もう一人の俺こと、雪桜。
奴がカルデアに召喚されて一時間くらい経った。
あのFGOのカルデアにだ。
だってまさか、普通は思わないだろ、転生した世界が型月世界の日本だって。
『人理修復していた人間が、手伝う側になるなんて思いもしねぇよな』
「……て、転生前の、話、ですし、ゲームの、話ですけどね……」
ビクビクして刀を握った俺にできることと言えば会話することだけ。
まぁ元はと言えばイマジナリーフレンドくんなので仕方のないことなのだが。
おかげさまで完全に人格は分裂、本来は彼女の中にいるはずだった俺はこうして弾き出されたわけだ。
立ち位置的には坂本龍馬のお竜さんみたいな。
あっちとは違って何もできないけどさ。
「で、あの、ここ……どこ、なんですかね」
『さぁ? カルデアから、藤丸 立香の声に応じて俺たちは召喚された、されたさ。で? なにこれ』
そう言って見上げた俺たちは、
一つは普通の黄色い月。
そしてもう一つは緑色の月。
最後に一つ、赤い月。
信号機かよ、とかツッコんではいけない。
「と、特異点。ですよ、ね……」
『マスターいねぇけどな』
俺たちは召喚されたものの何故か近くにマスターこと、藤丸 立香はいなかった。
理由はよくわかんなかったが、召喚後これと言って呼び声も聞こえなかったため、多分大丈夫だろうと言うことにしといた。
多分ね。
「うぅ……座に帰りたい……」
『帰んな帰んな」
「だ、だって。私なんて、よくて……☆3くらい、ですよ」
『だといいな』
とは思えないんだよな。
やってること見てたら☆5はあってもおかしくないんだよ。
もしくは
自画自賛してるみたいでなんか嫌だが、客観的に見た結果そんぐらいのことはやってるはず。
まぁ大体のことは俺がやれ、って言ってやったことなんだけどさ。
「……一先ず、行きましょう」
『そうだな。マスター探そうぜ』
とにかく崖の下、遠くに見える町へ、現代と過去が入り混じったような繁華街へ向けて歩き出す。
どちらかと言うと飛んで行っているのだが。
俺はただ彼女に付き纏うだけ。
楽なことこの上ない。
「……あの、貴方って、どう言う状態……なんですか?」
『記憶は同じだ。死亡した時点での記憶は存在する。だが……』
「明確な意思が、芽生えたような、状態……ですか」
『そうだな。それがわかりやすい。それにお前の考えていることが一切わかんなくなった』
「……私も、聞こえていた音が、
『そりゃよかったな。雑音だったろ』
「……ふ、不安、で、わ、わた、私っ、不安でっ……!」
あっちこっち飛び回りながらポロポロと大粒の涙をこぼし始める。
相変わらずの不安定さにはウンザリするが、まぁ仕方ない。
これが彼女なのだから、根底に存在する彼女の意味なのだから。
しかし泣いている自分の姿を見るのは、少女の姿とは言えやっぱ嫌だな。
『わかったわかった。俺が助けてやるから泣くなよ』
「……うん」
涙を拭って繁華街の裏路地に飛び降りる。
少し溜まっていた雨水もバシャンと跳ねさせて、立ち上がった。
周りの服装を見ると、時代的にも明治時代あたりだろうか。
江戸時代初期の服装では、少し目立ち気味だが変えもないので仕方ない。
『見られてるぞ』
「……は、はい。
『ならいいけどさ』
手に持った刀の柄を握る。
真っ白な刀、まるで雪のような刀を。
彼女の愛刀【雪削ぎ】を。
「あ、あの、あの……私に、なにか、よ、用ですか……?」
振り向いた先には複数人の男たち。
いわゆる暴漢というやつだ。
下衆な笑みを浮かべ、もう一人の俺へと近づく。
後退りするも、入口の方から別の暴漢たちが現れる。
「あ、あの……」
『なにも言う気は無いらしいぞ』
「……で、ですよね」
『じゃあ──削ぐとこからだな』
「──はい」
刀を抜いた、その瞬間だった。
目の前に見える先頭の男の面の皮が剥げた。
鼻を切り落とし、皮一枚まるごと切り落とされていた。
そしてその男の後ろに立つのは、血を浴びたもう一人の俺。
どこか虚ろげな顔で、狼狽える暴漢たちに向かって歩き出す。
『よーし、殺せ殺せ!!』
慣れた光景だ。
いつも通り、人を殺して行く。
それが自身の存在意義だと知ってるからこそ。
それしか自分は存在する意味を持たないのだと。
知っているからこその行動だった。
逃げ惑う男たちの背に刀を突き立て、真っ二つに。
首を落とし、腕を落とす、足を切り落とす。
彼女の技術と繊細な刀故成し遂げることのできる技と言うべきか。
まぁ、相手はただの人間だから、普通にこうなるだろうな。
「……あまりにも、容易い」
『そりゃそうだろうな……おいッ!!』
と、俺が大声を出す前に、彼女は既に構えていた。
思いっきり踏み込み、剣を受け流す構えへ。
そしてその瞬間に、遠くから現れた何者のかが衝突。
しかし既に構えていた彼女の手によって、その衝突は後ろへと流れて行った。
「……なかなか見事な剣技ですね」
少女の声が裏路地に響く。
とても、聞き覚えのある声だ。
俺たちにとってこの声は、前世に馴染みのある声だった。
このCV悠木碧の声は──
「ですが、これ以上殺しを見逃すわけにはいきません」
沖田総司、Fate世界の沖田総司だった。
少し落ち着いた様子の彼女に、もう一人の俺は慌てふためいていた。
「……ど、どうしたら、いいんでしょうか」
『いいじゃん、ヤれよ。ぶっ殺してやれ。万が一マスターが同じでも大した問題じゃねぇからな』
前世で知っている顔とは言え容赦してはいけない。
相手が何であれ、殺す必要があるなら徹底的にぶっ殺す、それが俺の決めつけた信条だ。
「クラス、セイバー、参ります」
「お、同じく、セイバー。行きます」
両者の剣が衝突するとき、そこから爆発が起きる。
この特異点において、最初の衝突となる爆発が。
次回はまた別の転生系サーヴァント書きます。
キャスターの次
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????のアルターエゴ
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海賊時代のライダー
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平行世界のバーサーカー
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平行世界のアサシン
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アメリカのアーチャー