カードファイト!! ヴァンガードG -LUPIN- 作:D・MAKER
『……』
『アキラ~!』
『一緒に帰ろ~!』
3年前、下校途中のアキラを呼ぶ2人の生徒……ヨウイチとリコ。
『1人にしてくれ』
『せやけど……アレはお前の所為や無いやろ!?』
『そうだよ、ユカ先生の事は……」
『……!!』
『『!?』』
2人の言葉にアキラはキツく睨み付け、速足で去って行く。
(ユカ先生が冤罪で捕まって、そして死んだ……。何でだよ……何で先生が……)
アキラの脳裏には、カウンセリングの天導ユカの事で頭が一杯だった。そんな時……
『キー君!!』
『え……?』
『ピピーッ!!』
アキラが歩道を渡ってる横で、トラックが赤信号を無視してアキラに突っ込んだ。
『あ、アキラ!?』
トラックに轢かれたアキラは、額に怪我を負い血を流して倒れている。ヨウイチとリコは急いで救急車を呼ぶ。
――――
『……ん』
『あ、アキラ! 良かったわ無事で!!』
『母さん……?』
病室で目が覚めたアキラ。目の前には母のモモカが涙を流しながら、息子を抱き締める。
『俺、確か……』
『トラックに轢かれたって連絡が来た時は、本当に心配したのよ!? 無事で良かったわ……ユミ先生の件もあったのに……』
『……ねぇ母さん』
『何?』
『……ユミ先生って誰?』
『……え?』
アキラが口にした言葉に、母は驚きを隠せなかった。その後、モモカは担当医によって話を聞かされる。
『どうやら息子さんは、事故で一部の記憶を失ったようです』
『そ、そんな……!?』
『自然に思い出すまでは、刺激しない方が宜しいかと思われます』
『……はい』
担当医の話を聞いたモモカは決意した。『辛い記憶なら、思い出さない方が良い』と……。
――――
「……ん」
「あ、アキラ君」
「ナナさん……?」
目を覚ますと、見慣れない部屋だった。
「私の借りてるアパートよ、倒れた貴方を伊吹コウジと一緒に運んだの」
「伊吹さんと……? 本人は……?」
「調べることがあると言って、何処かに行ったわ」
「そうですか……あ、アルセーヌ!!」
アキラは自分の分身、アルセーヌのカードをデッキから取り出す。
「……!? は、黒くなって……消えてる……!?」
手に取ったアルセーヌのカードは、黒くなっていた。そしてヘリワード達の声も聞こえることは無かった。
「あの時の……俺の……!?」
「アキラ君……」
「俺は、アルセーヌを……俺の所為で……」
「落ち着いて……」
ナナは震えるアキラを抱き寄せる。
「一体、あの時なにがあったの……?」
「自分の中に、別の誰かの声が聞こえて……そしたら、ソイツが出て来た……」
「あの時の口の悪い人格のこと?」
「ストライドゲートの時に、最初に同じことが起こって……。気付いたらアルセーヌは、禍々しくなってた……。そして今回は……」
「そんなことが……ねぇアキラ君、あの女……ユカって人は知ってる人なの?」
「ユカ先生は、父が死んだと言う知らせ以降に元気が無かった俺に……カウンセリングを担当してくれてたんです」
「カウンセリング……!?」
「はい……だけど、3年前に……ロクでもない校長の所為で、先生は冤罪を受けて刑務所送りにされたんです」
「え……!?」
「そして死んだと言う連絡が来て、その後の交通事故で……先生の記憶を忘れてたんです」
「そうだったの……」
「そしてもう1つ……思い出せない事があるんです」
「もう1つ……?」
「とても大事なことだったのに、何故か今でも思い出せないんです……。忘れたらダメな大事な何かを……今でも思い出せないんです」
「大事な記憶……」
「俺……また失って、またあの時みたいに孤独になって……」
「アキラ君……」
こんな弱気で震えたアキラを見るのはナナも初めてのことだ。
『ピロリン♪』
そこにナナの携帯からメール音が鳴る。
「ボスから……?」
「父さんから……?」
父、トウマからのメールがナナの携帯に届く。そのメールを開くと……
『アルセーヌを取り戻す場所は、明神リューズ最初にユニットの召喚をした場所にある』
「ユニットを最初に召喚した場所……、それって、神崎を倒した後に、クロノと伊吹さんがファイトした場所か……」
「同時に、クロノ・ドランが初めて召喚された場所でもあるわね。行ってみましょう」
「えぇ……」
――――
「此処がそうなの……?」
「はい……」
数年前の爆破の後が変わらずの廃墟。辺りを見渡すも、特に怪しい場所も無い。
「他に怪しいと思えるのは……あの輪かしら?」
「壊れてるけど、もしかしてゲート……?」
そこに壊れているゲートを発見したアキラとナナ。ゲートの側まで寄るが、壊れているので動く訳も無かった。
「此処で手詰まりかしら……」
「……!!」
「どうかしたの?」
「感じる……この壊れたゲートから……」
アキラが壊れたゲートに手を翳す。
「ま、眩しい!?」
「まさか、この先に……!!」
「アキラ君!?」
壊れたゲートから眩い光を放ち、アキラは迷わず光へ飛び込んだ。ナナもアキラを追って光へ飛び込む。
――――
「此処は……」
「まるでトンネルね……」
『おいおい、来ちまったのかよ?』
「その声は……!?」
「あの時のアキラ君の声と同じ……!?」
トンネルの様な場所を通ってる最中、聞き覚えのある声が聞こえた。そう……
『
「黙れ、お前の意見なんてどうでも良い! 俺はアルセーヌを助けるだけだ!」
『はっ! だったら辿り着いて見せろよ! その間に面白い
「昔話……?」
そう言って、アキラ(?)の声は止まった。
「今は、進みましょう」
「そうですね……」
そう言って2人は進む。進み続けても、同じ景色ばかりのトンネル。そんな時だった……。
『昔々、ある所に1人の母親がお腹に子供を身ごもってました』
「アイツの声……!?」
再びアキラ(?)の声が聞こえ、そんな2人の声に反応せずに話を進める。
『医者の話では双子の赤ん坊が生まれると言っており、母親と父親……その家族も大喜びしました。だが……その双子の片方は悲しいことに死産だった為、残ったもう片方は兄弟の居ない子として育て、死産した方は忘れられました』
「何の話だよ……」
「双子……?」
『そして4年後、4歳の誕生日を迎えた子供は、その日の夜に不思議な夢を見ました。見たこと無い世界で、霊体の様な姿の物が子供の前にやって来ました。その霊体は、名前も姿も無い何者でも無い存在だった。翌日、子供は父親に相談しました。その父親は『自分の思い描く姿と名前を、作って上げたらどうかな?』と聞いた子供は、自分でドラゴンを描きました。そして夢の中で、その霊体は子供の描いた姿と子供の好きな名前になったとさ』
アキラ(?)の昔話は此処で終わった。
「一体、何が言いたいんだ……?」
「……」
『ま~だ分からねぇのか? ま、後から分かるだろうからよぉ。楽しみに待ってな』
そう言ったアキラ(?)の声は再び消えた。
「双子……死産、それにドラゴンを描いた……?」
「アキラ君、アレを見て!!」
ナナが指を指した方向に、見覚えのある姿が倒れていた。
「あ、アルセーヌ!!」
アキラは急いで自分の分身の元に駆け寄った。
「アルセーヌ、しっかり!! アルセーヌ!!」
『ヒャハハハハ!! 今も大事な事を思い出して貰えねぇなんてなぁ、生まれた側も可愛そうだ』
「お前……!?」
同時に黒い目をしたアキラが現れた。
「さっきから何の話をしてるんだよ……!!」
『分からねぇのか? ソイツは元々、お前によって生まれたってのに?』
「アルセーヌが、俺によって……?」
アキラ(?)の言葉に戸惑うアキラだが、そんなアキラ(?)をアキラは睨み返す。
「大体、お前は誰なんだ……!?」
『最初に前書きは話たんだけどなぁ……良いぜ、教えてやるよ。俺の名は……海導アキト! お前の……
「なっ!?」
「え!?」
それは、余りにも予想外の言葉だった。
TO BE NEXT
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
自らを双子の弟と名乗るアキトと呼ばれる存在、そしてアルセーヌ誕生の秘密……次回はその2つの秘密が明らかになるかも知れません。
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