デリシャスパーティ♡プリキュア Carry On 前へ進め   作:シロX

17 / 21
色々チェックなどで大幅に遅れました!

ではどうぞ!


XVII. ジークと飛鳥となごむ

ジーク達、飛鳥達、なごむ達全員がこの場に集結した。

それぞれ軽い自己紹介を終えて、何がどうなっているのかも情報を交換した。その結果で幾つか判明したことがある

 

一つは、飛鳥達となごむ達は共通した現象でおいしーなタウンに行き着いた。

目の前に、裂け目の様な光りが現れて触れたのだ。そして此方へ着いて、すぐに裂け目が消えて途方に暮れていた

 

二つ目は、のどか、ちゆ、ひなた、アスミは友達らしいのだが、少し話に食い違いがあるらしい。

飛鳥と一緒に来たのどかとひなた、なごむと一緒に来たちゆとアスミ。大まかな出来事は同じらしいが、互いに戦って来た相手、存在する者としない者の違いで、イマイチ噛み合わないのだ。

だからといって何か支障がある訳でもない。のどか達は友達、それだけは変わる事は無い

 

「話を聞いて大まかな事は分かったわ。アメリカに居た時少しだけ聞いた事がある。この世界、いえ宇宙には無数に存在する。それが異次元の世界、もしくはマルチバースとも言うの」

 

「私達はその異次元の世界、もしくはマルチバースの世界から来た来訪者と」

 

「なら、今この場には3つの世界の住人が集まってる」

 

「そう!まるでマーベル作品だと思わない?思うわよね。ワタシ興奮して来たわ!!」

 

「「ま、マーベル作品?」」

 

「はいはい、映画好きの少女は落ち着いて」

 

ローズマリーはジークの首根っこを掴んで落ち着かせた。まるで犬とその飼い主である

 

「此処が何処であれ、ラファエルという輩を浄化すればわたしく達は元に戻れる。という訳で良いのでしょうか?」

 

「え、そうなの?」

 

ジークの素っ頓狂な言葉に全員が肩を落とした。目をパチクリした後、のどか、ちゆ、ひなたの3人が詰め寄って来た

 

「わたし達帰れないの!?」

 

「それは困るわ!わたし達はわたし達のお手当てがあるもの!」

 

「お兄やお姉も心配するし!!」

 

「それなら〜、ラファエルに聞けば分かったり?」

 

最も当たり前の提案をしたらんだったが、それに反応したのが飛鳥とポポロンだった

 

「そう簡単に口を割るとは思えない」

 

「それにこっちの話をまーったく聞かない自分本位のクズだよ?無理に決まってんじゃん」

 

「だが私が思うに、奴なら何か知っているかも知れない。他は……異次元の世界の事も知っていたウィンチェスター、お前なら何か…どうした?」

 

ジークは屋根の上を見上げて、何かを見て怯えていた。不審に思ったなごむも、その視線の先を見る。それに続き、飛鳥達も見上げるとそこには噂の人物が立っていた

 

「別次元のプリキュアか。面倒な事をしてくれた」

 

鋭い視線をジークに集める。一層怯えるジークはここねの服の裾を強く掴んだ

 

「ジーク?」

 

「さぁ、始めようか愚かな人間共────浄化の時間だ」

 

ラファエルは指を鳴らすと、その場に居る者全員が姿を消した

 

 

 

 

 

////////

 

「はにゃ?此処って中華ストリートだよね?」

 

「他の皆んながいないメン!」

 

「僕達はいるよ」

 

らんとメンメンが振り返ると、飛鳥とポポロン、ゆいとコメコメ、ちゆとペギタン、ひなたとニャトランのメンバーとなっていた

 

「はわわ〜!?じゃ、ゆいぴょんや他の皆んなは!?」

 

「多分逸れたと思うわ」

 

「違うな。二手に別れさせられた。その方が正しい」

 

「取り敢えず探そっか!そしたら皆んなに会えるだろうし!」

 

「コメコメ!」

 

ゆいを先頭に中華ストリートを歩き始めた。その際、ふと気になる事もあった

 

どんなに歩いても歩いても、ゆい達以外と人に会う事が無いのだ。それより、他の人が居る気配が全く無い。おいしーなタウンがゴーストタウン化しているのだ

 

「妙だな、人と全くすれ違わないなんて」

 

「じゃじゃ、あたし達何処かに飛ばされちゃったとか?」

 

「飛ばされたって、此処おいしーなタウンだぜひなた」

 

「…ラファエルが作った別の空間と考えるのも捨て切れないペエ」

 

ペギタンの言葉に飛鳥が眉をひそめる。皆んなが飛ばされたという中で、ペギタンだけは「作った別の空間」と表現したのだ

 

「ペギタン理由を聞いても?」

 

「なんていうか、エレメントさんが存在が感じないペエ。どんな場所でもエレメントさんは必ずいるペエ。でも此処は…」

 

「うにゅぅ〜、とにかく進もう!て、事かな?」

 

「簡単に言うね〜。ま、ボクは飛鳥が居れば何処だっていいんだけど」

 

すると背後から大きな音が鳴り響いた。全員が振り返ると、ウバウゾーに、のどか達から聞かされていたメガビョーゲンが同時に、しかも大量に現れた

 

 

 

「「プリキュア!デリシャスタンバイ!」」

 

「「パーティーゴー!」」

 

 

「あつあつごはんで、みなぎるパワー!キュアプレシャス!」

 

「おいしい笑顔で満たしてあげる!」

 

 

「きらめくヌードル・エモーション!キュアヤムヤム!」

 

「おいしいの独り占めゆるさないよ!」

 

 

 

「「スタート!」」

 

「「プリキュア ・オペレーション!」」

 

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」

 

 

 

「やるよやるよ!あたし達なら勝てるって!ね、ヤムヤム!」

 

だが更に敵が押し寄せ、数は倍となる。数えるのも馬鹿らしくなる

 

「あたし達なら勝てるみたいな事言ったよね?」

 

「無理!」

 

「それな!」

 

『『『ウバウゾー!!』』』

『『『メガビョーゲン!!』』』

 

ラピウス達は交戦するよりも、逃走を選ばずにはいられなかった。幸いな事に今いる空間には街の人々がいない為自由に逃げれる

 

しかしこのまま逃げてるだけでは敵を倒せない。けれど体制を立て直す事も大切

 

何処か、一度落ち着ける場所に移動したいのだが、行く場所の先で既に先回りされてそんな暇はない

 

「あ!あのお店美味しそ〜!」

 

急にヤムヤムがブレーキを掛けて、とあるお店の前で立ち止まった。それに釣られ、プレシャスとスパークルも足を止める

 

「ホントだ!あぅ〜はらペコった〜」

 

「後で皆んなで食べよ!」

 

「「ちょっと!!」」

 

ラピウスはプレシャスとヤムヤムを、フォンテーヌはスパークルを抱えた。しかし立ち止まったせいで既に囲まれ、仕方なくそのお店に逃げ込むしか選択肢が無かった

 

店内に入り、机や椅子などを使って扉前にバリケードを張って店の奥へと進む。外には殆どの敵が集まり、脱出するのはほぼ不可能と化した

 

「ジークならこんな時『怪物同好会が襲って来る!』なんて言いそう!」

 

「襲って来てるんだよ。窓の外を見てみろ」

 

ウバウゾーとメガビョーゲンが中を除きつつ、お店を破壊しようと攻撃している

 

「絶対絶命のピンチね…」

 

「……なぁちょっと、コレ見てくれ」

 

ふとラピウスがお店のテーブルを見ると、そこには様々な料理が並べられていた。今作られたばかりのように湯気も出ている。

お店の中にはラピウス達以外誰もいない。明らかに不自然極まりない

 

罠と考えるのが妥当なのだが、そんな事を考えるのはごく僅かな者

 

「ヤムヤムいっちば〜ん!」

 

「あ〜ずるい!あたしも食べる!」

 

「なぁなぁスパークル!オレにも食わせてくれよ!」

 

「ラーメン、麻婆豆腐、春巻きにそれからそれから〜!」

 

ラピウス、フォンテーヌの二人は唖然としていた。こんな見え見えの罠に引っ掛かる訳がないと思っていたが、ここまで来るとどう対応すれば良いのか困る

 

「スパークル、ヤムヤム、どっから見ても罠よ!食べるのをやめなさい!」

 

「え〜、フォンテーヌ真面目〜。なごむん疲れないのかなぁ?」

 

「そんな事は……ちょっと心配になってきたわ。後でさりげなく聞いてみるのも……なごむ君はそんな事思ってないはず。うん、大丈夫」

 

「はにゃ〜これ美味しいよ!」

 

「それあたしが狙って奴!」

 

(ボク一人じゃまとめきれないペエ。でもラピウスなら!)

 

常識人最後の希望であるラピウスに期待して、顔を向けるがそれは泡のようにして消える

 

「だからプレシャス…んぐっ!」

 

「はいは〜い!ラピウスもドンドン食べて力を付けよ〜!」

 

「食べてる暇は…もがぁッ!」

 

口を開こうものなら、プレシャスは平気でラピウスの口の中に放り込んで黙らせる。口に入れられた吐き出す訳にもいかず、ちゃんと食べなければならない。そんな事してしまえば食に対して失礼

 

「はむ、デリシャスマイル〜!ラピウスコレも美味しいよ〜!」

 

「プレ…むぐ…ん゛ん゛!!」

 

喉の奥に突っ込まれてむせてしまう。更に言うと、食べさすのにも色々と気を付けて欲しい。プレシャスとラピウスは食器を回しで食べ合ってるのだ

 

間接キスなどお構いなく

 

「聞けよ!!」

 

「わぁ!」

 

「あのな、僕達は今敵の術中にハマっている可能性が高いんだ。だから呑気に食事してる暇は──」

 

「ラピウス見てタピオカがあったよ!あれ?タピオカって洋食ストリート…まぁいっか!あ、ラピウス要らない?それならあたしが──」

 

「…一口だけ貰う」

 

結局全員が料理を口に運ぶ事となってしまった。フォンテーヌもいつの間にか食べており、収集がつかなくなっている

 

(罠にしても何か妙な……ん?)

 

口の中で転がしていたタピオカを噛むと、違和感を感じた。もちもちとした食感なのだが、何故かトマトでも食べてるかの様な感覚、噛めば中から水々しい液体が口の中を冷やす。不審に思い、口の中にあるものを食べてから、容器を覗く。特に何も変わってはおらず、タピオカが底に溜まってるだけだと思った

 

容器を回すまでは

 

「ッ!?!」

 

中身を見たラピウスはあまりの事に驚いて、床に撒き散らした。そして口元を押さえて顔を青くして気分を害してた

 

「ちょ、ラピウスもったいない!」

 

「触るなスパークル!」

 

「へっ──ッ!!?」

 

スパークルもタピオカを拾い上げてると、それに驚いて大きく後ずさる。スパークルの様子で、流石の皆んなも注目せざる得なかった

 

「だから言ったんだ。大丈夫か?」

 

「ら、ラピウスアレって…」

 

「────"眼球"だな」

 

そう眼球なのだ。ラピウスが口にして食べていたのは、タピオカではなく眼球。改めて口にすると、吐き気を催す

 

「もう他の料理にも触るな」

 

「う、うん……うわっ!!」

 

今度はヤムヤムが尻餅をついた。ラピウスは急いでヤムヤムが食べていたものを確認する

 

ラーメンみたいだったが、今は見る影もない。麺だったものが今は"ミミズ"となって丼の中をうごめいていた

 

他の料理も確認するとどれも同じようなものだった。

肉を使った料理はその肉からうじ虫が這いずり回っており、巻きものには人の指が詰め込まれていたりと、グロテスクなもので埋め尽くされていた

 

「僕達は一体何を食べていたんだ…」

 

「早く此処から出た方がいいペエ」

 

「馬鹿なの?外はギガビョーゲンとウバウゾーでいっぱいなんだよ?」

 

「取り敢えず台所…はわわっ!?」

 

奥の台所にヤムヤムが逃げる様に誘導しようとしたのだが、目に映る光景に足を止めて声を上げる

 

台所入り口付近に、菜箸、フォーク、ハサミ、包丁にその他諸々。使い様によっては危険があるものが向けられていたのだ。

ひとりでに浮かんで

 

そして、これから起きる事を理解したポポロン、ペギタン、ニャトランは動き出す

 

「「「ぷにシールド!!」」」

 

ラピウスはプレシャスを、フォンテーヌはヤムヤムをシールド内に引き寄せる

 

同時に凶器が一斉に飛んで来るも、シールドの方が強硬であり、弾いて難を逃れる。

僅か一分程シールドで防いでいると、急にその雨のような出来事が止まった

 

「ようやく止んだ…えっ?」

 

「ラピウス…は?」

 

一息つけるかと思っていたのも束の間、ラピウスとポポロンが目に見たのは正直意味の分からないものだった

 

先程までは食器類に対して、今度ラピウス達に牙を向いて来るのは、スイッチが入ったチェーンソーだった

 

「何でこんな店にチェーンソーが…おうッ!!」

 

状況を整理する間も無く、チェーンソーがラピウス向かって飛んでシールドを容易く貫通したのだ。

当たってしまう直前で、なんとか顔を避けてチェーンソーが真横に突き刺さる

 

今回ばかりは肝を冷やした。シールドが破られるだけではなく、的確にラピウスの頭を狙って来たのだ

 

「こうなったら外に出て、突っ切るしかない」

 

「あたしに任せて!パワーで押し切るよ!」

 

「そんなんだとすぐやられちゃうでしょうが!少しくらい()使ってくれよ…」

 

ポポロンのアドバイスでプレシャスは考える。そして出た答えが

 

()も使えばいいんだね!痛いかも知れないけど、そこは我慢して頑張るよ!」

 

「プレシャス、そういう意味じゃないのよ…」

 

「それはスパークルの担当だ」

 

「そうそうあたしの担当…って酷くない!」

 

ラピウス達に混ざってプレシャスもボケに回って、ツッコむ者が誰一人としていない。緊張感がほぐれたといえば、聞こえはよいがまだ何も解決はしていない

 

「力技だけど作戦はあるわ。先ず、プレシャスがドアを破って、その後わたしとラピウスが正面の敵を牽制した最後に、スパークルとヤムヤムで一気にお願い」

 

フォンテーヌの作戦に異議を唱える者はおらず、それで上手くやろうと段取りの確認をする

 

その途中、ラピウスの袖を後ろから引っ張る者がいた。

今は円になって皆んなと話し合っている。後ろに誰かが居るなんて有り得ない

 

恐る恐る振り返ると、背後に居た人物の姿を見て胸を撫で下ろす

 

「のどか驚かすな。でも良かった無事、で……?」

 

ラピウスの言葉が少しずつフェードアウトしていく。首も傾げて、のどかの様子が少しおかしいと勘付いた。見た目はのどかだが、何処か雰囲気が違う

 

でも、のどかが無事な事は安心した。フォンテーヌやスパークルも、きっと大喜びだろうと思っていたのだが歓喜の声が中々聞こえない。特にスパークルに関しては、誰よりも騒ぎ立てる筈なのだが

 

不審に思い、いざ振り返ってみるとそこにはプレシャスだけしか居なかった

 

「皆んなは?」

 

「えっ……本当だ皆んないない!」

 

プレシャスも話し合っていたというのに、皆んなが消えた事すら気付かなかった

 

「コメコメ、皆んな知らない?」

 

コメコメは何も分からず、首を横に振った。その時だった

 

ポンって可愛らしい音と共に、プレシャスが煙に包まれたのだ

 

手で仰いで煙を飛ばすと、プレシャスの姿はプリキュアの衣装ではなく、好物であるおにぎりの着ぐるみが代わりに着せられた

 

「おにぎりだ!」

 

「おにぎりだな…いや、今はそんな事はどうでもいい。早く皆んなを探しに…のどか?」

 

「……」

 

ラピウスの服の袖を、無言で引っ張るのどかにまた疑問符を浮かべる。流石に体調を心配して顔を覗いたのだが、それが間違いだった

 

「ガッ?!」

 

突然頭を掴まれては、力強く潰そうとする。

本物ののどかではないと気付くも既に手遅れ。ラピウスの性格上、こんな失態は犯さない。しかし、一番信頼してる人のせいもあり、その判断を鈍らせていた

 

「ふざけた事を…」

 

偽物とはいえ、のどかと瓜二つの顔。だが、このままでは自分が力尽きるのも時間の問題だ。否定したい行動だが致し方ない

 

頭に乗っていたポポロンを鷲掴みして、偽物ののどかの頭に打ち付けた

 

「ッ」

 

怯んだ偽物ののどかは、手を離してラピウスから距離を取る

 

「何の断りもなくボクを武器にしないでくれるかなぁ!?」

 

「これしか方法がなかったんだ。それに、今更その苦言を聞いてもな」

 

「今更も何もあるか!まあ良いよ、どうせボクはそういう生き物だからネ!!」

 

受け入れてくれたからにはラピウスは容赦しない。再度、頭をがっしりと掴んで偽物ののどかに投げつける。それをキャッチするのだが、ラピウスにとっては好都合な状態

 

素早く偽物ののどかの懐に潜り込んで、ポポロン越しに渾身の膝蹴りを叩き込んだ

 

大きく吹っ飛んだ偽物ののどかは、ガラスの様に砕け散って消滅した。

見知った人物を偽物といえど、倒してしまうのはなんとも後味が悪く、ラピウスは苦い表情をしていた

 

「ごめんなのどか」

 

「それボクにも言って欲しい言葉…」

 

「何だったんだろう?それに…」

 

プレシャスは自分の体を再確認するも、未だに元の衣装には戻れていない

 

「探す人が増えたな…プレシャス!」

 

何処からともなく光線が放たれた事に、ラピウスは察知してプレシャスを突き飛ばして回避した

 

「今の攻撃…」

 

飛んで来た方向へ目を向けると、今度はキュアグレースがヒーリングステッキを向けて立っていた

 

「一人なら大した事、は…」

 

対処出来ると思った矢先だった。更に次々とキュアグレース、のどかと姿は違えど同じ人物が大量に湧き出した。上から降って来る者も居れば、地面から湧いて出る者も

 

「コメ…」

 

「う〜ん、どうする?」

 

「あたし達だけじゃ…」

 

「やるしかない。それしか道が無いなら尚更だ。後に続け」

 

 

 

 

 

////////

 

「ふわぁ〜!メリーゴーランドがあるよジークちゃん!」

 

「本当ね」

 

一方で飛鳥達があたふたしてる頃、残りのメンバーであるジーク達もまた別の空間へ飛ばされていた。場所は遊園地

 

「少し前に飛鳥君と一緒に来たの。あの時は楽しかったな〜」

 

「思い出に花を咲かすのは良いけど、取り敢えずあの子達をどうにかしない?」

 

ジークとのどかの目の前にはメリーゴーランド。そのアトラクションに乗るのは2人。なごむとアスミだった

 

「なごむ──────そろそろ皆さんを探しませんか?」

 

「お前が言い出したのによく吐けたな、そのセリフ」

 

ぐるぐると周り続けるメリーゴーランドに揺られること十数回、言い出しっぺであるはずのアスミから投げ掛けられた言葉に対して、彼は冷たい視線を送りながら応える。しかし、途中で降りるわけにもいかず2人は律義に最後まで乗り続ける。

 

「2人とも凄く仲良さそうだね、なんだか似た者同士って感じ。」

 

「「最大の屈辱だな(ですね)」」

 

「息ピッタリね。まるでアナとエルサだわ。」

 

アトラクションから降りた2人にジークがそう声を掛けるが、仮に彼等が繰り広げるとするなら感動劇とは真逆のものだ。結局2人の仲が良好なのか、険悪なのかよく分からずにいると、辺りを見回りに行っていたここねとパムパム、ローズマリーが帰って来る

 

「ダメねぇ。何処行っても人の気配を感じないわ」

 

「もっと他を探してみるのも……そちらはどうでしたか?」

 

「とても楽しかったです」

 

(違う、そうじゃないパム)

 

あまりにも的外れなアスミの回答にパムパムは突っ込まざるを得ない。ここねやローズマリーも予想外の解答に困惑しつつある中、なごむはフォローを入れる

 

「まだ生後2か月くらいなんだ、許してやってくれ」

 

(さらに混乱させてどうするパム!?)

 

「まあ~っ!だからそんなにお肌がぷにぷになのね!!何か秘訣とかあるのかしら?」

 

「早寝遅起きを少々・・・・」

 

(朝に完敗しているパム!?)

 

「????」

 

(ここねに至っては完全に置いてけぼりパム!!)

 

ローズマリーとアスミがじゃれつき、会話の意味を処理し切れなかったここねが頭上にクエッションマークを浮かべる中で、ジークはなごむに話しかける

 

「ねぇAUナゴム」

 

ジークは今、なごむの事を変な名前で呼んだ。流石のこれには無視出来ず、呆れつつも一応何故その様な名前で呼んだのか聞く事にした

 

「何だ今の呼び方?」

 

「"Alternate universe(オールタネト ユニバース)"。マルチバースが証明された今、この世界にもきっとナゴムは居ると思うから。分かりにくいからあだ名を考えたの」

 

「勝手に付けるな」

 

「マルチバースと言えば、最近はスパイダーマンやドクター・ストレンジ」

 

「敢えて言おう、それは何だ?」

 

「映画よ」

 

なごむは無言で、ここねとローズマリーに訴え掛ける。ジーク・ウィンチェスターという人間はこの様な人なのかと。

それに対しての返事は苦笑いだった

 

「ワタシがオススメするのはね」

 

「まさかとは思うが、この先もずっとその調子で映画のネタを挟んで来るのか?やめてくれ。頭がどうにかなりそうだ」

 

「寧ろどうにかなっちゃえ〜」

 

念を送る様に両手を翳すジークに、なごむは頭を痛める。

その時だった。突然ジークがメリーゴーランドの方へと吹っ飛ばされた

 

「ウィンチェスター!?」

 

「その程度で心配か。お人好しもここまで来たら、最早『愚か』の言葉がお似合いだな」

 

「相手を心配するのに、大きいも小さいもあるものか。私達の、人の価値を貴様が決めるな」

 

なごむは腰にゲーマドライバーを腰に装着し、普通のライダーガシャットとは比べて少し大きめのガシャットを取り出した

 

 

 

『オールマイティX!』

 

「貴様が大天使なら、私は全知全能だ────マックス超変身!」

 

『マキシマムガシャット!ガッチャーン!』

 

『レベルオーバー!』

 

 

『全知全能の力!ゴッドブレス!神撃のゲーマー!オールマイティX!』

 

アクションゲーマーの時に被っていた帽子はなくなり、「GXクールライドヘアー」によって完全に頭部を保護できるようになった。腰ローブの「オールマイティローブ」に、両手足の『オールマイティグローブ』『オールマイティシューズ』はエレメントの力を纏ったり放出することで攻撃力を高めることが可能となっている。

そして、最大の特徴であるエレメントの力を複合及び極限まで高めることで繰り出す魔法攻撃は胸部装甲『オールマイティガード』によって行使することが出来ており、「花、実り、葉っぱ、水、氷、雨、光、雷、火、風、空気、音」といった12種類のエレメントの力で“変幻自在”の戦法がとれる

 

 

 

正に全知全能と呼ぶに相応しい姿と力。しかし、そんなゲムデクスの姿を見てもラファエルは余裕をみせていた

 

「エレメントの力如きで全知全能と名乗るか。冒涜だな」

 

ラファエルが指を鳴らすと、ゲムデクスの周りを囲むように地面が飛び出してドーム状の壁となる。

それがどうしたと言わんばかりに、ゲムデクスは動こうとしない。そこから次に来る攻撃など大方予想はつく

 

その殆どが視界外からの攻撃。それなら対処は簡単。慌てず、冷静になって、いつ、何処からの攻撃にも対応出来るように心は平静のままだ

 

(所詮は目眩し。小細工など、力で捩じ伏せる)

 

その時、ゲムデクスの背後の壁からヒビ割れる音がした。素早く反応したゲムデクスは振り返り、右拳に全てのエレメントの力を込めて打ち込む

 

不意打ちで来るなら、此方は更にその一手先を行く。壁が破壊され、ラファエルの腕が見えた

 

その腕と拳がぶつかり、激しい爆発が起きた。腕は吹き飛び、ゲムデクスの圧倒的力を見せつけた

 

 

 

 

 

────幻影(トリック)相手に

 

「ッ!?」

 

空間が捩れ、破壊された壁、爆発すらも何事も無かった様に全てが元に戻った

 

ゲムデクスはドーム状の中で、ピエロの様に踊っていただけなのだ

 

「一体いつから…」

 

 

「最初からだ」

 

 

ゲムデクスの足首を掴まれ、地面の中へと引き摺り込まれた。

そして大きめの空間へ放り込まれ、その中では何百という数のラファエルが待ち構えていた

 

 

 

 

 

地上では、ドーム状の壁の中からゲムデクスが出て来るのを今か今かと待っていた

 

「やけに静かね。どうしたのかしら?」

 

ローズマリーが壁に触れると砕け散り、空っぽの空間が剥き出しとなった

 

「ゲムデクスは!?」

 

「奴なら今頃死んでいるだろう」

 

ローズマリーの上、そこでラファエルが空中で佇んでいた。そして指を動かして、地面からツタが生えてはローズマリーを拘束した

 

「マリちゃん!」

 

「私の事はいいわ!それよりも変身してやっつけちゃって!」

 

「すぐに助けるから」

 

ここねを筆頭に、それぞれ変身アイテムを用いて同時に変身する

 

 

 

「プリキュア!デリシャスタンバイ!」

 

「パーティーゴー!」

 

 

「ふわふわサンドde心にスパイス!キュアスパイシー!」

 

「分け合うおいしさ、焼きつけるわ!」

 

 

 

「「スタート!」」

 

「「プリキュア ・オペレーション!」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

 

「ジーク?」

 

スパイシー達は変身したのだが、ジークだけは変身せず呆然としていた

 

「テル?」

 

テルテルも変身するように訴えているが、中々ジークは動かない。

スパイシーも肩を揺さぶっては、手を振るなどするが全く反応がない

 

「ジーク?ねぇジーク大丈夫?」

 

「スパイシー…」

 

「何?」

 

「ワタシは、戦いたくない」

 

「──えっ?」

 

 

 

 

 

「実りのエレメント!」

 

グレースはヒーリングステッキにセットし、ステッキ先端部からピンク色の刃が形成される

 

「行くラビ!」

 

グレースはラファエルに接近して切り掛かるが、簡単に腕で防がれた。グレースがどれだけ力を込めても、刃が食い込むことなく押し返される

 

「やっぱりこの人は…キャア!」

 

ステッキを跳ね除け、そして腹部に指圧攻撃でグレースを大きく吹っ飛ばした

 

「グレース!──空気のエレメント!」

 

アースは、アースウィンディハープを奏でる事で空気の球をラファエルに放った。これが決まれば動きを封じれる

 

「子供騙しだな」

 

ラファエルが指を鳴らすと空気の球は弾け飛んだ。そしてお返しと言わんばかりに、アースを空気の球の中に閉じ込めた

 

「逆にわたくしを!?」

 

「エレメントの力を使えるのがお前達だけだと思うな。私は大天使だ」

 

ラファエルが手を合わせると、アースの足元から電車が突っ込んで跳ね上げた

 

「アース!!」

 

「わん!?」

 

「この空間の主導権は私が握っている」

 

更に両手で操作する事で、遊園地の空間が一気に広がっては捻じ曲がる。

空が地面となり、地面は左側へと来て、アトラクションなどの遊具は自由に飛び回ったりなど常識が通じなくなっていた

 

例えるならそう、万華鏡の様な世界

 

「お前達程度、全力を出す必要性がない」

 

「地面に足がつかな──」

 

何とかして足場を確保しようともがくグレースだが、その背後からアトラクションの一つであるバイキングが激突し、グレースを彼方へと吹き飛ばした

 

「次はお前だキュアアース」

 

「ラテ!!」

 

空中に放り出されたアースはラテを抱き抱えて体制を立て直そうとするも、無数の電車が四方八方から襲い掛かり押し潰した

 

「最後はキュアスパイシー、お前だ」

 

狙いを定められたスパイシーだが、ジークを抱えており、近くにはローズマリーも居る。更に、上下左右の感覚も分からず狂わされている

 

「こっちへ来い」

 

ラファエルが手招きすると、スパイシーの体が浮き上がり吸い寄せられる。ジークとローズマリーは手首を掴んで踏ん張った

 

「無駄だ」

 

指を鳴らし、ジークをローズマリーの手を弾かせて尻餅をつかせた。

何も出来ないままスパイシーは捕まってしまい、頭を鷲掴みにする

 

「もう終わりだな。全ては私の意のまま」

 

ラファエルが投げ飛ばすその先には、巨大なピンボールが転がり、スパイシーを轢いて行く。上下左右が反転してる空中へ放り出され、スパイシーの真上から巨大な拳が降って叩き潰した

 

「そんな、スパ…!?」

 

心配するジークの目の前にラファエルが現れ、その首を締め上げる。ジタバタともがくが単純な力の差で引き剥がせない

 

「ジークから離れ…!?」

 

ローズマリーも拳を振り翳すも、ラファエルの念力によって動きを硬直されて封じられた

 

「醜く、穢わらしい。正に負け犬だな」

 

「ま、負け犬…」

 

「今しがた楽にしてやる」

 

右手に光りのエネルギーを溜め込み、ジークの頭を吹き飛ばそうとする時だった。右腕に火のツタが絡み付いた

 

そのツタの先を辿ると、空にある地面から飛び出していた。ツタが一気に張ると、地面の中からゲムデクスが現れた

 

仮面ライダーとして身に纏っているアーマーは、半壊状態でちゃんと機能しているかどうかも怪しい。その状態でもゲムデクスは諦めず、ラファエルへと向かっていく

 

「来るか。なら迎え撃つ!」

 

『ガッチョーン!キメワザ!』

 

ゲーマドライバーのレバー操作をしつつ、ラファエルの攻撃をその身に受けながら接近する。渾身の一撃を決めるために

 

『ガッチャーン!』

 

「しつこい奴だ!」

 

「ッ!」

 

ゲムデクスの顔に攻撃がヒットし、割れた仮面の中から僅かに左の瞳がチラつく。それでも攻めの手を緩める事なく、歪む空間内でも感覚を保ちつつ進撃する

 

「今だ!!」

 

『オールマイティクリティカルブラスト!』

 

拳に花、実り、葉っぱ、水、氷、雨、光、雷、火、風、空気、音の12種のエレメントを纏い、ラファエルに向けて打ち込んだ

 

だが、通るはずの攻撃はラファエルをすり抜けたのだ。これもまた幻影

 

「主導権を握っているのは私と称したはずだ」

 

「それは承知している。だから私は狙った」

 

「狙った…まさか!」

 

ゲムデクスの行く先は何もない只の壁。そこへ拳を突き出すと、妙な音がして空間に亀裂が入る

 

(無理矢理威力を高めて、空間そのものに攻撃したというのか…ふざけた奴め)

 

亀裂はすぐに広がり、この空間そのものがガラスの様に砕け散った。

元居たおいしーなタウンに戻り、更にラピウス達も近くに居たのだ

 

「流石にこの人数を相手にするのは面倒だな」

 

「待て…グッ」

 

追い掛けようとしたゲムデクスだが、その姿から見て分かるように限界に達して膝を着いて変身を解除する

 

「大丈夫かなごむ?」

 

「すまないラピウス」

 

 

 

 

 

 

////////

 

ひとまず落ち着く為、全員変身を解いて今後の動きについて考える

 

「ラファエルを逃したのは痛いな」

 

「とはいえ、被害が大きいです。一度体制を立て直してからでも」

 

「「待って」」

 

アスミの意見に待ったを掛けたのは、ゆいとのどかだった。二人の性格をよく知る者達からすれば、意外なものだった

 

「確かに皆んな疲れてるかも知れないけど、今追い掛けるべきだと思うの。だって、今もこうしてる内に何をするか分からない。それにまたやって来るなら、今度はわたし達から攻めてみようよ!」

 

「のどかちゃんの言う通りだよ!それに皆んなが居るから一騎豆腐(・・)だよ!」

 

「そうそう一騎豆腐(・・)〜!」

 

「ひなた、ゆいもだけど正しくは一騎当千(・・)よ…」

 

「「えっ??」」

 

ちゆの訂正に二人は首を傾げた。まだまだ勉強不足という事だ

 

それでも少し沈んだ空気から明るくはなった。そして動き出そうとする時、ジークだけはその場から動かずに近くに居たここねとローズマリーの服の袖を掴んで離さなかった

 

「ジークどうしたのよ?」

 

「もしかしてさっき怪我したの?」

 

「行ったらダメ…ダメなの!!」

 

「ジーク一旦落ち着いて。ね?」

 

「何で皆んなそんなに強いのよ…」

 

良い雰囲気を壊したのはジークだった。声のトーンに、苛立ちや不安といった様子。何故そうなってしまったのかは誰にも分からない

 

「…負け犬と言われた。悔しいけどその通りよ。肝心なところで変身も出来ずに怯えてた。このまま行けば、皆んな無意味に殺される」

 

「ジークちゃんあのね──」

 

「言わないで。アナタ達だって迷惑だと思ってるんでしょ。訳の分からない場所に来て、訳の分からない相手に死にかけてる。このままだとユイ達皆んなが危ない。何かあったらワタシは…」

 

「で、でも!わたし達がなんとかしないと地球も、皆んなも、それこそゆいちゃん達も!」

 

「皆んなも見たでしょ。両の指の爪を全部剥がされ、前なんてお腹に穴を空けられた。ラファエルに勝てる見込みなんて無いのよ」

 

確かにその通りに違いない。実際まともに戦えた記憶がない上、ミカエルの時も勝てはしたがあんなのはラッキーとしか言いようがない

 

「アナタ達は強い、ワタシ達よりずっとね。それなら倒してよ。ワタシ達には関係ないし、関わりたくもない。もうどうでもいい、手を引く……勝手に巻き込んで申し訳ないけど、もう帰るね。じゃあ」

 

ここねとローズマリーを引いて帰ろうとしたが、二人は一歩も動かず、悲しそうな目でジークを見つめていた

 

「────ハートキュアウォッチも置いて行け」

 

そう厳しく言うのはローズマリーでもない。なごむだった

 

「この先強敵はいくらでも現れる。その度にお前は、そうやって他の奴やらも巻き込んで逃げるつもりなのか?」

 

「それの、何がいけないのよ?勝てない敵に、わざわざ挑戦する意味なんてないわ」

 

「そうか」

 

「あっ、なごむ君!」

 

なごむはジークのワンピースを荒く掴んでは引き寄せ、怒りを露わにしていた。何故なごむが怒っているのか、ジークには分からなかった

 

ちゆも抑えようとするが、それすらも意味をなさなかった

 

「だったらプリキュアなんて辞めろ。和実、芙羽、華満。全員が奮闘しているというのに、そんな自分勝手な思想で目の前の戦いから逃げるなら、プリキュアなんて辞めろ。私達にしろ、地球の為に真剣になってお手当てをしているんだ。お前の代わりなんていくらでも現れる」

 

「ま、待って下さい。ジークだってただの中学生ですよ。何もそこまで言う必要は──」

 

「いいのここね。本当の事…だから」

 

フォローしようとここねだが、ジーク本人がそれを止めた。なごむが言っている事は間違っていないのだから

 

ジークはなごむの手を払い除け、そのままハートキュアウォッチに静かに外した

 

「ジーク…」

 

「マリーごめんなさい。ワタシは降りる」

 

名残惜しくも、なごむにハートキュアウォッチを渡そうとする時、ジークの手首を掴んで止めようとする者が入って来た

 

「アスカ?」

 

「他人に厳し過ぎるのと困り様だな。聞いてて頭が痛くなる」

 

「何?」

 

「なごむ。お前は初めから完璧な人間だったのか?お前ほどの強い奴でも、挫折の一つくらいあったはずだ」

 

なごむもそれを経験している。押し黙ってしまうのが何よりの証拠。なごむも、決して完璧ではないのだ

 

「ジーク来い」

 

「えっ、ちょっと!」

 

飛鳥はハートキュアウォッチを取り、そのままジークを連れて席を外した。ここねも追い掛けようとしたが、それをのどかが止めた

 

「ジークちゃんなら大丈夫」

 

「ジークはいつも冗談を言っていました。だから心だけは、わたし達より強いと思ってた。おいしーなタウンに来た経緯も分かって、ジークの事ちゃんと理解してると思ってた。でも、してなかった」

 

「うん、わたしもそう」

 

 

 

 

 

 

 

「何で?」

 

「僕とお前は今日初めて会った身。そんな義理は無い……でも、それとこれとは別だ」

 

「それはワタシがプリキュアだから?」

 

「…なごむの言う事も一理ある。周りの事など考えず、自分の考えだけでプリキュアを辞めるなんて。それでゆい達が納得すると思うか?」

 

納得はしていないだろう。飛鳥達だけではない。ミカエルやラファエルの件に関しては、本来全く関係ない事。ブンドル団をなんとかしないといけないのに、何も知らない内にジークが厄介事を持って来ている。それも全部

 

「納得してないと思う。だって全部ワタシが呼んでいるのだから」

 

けれど、ジークと飛鳥の中で意味合いが微妙に食い違っていた。飛鳥が言うのは、ゆい達がどう思うかだ

 

「違う違う…プリキュアを辞める事にだ。少し話がズレてる」

 

「だとしてもよ。どちらにしろ、ワタシはプリキュアを辞めるべきよ!!」

 

「その後はどうするんだ?辞めてその後は?皆んなが頑張って戦ってる。それを知っているのはお前だけ。そんな罪悪感に耐えれるのか?」

 

知ってしまった、関わってしまった責任。一度でも足を踏み入れてしまったら、もう後戻りは出来ない

 

それは正に"呪い"に近しいもの

 

「足手まとい、皆んなを傷付ける……プリキュア失格よ」

 

「それを決めるのはゆい達だ。それにな、それだけ自分の事を理解しているなら大丈夫だ」

 

飛鳥は、ジークの手首にハートキュアウォッチを着けさせてあげ、胸に添えさせる

 

「誰にだって恥ずべき行為はある。でもやり直すチャンスもある。お前はどうしたい?このままなごむの言うように、逃げ出すか、それとも逃げずに立ち向かうか。お前が決めろ」

 

「ワタシは…」

 

目を閉じて、瞼の裏に焼き付いている光景を思い浮かべる。まだ日は浅い筈なのに、思い出はそれ以上に濃いものばかり

 

きっとそれは、これこそが良くも悪くも言える"呪い"なのだ。この先もずっと鮮明に覚えていることだろう

 

それから逃れることは一生来ない。だから───

 

「ワタシは、前に進む。前に進んで、皆んなと一緒に歩める様にワタシも頑張る。アスカの言うように、もう逃げない。逃げるが勝ちとも言うけど、それが全てじゃないと思ったから」

 

「いいんじゃないの」

 

 

 

 

 

////////

 

心を入れ替えたジークの表情は少し変わっていた。まだまだ不安要素はあるかも知れないが、それでも今の気持ちだけはもう揺るがないと決まっている

 

輪に戻って来たジークを見て、なごむは肩に手を乗せて一瞬優しい目をした

 

「40点。それをどう100点にするかは、お前の今後次第だ」

 

「厳しいのね。でもありがとう」

 

ジークとなごむが和解して、周りの皆んなも安心した。これで、打倒ラファエルに向けての準備が整い始めた

 

「じゃあ、ユイやノドカの言う様に此方から攻めましょうか」

 

「だけどあのラファエル?て言う奴何処に居るの?あたし分かんな〜い!」

 

「それなら大丈夫よ」

 

ひなたが頭を抱える隣で、ジークは彼方の方向へと指を指す

 

「ラファエルを感じる。あっちにラファエルが居る」

 

それは勘や本能ではない。確信的なものの類い。その証拠に、両目が金色に輝いていた。いつも不思議な力を使う時に起こる現象

 

ゆい達はその力を知っているからこそ、疑う余地はない

 

「ワタシが案内するから皆んなついて……待って、何か来る」

 

ジークの言葉に円形に全員が背中合わせをし、周辺を警戒する。すると、目の前にウバウゾーとメガビョーゲンが現れたのだ。何の前触れも無かった為に、全員が驚愕する

 

「うぇぇ!?どっから来たの!?」

 

「何体来ようと関係ないわ。皆んなで変身してやれば──」

 

「ジークは先に行って!」

 

テルテルと一緒に変身しようとするが、ゆいがそれを止めて先に行く様に促した。

少し迷いはしたが、小さく頷いてウバウゾーとメガビョーゲンを無視して走り出した

 

「飛鳥君もジークちゃんと一緒にお願い!」

 

「なごむ君も。わたし達なら平気よ」

 

「「分かった!」」

 

飛鳥となごむも、ジークの後に続いてのどか達と分かれて行動て共に進んで行った

 

残りの者達で怪物二体を相手にする事になったが、特にこれと言った不安は無い。寧ろ自身に満ち溢れている

 

「ジークに任せた事だし、あたし達はあたし達にしか出来ない事をしよう!マリちゃん!」

 

「ええ!二体まとめて閉じ込めるわ!」

 

 

「デリシャスフィールド!」

 

 

デリシャスフィールドが展開すると同時に、ゆい達皆んなは一斉に変身する

 

 

 

『プリキュア!デリシャスタンバイ!』

 

『パーティーゴー!』

 

 

「あつあつごはんで、みなぎるパワー!キュアプレシャス!」

 

「おいしい笑顔で満たしてあげる!」

 

 

「ふわふわサンドde心にスパイス!キュアスパイシー!」

 

「分け合うおいしさ、焼きつけるわ!」

 

 

「きらめくヌードル・エモーション!キュアヤムヤム!」

 

「おいしいの独り占めゆるさないよ!」

 

 

『デリシャスパーティ♡プリキュア!』

 

 

 

『スタート!』

 

『プリキュア ・オペレーション!』

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

『地球をお手当!』

 

『ヒーリングっど♥プリキュア!』

 

 

 

「皆んな頑張って〜!」

 

ローズマリーの掛け声で、それぞれ二手に分かれて相手をする事となった。

メガビョーゲンを相手にするのは、スパイシー、ヤムヤム、フォンテーヌ、スパークルの四人

 

「ピリッtoサンドプレス!」

 

パン型のエネルギーでメガビョーゲンを動きを封じ込めた。が、メガビョーゲン特有の病気にする力で、サンドプレスのパンを腐食さてられている

 

「フォンテーヌ、氷のエレメントボトルを使ってスパイシーを助けるペエ!」

 

「分かったわ!──氷のエレメント!」

 

ヒーリングステッキに氷のエレメントボトルをセットし、瞬時にメガビョーゲンの足元に光線を放った。見事に命中し、サンドプレスごとメガビョーゲンの体を凍らせた

 

「さっすがフォンテーヌ!」

 

「オレ達も負けてられねぇぞ!」

 

「ヤムヤムだって、マシマシに決めるよ!」

 

 

「プリキュア!デリシャスヤムヤム・ドレイン!」

 

「プリキュア!ヒーリングフラッシュ!」

 

 

ヤムヤムはハートジューシーミキサーを使って、スパークルは光のエレメントボトルのエネルギーを最大限まで高めた浄化技で、攻め立てる

 

二つの黄色の光線は、凍ったメガビョーゲンに直撃して大きく吹き飛ばした。二人の最大攻撃を受けてをも尚、浄化までは至らなかったが大きな深傷を負わせてはいる

 

「もっと行くよ!──雷のエレメント!」

 

「バリカッターブレイズ!──やぁ!!」

 

「雨のエレメント!」

 

「キュアスパイシー!ハートジューシーミキサー!」

 

 

 

 

 

一方でウバウゾーの方は、アース一人に翻弄されており圧倒していた。素早い動きで空間を自由自在に飛び跳ねて、様々な角度からウバウゾーを攻撃していた

 

プレシャスとグレースはその援護をしていた

 

「500キロカロリーパンチ!!」

 

「実りのエレメント!!」

 

左右から仕掛けるも、ウバウゾーはそれに対応して両腕で防御して来た。けれど、両腕を使わせるのが狙い

 

無防備なウバウゾーに、アースの強烈な飛び蹴りが炸裂した。衝撃が背中を突き抜けて膝を落とす姿を見て、アースは口角を上げる

 

着地と同時にまたも跳び上がり、今度は膝蹴りをかまし、更に追撃としてアースウィンディハープにエレメントボトルをセットする

 

「音のエレメント!」

 

ハープが奏でる音がウバウゾーを苦しませて、動きが止まる

 

「なごむの世界のアース、容赦無さ過ぎるラビ…」

 

「ウバウゾーはお料理の味を変化させる。それは、この地球に対して冒涜に値するものです」

 

「そこまでなの!?」

 

「冒涜?…ぼ、ボウトクダー!」

 

「意味も分からず使ってるラビ…」

 

「ウ、ウバウゾー!!」

 

プレシャス達が話してる間に、ウバウゾーは音を弾いて自由の身となり、走り出して向かって来た

 

「グレース!」

 

「うん!」

 

「「二人で!!」」

 

プレシャスはハートキュアウォッチに手を重ね、グレースは花のエレメントボトルのパワーをヒーリングステッキの先端に集中させて、エネルギーを溜め込む

 

「プリキュア!プレシャス・トライアングル!」

 

「プリキュア!ヒーリングフラワー!」

 

グレースのヒーリングフラワーに、プレシャス・トライアングルを纏わせた、息の合った即興の合体技

 

無防備に突っ込んで来るウバウゾーは、真っ向から直撃して大きく吹っ飛んでいった

 

「スパイシー!ヤムヤム!」

 

プレシャスに呼ばれて集まる二人は、ハートジューシーミキサーを持って浄化技の体制に入る

 

 

 

『トリプルミックス!デリシャスチャージ!』

 

三人はハートジューシーミキサーの四つ目印である、青緑のハートにダイヤルを合わせる

 

「プレシャスフレイバー!」

 

「スパイシーフレイバー!」

 

「ヤムヤムフレイバー!」

 

それぞれ5回レバーでの操作を行い、エネルギーをチャージしてウバウゾーへと構える

 

『プリキュア!MIXハートアタック!』

 

持ち手にあるトリガーボタンを押し、ピンク、水色、黄色の光線が同時に放たれる。三人のエネルギーが一つとなり、威力共に浄化の力も高まってウバウゾーに命中した

 

 

「オナカイッパ〜イ」

 

『ごちそうさまでした!』

 

 

 

「よし、後は!」

 

ウバウゾーの浄化は終わり、残りはメガビョーゲンのみ。プレシャス達はもう一度、MIXハートアタックで浄化しようするが、グレースが引き止める

 

「待って。メガビョーゲンはわたし達に任せて」

 

「でもでも、ヤムヤム達皆んなで力合わせた方が早く終わるよ!」

 

「いえ、グレースの言う通りです。それに、メガビョーゲンはわたくし達が浄化すべき相手。皆さんは、先に行ったなごむ達の応援に行って下さい」

 

「…分かったわ。プレシャス、ヤムヤム行くわよ」

 

少し考えた結果、スパイシーは前に進む事を決断した。ラファエルも強力な敵には違いない。考えれば、強い敵に人数を割いた方が理に適っている。加えて、最悪の事態のことも頭に入れておかなければならない

 

「三人共、穴は開けたから行って来なさい」

 

「マリちゃんは来ないの?」

 

「行っても足手まといよ。私はグレース達と行動するわ」

 

「じゃあ、マリちゃん!皆んなも気を付けて!」

 

「プレシャス達も気を付けて!わたし達もすぐに行くから!」

 

プレシャス達は、デリシャスフィールドを抜ける時に、グレースにハイタッチしながら先に行ったジーク達を追い掛けて行った

 

「フォンテーヌ、スパークル、アース。大丈夫だよね?」

 

「皆んなが居れば、どんな高い壁も跳び越えてみせるわ!」

 

「もちのろん!ガンガン行こう!」

 

「皆さんとご一緒ならどこまででも」

 

四人は足並みを揃えて並び、同時にジャンプしてメガビョーゲンに蹴りを食らわせた

 

「今ラビ!」

 

「皆んなの心を一つにするペエ!」

 

「アイツを浄化するんだ!」

 

「ワン!」

 

「行くよ!」

 

 

 

「「ヒーリングっどアロー!」」

 

 

 

グレースとスパークルの二人が、手を掲げてアイテムの名を高らかに叫ぶも全く現れない

 

「「あ、あれ?」」

 

「「??」」

 

それどころか、フォンテーヌとアースに関しては、首を傾げて二人が何をしようとしているのか分からなかった

 

「ひ、ヒーリングっどアロー!」

 

「あれ、出ないよ!どうなってるの??」

 

「ねぇ二人共」

 

「何をやっているのでしょうか?」

 

「「……えぇ!?」」

 

申し訳なさそうに、フォンテーヌとアースが尋ねると、グレースとスパークルは信じられないといった反応を示した

 

「アメイジングだよ!ファイナルだよ!ご存知ないの?!」

 

「スパークル、わたくし達はその様なものはご存知ありません。頭でも打ったのですか?頭痛薬は今持ち合わせておりませんので、また後ほど」

 

「なんか遠回しにディスられてる気がする…」

 

「もしかして二人はまだ知らなかったの?」

 

「え、えぇ恐らく…」

 

此処へ来て、二つの世界のバランスが崩れてしまった。

グレースとスパークルは、ヒーリングっどアローと呼ばれるアイテムを使って浄化しようとしたのだが、フォンテーヌとアースはその存在事態知らない

 

「羽がバサーって生えて、ニャトラン達が一つになって、全部のエレメントさんの力をドバーって!」

 

「スパークル、後で皆さんと一緒に病院へ一度出向きましょう」

 

「頭変だと思われてる!てか、そうじゃない。その件はもうやった。いやいや、ホントにもういいから」

 

スパークルとアースのやり取りは放って置いて、グレースとフォンテーヌだけで話は勝手に進んでいた

 

「そうねじゃあ…今わたし達で出来る事をする。それで良いかなグレース?」

 

「うん。無理言ってごめんね」

 

「あの、もういいかしら?」

 

いつまででも終わらない会話に、ローズマリーがグレースの肩を叩いて割って入った。苦笑いしつつ、今の状況を説明する

 

「メガビョーゲンが立ち上がって向かって来るわ。お願い出来るかしら?」

 

「すみません!それじゃやるわよ!スパークル、アース!」

 

「皆んなで地球をお手当て!!」

 

 

 

『トリプルハートチャージ!』

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

 

ヒーリングステキを持つグレース達は、ミラクルヒーリングボトルをセットし、肉球をタッチする事で最大限に高められた三人のエネルギーが、オアシスを作り出した

 

一方でアースの方は、アースウィンディハープに風のエレメントボトルをセットし、風のエレメントのパワーを極限にまでチャージする事で、周りに無数の白い羽根が浮遊する

 

『プリキュア!ヒーリングオアシス!』

 

「プリキュア!ヒーリングハリケーン!」

 

ピンク、水色、黄色、羽根を纏った薄紫の竜巻き全てが一つに重なり、膨大なエネルギーの光線がメガビョーゲンを貫いて浄化する

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

『お大事に』

 

 

 

浄化を終えた一同だが、まだ休む訳にはいかない。本命である相手を倒さない限り、この戦いは終わらない

 

「ありがとう皆んな。お陰で助かったわ」

 

「まだお礼には早いです。飛鳥君達を追い掛けないと」

 

「そうね。デリシャスフィールドを解くから待ってて」

 

ローズマリーがデリシャスフィールドを解く準備をしてる間、束の間の休息としてグレース達は少し会話を始めた

 

「なごむ君大丈夫かしら。ジークと上手く出来てるといいのだけど…」

 

「多分無理でしょう。なごむですよ」

 

「なごむんの所のアース凄いね。もうなんか色々と」

 

「き、きっと仲良くしているよ!飛鳥君も居るから、仲良くしてるといいな……」

 

デリシャスフィールドが解かれると、ローズマリーも連れてジーク達、プレシャス達を追い掛けると同時にラファエルの元へ走り出したのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喧嘩だけはしないように祈った方が」

 

「そうね」

 

「多分無理でしょう。なごむですから」

 

「待って、その件まだ続けるの?さっきやったじゃんその流れ…」

 

意外にも、この中で一番振り回されていたのはスパークル。もう疲れ果てて、それ以上は何も喋らなくなったのだった




次回でコラボ回は終了です!

ここまでの拝読ありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。