カードファイト!! ヴァンガードG -LUPIN-   作:D・MAKER

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 今回はノームの屋敷へ!


イメージ71:立凪ノーム

「それで、どうしてその……タクトさんのお兄さんの屋敷に?」

「メサイアが俺に告げたんだ……」

「メサイアがですか?」

「あぁ……」

 

 立凪ノームの元へ向かう理由を伊吹から聞くアキラ達。

 伊吹が見た夢の中でメサイアが告げた言葉……

 

<我が先導者たちよ……心せよ、我が目を逃れし邪悪なる魂に……>

 

 メサイアは伊吹にそう伝え、伊吹は夢から覚めたと言う。

 

「はぁ!? 夢!? マジ? U20の脅威って……お前の夢とただの勘!?」

「……」

「じゃ、じゃあお前……ただの夢にこんな、アイチさんやカムイさんや……櫂さんまで引っ張り出して……!!」

「なら降りろ、今すぐ」

「あ、いや……だって、ねぇ?」

「……」

 

 呆れながら喋るクロノだが、伊吹は信じられないなら降りろと言われる。

 

「確かに夢は夢なんだけどね、気になるでしょ?」

「そりゃ……でも夢っすよ?」

「僕もね、前に何度かあったんだ……そう言うの」

「前にですか?」

 

 アキラが首を傾げてアイチに尋ねる。

 

「うん、地球とクレイ……二つの惑星に関することでね」

「わぉ……アイチさんがそう言うのであれば」

<確かにな……>

「アルセーヌ?」

<8号の夢は置き、メサイアからの言葉となれば信憑性は高いだろう……>

「そこのトカゲ、今すぐ動物園の餌になるか……?」

<トカゲ言うな!>

「と言うか……クロノだってヤバイ気配を感じたんだろ? 星崎ノアとのファイトの時……」

「本当なのか、クロノ?」

「あぁ……」

「それとアキラ……」

「はい?」

「お前がU20に出場したのは、クレイに関することで感じたからじゃないのか?」

「え!? 本当かアキラ?」

「……」

 

 伊吹に勘付かれたアキラは黙り込んでしまう。

 

「夢ならそれでいい。万が一そうでなかった時のために、手を打って置かねば」

「それでタクトさんの兄、ノームさんのところに行くと……言うことですね」

「あぁ……」

「見えたぞ」

「おぉ……」

 

 目の前に大きな屋敷が見えて来た。

 

「シオンとこ見てぇ……!」

「立凪はアジアでも有数の巨大な財閥だからな……」

「タクトさんの屋敷に匹敵する大きさですね」

「行くぞ」

 

 アキラ達は立凪ノームの屋敷へ足を踏み出す。

 

 

「ノーム様、お見えになられました」

 

 屋敷にメイドに案内されアキラ達は彼の居る部屋に入る。

 

『パンッ!!』

「「「「「「!?」」」」」」

「ようこそ、僕の観測室へ!」

「……」

<コイツが、立凪ノームか……>

 

 クラッカーの音が鳴り、笑顔で出迎える長髪の男……彼が屋敷の当主、立凪ノームだろう。

 

「オールスター勢揃いだねぇ」

「オールスター?」

「メサイアの先導者に祈り聞く者、その盟友たちにギアクロニクルの特異点。そして……」

「?」

 

 ノームは最後にアキラの方を向く。

 

PSY(サイ)クリエイトを持つ選ばれし先導者、魔賊(ルパン)

「……」

 

 するとノームは指を鳴らし部屋の明かりを消し窓のシャッターを全て降ろす。

 

「ん?」

 

 次に床から装置が出現し、周りには無数の惑星と宇宙の景色となる。

 

「さぁ……質問をどうぞ。僕が知る限りのことは何でも答えるよ」

「伊吹さん、お願いします」

「あぁ……」

 

 伊吹はノームに自身の見たメサイアの夢を話す。

 

「以上が、大体の状況だ」

「惑星クレイから、この世界に訪れる魂……なるほど」

「?」

「ディファレント・ワールド・ライド……通称、ディフライド」

「ディフライド……?」

 

 ノームが口にした言葉にアキラは首を傾げる。

 

「君が見た夢は、今起きてる現実そのものだよ。伊吹コウジ……」

「……」

「惑星クレイから時空を超えて、この世界を旅するユニット達が存在すると言うのも事実だ」

「「……」」

「1年ほど前、2つの世界間にストライドゲートと呼ばれる時空の通路が穿たれる事態が発生した。君達も当事者だったから、当然知ってるだろ?」

「リューズの件……」

 

 1年前のリューズとの審判を思い出すアキラ達。

 

「君達の活躍で消滅した。しかし、1度生じた時空の歪みは……そう簡単には戻らない。2つの世界は今、かつてないほどに近くなっている」

<確かに以前よりも近くなった……>

「強くイメージを繋げれば、惑星クレイのユニット達がこちらの人間の肉体に乗り移る。……すなわち、ディフライド出来てしまうほどに」

「乗り移るって……まるで逆ライドじゃないですか……!?」

「その通りだよ」

「!?」

 

 アキラの言葉を正解だと答えるノームは話を続ける。

 

「イメージの絆……君達が時に、分身と呼びならわす強い縁のあるユニットとファイターが共鳴した時にのみ、それは起こる」

「……」

「ユニットが時空を超えてファイターに呼び掛け、そのファイターが応じればディフライドは発生し、彼らは一つとなる」

「分身のみ……ですか?」

「そう例えば君なら……クロノジェット・ドラゴン」

 

 ノームはクロノを見て話し、続けてアイチに視線を向ける。

 

「君ならブラスター・ブレード、そして君ならアルセーヌ以外はディフライド出来ないって具合さ。もっとも……」

<何だ?>

 

 ノームは意味深にアキラの肩に乗ってるアルセーヌに視線を向ける。

 

「ディフライドせずに……地球の生物、トカゲに姿を変えてやって来るのは、さすがの僕も驚いてるがね……ふふ」

<やかましいわ!>

「アルセーヌ、今は抑えてくれ」

<ぐぬぬぬ……>

「トカゲ事情はさて置き、何が目的だ?」

「ん?」

 

 今まで黙っていた櫂が口を開く。

 

「何故クレイのユニット達が、俺達の体を借りてまでこの地に降り立つ?」

「さぁ? 僕は観測者だ。起きてる事象は見てても、彼らの心の中までは覗けない」

「……!!」

 

 ノームの発言に櫂は少し苛立つ。

 

「まぁ……多くは心配するような物ではなさそうだからね。例えば純粋な好奇心、未知なる世界への冒険心」

「観光旅行でもしてるって言うのかぁ?」

「あぁ……あるかもね!」

「……!!」

「ただし、例外はどこにでもある」

「鬼丸カズミ……」

 

 伊吹が真っ先に鬼丸の名を口にする。

 

「ご明察! 彼の分身たるユニット『忍竜(にんりゅう) シラヌイ』が本人の同意なくディフライドを果たし、鬼丸カズミに成り代わった。そこに鬼丸カズミの意思はない……」

「つまり……鬼丸カズミの姿を借りたシラヌイってことですか……?」

「その通り」

「「「「「「……」」」」」」

 

 鬼丸カズミの真実に一同は驚きを隠せない。

 

「惑星クレイに生きる者、およそ全てのユニット達は創生神たる『メサイアの加護』を受けている。それは時空を超えてディフライドする旅の中でも同じこと。けれどシラヌイはその加護を断ち切り、何らかの手段でディフライドを果たした」

「……」

「そしてつい先日、シラヌイの手引きによりもう一つ……邪悪なる魂がこの世界のファイターにディフライドしている」

「邪悪なる魂……!?」

星輝兵(スターベイダー) カオスブレイカー・ドラゴン。星崎ノアの愛用していたユニットだ」

「……!?」

「マジかい……」

 

 クロノとのファイトでノアの人格が変わったのは、あの時から既にカオスブレイカーがディフライドしてたとアキラ達は知る。

 

「カオスブレイカー……!」

「櫂さん……?」

<あぁ……櫂トシキと先導アイチにとっては因縁だったな>

「数年前のリンクジョーカー事件だっけ?」

<あぁ……>

「そんな連中が観光旅行なんかするわけねぇ! 何を企んでるんだ……? 鬼丸とチームを組んでる奴らも仲間なのかよ!?」

「……」

 

 ノームは黙ったまま「さぁ?」と言う素振りを見せる。

 

「何なんだよアンタ……さっきからまるで他人事みてぇに! そんな大事なこと分かってんなら、早く教えてくれれば!」

「クロノ……」

「聞きに来れば教えるよ。君達でも鬼丸カズミでも、誰にでも」

「……!」

「誰にでも……?」

「僕はね、観測者。誰の味方でもない……誰の敵にもならない。何もしないのが僕の役割」

 

 あくまで見守る立場だノームは淡々と口にする。

 

(この人アレか……自分で行動しない派の人だ)

「2つの世界を巡る運命の力……宇宙の真理、あまりにも大き過ぎて僕たち矮小な存在では認識すら出来ない。物理法則にも似た絶対的な力。ヴァンガードとは……その力を僕達でも理解可能な次元へ移し、イメージによって真理と運命に干渉できるようにした」

「……」

「先導アイチ。君はその類いまれなるイメージでヴァンガードを通じ、ユニット達の祈りを聞き、運命を導く力を持つ者」

(PSYクオリアのことか……)

「新導クロノ。君自身、特別な力は何もない。けれど……ユニット達と育んだ絆によって、特異点となりえたつ存在。そして……海導アキラ」

「俺も?」

 

 今度はアキラを見て話すノーム。

 

「君は二つの世界に仇名す邪悪な存在を倒す宿命を背負い、PSYクリエイト持って生まれた特別な存在。自らのイメージでユニットの命を創造し生み出し、生み出された者たちと決して切れない繋がりと絆で導く賊の先導者……そう魔賊(ルパン)だ」

「……」

「僕たち立凪はコンサートマスター。運命を奏でる君たちに、その標となる数多の音を使う……それが使命。先代の当主……弟はそれに甘んずることが出来なかった。彼はとても能力が高かった、そして優しすぎた……。それが結果として、より大きな混乱をこの世界に招いた」

「タクトさんは、そんな人じゃ……!?」

「おっと失礼」

 

 アキラの言葉にノームは謝罪して話を戻す。

 

「運命を変えることが出来るのは、君たちヴァンガードファイターだけだ。ディフライダー達の目的が知りたいのなら、自分で突き止めるしかない」

 

 するとノームはU20、1stステージを勝ち進んだチーム名が出てるモニターを移す。

 

「取り合えず2ndファイター達と縁あるユニット達には、邪悪な影は感じられなかった。今後のU20では星崎ノアのような事態は、まず起こらないと見ていい」

「そうか……」

「けれど、シラヌイ達が何故……U20に出場したのか、そこに何か意図が無いとは考えにくい。この先へ進む気があるのなら、どうか気を付けて」

「……」

「あの……最後に1つだけ、質問いいですか?」

「アキラ君?」

「どうぞ」

 

 ノームは笑顔で質問を受け入れる。

 

「今は交通事故で亡くなってますが、俺が海外で出会ったファイター……『ミゲル・トルレス』。彼と初めてファイトした時、彼からユニットの気配を感じました。彼も……ディフライドしたユニットなのでしょうか?」

「ご明察だよ。君や安城トコハ、ハイメ・アルカラスと出会った時の彼は既に……『竜胆(りんどう)銃士(じゅうし)アンテロ』がディフライドしてたんだよ」

「やっぱり……気のせいじゃなかったんだ……」

<アキラ……>

「ありがとうございました」

「どういたしまして」

 

 ノームから全てを聞いたアキラ達は屋敷を出て帰って行く。

 

 

「今日はありがとうございました」

「僕もアキラ君やクロノ君に会えて嬉しかったよ。2ndステージ、頑張ってね!」

「はい、ありがとうございます!」

 

 アイチはカムイと一緒に櫂の運転する車でアキラ達の元を去った。

 

「やっぱり、鬼丸カスミもミゲルも……気のせいじゃなかったんだな」

<お前のPSYクリエイトの前では誤魔化せない……と言うことだろうな>

「伊吹さんも必要なら力を貸すと言ってたから……コッチも上手く情報を得られればな」

<あぁ……気を付けるとしよう>

「あぁ……」

 

 アキラとアルセーヌは決意を固める。

 そして明日はU20の2ndステージ……果たして待っているのは……?

 

TO BE NEXT




 最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
 今回はノームとシリアス回になりました!
 次回から2ndステージになります、よろしくお願いいたします!
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