分三ヶ月後、下手したら半年。
毎日ss書ける人はほんとすごい
「だるっ……」
早朝。
カーテンの隙間から漏れる斜光のせいで、起きたくもなかったのに、目覚めてしまった。
「あぁ……だりゅ……」
寝起きで鉛のように硬く重い身体を無理矢理動かし、私は布団から這いずり出た。
あぁ……寝起きはほんとにだるい……だるい、何もしたくない。
イルカ先生と結婚して、朝の活動を全部負担してほしいほどに、だるい。
「クーちゃん……」
そのため、最終手段として、身体の主導権を任せようかと、同居人に声をかけたが……、
無視である。
コイツぅ……。
お腹を殴ってやりたい気持ちに駆られるが、そんなことをしても向こうにダメージはなく、私の身体に蓄積されるだけなので無駄であった。
つーか、最近のクーちゃん、私のことを手のかかる娘とかだと思っている節がある。
何にせよ、自立しろや、まだお前には早いとか、あーだこーだ言ってくるのだ。
いや、確かにロクデナシの実父とだいっ嫌いな義父に比べれば、クーちゃんはとってもいいパパであるってばね……?
でも、私はもっと甘やかしてくれるパパがほしいのだ。
そう、イルカ先生のような、私のことをとっーても可愛がってくれる男の人みたいな。
クーちゃんも昔はよく甘やかしてくれたんだけどなぁ……。
今じゃなんか、ちょっとしか会えなかった私のママみたいに手厳しい。
……え、もしかしてクーちゃんはママのポジションを狙ってる!?
殺すぞ!!
あ、おはようクーちゃん。
起きてたなら、返事してよー。で、お願いがあるんだけど、私の代わりに朝の支度をしてほしいな、なーんて、
…… 自立しろ
「ちぇ……ケチんぼ狐だってばね」
どうやら、これ以上駄々をこねても無駄のようなので、私は諦めて立ち上がった。
そして、プルプルと小鹿のように両足と腰を震わせながら、洗面所へと向かう。
鏡に映る私は今日も美少女であったが……自慢の金髪が爆発しており、これから行うセットの手間を思うと……美少女の顔がひきつった。
あぁ……眠い……だるい……。
◇◆
そして、アカデミー。
「眠い……」
朝早くからの説明会のため、最低限の身支度だけを済ませた私はいまだに眠たかった。
だがしかし、今日はイルカ先生に会える日である。
昨日は木ノ葉丸とのゴタゴタがあったこともあり、イルカ先生に会うことができなかったが、今日は違う。確実に会える日である。
それだけが私ことナルコが現在活動できているエネルギー源であった。
そうして、まだかな、まだかなぉとイルカ先生が教壇に来ることを待っていると、
「ちょっと、そこの席通してくれる!」
通路の方から声をかけられた。
隣を見れば、そこには私にガンを飛ばすデコだしの女の子がいた。
あぁ……あなたですか……春野サクラさん。
私の苦手なくノ一No. 1の子じゃないですか。
「ナルコ! 悪いけどあんたのその隣私に寄越しな!」
「あ、はい。どうぞ」
反論するだけ、めんどくさいので、私は何も抵抗をすることもなくサクラさんに譲った。ってあれ、私の隣にいつの間にかいたんだ。
「ありがとう。サスケくぅん♡ 隣りいい!?」
うちはサスケくん。
私には理解できないが、くノ一クラスで人気ナンバーワンだった男である。
なんかいつもスカしてるため、私は好きになれないが、どうやら彼がいつの間にか私の隣に座っていたようだ。
なるほど、道理で周りから何か敵意の籠った視線を送られていたはずだ。
ふわぁ……眠すぎて感覚が麻痺ってるってばね……。
それにしてもサクラさん、周りのくノ一の敵視に臆することなく攻めるその姿勢は素晴らしいと思う。
うんうん、恋する女の子はそうじゃないとね……って、
「みんなおはよう、久しぶりだな!」
イルカ先生キタァー!!
久しぶりの一日と十七時間三十五分四十二秒振りのイルカ先生だってばね! あー今日も笑顔がとても煌めいていて眩しいです!
あー好きです! 私のイルカ先生! いつも眩しい笑顔で生徒たちを迎え、生徒のためなら命まで張れるその献身さ、聖人の心、ほんとに貴方様は木ノ葉の里の忍ですか? 違いますよね? 絶対天空から来た神徒ですよ! あぁ、ほんとに愛しい大好き、あなたのことを思うだけで身体が熱くなります! 動かなくなります! あなたと一緒にいるだけで私はこの世に生まれてきてよかったと実感できます! あぁ、好きです好きです好きです、その笑顔を私だけのものに独り占めしたいってばね!
だからイルカ先生私と結婚してください。幸せにします、むしろ、こんな美少女に求婚されるなんて早々ないですよ! ほら、頂いちゃってください!!」
「……ナルコ。お前は廊下に立ってなさい」
「……へ?」
◇◆
同時刻。
「ここがナルコの家ねぇ……」
「そうだ」
ナルコの不在の彼女の自宅に、二人の男がいた。
字面からすれば、不審の塊であったが、二人の男は決して少女を陥れるために足を運んだわけではなかった。
一人は、木ノ葉の里の火影ーー猿飛ヒルゼン、そして、もう一人は、特徴的な逆立てた銀髪に長身の男であった。
だが、最も男を異様と感じるのは、口元を覆うマスクを装着し、左目をわざわざ額当てで覆っていることだった。
それだけで男が通常の忍という括りとは異なることが伺えた。
だが、そんな男を猿飛ヒルゼンは上忍の中でも、特に信頼を置いていた。だからこそ、
「慎重で、下忍の中では飛び抜けている子だ。心配はいらない。たが、念のため、お前に見張らせるのが一番だ。お前なら柔軟な対応ができる」
ヒルゼンは男にナルコを任せることにした。
それに、元暗部である男であれば、ナルコの周囲に戸惑うこともないからである。
「それから……お前の受け持つ班には例のうちは一族のサスケもいるぞ、健闘を祈る!」
「了解」
そして、ヒルゼンに面倒ごとを丸ごと押し付けられた男は小さく嘆いた。
「(こりゃ、大変なことになりそうだ……)」
◇◆
「はぁ……」
「……」
「……あぁ……うぅ……はぁ……」
「ちょっとナルコ! うるさいわよ!」
「うぅ……だって、イルカ先生私にはプリントだけ渡して帰っちゃったんだもん……うぅ」
そう、あの後、廊下に立たされた私は、イルカ先生の御尊顔もお声も脳内記録することができなかったのだ。
しかも、わざわざ廊下からは帰らず、窓から去っていく徹底の仕様……。
うぅ……手書きのプリントで筆跡を貰えたのは嬉しいけど……あんまりである……。
「あれはあんたが悪いわよ。あんな皆の前で、怪文書で迫られたら誰だってそうするわ」
「そんなぁ……だって久々に会ったんだもん……」
私の項垂れた声に同じ第七班になったサクラさんはより一層呆れた顔になる。
「久しぶりにってあんたねぇ……卒業試験なんて一週間ほど前でしょ? 一週間しか経ってないじゃない」
「失礼な! 一昨日、偶然を装って待ち伏せしてたからそんなに経ってないってばね!」
「え、えぇ……」
? 何かおかしなことを言っただろうか? 別に何も言ってないはずだけど……。
それでもサクラさんの顔は畏怖と困惑に満ちていた。何がいけなかったのだろうか……? はっ! もしかしてサクラさんもイルカ先生を狙って──
「フン、喧しい奴らだ」
と、私たちが二人で談話していると、端に一人でぽつんと座り続けていた最後の班員がスカした言葉を漏らした。
うちはサスケくんである。
まさかまさかの何故か、アカデミー主席と次席が同一班になったのである。全くもって謎でしかなかった。
イルカ先生のプリントに記されていた班は力のバランスが均等になるようにメンバーを振ったという書き残しは嘘だったのだろうか?
と、次々と他の班は迎えの上忍が来る中、私たち第七班だけがいつまでも教室に残されていれば……ようやく扉がゆっくりと引かれる。
「やー遅れてすまないねー、オレがお前らの担当上忍だ」
そうして、ようやく現れたのは、かなり怪しげな格好の長身男であった。
あれから数分。
私たちは先生の指示の下、教室から場所を移していた。
正確な建物の名前はわからないが、ガーデン感のある屋上で新たな先生の話を……新たな……新たな先生……え、イルカ先生が私の先生じゃなくなってしまうって、コトぉ!?
アカデミーに戻りたい……え、あ、でも、忍にならないと自由で居られないってばね……うぅ……これは仕方ないってばね……?
「それじゃあ……そうだな、まずは自己紹介をしてもらおう」
あまりの残酷な現実に私が打ちのめされていると、銀髪マスクの先生によって話が進んでしまっていた。
「好きなもの、嫌いなもの、将来の夢とか……ま、簡単にしてくれ!」
「すみません。それより先に先生のこと教えてください」
「そうね……見た目ちょっとあやしいし」
サクラさんは、まずは怪しさしかない先生に少し警戒気味のようだ。
私の場合は、純粋な興味からである。自分の班の上司がどんな人間なのか知っておいて損はないからだ。
「あ……オレか? オレは『はたけカカシ』って名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない! 将来の夢……って言われてもなぁ……。ま! 趣味は色々だ……」
「ねぇ……結局わかったの……名前だけじゃない?」
同感だってばね……。
でも、はたけカカシは聞いたことのある名前だ。
アイツ、
「じゃ、次はお前らだ。右から順に、自己紹介をしてくれ」
右から順、カカシ先生から見て右は……私か。
自己紹介……自己紹介ね……うーん……まぁ、そう難しく考えなくてもいっか。
「私、名前はうずまきナルコです。好きなものはイルカ先生。嫌いなものは私のことが嫌いな人です。将来の夢は、イルカ先生との結婚です。趣味はイルカ先生を待ち伏せすることです」
「そ、そうか……次!」
「名はうちはサスケ。嫌いなものならたくさんあるが、好きなものは別にない。それから……夢なんて言葉で終わらす気はないが……野望はある! 一族の復興とある男を必ず……殺すことだ」
こっわ……。
うちはの騒動は私も知っていたが、思想がかなり怖いなこの子。
それよりももっと怖いのが、この言葉並べにキャーと惚れ直している子がいることに私は戦慄したってばね……。
「よし……じゃ、最後」
「私は春野サクラ。好きなものはぁ……ってゆーかあ、好きな人は……えーっと……将来の夢も言っちゃおうかなぁ……キャ───!!」
「……」
「……」
イルカ先生の前の私もこんななのだろうか……?
なるほど、なるほど……うん、少しだけ自制というものを覚えようって思ったってばね……。
「趣味はぁ……キャ──!!」
そして、サクラさんが満足するまで彼女の自己紹介というか、ピンクな奇声が落ち着くと、カカシ先生は本題を進めるのか本を閉じた。
「よし! 自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ」
「……何をするんですか?」
「まずはこの四人だけでサバイバル演習をする」
「……へ、演習?」
はい? と、思いも寄らない任務の内容にカカシ先生の言葉を反芻してしまった。
それは私だけではなく、二人も同じようで──
「……」
「なんで任務で演習やんのよ? 演習ならアカデミーでさんざんやったわよ!」
困惑した様子だった。
……いや、サスケくんは変わらぬポーズである、まぁ多分驚いているのだろう。
そして、そんな私たちの様子を気にすることはせず、カカシ先生は話を進める。
「相手はオレだが、ただの演習じゃない」
「えっーと、どういうことですか……?」
「…………ククク……」
「ちょっと! 何がおかしいのよ 先生!」
「いや……ま! ただな……オレがこれ言ったら、お前ら絶対引くから」
「引く……?」
凄く勿体づけるではないか。
しかし、引くとはそれほどやばい内容なのだろうか? と思案したが、その必要はなかった。
マスク越しだが、カカシ先生の口が動き始めたことを視認したからだ。そして、任務の内容は私たちに告げられる。
「卒業生27名中、下忍と認められる者はわずか9名。残り18名は再び学校へ戻される! この演習は脱落者66%以上の超難関試験だ!」
……。
ほんと冗談きついってばね……。