普段何もしてない奴が実は最強ってロマンだよね!(周りは気が気じゃありませんが)   作:イベリ子

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普段何もしてない奴が実は最強ってロマンだよね!(周りは気が気じゃありませんが)

 暇で死ぬ。

 

 

 脳内がそれしかなくなっちゃった。どうも。異世界転生ドラゴン系Vつーべーのダラちゃんでーす。嘘です。主にVつーべーのところが嘘。異世界転生系ドラゴンのダラ・アマデュラでございます。

 

 

 転生の経緯? 分かんないし誕生秘話も特になし。普通に運送業で働いている20代後半の男の意識のまま、ふと気づいたら身体がモンハンで見たことあるダラになってました。ただなんとなくダラとして生きてきた部分も記憶はあるというか意識はハッキリしてないだけで自分で動かしていたっぽい。単純にある程度デカくなって脳みそのサイズが比例してデカくなって思考しやすくなっただけのような。

 

 で、意識がはっきりしてから今までー、えーどれくらい経ったんですかねえ。千空じゃないんだからいちいち日付とか覚えませんよそんなん。ただ意識がはっきりしたときは鳥類がいなかったですね。ええまあ自分も学がないんでよくは分からないですが死ぬほど昔の話ですよ本当に。ちなみに今は人間がぽこじゃか湧いて小競り合いしてます。長かったなあ……

 

 で、それまでお前何してたん? とか、頭大丈夫?(発狂的な意味で)とか色々疑問もあるでしょう。言ってしまえばほぼ何もせずデカくなり、な──────んもおかしくなってないです。タブンネ。

 まあ魂やら精神なんて脳みそにひっついてるものだと思ってるんで、この身体が悠久を生きる古龍の身体である以上長生きしたくらいで精神おかしくなったりしませんよ。というか今でも前世のこと問題なく思い出せすぎるのがよく考えたらホラー。

 で、何もせずデカくなったってのはですね。生物が博物館で見るような奴とたまーにドラゴンみたいな奴がそこらへんウロウロしてる時代に目覚めたわけで、天敵がおらんのですよね。その時点で全長20メートルは超えてた気がするし。なおかつ自分の餌って生き物じゃなくって「地脈」なんですよ。地球のエネルギーみたいなそういう概念のもので、それを競合する古龍も少なくともあたりにいなかったんで地脈の収束地に陣取って寝て、収束する場所がずれたら動いて寝てを繰り返してました、と。

 

 いや仕方ないんですよ。最初はまだそこらのきのみ食べてみたりしてたけど、もう自分がデカくなりすぎて味もなんもわからんくなり、喋る相手もたまにこっち来る神様とかドラゴンくらいでめっちゃ暇。いつか人間社会が発展してゲームやら漫画やらが楽しめるようになればいいんだけどなあと思いながらやることないので今日も寝る。以上、今日の妄想近況報告でした。

 

 

 

 はあ……でもここの人間ドラゴンがいるせいかわからんけど中世くらいから文化レベルが発展してないのよね……いつになったら暇つぶしができるのかってあれ何? 穴? あっなんかズタボロドラゴンが出てきた…………えっ向こう日本じゃん!!!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朧塚に住む私の家のもとに、訳ありドラゴンのイルルがなんやかんやあって居候として住むようになった次の日。

 

「なんか穴残ってない?」

 

「残ってますね……なんででしょう?」

 

 イルルを襲ってきたドラゴンを撃退したときの場所に、異世界への穴が小さくなりつつも浮かんでいるのを私はドラゴン娘三人と眺めていた。

 

「ここ数日の間に何度も開け閉めしたので壊れちゃったんですかね?」

 

「立て付けの悪いドアじゃないんだから……早く直さないと、また変なドラゴンが来ちゃうんじゃないの?」

 

「うーん、でも世界と世界をつなぐ穴って普通は開けるのも維持するのも大変な代物なので、意識して閉じようと思ったことがないんですよねえ」

 

「あたしも異世界の門が開きっぱなしになるなんて初めてみたぞ」

 

「ふしぎー」

 

「そういうものなの?」

 

 まあ確かに開きっぱなしにできるとこっちの世界もあっちも世界も大変か。それじゃあ、

 

「維持してる誰かがいるってこと? なんのために?」

 

「さあ、そこまでは……とにかく、このままだと迷惑なので早く閉めちゃいましょう」

 

 そうしてトールが穴に手をかざし、その瞬間穴から暴風が吹き荒れ穴が紫電を発しながら拡がり始めた。

 

「ええ!? ちょっと、トール!?」

 

「私じゃありません! 向こうから誰かが無理やりこちらへ来ようとしてるんです!」

 

「うそ! もしかして昨日のドラゴンの仲間……あ!」

 

 

 そして拡がり続ける穴から、一人の人影がするりとアスファルトの上へ降り立った。

 

 

 背が高い。ルコアさんもかなり高身長だけど、それよりももっと……多分2メートルは超えてそうな長身で、更に長い煌めくストレートの銀髪が地面に広がっている。その銀髪からは頭の左右、そして背中から黒曜石のような角が飛び出していて彼女がドラゴンであることを示している。ドラゴンなのに(なのにというのも変だが)胸は慎ましやかで、青みがかった白い服装の上から黒いベルトがそこかしこに巻かれて拘束具のようだ。そして真っ赤な瞳の中に縦長の瞳孔が輝き街を見上げたまま立ち尽くしている。

 

 

 ……立ち尽くし続けている。美人だから絵になるけど、このままだと話がぜんぜん進まないぞ。

 

「トール、あれ誰なの」

 

「いや見たことがないですね。人の姿だから見覚えがないだけかもしれませんけど……」

 

「少なくとも混沌勢では見たことないし、あたしが戦ったことあるドラゴンでもないな」

 

「でもおっきい。つよそー」

 

 なんとなく刺激しないようにこそこそと集まって相談しても、誰も彼女が何者か分からないみたいだ。困ったな……「アスファルトぉ!」おわなんだ!? 

 

 大声に反応して視線を向けると足元を指差したポーズで固まっている。どういうこと? と困惑していると今度は立ち並ぶビルに対して「摩天楼!!」と指差しながら叫ぶ。「そして!!」

 

「日本人!!! ついにこのときが来たああああああア────ハッハッハッハァァァァァァァ!!!!」

 

 と私を指差したあと思いっきり胸を反らしてショーシャンクの空にみたいなポーズをしながら大笑いしている。本当にどういうこと? 

 

「いやいや何を勝手にテンション上げてるんですかあなた! 一人で盛り上がらないでください!」

 

 ちょっと頭おかしい人? と引いているとトールがずんずんと近づいていく。なんて頼もしいんだうちのメイドは。

 

「あ! トール! やっぱりトールかいやあ気づくのが遅れたなあもうちょっと早く気づいてれば色々見れたかもしれないのにくぅもったいないことした」

 

「だから一人で盛り上がらないでください! そもそもあなた何者ですか! 不埒な考えで来たのなら即刻追い返しますよ!!」

 

 何を言ってるか分からないくらい早口ハイテンションな謎ドラゴンにがるると気炎を吐きながら立ち向かうトール。カンナと二人並んで「おー……!」と手を握りしめながら応援するしかできない私。

 

 トールに間近まで迫られて少し落ち着いたのか、「近い近い!」と言いながら距離を取り咳払いをする謎ドラゴン。

 

「いやあ申し訳ない。余としたことが唐突に来た念願の日に我を忘れてしまった」

 

 余て。一人称は変だが話が出来そうなドラゴンみたいだ。少なくとも昨日来たドラゴンの同類ってことはなさそうで少し安心。

 どうします? みたいな顔でトールがこちらを伺ってくるので、仕方なく私も謎ドラゴンの前へ。

 

「まあ何が念願かは分からないけど我を忘れてたのは見れば分かるよ。それで? あなたは何者?」

 

「そうですそうです、さっさと素性と目的を言いなさい!」

 

「アハハ、トールとは一回話したことあるんだけどなあ。余の名はダラ・アマデュラ。こっちに来た理由は娯楽のため!」

 

「え、そうなの?」

 

 前に出た私とトールが並んで声をかけても呵々大笑という感じで機嫌良さそうなまま。人を見下すとかそういうのもなさそう? そんで娯楽のためって、ファフニールさんとかと同じタイプなのかな。

 

「話したことある? 私とあなたが? 名前も聞いたことありませんが……娯楽ってなんです?」

 

 でもトールは覚えてないと。そんなに有名なドラゴンじゃないのかな、ドラゴン同士にご近所付き合いとかあるのかは分かんないけど。

 

「ああ、変な通り名で呼ばれてるんだあっちだと。お前も確か『終末の蛇』って呼んできたなあ」

 

「『終末』? また随分と物騒な通り名だね。トール、そっちは聞き覚え……」

 

 

 

 

 

「小林さんソイツから離れて!!!」

 

 

 

 

「え?」と言う間に状況は様変わりしていた。遥か後方でカンナに抱きかかえられて呆気にとられる私と、ダラ・アマデュラと名乗ったドラゴンの前に立ち戦意を剥き出しにするトールとイルル。そして薄く笑みを浮かばせ続けるダラ・アマデュラ。

 

「……本物か? 『終末の蛇』」

 

「……人型を見るのは私も初めてですしそんな知能と能力があったのかも知りませんが、あの眼は見覚えがあります」

 

「ちょ、ちょっとみんなどういうこと!?」

 

 

 前に出る二人は完全に戦闘モードだし、私を抱えるカンナの手は震えている。あの『終末の蛇』って名前を聞いたからだ。一体何者で、今何が起こってるんだ? 

 

 

「小林さんはそのまま離れてください! ……イルル、あなたもまだ全快じゃないでしょう。カンナと一緒に小林さんを連れて下がりなさい」

 

「なっ、あたしは戦えるぞ!」

 

「私とあなた二人でどうにかなる可能性のほうが低いんです。下がってエルマかできればルコアさんを呼んできてください」

 

「……呼んで、どこに連れていけばいい?」

 

「アイツは無人島に私と一緒に飛ばします。カンナとエルマはわかるはずなので向こうで」

 

「わかった。すぐ連れてくから、死ぬなよ」

 

 

 二人が小声で喋り終わると、イルルだけがこちらに向かって飛んできて、カンナと一緒に私をひっつかんで空へ向かう。

 

 

「うわわわわ! ねえ本当にどういうこと!? トールはどうしたの!?」

 

「すまん小林、時間がない! 後で話すからちょっと我慢しててくれ!」

 

 

 そう言って更に加速するイルル。随分荒い飛び方で、トールの背に乗るときは随分配慮してくれてたんだなとか、どうでもいいことを思いながら地上に残った二人が姿を消したことだけ確認して意識が遠のいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うわわわわ! ねえ本当にどういうこと!? トールはどうしたの!? 

 

 余もそう思う。今何がどうなってるの? ついに現代日本に来れた喜びとこの世界がなんの世界かわかった喜びでテンション上がって、ちょっと落ち着いて自己紹介したらいきなり転移させられた。何事? 

 

「転移魔法か。ドラゴンは色々できて便利そうだな」

 

 めちゃくちゃ本音。古龍としての力はあっても日常生活に使えそうなこと一つもないし、デカくて強い以外自慢できることがないのよね。天敵とか戦争とかからほぼ無関係なのは気楽だけど絶対魔法使えるノーマルドラゴンのほうが楽しいと思うわ。

 

「そうですか。あなたは魔力もなくて蛇だかドラゴンだか分かりませんでしたからね。そんな人型を取れたのも驚きですよ」

 

「そうそう、かなり無理をしたんだよ。人型を取るくらいは古龍なら行けるはず!! ってエネルギーを集めまくったら本当になんとかなって余も驚き」

 

 穴からボロドラゴンが出てきて向こうに日本。唐突に訪れた絶好のチャンスだったが穴が勝手に閉じようとしてもう大変。閉じんなやオラァ! と鼻先だけでも突っ込もうとして一つも通らず(デカすぎて)閉じる前になんとか通らねば! 通らねば! と力んでたら人間態になれてた。古龍の我武者羅ってすごい。

 

「なるほど、それほどまでに来たかったんですね……豊かな世界(ここ)に」

 

「そりゃもう念願だからね! サブカルが発展した世界(ここ)に来るの!」

 

 言い終わった瞬間、顔面にグーパンされた。そんなに痛くはないけどビビる。どしたのよ。

 

 

「ふざけるなよ……。終末(おまえ)が動く時? この世界で? 私と小林さんの生きる世界が、お前の勝手で壊されてたまるか!!」

 

 

 裂帛の気合いとともに顎を尻尾でかち挙げられ、収束された火炎ブレスを受けて吹っ飛ばされる。殺意高杉ぃ。ていうか、ええと、世界? 壊す? 

 

 これ絶対勘違いされてる。なんで??? 

 

 いやいや壊すつもりなんてみじんも無いですよ。ただサブカルを満喫して暇つぶししたいだけなんですよ。と言いたいけれどブレスが止まない。ダメージはほぼないけどこの身体だと声量がそんなに出ないから声が届かないんよ。まじぃー。

 うーん、落ち着いてもらうためにどうしたらいいでしょう。この身体の出力がどんなもんか全然把握出来てないし、もしボカッとやって殺しちゃったら嫌だしなあ。使い慣れてる元の身体に戻って小突いて落ち着いて貰うか? あっちなら大声も出せるし、このまま攻撃を受けつづけてもらちがあかないもんなあ。しゃーなし、戻るべ。そい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゾワゾワと肌が寒気を覚える感覚で意識が戻る。目を開けると、イルルとカンナに加えて、エルマ、ファフニールさん、ルコアさんの異世界ドラゴンが勢揃いしていた。……大海原の上で、私はファフニールさんに抱えられて。どういう状況なんだこれ。

 

「おい! 小林さんを連れていってどうするつもりだファフニール!」

 

「どこに行こうがどうにもならん。ヤツがこの世界に現れた以上、この世界の人間にもせめて自分たちが置かれた状況を理解させたほうがいいだろう」

 

 エルマがファフニールにつっかかり、イルルも爪を元の姿に戻して臨戦態勢だ。危機的な状況らしいけど何がなんだか分からない。

 

「ちょっと、落ち着いてよ二人とも! ファフニールさんの言う通り、何がなんだか分からないから私にも説明して?」

 

 私を心配してくれている二人には悪いけれど、このまま蚊帳の外にされると困る。トールがあの謎ドラゴンに襲いかかってたようにも見えたけど、あのドラゴンはそんなに危険なの? 

 そんな言葉を続けようとして、背後から聞こえてきた轟音に遮られる。目覚めたときに感じた寒気が一層増して本能が危機を覚えている。抱えられたまま振り向くと、

 

「……え?」

 

「……元の姿に戻ったか」

 

 そこには、柱があった。ギリギリという木々をこすりあわせるような音と共に、水平線の彼方からゆるゆると回転をしながら黒い無数の突起がついた白銀の柱が天に伸びていくのが分かる。柱からは、淡い燐光のような青白い輝きが発せられ、その輝きに怯えるように空を急激に雲が覆っていく。柱の質感は非常に研磨され、叩き上げられた鋼のようにも見えて、その鋼が無数になって柱を覆っている。

 その柱は風に揺れることもなく、垂直に天を目指し伸びていく。伸びていき、伸びていき……雲に届くのではないかというほど伸びた後に、先端が、裂けた。

 

 

 

 

『ギィィャアアアアアアアアアアア!!!!!!』

 

 

 

 

 遥か彼方から、声が響く。その声は生物とは思えないほどの声量で、畏ろしいほどの禍々しさを含んでいた。咄嗟に耳を塞いでも、鼓膜が破れたんじゃないかと錯覚する。アレは、何? 

 柱の先端が裂けた部分。そこが口だと理解すると、目の前のソレが畏ろしく大きい、蛇のような生き物が首をもたげた姿だと分かった。分かった上で、頭が理解を拒む。あんな生き物が存在していていいの? 

 

「アレが……さっきの、ドラゴンの娘?」

 

「そうだ。だが、アレは俺達ドラゴンとは根本から違う」

 

 いつの間にかファフニールさんから身体を降ろされ、空中に浮かぶ魔法陣のようなものの上にへたり込んでいた。けれど皆、私には目もくれず目の前の蛇のようなドラゴンを見つめている。エルマは焦燥、イルルは呆然、カンナは恐怖、ルコアさんは……諦念? ファフニールさんは、いつもの無表情。けれど、ルコアさんと同じ諦めのような感情を口調から感じる。

 

「神も、ドラゴンも、他のどんな生物よりはるか古より世界に存在している、しかし魔力を持たず魔法も使わずに、星のエネルギーを喰らい生き続ける存在がアレだ。人間の定義ではドラゴンの祖先、古龍と呼ばれているがそもそも龍なのかただの大きな蛇なのかも判断つかん。あるいはヤツこそがドラゴンであり、俺達は軒並み全てワイバーンなのかもしれん」

 

 静かな口調で、しかし彼方から聞こえる轟音に不思議と遮られずに私の耳に届くファフニールさんの声。ドラゴンとしての矜持を知り合いのドラゴンの中で一番感じる彼が自嘲するような内容を語るのは、私に少なくない衝撃を与えた。

 

「そ、……そんな大御所が、なんでこっちの世界に? 暴れにきたとか?」

 

「暴れはしない。ヤツはただ星のエネルギーを喰らうのに適した場所に棲み着き、そこが枯れると別の場所へ移動する。それを何百年かの周期で繰り返すだけだ」

 

「はあ? 星のエネルギーって……さっきも言ってたけど、そんな物この世界にあるの? というか、よく分かんないけど、食べて問題ないなら渡しちゃえばいいんじゃない?」

 

 そんなビッグネームがこっちの世界に来たってだけで騒ぎになるのは確定だろうけど、出来るだけ穏便に済ます方法が知りたい。少なくともトール一人で闘っていい相手じゃないのは明らかで、早く方向性を決めてあげたかった。

 

「しかしその移動が行われたが最後、周囲の文明は根こそぎ破壊される」

 

「え?」

 

「山が崩れ、川が崩れ、街は崩れ、今まで通りになるものなど一つもなく、その歩みを止められるものなど存在しない。そして崩し、動いた先に新たな川が生まれ、山が生まれ、新たな秩序が生まれる」

 

 ……話のスケールが違いすぎる。けれど、目の前に見える巨体を見れば笑えない。なにそれ、そんなのまるで、

 

「あるいはヤツこそ真に神なのかもしれない。あるいは、自然そのものか」

 

 ……今度こそ、絶句するしかなかった。元神のルコアさんは、帽子を目深にぎゅっと被り俯いている。

 私以外誰も口を挟むことなく語るファフニールさんは、そのまま続けた。

 

「ヤツが動く時は誰にも予想がつかないが、動いたが最後そこの文明は必ず滅ぶ。人の文明であろうと、ドラゴンの住処であろうと、神の居城であろうと。それから、あちらの世界で生きるものは全てヤツのことをこう呼ぶようになった」

 

 

 

 

 

「終末を齎す蛇の王。『蛇王龍』と」

 

 

 

 

 

 そのファフニールさんの言葉に呼応するように、彼方に見える巨体が口を開く。そしてここまでの距離を表すかのように一拍遅れて……存在を知らしめるかのように、再度その咆哮がこちらの耳を貫く。

 

 

 

 

 

 

 

『ギィィャアアアアアアアアアアア!!!!!! (お互い何か行き違いがあると思うから一旦落ち着こうよおおおおおおおおお!!!)』

 

 

 

 

 

 




ルコアさん、ファフくん、トール、エルマとは主人公話したことありますが、全部向こう側から翻訳魔法かけてもらって話してました。今はもちろんかかっていませんが、そのことを忘れて話通じると思ってます。アホです。
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