カイが可愛いすぎたのでオリ主といい感じにさせたい話   作:ゼノアplus+

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メンヘラってどのタイミングでどう発動するのか分からない作者です……メンヘラ女子の知り合いにいつヘラるの?って聞いたら生々しすぎる答えが返ってきて余計に分からなくなった作者です……


少女達、葛藤

8話

 

 

 

「眩しいな、なんか……」

 

「力強い、と言ってくれないかね?」

 

 

ショウの目の前に現れたバサギリは全身余すところなく黄金の光に満ちておりたった一箇所、その瞳だけが理性の火を灯してはいなかった。

 

 

「全員出てこい。何かあったら全力でバサギリを止めるぞ。いいか、全力でだ。フワライド、お前は森ポケモン達が近寄らないように周りを見張っていてくれ。ここ出身のお前なら知り合いもいるだろ」

 

 

俺は4つのボールを全て転がしポケモン達を呼び出した。何事かと俺を見るゾロアーク達だが、大きな音のするショウの方向を見て察しがついたようだ。

 

 

「ちょっと、ショウのこと認めたんじゃなかったの?」

 

「実力は評価しているが、ここで嬢ちゃんが今後の活動に支障のある怪我をしてみろ。身元不詳の癖にムラへの貢献が出来ない少女……しかも、コトブキムラでの事じゃなくシンジュ団に関わって、だ。働かざるもの食うべからずとはよく言うが……穀潰しとして追放もあり得るぞ?それは俺たちシンジュ団の評価に関わる。もちろん、嬢ちゃんの身の安全ももちろん保証できない」

 

「そ、それは……やっぱり今からでもクシに頼んだ方が……」

 

「デンボク殿が正式に命令を下し、セキ殿やヨネさんに依頼され、そして長……貴女も認めた。今から俺に頼むのは筋が通らねぇよ」

 

「そんなっ……」

 

 

バサギリの理性のかけらも感じられないような攻撃をショウは前転で回避した。壁にぶつかったバサギリは強く打ったのか頭を回している。隙だらけのバサギリを見逃すことはなくショウはシズメダマをバサギリに当てている。

……見てて危なっかしい。岩で出来た斧のような腕に当たればそれはそれは凄惨な断面が出来上がるに違いない。

 

無言になったカイを見ると表情が曇っている。どうやら最後の一押しが自分であったと言う事実に今更ながら後悔しているらしい。

 

 

「はぁ……カイ。長になって日が浅いとはいえ、もうすでにお前はシンジュ団の長なんだ。お前が決めたことを俺たちは信じる。その選択が間違っていたとしてもだ。でもな?間違っていたとしても俺はもちろん、キャプテン達がいる。お前1人が全てを背負う必要はどこにもないんだ」

 

「クシの言う通りだねカイさん。今はオレの大好きなバサギリのことだったからオレも難色を示したけど、他のキャプテン達もカイさんを信じてる。皆で頑張りたいと思っているよね」

 

「……うん」

 

 

 

「ギャラドス、『アクアテール』!!」

 

 

 

思わず素で喋ってしまった。だが、これくらい言わないとカイの自己肯定感の低さの改善は難しいだろう。そもそもまだ経験不足なのだから仕方ないだろうに。

 

ショウはと言えば、怯んだバサギリに対してギャラドスを呼び出し効果抜群を狙い動きを止めている。怪我もなく順調のようだ。

 

 

「分からないと思ったら俺たちに相談してくれ長よ。人に頼ることは恥ずかしいことじゃねぇ、俺だって頼りっぱなしでここまで来たんだ」

 

「おお、荒ぶるバサギリの動きが……」

 

 

結構な量のシズメダマをバサギリに当てているショウ。それに比例するようにバサギリの動きも弱々しくなって来ている。

 

 

「きゃっ!?」

 

 

 

「ッ……クシッ」

 

「おい、人前だぞ」

 

「だって……」

 

 

その場で構え、回転をすることで周囲にカマイタチもような風を起こすバサギリ。急すぎるその攻撃にショウは反応が遅れ、直撃は免れるも頬に一筋の傷が出来てしまった。その光景にカイは弱々しい声音で俺の名前を呼び袖を掴んできた。可愛い、今すぐにでも抱きしめたい……はっ、俺は何を考えて……

 

 

「ムウマージ、『サイコキネシス』をいつでも使えるように構えとけ。ゾロアークとイダイトウは『シャドーボール』の準備だ」

 

 

ムウマージにはショウの保護を、ゾロアークとイダイトウにはそれぞれバサギリの足止めを指示する。

 

 

「ここまでやってダメなら、俺が責任を持ってバサギリを鎮めよう。もちろん、嬢ちゃんとは違って少々手荒な手段になるが」

 

「……分かった。クシを信じる」

 

「(……オレがバサギリに見惚れて2人に気づいていないとでも思っているのかね?)」

 

 

俺を信じる自分を信じろ、とかカッコいいこと言いたいけども普通に恥ずかしいので言わない。そこまでセキ殿みたいにキザにもなれない。

 

そしてついに、その時はやって来た。

 

 

「ッ、今!!これでッ!!」

 

 

よろけてがっつり体勢を崩したバサギリに向けて、ショウはラストアタックと言わんばかりに思い切りシズメダマを投げつける。そして、直撃した。

 

 

「なんだこれは……!!」

 

「バサギリは大丈夫なのかね!?」

 

「眩しいっ、でも……きれい……」

 

 

その瞬間、バサギリが纏っていた光が空中に霧散していく。その様子はどこか幻想的に見えた。

 

 

「終わった、のか……?」

 

「バサギリが落ち着きを取り戻している?」

 

「とにかくショウのところに行くよ!!」

 

 

俺たちは片がついたと考えショウの元に向かう。ショウはどうやら落ち着きを取り戻したバサギリから何かを渡されているらしい。

 

 

「嬢ちゃん、これ使いな」

 

「クシさん……ありがとうございます」

 

「森キング バサギリ……鎮まったと考えていいのかね?」

 

「はい、もう大丈夫だと思います」

 

 

俺は手拭いをショウに渡して血に濡れた頬を拭うよう促す。

 

 

「ありがとうショウさん。おかげで森のポケモン達がこれ以上襲われなくてすむ……」

 

 

あれ、カイがショウのことをさんづけで呼んでいる?ショウに対しての考え方が変わったのか?

 

 

「それに、コンゴウ団ともギンガ団ともことを構えずに済んだよね。他にも荒ぶったり困っているポケモンを救ってあげてよ」

 

「なるほど……合点。少しばかり取り乱したけれどキミには感謝するとしますかね」

 

「2人の言う通りだ。俺からも改めて礼を言う。よく頑張ったな」

 

「いえ……そんな……こと、は……うぅ……」

 

「……どうした嬢ちゃん?」

 

 

俺たちが感謝の気持ちをショウに述べると、急にショウがその場に座り込んだ。

 

 

「ここに来てから……こんなに直接、誰かにお礼なんて言われた事なくて……わたし……嬉しくて」

 

「「「…………」」」

 

 

そっか、そうだよな。そうだったな俺も。周りの人間全員が敵に見えて、ずっとゾロアと一緒にいたあの頃が脳裏に甦る。行くあてがなくて、やっと同じ人に会えたら向けられるのは懐疑の目……死にかけで何も気にする余裕なんかなかった俺よりも、中途半端にコミュニティの中で生活していれば……そうなるよな。

 

 

「大丈夫だ嬢ちゃん。コトブキムラに戻ったら、皆褒めてくれるぜ?キングを鎮めたなんて知ったら、ラベン博士やテルはもちろん、ペリーラさん達もびっくりするって」

 

「そうだね。キミの成したことはそれだけ凄いこと、自信を持って誇るといいんだね」

 

「皆ショウさんに感謝してる。私も、シンジュ団も……森のポケモン達やバサギリだって……だから泣かないでショウさん」

 

 

3人総出で涙を流すショウを慰める。見回りから戻ってきたフワライドも空気を読んでか遠巻きから見守っている。

 

 

「ゾロアーク、アレやってあげてくれ」

 

「グルゥ……?ガゥ」

 

「ふぇ……?ゾロアーク何して……わっ、冷たいのに、ふわふわであったかい……」

 

 

流石に昔の俺と同じようなショウに思うところがあったのか素直に言うことを聞いてくれたゾロアークは、ショウを優しく抱きしめその長い毛髪で包み込んだ。

 

 

「良いだろ?俺や長が落ち込んでる時はこうやってよくしてくれたんだぜ」

 

 

メスであるからか謎に包容力のあるゾロアークはウチの母親みたいなポジションにいる。普段は俺たち以外にはやってくれないんだけどな。

 

 

「そういや嬢ちゃん、さっきなにかバサギリから貰ってたよな?ちょっと見せてもらっていいか?」

 

「これですか?いいですよ」

 

 

ゾロアークに抱きつかれたままショウはポーチから長方形の板を取り出し俺に渡してくれた。

 

 

「うちゅう うまれた ばしょ そのもの はじまりの ばしょ……か」

 

「あ、もう一枚あります。アヤシシからももらったんですけど……」

 

「アヤシシからも?……うちゅう うまれる まえ そのもの ひとり こきゅうする……なるほどな」

 

 

ウォロの奴が知りたそうなもんだな。『そのもの』……シンオウ様、いや『()()()()()』か。やっぱ、ショウはアルセウスの加護を受けていると見て間違いない。しかし……キング達を荒ぶらせていたのがアルセウスならば、ショウに解決させるのはマッチポンプになるのでは?わざわざそんなことをする意味があるとは……

 

あ?()()()()()ってなんだ?なんで俺はシンオウ様とアルセウスをイコールでつなげた?クソッ、これじゃまるで俺の記憶が解禁されるタイミングが今だったみたいじゃねぇか……だとしたらアルセウスとやらはよっぽど暇で傲慢らしい。俺やショウで遊んでるみたいだ。

 

 

「ありがとな、面白いもんを見せてもらった。それは大事にしまっておきな」

 

「はい……あ、ゾロアーク。もう大丈夫だよ。ありがとね」

 

「ガルゥ」

 

 

ショウの声に離れたゾロアークは最後に優しくショウの頭を撫でると、気恥ずかしげに自らボールに戻っていった。お疲れ様、お前らも戻っていいぞ。ありがとな。

 

 

「……よし、それじゃムラに戻って今回のことを報告してきます!!」

 

「ちょっと待ってショウさん。これ、私たちシンジュ団からお礼の気持ち。本当にありがとう」

 

 

俺が予めショウに渡すようにとカイに渡しておいたもの、『すいせいのかけら』だ。貴重なものだから雑貨屋とかで売ると結構高い値段で取引してくれるだろうよ。ウォロに聞いたらそう答えてくれた。個人的には要らないですけどねーとかふざけたこと抜かしてくれたことは今でも忘れねぇ。

 

 

「ムラの人らによろしくな。ムベさんにもイモモチが美味かったと改めて伝えておいてくれ。マジでアレは美味かった」

 

「分かりました。クシさんも野宿はあまりしないでくださいね」

 

「ははっ、したくてしてたわけじゃねぇよ」

 

 

冗談が言えるくらいには元気になってくれたようでなにより。俺たちはカミナギの笛でアヤシシを呼び出したショウが帰っていったのを見送った後、そろそろ夕方が近づいてきたので集落に戻ることになった。

 

 

「オレはバサギリの様子を確認するのに今日はここにいるとするかね。なにか後遺症があってはいけないからね」

 

「分かった。じゃあクシ、帰ろ?」

 

「ああ、そうだな……」

 

 

ぶっちゃけ、カイと喧嘩したと言うこともあって集落の連中になにを言われるか分からなくて帰るのを躊躇うはずだったんだが……今朝のカイの言葉でわかった。アイツら俺らのこと喧嘩するほど云々でコソコソ話をしていたらしい。一周回って呆れるほどお節介な人らだよ全く。

 

 

「この3日間くらい動きっぱなしだったからがっつり寝てぇわ」

 

「じゃあ明日は私がご飯作るね」

 

「りょーかい。そしたら俺は食料でも集めてきますかね。スナハマダイコンでいいか?」

 

「うん。そろそろクシに教えてもらった煮物も上手く作れるようになってきたと思うんだ。流石にクシには劣るけど」

 

「へぇ?そいつは楽しみだ」

 

 

何でこんな話をしてるかって?決まってんだろ、一緒に住んでるからだ。びっくりするよな。だって当時俺が1番びっくりしたからな。ははっ、今でもたまに何でこうなってんのか分からなくなるしなぁ……まあ別に男女の関係というわけでもないし、そもそもカイはまだ少女と言っても差し障りない年齢だ。どうのこうのっていうことは断じてない。

 

 

「あー……今度、紅蓮の湿地に行ってくるわ。ヨネさんに偶には顔を出せって言われてな。ヒナツがまた髪結いをして欲しいらしいし」

 

「……は?」

 

 

また喧嘩になりかけた。うん、流石に今のは俺が悪かった。ごめんて、どれだけにこやかでもその笑顔は怖いって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、クシさんに借りたハンカチ返し忘れた……って血だらけだし洗って落ちるかな?絆創膏なんてないしなぁ……」




諸事情(ショウの成長やタスク埋め)期間のため次のメイン任務を数日後にしたいと思います。
ゲーム内だと好きに動けるので何日過ぎたとかは気にすることはないですがメイン任務だと翌日すぐ、という時間になってしまいますのでご了承ください。

1番困るのはショウの手持ちの変化とそのレベルですね。私はひたすらにレベリングしてからストーリーをサクサク進めていたので苦戦があまりなかったです。なので小説的には起承転結の『承』から『転』にかけてが悩みどころです。

オヤブンハピナス周回とかバサギリ倒す前にしたらダメですよ?ヌメラやバサギリが文字通り消し炭になります。
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