カイが可愛いすぎたのでオリ主といい感じにさせたい話 作:ゼノアplus+
13話
「よし、それじゃあ荒ぶっても美しいドレディアの姿。とくと拝見させていただこうぜ!!つっても、俺は確認のために一度見てるけどよ」
「雰囲気よかったんですから言わなくていいんですってリーダー」
「クシさん、それも言わなくていいと思います」
軽口でお茶を濁しながら俺たちは戦場まで登り切る。
「出てこいお前ら。今日は大仕事だぜ」
俺は手持ちを全て繰り出し正面に注目させた。
「嬢ちゃんはシズメダマを投げることに集中しな。俺らで守る」
「はい!!隙ができたら私もポケモンで戦いますからね」
そして周囲に濃い霧が発生した。しかしすぐにかき消され、足音が聞こえてくる。
「あれが……」
「ああ、峠クイーンドレディアだ」
舞台を舞う演者のように美しい舞を披露したドレディアは最後の決めポーズと共に俺たちへの戦意を向けてきた。
「来るぞ!!」
「はい!!」
「ムウマージとフワライドは『サイコキネシス』、ドレディアに何もさせるな!!」
俺の指示ですぐにドレディアの体がその場に固定された。ショウは遠距離から一投ずつ丁寧なスローイングで的確に命中させている。思ったよりイージーゲームか?
「ゾロアークは背後に回り込んで両腕を抑えろ。イダイトウはもしもに備えて『すてみタックル』構えとけ」
ゾロアークが走ってドレディアの後ろを取った瞬間、ドレディアから力が溢れた。黄金のオーラを放ったドレディアは力づくで『サイコキネシス』の拘束を振り解きゾロアークに蹴りを入れて吹き飛ばした。
……おいおいマジかよ。ドレディアがこんなパワー型だったとか聞いてねぇぞ。
「ショウ、来るぞ!!ドレディアの攻撃をよく見て回避するんだ!!」
「任せてください、クシさんも……ってクシさん危ない!!」
「え?……ガッ、ハァ!?!?」
ショウの言葉に振り替えった俺は、ドレディアに吹き飛ばされたであろうイダイトウが俺に向かって迫ってくるのを避けられず共に壁に激突した。
いってぇ……イダイトウの『すてみタックル』を弾くとかうっそだろ。わりいイダイトウ、俺の判断ミスだわ。
「思ったより強くなってんなぁ……!!ゾロアーク『わるだくみ』!!できる限り最大まで引き上げろ!!フワライドは『早業』で『さいみんじゅつ』!!外しても当たるまで続ければいい!!ムウマージは『マジカルフレイム』で牽制!!イダイトウ行けるな?『しねんのずつき』でドレディアの足を狙え」
痛みは無視していい、この程度でくたばってたらアイツらに顔向け出来ねぇからな。
「クシさん大丈夫ですか!?」
「俺のことはいい、ドレディアを鎮めることだけを考えてろ!!」
イダイトウが再び突撃していったので俺も立ち上がり指揮を再開する。ドレディアは大きく跳躍し着地と同時に周囲に衝撃波を発して攻撃している。ムウマージとフワライドは浮いているため攻撃される心配は無いがふとした瞬間に遠距離技を打ってくるかもしれないから要注意だ。
それにしても、やはり怯んで無い時にポケモンで勝負を仕掛けるのは悪手だということがわかったな。流石に強すぎる……
『さいみんじゅつ』は命中しているらしいがねむけに襲われている様子がない。荒ぶっているときは状態異常が効かないのか……?
「ゾロアーク『力業』で『シャドークロー』!!!!」
最大まで攻めの力を高めたゾロアークの一撃が背後からドレディアに繰り出され直撃した。受けたドレディアは大きく体勢を崩した。崩しただけかよ、オヤブンでもこの一撃なら沈むぞ普通。
「今ですね、ハッサム初陣行くよ!!」
ショウはボールからハッサムを出した。ハッサムも進化してから初めての戦闘でありやる気十分らしい。
「『シザークロス』!!」
元々体勢を崩していたドレディアは素直にハッサムの攻撃を喰らってしまう。効果抜群ではないものの、はがねタイプとなったことでより体重の乗った重い一撃を繰り出せるようになったハッサムの攻撃はなかなかに痛いだろう。
「じゃあラストはやっぱり『はかいこうせん』!!」
…………うん、何も言うまい。ハッサムになったことでより物理技に特化したのだが、相変わらず『はかいこうせん』をぶっぱしているのはもはやあの2人の性癖と言っても差し障り無いと思う。
極太の光線に飲み込まれたドレディアは相当……というかもはや俺要らないんじゃね?って思うくらいにはボコボコにされている。ほら見ろ、何を思ったのかショウの奴、ドレディアの顔面にシズメダマを当てまくってるぞ。いやさ、別にいいと思うぜ?実際五感に直接響かせるなら顔面が一番いいだろうし効率的だから俺ならやるね。でもそれは俺1人の時だ。
リーダーもヒナツもユウガオさんも見てるのによくやるなぁ……横目で見たけどヒナツが青い顔してる。
「うぐっ……チッ、冷静になるんじゃなかった」
どうやら壁に叩きつけれた時に腰をやったらしい、鈍い痛みが全身に駆け巡ってきた。後でこっそりユウガオさんに薬もらおう……
「『サイコキネシス』を続けてくれ、一瞬でも動きが止まれば儲けもんだ」
「……畳み掛けます!!バクフーン、レントラー、ムクホーク、ギャラドス、ニンフィア!!」
イジメだわこれ。え、合計……10体のポケモンでドレディアを囲んでいる。てかニンフィア?……ニンフィア……ああ、なるほどな。フェアリータイプでイーブイの進化系か。
ははっ、ショウに関わっていることならなんとなく考えるだけで知らないことも頭の中でスッと思い浮かぶから図鑑みたいな使い方ができる。クソみてぇだ。
「バクフーンは『かえんほうしゃ』、レントラーは『こおりのキバ』、ムクホークは『つばめがえし』、ギャラドスは『ぼうふう』、ニンフィアは『マジカルフレイム』」
炎が、氷が、風が、ドレディアに襲いかかるが先程とは違う、全方向へ広がり衝撃波を放ち打ち消そうとしている。最前線に出ていたレントラーとムクホークは技を止められ吹き飛んだが遠距離技はそのままドレディアへ命中した。流石にダメージが大きかったのか倒れ伏した。
「終わりです」
そして投擲された最後の一投は正確にドレディアを捉え命中。バサギリの時と同じようにドレディアが纏っていたオーラが空へと昇っていく。あれだけ強力無比な攻撃を生み出していたとは思えないような美しい輝きが収まると、
「終わったか……はぁ、帰ろ。ッッ……いってぇ……」
ポケモン達を労いボールに戻すと俺は怪我を誤魔化しながら何事もなかったかのようにショウの元に向かった。ショウはドレディアからプレートを渡されていた。
「お疲れさん。ニンフィア?はいつ捕獲したんだ?」
「元々捕まえてたイーブイが進化したんです。黒曜の原野の調査を再開してたら突然進化して……イーブイが色んな姿に進化するのは知ってましたけど、ニンフィアの事は噂にしか聞いたことがなかったので嬉しくて……えへへ」
ほーん……ゴーストタイプの進化とか居るのか?今度試しに『やみのいし』でも与えてみようか……
「ありがとなショウ、クシ。ドレディアだけでなくヒナツを救ってくれてよ」
「ガチグマのことといいドレディアのことといい、あんたすごいな!!」
ヒナツはショウをキラキラした眼差しで見つめる。ショウはやはり直球で誉められ慣れてないのか恥ずかしそうにしている。
「やっぱりドレディアが荒ぶるのはふさわしくないや」
………ドレディアが荒ぶっていたのは確かだけど、なんか踊ってたし決めポーズまでしてたし理性残ってたんじゃね?って思えるくらいの動きはしてたんだよなぁ。あれが本能として染み付いてんなら納得がいくけど。
「……やること終わったんで今日は帰りますね。疲れた」
「もう帰んのか?今日くらいは泊まっていけよ、集落の奴らも喜ぶぜ?」
「今日は日帰りの予定だったんで、長を心配させるわけにはいかないですからね」
「ああ、そういや一緒に住んでんだっけか?ほう、そりゃ邪魔すんのはわりぃな」
「「え!?」」
リーダーはめちゃくちゃ悪い笑みを浮かべている。何考えてんのか分かるけど理解したくないな……ヒナツとショウはめっちゃ驚いてるし、まあ年頃の娘が家族でもない男と同衾してたら驚くわな。
「ええ、そういうことなんでまた時間が取れる時に来ますよ」
「そうしてくれや。コンゴウ団はいつでもクシを歓迎するぜ」
リーダーは相変わらずの懐の深さを見せてくれる。ア、アニキ……!!(違う)
「ヒナツ、今日は髪結い無理そうだわ。また今度でいいか?」
「え、う、うん……」
要領を得ない返事だったけど、今日一日色々あって疲れているんだろう。是非とも安眠してほしい。
「ショウ、今日のことは長にも報告しとくから。シンジュ団でもお前のことは良い評価が上がってるぜ?」
「へ……そうなんですか!?色んなところから信用が得れてる……やった!!」
時々闇が深い発言をするから本当にショウの精神状態が気になるところである。コトブキムラで辛い思いをしてないだろうか……?まあショウなら逞しく生きてそうだけどな。
「後ユウガオさん、ちょっと後で話があるんですけどいいですか?」
「わしに?構いませんよ」
ひと通り話すべきことは話したので、適当に挨拶をしてからユウガオさんと共に戦場を後にした。
◆
「みせてごらんなさい。また無理して……」
「え……なんで分かったんですか?」
ズイの遺跡付近まで戻ってきた俺達が、ユウガオさんが突然俺の怪我を見抜いてきた。
「歩き方が不自然でしたよ。怪我をしたのか腰みたいだね……この薬ならちょうど良いでしょう」
俺が患部を見せるために服を捲る。そうしたらイダイトウがボールから出てきた。
「どうした?」
「ばしゃらん……」
「自分のせいで貴方が怪我をしたと思っているのでしょう。大丈夫さね、すぐ治りますよ」
ああ、そういえばイダイトウの体に巻き込まれて壁にぶつかったんだっけな。
「お前のせいじゃねえよイダイトウ。俺が避けてたらよかったんだよ。お前は俺の指示通りに戦ってくれたんだから今日はもう休んどきな?」
「…………ばっしゃ」
申し訳なさそうな、そして俺を心配してくれているような表情のイダイトウは俺の言葉に納得したのか素直にボールに戻ってくれた。
「おかしなボールに入っていても、仲の良さは相変わらずなのね」
「イダイトウに関しては自分からボールに入ってくれたんです。やっぱり場所の問題もあって寂しかったんでしょうね……ボールがあって良かったですよ」
シンジュ集落の南にある川で育ったイダイトウ……あの時はバスラオだったけど、ボールがなかった頃は俺が川まで行って一緒に過ごしてた。イダイトウになってからは浮けるようになったのでちょくちょく集落に来てくれていたが、やはりポケモンが集落に入ってくると周りの人間が心配になる。そういう事情もあってずっと一緒とはいかなかったんだが、ウォロがモンスターボールを売ってくれたことでその心配も無くなった。
「じゃあ薬を塗るよ」
「はい、お願いしま……っでぇ!!ちょ、ユウガオさんまっt…あだだだだだ!!!!」
その時、俺に激痛が走る。うっそだろ、こんなに即効性で効いてくるのかよ!?先に言っておいて欲しかったなぁ!!
「まったく……大袈裟ですねクシ。後はこれを貼っておけば……はい、出来ましたよ」
「はぁ……はぁ……今日一番体力を削られた……」
「一日一回、この薬を塗って上からこれを貼れば数日で治りますよ。今は腫れているから痛みが続くでしょうけど、すぐ腫れも引くさね」
そう言ってユウガオさんは俺に塗り薬の瓶と湿布を渡してくれた。適切な処置だけどもう少しマシな方法はなかったのか……
「それと、明日と明後日は安静にすること」
「分かりました……」
「カイに看病してもらう良い機会さね。わしからも説明しておくから、しっかり休むんですよ」
「ユ、ユウガオさん……!!」
なんと慈愛に溢れた人なんだろうか!?俺とカイが2人で過ごす絶好の機会をくれるなんて!!
「曾孫が見れるまでは生きなければいけませんね……」
「へ……!?!?!?」
「シンジュ団は皆家族ですから」
「いやいやいや、まだ早いっすよ!?カイはまだ子供ですし……」
「長として立派にやっているというのに、貴方がそう言うからお互い踏み出せないのではないのかねぇ」
「……ぐうの音も出ないです」
ど正論だからこそ受け入れるしかない説教。分かってはいるんだけども、踏み出せないのこの一線はなかなか厳しい。
「シンジュ団としてこの言い方は良くないけれど、時間はあるのだからじっくり悩みなさい。貴方はもうヒスイに骨を埋める気でいるのでしょう?」
「ええ、思い出せない過去よりも大切な今の方が大事なので」
「そういうところが、皆の心に響いたのだと思いますよ。もちろん、カイにもねぇ」
にっこり笑ったユウガオさんを見つめながら、時折蘇る自分の記憶が気になっていることなんて話せるわけないと思った。
ユンゲラー悲しみのベンチ入り、イーブイ復活!!見事ニンフィアに進化!!もちろん全カット!!時系列的にはクシとカイが自宅でいちゃついていた頃ですね。
え、リンチ?シンジュ団とコンゴウ団が散々やってきたアレですか?ハハハ、勝てばよかろうなのだ。