デリシャスパーティ♡プリキュア Carry On 前へ進め 作:シロX
ではスタート
プレシャス達と分かれて行動したジーク達は、ジークが言う反応を頼りにラファエルを追っていた
しかし、一向に足取りが掴めずな上、三人の空気は重苦しく気まずかった。それを察して、この中でお喋りなジークは適当な話題を出して盛り上げようと切り出した
「そういえば、ナゴムとアスミって顔立ちが似てるけどどんな関係なのかしら?」
「私とアスミが似てる?馬鹿を言うな。それに関係も何も、私は手の掛かる赤子としか見ていない。変な事を言うな」
「偶々じゃないのか?世界には自分に似てる人が沢山いる」
「この話は終わりだ。早くラファエルを探せ」
折角気分を盛り上げようとしたのに怒られてしまった。それでもジークは諦めなかった
「ワタシ達兄妹みたいね!」
「寝言は寝て言うんだな」
「ふざけたこと言ってると拳が飛ぶぞ?」
とても辛辣な言葉が返って来たが、それでもお構いなくジークの口は動く
「ジークお姉さんと呼んでもいいのよ?」
「よりによってお前が姉か」
「無い胸を張るな」
先程から文句しか口にしない二人に、頬を膨らませて可愛らしく怒っていた。特になごむに言われた事に関しては、珍しくももの凄い勢いで食い付いた
「胸くらいあるわよ!89のDカップ!ほら見てよ!」
ジークは少し前屈みになってわざと胸元を見せつける。Dカップとはいえど、89もあればそれはもう20代の大人と対して変わらない
「谷間!」
「お前恥ずかしくないのか?」
「年頃の女子が肌なんか見せるんじゃない。ちゃんと服着ろ」
「そーやって誤魔化す……あ、そうよ。分からないなら分からせればいいのよ!」
ジークは二人の手を掴んで、自分の胸へと誘導させる。飛鳥もなごむは、そんなのは御免こうむりたく力強くで離れようとするが、いかんせんジークの力はそれ以上
「ウィンチェスター、お前なんて力だ…!」
「女の子の力じゃない!」
「あら、ワタシ言わなかった?これでも元NCIS特別捜査官の娘なのよ。身体能力だけなら、屈強な大人の人でも軽く倒せれるくらい強いわよ」
「精神面は弱い癖に生意気な事を言う」と二人は思った。しかしそんな悠長に考えてる余裕は無い。二人の手は今にもジークの胸に届きそうなのだ
「このやり取り、いつまで続けるつもりなの?」
「テル…」
テルテルとポポロンは緊張感の無い三人に、呆れて溜め息を吐く始末
「触りなさいよ!」
「嫌だ」
「断る」
「お願いだから触って…ねぇ二人共集中して。来るわ」
ジークの鼻に察知したラファエルが、雷と共に派手に登場した。青く輝く瞳で此方の様子を伺っている
ラファエルが姿を現した事に伴って、ジークも含めて飛鳥は杖を、なごむはゲーマドライバーを腰に身に付ける
「追い掛けて来るとは、余程身の程を知らずだな。それで、今度は一度は敗れた者達が集まって私を倒すと来たか。どれほどの力を有していようと無意味だ。私には勝てない」
「勝てない?ワタシはユイ達とミカエルを倒したのよ。実績がある。それにワタシには、元気な羊飼いと鋼鉄の戦士アイアンマンが居る」
「私は龍を倒している。それも二人だ。あと私は仮面ライダーだ」
「二人は凄いな。僕なんて武器を持った蛇だよ。インパクトに欠けるな。負けた。それと誰が元気な羊飼いだ」
「待ってよ。何も自慢話をしてる訳じゃないわ。凄いじゃない。武器を持つ蛇なんてそうそういないわよ」
「テルテル!!」
また敵を目の前にして無駄話が始まろうとする時、もの大人しいテルテルも激おこ状態だった
「ごめんねごめんね!早く変身するから、ほらやるよ二人共!」
「「お前から話振ったんだろ!」」
「余興は済んだか?」
青い光に包み込まれて、周りの景色が変わる。砂漠の様な場所。デリシャスフィールドと同様にラファエルが結界を展開したのだ
やっと気持ちを切り替えて、鋭い目つきでラファエルを見据える
テルテルはジークの肩に乗り、飛鳥もポポロンと身構える。なごむはまた新たなガシャットを取り出した
「ワタシ達は勝つ。ワタシ達はプリキュアで、仮面ライダーで──貴方を倒す者だから!!」
「プリキュア・デリシャスタンバイ!」
「パーティ・ゴー!」
「シュワシュワ!」
「テルテル!」
「スパークリング!」
「テルテル!」
「シェアリンエナジー!」
「テル〜!」
テルテルのポケットのハートが光り、変化した白色のシルエットの飲み物を飲み、髪型からお腹に手、背中のリボンと来て足の順と変身する
「テルテル!」
そして最後はグラスフォームとなったテルテルを、ポンポンと軽く撫でるように叩いて決め台詞とポーズを決める
「まろやか美酒に、let's乾杯!キュアフレーバー!」
飛鳥は蛇が絡み付いた杖を高く掲げると、先端から巨大な蛇の形を模したエネルギーが飛び出した
蛇は飛鳥の周りを這いずり回った後、そのまま全身に絡み付き、最後は飛鳥の頭から蛇が呑み込むと同時にエネルギーが弾けて変身を完了する
外科医が着用する服に似た黒服を身に纏い、指先を青に染めた手袋を着用。ジークやなごむ以上に魅了させるほどの、美しい銀の長髪を靡かせる
両手にメスを握り、ポポロンは左肩に乗ってクロスボウガンを背中に乗せて待機していた
「絡み合う二つの毒、キュアラピウス」
『オールマイティX!』
『マキシマムガシャット!ガッチャーン!』
『レベルオーバー!』
なごむは先に、オールマイティXガシャットをゲーマドライバーに差し込み、レバーを操作して派手な音が流れる
だがまだ変身はしない。本番はここから
『アブソリュートドラゴナイト
そこから更に新たなガシャット「アブソリュートドラゴナイトZガシャット」を起動させて、両腕が“ム”の字になるように動かしながらなごむは叫び、オールマイティXガシャットの横に連結させる様に装填させる
「ウルティメイト超変身!!」
『ドッキーング!』
アブソリュートドラゴナイトZガシャット、上部の「ウルティメイトスイッチ」を拳で叩き込む
『バッキーン!
究極に高まる氷のエレメントの力が周囲に影響を及ぼし、大気ごと凍らせる。そして、右手を大きく振り上げ、頭上に変身後の姿を模したパネルが現れ、蒼く輝く無数の氷の粒子がなごむの身体を包み込み始める
『凍てつけ!絶氷の如く!蒼銀の最強ゲーマー!ウルティメイトゲムデクス !!!』
変身を遂げたゲムデクスの姿は、彼の世界で言うところのムテキゲーマー。全身煌びやかに目立つ蒼銀のアーマーは、オールマイティゲーマーと比べて装甲類は最低限に止められており、防御力の代わりに機動力が底上げされている。アーマーには龍の力を完全に支配したことを示すように、龍の模様が全身にかけて描かれている
仮面ライダーゲムデクス ウルティメイトゲーマー レベル0
ゲムデクスの最強形態の一つであり、対ウイルス生命体撃滅治療用最終決戦形態である
これが今のフレーバー達の全力全開、最強の姿。三人が並び立つその絵は、正に圧倒的存在感を放っている
「魅惑のおいしさに酔いしれなさい!」
「これより、オペを開始する──!」
「悪いがここからはワンサイドゲームだ」
それぞれの最高の決め台詞と共に、ラファエルとの最終決戦に足を踏み出した
「ゲムデクスが前衛、ラピウスが中衛、ワタシが後衛よ!」
ゲムデクスは走るスピードを加速させ、氷のエレメントの力を行使して瞬時に二種類のガシャコンウェポンを精製する
「三人掛かりなんだ。少しはまともに戦えるだろうな?」
『ガシャコンブレイカー!』
『ガシャコンソード!』
今ラファエルは空中に佇んでいる。足を地面に踏み出すと、ラファエルへと続く氷のスロープが出来上がる。その上を滑りながら、ゲムデクスはそれぞれのガシャコンウェポンにガシャットを起動、そして装填する
『マイティアクションV!』
『タドルクエスト!』
『『ガシャット!キメワザ!』』
ゲムデクスが既に技の体勢へと移行しているにも関わらず、ラファエルは微動だにしない。余裕のつもりでいるのか定かではないが、動かないのであれば遠慮無く攻撃を繰り出すのみ
ブレードモードになっているガシャコンブレイカーと、ガシャコンソードの刀身に装填したガシャットの特性を付与した必殺の斬撃を繰り出す
『マイティ──』
『タドル──』
『『クリティカルフィニッシュ!!』』
X字になる様にガシャコンウェポンにを振り下ろすも、刃がラファエルの体に触れた途端呆気なく砕け散った
氷で造られたガシャコンウェポンにも、それなりの頑丈さはあると自負はしているが、それ以上にラファエルの体が強く、それに負けてしまったのだ
「そんなものか?」
ラファエルはゲムデクスを掴み投げ、凝縮されたエレメントの光弾を四つ放ち食らわす。落下していくゲムデクスに入れ替わって、ラピウスが高くジャンプして接近していた
「ハアッ!!」
両手に持つメスを振り翳すも、ラファエルも両の指二本を使って受け止めた
「クッ!」
引き剥がそうにもラファエルはビクともしない。であれば選択肢は限られる。その内の一つである武器を捨てるという選択肢を取った。
メスから手を離して、ラファエルの体を蹴ってその場から離脱
落下する際にも攻撃の手を緩める訳にはいかない。肩に乗るポポロンからボウガンを受け取り、心臓目掛けて引き金を引いた
放たれた矢は見事狙いを定めた箇所に直撃はした。しかし、鉄にでもぶつかった様な甲高い音と共にラピウスの矢が弾かれた。見た目は人間の体だが、想像以上に強靭な硬さをしている
「任せて!」
今度はフレーバーが仕掛ける。ハートクリーミーブレンダーのダイヤルを、黄色の三本線に合わせてレバー操作から、チャージされたエネルギーをラファエル向けて放つ
「ハートヤムヤム・ヌードル!」
放たれた光線は枝分かれするように無数に分裂し、ラファエルの逃げ場を失くした
(一つ一つの攻撃じゃ深いダメージは与えにくいけど、無数の攻撃、それも広範囲の攻撃を一斉に浴びたら流石の貴方もひとたまりでは──)
フレーバーの思惑通り進むかと思われたが、ラファエルはそれを嘲笑うかの様に更に上を行く
ラファエルが指を鳴らすと、一斉に襲う光線を全てかき消したのだ。これにはフレーバーも面を食らった
「あの指パッチンどうにかならないのかしら…」
もう拉致が明かないと踏んだゲムデクスとラピウスが、同時に駆け出した。
ラファエルも真っ向から捻り潰すべく、ようやく足が地面に着いて同じ目線となる
けれどこの状況、フレーバーは良くないと考えて急いで静止の声を上げる
「二人共何やってるの!?ちょっと戻って来なさい!」
「私に前衛を任せたのはお前だ。私は好きなようにやる」
「僕も同じ意見だ。中衛の役割をする」
フレーバーの事など無視して、自分達の好きに動き始めた二人に困惑する
「ちょ、まっ、あのね……もぉ〜!!」
フレーバーも投げやりに走り出して、二人の後を追い掛ける。三人が前に出る事によって攻撃力は格段に上がりはしたが、最初に思い描いていたものとかけ離れた状態になってしまった
チームプレイを大事にしていたフレーバーにとって、ここから地獄のような展開が幕を開ける
『ガシャコンサイザンス!』
ゲムデクスは、自身以上の長さを誇る大鎌を担いで高くジャンプする。縦の斬撃でラファエルを切り裂こうとしている
「ポポロン!」
片やラピウスは、ポポロンからボウガンを受け取って距離を詰めつつ矢を放つ。
しかし、ここで連携の不備が表に出る
ラファエルを切り裂こうとしたゲムデクスだが、その射線上に入ってしまいラピウスの矢が背中に誤射の形で直撃してしまったのだ
当然ながら体勢を崩したゲムデクスは倒れて、打ったラピウスへと無言の視線を向ける
(マズいわ!)
倒れているゲムデクスにラファエルが手を伸ばす。フレーバーは危機感を察知し、ゲムデクスを飛び越えて前に出てその手を弾く
「だから言ったじゃない!」
「うるさい」
ラピウスはというと、先程の失態を挽回するべくラファエルの背後に回り込んでメスを構えていた。フレーバーと交戦してる隙に、メスから放つ
しかし、後ろに目でもあるかの様にラファエルはジャンプして回避した
「えっ、ちょま──」
回避したせいで、鎌鼬は図らずもフレーバーを直撃して吹っ飛ばされてしまった。交戦していたフレーバーからすると、予期せぬ出来事で防御をする隙も無かった
「ク……ッ!?」
立ち上がろうとしていたゲムデクスも、飛ばされたフレーバーに巻き込まれてまた倒れてしまう
「ラピウスまでなんてこと。二人揃って酷いわ…はぅ」
「全然だな」
回避したラファエルは欠伸をするくらいの余力を残しており、エレメントの力を両手に練っていた
「「クソ!」」
『ガシャコンキースラッシャー!』
『ズ・キュ・キュ・キューン!』
『マキシマムガシャット!キメワザ!』
ラピウスは杖を構え、その先端部に禍々しいエネルギーを一点集中させる。ゲムデクスは、氷のガシャコンキースラッシャーを精製し、ガンモードに切り替えてオールマイティXガシャットを装填する
「倣薬・
『オールマイティクリティカルフィニッシュ!』
ラピウスの杖からは赤黒い光線を前方へと解き放ち、氷のガシャコンキースラッシャーかは12種類のエレメントの力が合わさった光線を撃ち放つ
初めて連携らしい攻撃が出来たと思うも束の間。そこに一つのお米を模した巨大な光弾が二人の間を通り過ぎて介入し、それによってラピウスとゲムデクスの技と衝突して相殺された
光弾が飛んで来た方向は後ろ側。二人は後ろに振り返ると、ハートクリーミーブレンダーを構えていたフレーバーが立っていた
「わ、わざとじゃないのよ。うわっ、ごめんなさぁぁぁぁぁいぃぃ!!」
ラファエルの念力によって、謝罪の叫びと共に彼方へとフレーバーは吹っ飛ばされてしまった
「もういい。遊びはここまでだ!」
ラファエルは両の手を合わせ、その後地面へと手を着いて結界内の空間全て変化させる。空と大地はひっくり返るも重力は地面がある方向へと働き、何も無い空間から突然建物が森の如く現れ、かと思えばマグマが噴き出して大爆発を起こしたり、南極の様に極寒になればデスバレーの様に極暑になって激しい気温の変化までもたらして、隕石までもが降って来る。その他にも言葉ではとても言い表せない現象が数え切れないほど発生する。天変地異など生ぬるいと思える程に、この空間は地獄絵図と化していた
フレーバーはなんとか足場を確保しながら、大きな岩陰に隠れて一度体勢を整えようとする。
そしてその岩陰には偶然にも、ラピウスとゲムデクスも避難して隠れていたのだが、ポポロンも含めて言い争いが勃発していた
「ゲムデクスさぁ…さっきからラピウスの邪魔しかしてないじゃん。いくら前衛でも出しゃばられると迷惑なんだけど」
「それは私も同じだ!敵はラファエルだぞ。味方である私に攻撃してどうする?邪魔をしているのはそっちだろ」
「…くだらん言い訳も大概にしろ。こうなっているのは、僕やフレーバーが前に出る羽目になっている時点で証明されてるんだよ」
「喧嘩してる場合じゃないのよ!取り敢えずフレーバーお姉さんの話を聞きなさい!」
「「お前は妹だ!!」」
「ふぇ…」
喧嘩の仲裁に入ったフレーバーだったが、ラピウスとゲムデクスの怒号に驚いて変な声を出してしまった
「じゃなくて三人共落ち着いて!良い?ワタシ達、連携らしい事が一つも出来ていない!酷過ぎるにもほどがあるわ!」
「あぁ最悪だ。僕はグレース達以外と戦った事ないからチームでの戦い方が分からない」
「私も同意見だ。私が前に出て、他の者達が合わせる形で戦っている。これでどうしろと?」
「それなら大丈夫よ。アメリカに居た頃、色んな人と組んで沢山経験したわ。だからチームでの戦い方は、この中で誰よりも知っているつもり。自慢じゃないけど自慢。例えるならワタシ達は…そう、アベンジャーズ!!」
戦士、一個人としてのステータスは圧倒的にフレーバーより二人の方が上。だが今の戦い方で即席チームでの戦い方が少々苦手な模様。
そこでフレーバーの経験が役に立つ
「なるほどアベンジャーズか……それは何だ?」
「……えっ、アベンジャーズ無いの?」
「映画か?まさかこの状況で、また僕達に映画の話を持ちかけるのか?」
突然ゲムデクスがフレーバーに尋ね、フレーバーが信じられない様な表情をして、食い気味に説明をし始める
「映画の話は合ってるわ。アベンジャーズはね──」
「そんな事言ってる場合か!敵は目の前に居るんだぞ!!」
「ゲムデクスが聞いて来たよね!?ワタシは、説明しようとしているのにどういう心境の変化よ!理不尽にも程があるわ!!」
「何で仲裁していたフレーバーまで喧嘩するんだ」
「あぁごめんなさい。とにかく自分の力を信じる事も大切だけど、今はそれ以上にお互いを信頼し合って任せるのよ!良い?」
話のレールを元に戻して、言いたい事をハッキリと言えた。後はここからどうするかが問題だ
「分かった。お互いの動きに合わせて全員が動く」
「そう。でも遠慮のし過ぎにも気を付けて」
「その為にも、今一度役割りを確認しよう」
「それじゃあワタシは後衛、ゲムデクスは前衛、ラピウスは中衛!」
「なら始めよう」
「待って待って!!」
ラピウスとゲムデクスがやる気を出して前に出ようとするが、フレーバーが二人の肩を掴んで引き止めた
そして真っ直ぐな瞳で二人を見つめる
「ワタシ達ならイケるわ。必ず勝てる」
「今更何言ってる」
「当たり前だ」
「そうね……ところで今ワタシ達が置かれてる状況、スパイダーマン ノー・ウェイ・ホームに滅茶苦茶似てるの。興奮しない?」
折角の良い雰囲気な所に、懲りずに映画の話をまた振ってきたことに呆れ、二人はフレーバーに冷たい視線を浴びせる
「取り敢えず始めるわよ、最強チームバージョン2!」
フレーバー達を隠していた岩が破壊され、その身を露わにされた。もう何度目かのラファエルの対峙。けれど今までとは違って、恐れる事はない
「鬼ごっこは済んだか?」
「二人共散開して!」
三人が散らばると同時に、先程まで居た場所は一瞬で消し飛んだ。何をしたか分からなかったが、その威力にフレーバーは難しい顔をするがすぐさま気持ちを切り替える
「行くわよオムニバスヒーローズ!」
軽快よくラファエルに近付いて行くゲムデクスは、氷のエレメントの力で新たなガシャコンウェポンを精製し、右腕に装着する
『ガシャコンシルダー!』
円形のシールドに中央部にガシャットスロット、その左側にアタックラッシュパッドのAボタン、そして反対の右側にBボタンが備えられているガシャコンウェポン
ゲムデクスの戦闘スタイルには基本防御などしない。だが今回に限りそのスタイルを破ってまで、防御系の武器を選んだ
ゲムデクスの真上から巨大な鉄の槍が一本降って来るも、冷静にガシャコンシルダーで防いでみせる
続けてBボタンを押し、シールドの表面に冷気が発生して表面を凍らせる。更にガシャコンシルダーに触れていた鉄の槍は、一瞬で凍結し、そのまま拳で粉砕した
「そのまま踊ってろ」
ラファエルはエレメントの力を出し切り、一つ一つ強力な光弾を打ち出した
計12種類の光弾が四方八方から襲って来るも、ゲムデクスは一つずつ丁寧にガシャコンシルダーで叩き落とす。数が半分を切ったところで、ガシャコンシルダーをフリスビーの様に投げ出した。
綺麗に弧を描きながら残り全てを打ち落として、手元へと戻る
「まだ抗うか」
「いつまで自分が上の存在だと勘違いしてる?」
『シュ・ピーン!』
Aボタンを押す事で、ガシャコンシルダーが二つに分離して両腕に装備する。シールドモードからブレードモードへと移行したのだ
「守りを捨てたか。お前こそ自惚れるな」
「自惚れかどうかは、私達に勝ってから言うんだな」
ブレードモードでA・Bボタンを押して、「エッジエリミネーター」と呼ばれる箇所から冷気が発せられ氷の刃が形成される。更に次いで感覚で、アブソリュートドラゴナイトZガシャット上部のボタンを軽快に人差し指で押す
『キメワザ!』
ゲムデクスの体からガシャコンシルダーへと氷のエレメントが流れ、更に氷の刃のエッジに高密度のエネルギーが纏われた
「底が知れないエネルギー量…面白い。だが、当たらなければ宝の持ち腐れというやつだ」
ラファエルの言う様に、今この空間は立っていられない程グジャグジャの状態。何をするにしても狙いが定まらず、足場も常に動き、今立っている場所の認識さえも危うい
「そうか。ならそう思ってるんだな」
瞬間、ラファエルの斜め上の両サイドからフレーバーとラピウスの姿が突然現れた。
フレーバーはハートキュアウォッチに手を翳し、ラピウスはボウガンを構えており、二人共浄化技の体勢となっていた
「プリキュア!フレーバー・ヘキサグラム!」
「
不意をついた強襲に対応出来ないと思われたが、その考えは少々甘かった。
フレーバーの技は手の平で簡単に弾き飛ばされる。ラピウスの矢は、放てば如何なる障害・頑丈さがあろうとも必ず敵の急所を撃ち抜く特性を有してるが、ラファエルは特別な事はせず、単純に向かって来る矢を掴んでその勢いを止めた
「もう終わりか?」
「いえ、先ずはこの厄介な空間を破壊する!ワタシ達は囮よ!ゲムデクス!」
ゲムデクスは体全体を捻り、その場で大きく回転する
『ウルティメイトクリティカルクラッシュ!』
ガシャコンシルダー ブレードモードから放たれる氷の斬撃が空間を切り刻み、凍結させてこの歪んだ空間を破壊した
ガラスの様に砕け散った空間は元に戻る。これでようやく同じ条件で戦える
「畳み掛けるわよ!ゲムデクスは左から!ラピウスは右から!
フレーバーの指示通り二人は左右から攻め込み、フレーバーも正面から仕掛けに行く
しかし、ラピウスとゲムデクスの拳を受け止めた挙げ句、正面のフレーバーを蹴り飛ばして三人同時に無力化させた
「「フレーバー!」」
「他人を心配してる暇は無いぞ!」
ラピウスとゲムデクスを上へと投げ飛ばし、雨のエレメントの力を使って水色の光弾を何十発をも放った
「ぷにシールド!」
『ガ・キーン!』
ポポロンがシールドでラピウスを守り、ゲムデクスはガシャコンシルダーをシールドモードに組み合わせて身を守る
地面に着地し、防御をし終えたゲムデクスは、ガシャコンシルダーを投げ捨てて新たなガシャコンウェポンを氷で作り出す
『ガシャコンクランマー!』
ガシャコンクランマー ハンマーモード。ガシャコンブレイカー ハンマーモードと見た目と大きさは変わらないが、その性能は全く異なる
「私が流れを作る」
「僕もなんとか援護する」
走り出したゲムデクスはガシャコンクランマーを大きく振り被る。対してラファエルが、エレメントの力を込めた拳で対抗。両者の激しい一撃が激突して後ずさる
「…何だ今のは?」
ゲムデクスの攻撃に何か違和感を感じた。挑発的な言葉も意に返さず、ゲムデクスは攻撃を続ける
ガシャコンクランマーで殴り、叩くもラファエルは涼しい顔をしている。まるでダメージを受けていないかの様に
ラピウスの矢も飛んで来るが、掴んではへし折ったりと完全防御している
「ラピウス、これじゃ援護になってないよ。ボク達も攻めよう」
「…しかないな」
ポポロンも言う事もあって、ラピウスも武器をメスに変えて接近する事を選んだ
ラピウスが接近する事に切り替える間にも、ゲムデクスは懸命にガシャコンクランマーで打ち付ける。
膝、腕、頭、背中など、とにかく体中攻撃する
だが、最終的には手で受け止められてしまった
「やる気あるのか?」
「ああ」
ゲムデクスはガシャコンクランマーのBボタンを押した。その瞬間、ラファエルの全身から激しい衝撃と共にダメージが一気に走り、大きく後方へ吹っ飛ばされた
「グゥ…!?」
ガシャコンクランマー ハンマーモードの機能は、見た目通りの打撃武器なのだが今までのとは違う。「ハンマーエリミネーター」に搭載されてある「ボンバーチャージャ」によって、叩いた箇所にダメージ・衝撃を蓄積させると言ったもの。蓄積されたエネルギーはBボタンを押す事で、一斉に爆発させる事が出来る
それによって、好きなタイミングで時間差攻撃が可能となった
「それでもまだ足りない、か」
「だが、ラファエルには打撃による攻撃が有効だ。そこを狙えばまだ私達に勝機はある」
「痛たたたぁ…ゲムデクスを軸に何とか攻めているけど、後もう一押しが欲しい」
頭を抑えながらもフレーバーは、二人と合流した。心配はしたが、口数は未だに減っておらずそれは無用とものとなった
「つべこべ言わず早く指示を出すんだ」
『ド・ゴーン!』
ガシャコンクランマーをクラブモードへと変形させて、攻めの構えを取る。
ラピウスもフレーバーの指示待ち
少し目を閉じて唸っては考える。僅か数秒で目を開いて口にする
「時間稼ぎをする」
「いつまでだ?」
「それを言ったら面白くないじゃない。その時が来れば分かるわ」
「どちらにしろ、フレーバーの指示で何とか持ち堪えている。それを信じようゲムデクス」
フレーバーの言う「時間稼ぎ」に疑問に思うゲムデクスだが、ラピウスはフレーバーの言葉を信じている。
改めてフレーバーの瞳を見据える。紛れもなく、綺麗な金色の瞳で、闘志はまだ消えてなどない。考えがあっての事だとゲムデクス理解して、小さく頷いた
『ガシャコンブレイカー!』
ゲムデクスはガシャコンクランマーを右手に、通常のガシャコンブレイカーを左手に持つ。どちらも、ハンマーモードでいつでも迎え撃つ準備は出来上がった
「ハートプレシャス・ライス!」
ハートクリーミーブレンダーの攻撃から、戦いの再開の合図となった。ラファエルは、真正面からお米の光弾を掴んで粉砕した
「来るわよ!」
後衛であるフレーバーが最前線へと出て、ラファエルへと突っ込んで行く。何が策がある訳でもない。とにかく時間稼ぎが目的
1分、1秒でも長く足止めしなければならないが
「きゃっ!」
フレーバーの懐に入られ、そのまま後方へと投げ飛ばされてしまった。地面に落下し、打ち所が悪かったらしく気絶して起き上がる事はなかった
「テル!テル!」
「やられたか!?」
フレーバーの穴埋めをしようと走り出す。何の用意もせず、フレーバーと同じ様に突っ込んで来るゲムデクスに対し、ラファエルはエレメントの力が凝縮された刃を腰の低さくらいで投げ飛ばした
「ッ!」
勢いのついた走りは止まるどころか突き進む。ゲムデクスは咄嗟に、膝を曲げて地面を滑り、上体も反らしてエレメントの刃を華麗に回避した
起き上がりすぐさま、ガシャコンクランマーで殴り掛かるも簡単に避けられた。今までとは違い、避け方にも大きく体を動かしていた
「確かにその武器は脅威だが、触れさえしなければ!」
ラファエルは静かにゲムデクスの腹部に手を当て、そこから風のエレメントの力を行使して一気に解き放つ
「チッ!」
大きく吹き飛ばされたが、両足で踏ん張って耐え抜いた。しかしダメージを負ったのは変わらない
入れ違いでラピウスが膝蹴りで飛び出した。ラファエルは顔を背けてラピウスを避けたが、鼻先を掠める
地面に着地と同時に振り返り、回し蹴りで追撃を仕掛ける。首元に直撃するが、全くビクともしない
今度はラピウスに狙いを切り替えたが、油断しており背後から迫って来るゲムデクスに気付くのに少々遅れる
「こっちだ!」
ラファエルの背中にしがみ付いて、二つのガシャコンウェポンのグリップで首を絞める
「この…離れろ!」
アーマーを掴まれて放り投げ出されるが、受け身を取り、ガシャコンクランマーを地面を三度打ち付ける。続けてBボタンを押して大きく振り翳した
ガシャコンクランマーから放たれたエネルギーの塊は、見事ラファエルに命中した
クラブモードはハンマーモードと違い、武器にエネルギーが蓄積され、直接殴る事で爆発し、振り翳す事で蓄積されたエネルギーの塊を飛ばす事が出来る中距離の仕様となっている
「やはりダメか──ッ!?」
地面に打ち付けた程度の威力だとラファエルに傷一つ付けられない。
逆に、ラファエルの念力でゲムデクスを簡単に吹き飛ばした
「お前!」
今度は後頭部にラピウスの蹴りを放つも、しゃがみ込まれて避けられた
「ッ!!」
それでもラピウスは、休む事なく手を出し続ける。フェイントを織り交ぜた拳、メスを用いての攻撃。しかしそれら全てを受け流し、弾く
(一旦距離を…)
「ラピウス後ろ!!」
バックステップしながらボウガンを構えて、堅実にやろうとしたが、ラファエルは飛んで後ろへと回り込んだ。
ポポロンの知らせで存在には気付いたものの、とてもじゃないが今から体の向きを変えて迎え撃つなど不可能
「ぷにシールド!」
ガラ空きとなった背中に拳を振り下ろされるも、直前でポポロンがシールドを張って守ってくれた。
しかし、ラファエルの拳はそれを砕き、ポポロンごと撃ち抜いた
「ポポロン!!」
急いで振り返るも、ラファエルの動きが早かった。ボウガンを持つ手を蹴り飛ばされて手放してしまい、頭を鷲掴みされて後頭部を地面に叩き付ける
「ぐわぁっ!!」
起き上がろうとするラピウスだが、腹部に足で踏まれて抑え込まれた。まだ手に持っているメスを額へ投げるも、命中はしたものの強固なラファエルには刺さるどころか傷一つ付かなかった。悪足掻きは虚しくも効かない
更にラファエルは両手で首を絞めて、完全に息の根を止めようとする。ラピウスも、殴っては叩いて引き剥がそうとするが、力が入る体勢とは程遠く上手く行かない
「クッ…ぅ…っ」
「先ずは一人──ッ!?」
ラピウスの意識が遠退く寸前、ラファエルの肩に何かがぶつかる衝撃を感じた。手を緩めてそれを確認すると、ハンマーモードのガシャコンブレイカーが宙に浮かんでいた
そして吸い寄せられる様に、飛んで来た方向へと戻って行く。武器からしてゲムデクスの仕業と考えたがそれは違った。目を追って行くその先、思わず眉をひそめるくらい意外な人物の仕業だった
「────フレーバー。お前か」
「っと」
フレーバーも念力を使ってガシャコンブレイカー ハンマーモードだけでなく、ついでにラピウスのボウガンにポポロンまでも手元に引き寄せていた
「ポポロン力を貸して」
「人使い、じゃなくて羊使いが荒いね」
「さぁ、エンドゲーム始めるわよ」
フレーバーとラファエルが互いにゆっくりと歩み寄り、次第に速めて距離間を詰める。
フレーバーは間合いに入ったと察知すると同時に、ガシャコンブレイカーを振り上げながらジャンプしてラファエルの顎を跳ね上げた
「うぐぅ…!」
「フッ!!」
体勢を立て直される前に、ガシャコンブレイカーを顔目掛けて投擲して追撃を仕掛けた。けれど、ラファエルの反応速度はそれを上回り顔を背けてギリギリで避けた。
しかし、フレーバーはそれを見越していた
本当の狙いはその後の動作
「ポポロン!」
「はいはい!」
ガシャコンブレイカーが避けらた直後、ポポロンの助力もあって矢を生成して引き金を引く。当然矢はラファエルの顔の横を通り過ぎるが、その先にはガシャコンブレイカーがあったのだ。
矢はハンマー面に当たり、それが跳ね返ってラファエルの背中に見事命中した
「ッ゛!!」
予想もしなかった不意打ちで四つん這いで倒れ、睨む目でフレーバーを見ていた
まだフレーバーの猛攻は止まらない
「っ!ハアッ!!」
足で蹴り上げる事によって強引に体を起き上がらせ、ガシャコンブレイカーで二度三度殴り、後ずさるラファエルを逃さまいと再度投擲して腹部に直撃させる。その後返ってくるガシャコンブレイカーを手で取らず、代わりに足で蹴り飛ばしてラファエルの左肩に打ち付ける
「このまま攻めるわ!!」
一気に畳み掛けるフレーバーだったが、一歩足を踏み出したその下から土で出来た巨大な鋭い突起物が襲い掛かり、体が宙を舞う
「ッ?!」
だが、ポポロンが手元に置いていた事が幸いさた。腹部に突かれたと思われた突起物は、ポポロンが張ったぷにシールドによって阻んでいた。それだけではなく、最後まで油断せず警戒してた事もあってガシャコンブレイカーでも防いでいた
致命傷は避けられたが、ぷにシールドは容易く貫いてガシャコンブレイカーは破壊されてしまう
「かふっ…」
地面に落ちて背中を強打する衝撃で、破損したガシャコンブレイカーとボウガンを手放してしまい、ポポロンも地面に転がる始末
「テル!!」
テルテルが、接近して来るラファエルの存在に勘づいて呼び掛けた。フレーバーはすぐに起き上がっては、ハートクリーミーブレンダーを構える
「スパイシー!シェアリンエナジー!」
ダイヤルを水色の丸に合わせて、素早くレバーを押してエネルギーをチャージする。
水色に発光してフルチャージされた合図と共に、ラファエルへ向けてトリガーを押して一気に放つ
「ハートスパイシー・ベーカリー!」
パンを模した光弾は、撃ち出された瞬間激しい螺旋回転していた。
ラファエルもそれに対抗しようと、水と氷のエレメントで作り上げた剣で斬り伏せようとしたが、激しく螺旋回転して貫通力が高まっている光弾の前に触れた瞬間、あっさりと砕け散り脇腹に命中する
「グゥ…ッ!!」
一瞬顔が歪んだが、ラピウスとゲムデクスの攻撃すらも耐え抜いた強靭な肉体。それだけしかダメージを与えられなかった
(そんな…っ!)
フレーバーの攻撃が終わるや否や、ラファエルの手が届く範囲まで接近を許してしまった
ラファエルは拳を作ってエレメントの力を集中させていた
(避け…間に合わない!)
もはやフレーバーに選択肢は残されておらず、泣く泣くハートクリーミーブレンダーを盾にして防御体勢に切り替える
ラファエルは拳を振り、フレーバーはそれを防御して互いに衝突する。その際、ハートクリーミーブレンダーに大きなヒビが入った
凌ぎ切ったフレーバーだが、思わず破損した箇所に目を移してしまう。それでも猛攻は止まらず、拳を振り続ける事に対してフレーバーも精一杯ハートクリーミーブレンダーで受け流す
威力を外へと流しているが、それでも衝突直後の衝撃は免れる事は出来ず、受ける度にハートクリーミーブレンダーは破損箇所を増やしていく
(もう、限界…!)
下からのアッパーを防御したのが最後、ハートクリーミーブレンダーは修復不可能な程に粉々になってしまった。ハートクリーミーブレンダーを持って防御していた為、両手は跳ね上げられて大きく万歳する形となった
つまり、大きな隙を見せてしまった
「フンッ!!!」
腹部に渾身の一撃を貰い、吹き飛ばされて地面を転がり、無様に倒れるのであった。力を入れて立ち上がろうとするも、手を滑らせて上手く立ち上がれなかった
ラピウスとゲムデクスも地に伏せて、ラファエルは未だ立っている。最悪の結果と言わざる得ない
「まだ、よ!」
それでもフレーバーは諦めてはいない。手に力を込めて、破壊されたハートクリーミーブレンダーに不思議な力を注いで修復した
しかし、いくらアイテムが復活したところで戦況を変えるものでもない
「言ったはずだ。お前達では勝てない」
「諦めるわけには…」
「フレーバーとラピウス。お前達は浄化の力を持っているが私を倒すに至るまでの力を持っていない。逆にゲムデクスは、力はあるが浄化の力を持っていない。私を倒すにはその二つが必要」
つまりは、全員が片方の力しか持っていない為ラファエルを完全に倒す事は不可能
「これでようやくこの戦いも終わる」
ラファエルはフレーバーに手の平を向けて、止めの一撃を放とうとする
絶体絶命のピンチのフレーバーだが、そんな状況でも一人口角を上げて笑っていた
「何のつもりだが知らないが終わりだ」
「ええそうね────終わりにしましょう」
すると、何処からともなくラファエルの足元に斬撃が放たれた
ラピウスやゲムデクスでもない。ましてやフレーバーでもない。斬撃を放った人物は、フレーバーの目の前に降り立った
「ギリギリだったメン!」
「フレーバー大丈夫?」
フレーバーに手を差し伸べるのは、ヤムヤムの姿だった。フレーバーはその手を取り、体を起こして土を払う
「ナイスタイミングだったわ。ありがとうヤムヤム」
「それがどうした。たかが一人増えた程度──」
「一人?違うわ。周りをよく見なさい」
周りを見渡すとラピウスにはプレシャスが、ゲムデクスにはスパイシーが側に付いていた
「時間稼ぎ成功ね」
「何人増えようがどうする事も出来ない。お前達はただ、この場で朽ち果てる」
「ここからはワタシ達も本気よ。勝利のピースは今この瞬間揃った!」
「ッ!!」
ラファエルが目を見開くと、それぞれの足元が大爆発して大きな煙が舞い上がる
だけど一つだけ、煙の中から飛び出る者が二人。蒼き戦士二人だ
「予想通りだ。お前達を先に倒せばすぐにでも肩はつく」
12種類のエレメントの光弾を飛び出した二人、スパイシーとゲムデクスに向けて一斉砲撃する
「来るパム!」
「このまま突き抜けます!ゲムデクス!」
「元よりそのつもりだ!」
『ガシャコンサイザンス!』
『ザ・シューン!』
スパイシーはパン型のシールドで防ぎ、ゲムデクスはガシャコンサイザンスをランスモードに切り替えて薙ぎ払う。
少しでも足を止めれば命取りとなる。どんな障害だろうと突っ切る以外の選択肢は無い
「捨て身の一撃に懸けるつもりのようだが、お前達の捨て身などたかが知れて──」
突然ラファエルの背中に無数の黄色い光線と、砲撃とも言える黄色い光線が放たれた。しかし気配を察知し、念力で放たれた光線を無力化してダメージを通さないでいる
「次から次へとネタが尽きないな」
「「クッ!!」」
フレーバーのハートヤムヤム・ヌードル、ヤムヤムのデリシャスヤムヤム・ドレインの同時攻撃すら、もうまともに効かないでいる
「ネタならまだまだあるわよ!!」
そこへ駆け込むのは────プレシャス
「そっちが本命か!」
「プレシャスの邪魔はさせない!── ピリッtoサンドプレス!」
プレシャスが攻めの中心と勘づいたラファエルの行動は早かった。しかしスパイシーも誰よりもいち早く気付き、プレシャスの援護を切り出す
パンのプレスがラファエルの動きを封じようとするも、触れる前に一瞬で掻き消された
「しつこいぞ!」
ラファエルは念力の力を強め、フレーバーとヤムヤムの光線を跳ね返した。これで邪魔者は消えた
「次は」
ラファエルは足を踏み込み、龍を模した土の塊を左右から挟み込む様にしてプレシャスへと仕掛けた
「──システム起動!トロイアスバレル、チェック!サンライトオーバー!」
『マイティアクションV!』
ポポロンの言葉と共にボウガンにエネルギーが集中されていき、ゲムデクスはガシャットを起動させてガシャコンサイザンスに装填
「3、2、1!」
『ガシャット!キメワザ!』
力が込められた武具で二人は一気に解き放つ
「輝かしき終点の一矢、発射ァァ!」
『マイティクリティカルフィニッシュ!』
放たれた矢と投げ出した槍は、プレシャスへ向かう攻撃を撃ち抜いて道を開く。
プレシャスは無我夢中に突っ走り、右腕に力を溜めて500という数字が浮かび上がる
「500キロカロリーパンチ!」
懐に潜り込んだプレシャスは、顔面目掛けて右拳を突き出すも手の甲で受け止められた
「うぐっ!」
「あと一歩足りなかったな」
「なら──おかわりだよ!!」
体を左に捻じ曲げ、今度は左腕に力を込めて500の数字が浮かび上がる
「コイツ!!」
「500キロカロリーパンチ!!」
左からの攻撃を防ごうとしたが、それを掻い潜って強烈なボディーブローをぶちかました。あまりの威力に、ラファエルの両足が浮いて顔が歪んだ
プレシャスは一度下がり、フレーバー達と肩を並べる。
それぞれハートクリーミーブレンダーとハートジューシーミキサーを構え、ダイヤルを回す
『トリプルミックス!デリシャスチャージ!』
「フレーバー!シェアリンエナジー!」
レバーを押して、四人それぞれエネルギーをフルチャージにさせる
これが最後の攻撃にして最後のチャンス
『プリキュア!MIXハートアタック!』
「ハートフレーバー・リカー!」
渾身の一撃を込めた四色の光線は、一つに重なり合わさって威力を増大させる。これが、今フレーバー達が出せる全力の攻撃
「だが!」
ラファエルはその一撃を両手で受け止めた。激しく衝突するエネルギーが辺りに飛び散り、空間内全体が揺れる
「ここまでやれた事は褒めてやろう!だが、私を倒すのにまだ力が足りなかったな!お前達の負けだ!!」
ラファエルの足が一歩ずつ前に出る。押し返されているのだ。フレーバー達の攻撃は決して弱くはない。それ以上にラファエルが上回っている。
このままでは、跳ね返されて何もかもが終わる
「──我が宿命、月女神及び太陽神に請い願う」
けれどまだ望みはある。手はある。カードはある。賽は投げられた
フレーバー達の後ろで、ラピウスは左腕を天に掲げて言葉を紡ぐ
「月女神には愛の精神を、太陽神には輝かしき一矢を、そして双方に我が運命を定めよう……次なる運命に幸あれ」
天から一筋の光がラピウスを照らし出し、手の平から白銀の球が生成される。見た目は小さいが、中身は凄まじいエネルギーが圧縮されており、当たればひとたまりもない
『キメワザ!』
ラピウスの隣ではゲムデクスが、アブソリュートドラゴナイトZガシャット上部のボタンを壊す勢いで拳で叩き、必殺技の体勢へと移行する
直後、ゲムデクスの周りは一瞬でマイナス気温まで下がり凍らせる。右足に集約されるエネルギーが膨大なもので、収まりきらない力が荒々しく蒼銀のオーラとなって目に見えていた
二人が溜め込むエネルギーの臨界点が超えた時、同時に動き出した
「──
ラピウスはラファエルに向けてではなく、天高く球を投げ付けた。それに合わせて跳躍するのがゲムデクスだった
天高く上がった球に向けて、オーバーヘッドキックでラファエルに蹴り飛ばす
「「いけぇぇぇぇぇ!!!」」
『ウルティメイトクリティカルクラッシュ!!』
蹴り放たれた球は、ゲムデクスの蹴りも合わさり龍を纏いフレーバー達の技と掛け合わさった。威力は格段に上がり、ラファエルが持つ力以上となった
これで条件が揃った。ラファエルを倒せる浄化の力と、それを導く爆発的な力。
その激しい衝突で、結界にヒビが入りそれが大きくなって亀裂となる
ラファエルも渾身の力で受け止め切ろうとするが、それ以上で押されて抵抗もままならない
『ハァァァァァ!!!!』
ラファエルの体にも、次第に亀裂が入り内側から光が溢れ出ようとしていた。最期の時は近い
「私を倒すのか…だとするなら覚悟しておけ。如何にジーク・ウィンチェスターが危険な存在か。驚異的な力を持ち、それを放置していると取り返しのつかないことになるぞ?」
その言葉を最期にラファエルは光に呑まれて消えていくのであった
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
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ラファエルが生み出した結界も解け、全てが解決したのだった
「皆んな〜!」
「マリちゃ…うわっ!」
のどか達と共にやって来たローズマリーは、到着して早々にジーク達に思いっきり抱きしめた
「もう〜本当に心配したのよ!」
「でもワタシ達は勝ったわ。ね」
ジークの言葉に全員が頷く。めでたく終わったかと思えたが、一つだけ解決していない事がある
「そういえば、あたし達どうやって帰るの?」
ひなたが首を傾げた時だった。突如として、空間に裂け目が現れたのだ。それも二つ
全員それに気付き、恐らくだが飛鳥達の世界、なごむ達の世界の帰り道だと推測する
「噂をすればってやつだね!」
「わたくし先程香しい匂いがして、後でそのお店に出向きたかったのですが」
「いつ閉じるか分からないからダメよ。それに、わたし達の世界に帰っておいしーなタウンに来れば良いのよ」
「それじゃあ皆んな帰ろうか」
「あ、のどかちゃん!」
のどか達が裂け目に飛び込もうとした時、ゆいが直前になって呼び止めた
「ありがとう助かったよ!」
「わたし達の方こそありがとう!それじゃあまた!」
のどか達は、それぞれの世界に通じる裂け目を通り抜けて行った。残ったのは飛鳥となごむだけ
「僕達もそろそろ帰ろうか」
「そうだな」
「あ、アスカ!ナゴム!」
今度はジークが二人を呼び止めて、興奮しながら話し掛けた。これが最後の会話
「二人共、本当にありがとうね」
「乗り掛かった船だ」
「僕らも巻き込まれたみたいなもんだからな」
「本当に、本当にありがとう!!」
ジークは二人に抱きしめて、胸の中にある感謝の言葉をただただ二人に向けて連呼する
「大好き大好き大好き大好き大好き!!!」
最後にグッと力を込め、そして優しくも名残惜しくその手を緩めて笑顔を向ける。
飛鳥となごむは互いに顔を見合わせた後、静かに裂け目の中へと歩いて消えて行ったのだった
「行っちゃったね」
「えぇ」
飛鳥となごむ達を無事見送り、日はもう落ち始めていた。時間も時間なのか、ゆいのお腹から腹の虫が鳴り響く
「ずっと動いていたからはらペコった〜」
「フフ、ワタシもはらペコったわ」
「それなら軽く食べに行く?」
「さんせ〜!」
「いっぱい動いて、いっぱい考えたから甘いものでも食べに行かないかしら?」
夕日に照らさられながら、五人と四匹は甘いものを求めて歩き出すのであった
これにてコラボ企画は終了です。次回からやっと本編に戻れます(苦笑)
協力して下さったお二人に感謝です!