その青年は普通だった。
人を慈しむ事の出来る優しい心を持ち、悪人ををも気にかける。
とある神はそんな1人の青年を転生させた。
『お前を生まれ変わらせよう、何を望む?』
クックックと笑いながら神は青年へと問う。
そんな彼は“憧れた彼らの力が欲しい”
そう願った。
幼き頃から見続け、憧れ……諦めてしまった。
そんな、仮面の戦士。
“誰かの為に”、“笑顔の為に”、“平和と愛の為に”
“救う為に”、“夢を守る為に”、“町の為に”
“運命を変える為に”、“最高最善の王になる為に”
素顔を仮面で隠し、一人孤独に戦う。
そんなバイクを駆り戦う戦士。
平成仮面ライダーの力を、そう願った。
神はその戦士達の力を与えた。
他にも1つ、
そんな青年は、生まれ変わった世界であるものを守る為に、救う為に戦う事になる。
最初は、全てを救えると思っていた。
この力なら、あの人達を救うことが出来ると。
本気でそう思っていた。
でも、違った。
戦闘経験もない僕が、本物の英雄に勝てるはずが無くて。
『……………無事で……よかった、です………先…ぱ、い』
その結果、死なせてしまった。
僕と、もう1人……彼女を庇って。
僕は、悲しくて、苦しくて、罪悪感に押し潰された。
僕には力があったはずなのに、力を使うことを恐れ、究極を使わなかった。
そんな自分の事が許せなくて、手に持った剣を自身の胸へと突き刺した。
すると、不思議なことに僕はあの場所に向かう前の、自分の住んでいた町。
実家の自室で目を覚ました。
全てが無かったことになっていたようだった。
彼女も実家の隣、彼女の家に住んでいて、何時もと変わらない笑顔で挨拶してきた。
まるで、あの場所へと向かうこととなった日より前に戻ったような。
日にちを見ると、あの場所へと向かう前だった。
それを知った僕は、鍛えた。
何故か、この体は時間を巻き戻した前の肉体と変わらず、鍛え付いた筋肉は死んだ前と変わらなかった。
だから、更に鍛えた。
英雄と互角に闘えるように、もう失わないように。
ひたすら鍛えて、鍛えて鍛えて鍛えた。
そうした上で、また死なせてしまった。
『■■■■後ろ!!』
変身を解除した隙を、敵に強襲された。そんな僕を庇って彼女は死んだ。
また僕は、守れなかった。
手を伸ばせなかった。
僕は、自信の胸へと剣を突き刺した。
また、あの場所に向かう前に残った。
でも鍛えたことは変わらなかった。
僕は、死ぬことであの場所へ向かう前の、この時間へと戻る。
タイムリープ、死に戻りの力があるのではと言う仮説を立てた。
僕はそれを試すと同時に、鍛えるために。
体にいくつもの異物を入れた。
そうして、新たな力へと手を伸ばした。
もう失わないように、こぼれ落とさないように
助けられるように。
その結果、僕の体が異物に耐えきられず壊れて死んだ。
その結果、また前への時間へと戻った。
もう一度、異物を体に入れた。
すると死ぬことは無く、体はその異物を受け入れ苦しむことはなかった。
今度こそ、守る為に。
そう思って、あの場所へ向かった。
僕は力に飲まれ、暴走した。
『やっと………正気に戻ったか、この馬鹿者………』
『■■■!僕は、僕は!』
『………生きろマスター、世界を救うのだろう』
そんな僕を正気に戻すため、また一人。
仲間を死なせてしまった。
僕は、また自分の胸へと剣を突き刺した。
また、あの場所へ向かう前に戻った。
暴走しないよう、力をコントロールすると同時に、体に新たな異物を入れた。
僕は耐えきった、力を手に入れた。
でも『味覚』がなくなった。
でもその代わり、大きな力を得る事が出来た。
今度は、僕が寝ている間に仲間を殺された。
僕はまた自身の胸へ剣を突き刺した。
俺は、究極の力を手に入れた。
こんどは『痛覚』を失った、だが構わない。
皆を救えるなら、でも駄目だった。
どれだけ身を削っても、どれだけ助けても。
『■■、■■………君は………いき、て』
また大切な仲間を死なせてしまった。
だからまた俺は自身の胸へと剣を突き刺した。
俺は、未来で知ったことをいかし仲間の様々なピンチに走って守った。
今度こそ、助けられた。
そう感じた、でも
『■■君、悪いけど君は捕縛させてもらう』
味方から疑われてしまい、怒りに任せ陣営を抜けていた間にまた彼女を、みんなを殺された。
一時の感情に任せて行動した事を悔いた。
また俺は自身の胸へと剣を突き刺した。
俺は、感情を露にするのを止めた。
痛覚がないことをいかし、ひたすら鍛えた。
これで今度こそと、そう思い戦いに赴いた。
だが味方の1人に体が可笑しくなっている事がばれ、問い詰められた。
俺は戦いに行くことを止められ、医務室へと強制的に押し込まれた。
その間に彼女が戦いに赴き、死んでしまった。
また俺は自身の胸へと剣を突き刺した。
いくら刻を戻しただろうか?
もう数は覚えていない。
なんど後悔したのだろうか?
味方が消えていくのを何度見たのだろうか?
なんど傷を受けたのだろうか?
俺は、何度傷ついたのだろうか?
オレはイつにナったラ……ミンナヲタスケラレル?
ザーザーと雨が、降っていた。
雨は大地を濡らし、俺の体に纏っている鎧を濡らし奴らの返り血等の液体を洗い流す。
見れば盾を持った銀髪の少女の近くで橙色の頭髪が特徴的な少女が、共に息絶えている。
左を見れば、数々の英雄が地面へと倒れ付している。
広がる大地には赤い、紅い、朱い何かで濡れ建物であったはず場所には瓦礫しか落ちていない。
生存者は0。
その場にはもう生存者は居ない、まるで終焉を表しているようだった。
「う……うぁ■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」
思わず膝をつき、大地へと拳を叩き付けながら叫ぶ。叩き付けた場所を中心に地面が沈没しクレーターが出来る。
「俺は、また救えなかった!」
ボロボロと仮面の中で涙を流し、地面へと拳を叩き付ける事を止めない。
また、また、また助けられなかった。
「どこで間違えたんだ!どこで!俺は………僕は……」
やがて強く叩き付けられていた
「どれだけ救おうとしても、どれだけ手を伸ばしても!この手からこぼれ落ちてしまう!どれだけ命を救えば!どれだけ繰り返せばいい!」
封じていた筈の感情が沸き起こる。
悲しみ、憎しみ、苦しみ、孤独感、絶望
ひたすら、泣き叫び、僕は再び剣を手に取った。
「今度こそみんなを、救って見せる」
そうして俺は、また自身の胸へと剣を突き刺した。
「れいちゃーん!起きてよーもう朝だよ!」
懐かしい声が聞こえ、次に体が引き寄せられる感覚。
まるで深い海から引き上げられるような。
目を開くと、そこには橙色の髪の左側をシュシュで束ねている少女が映っていた。
「やっと起きた、おばさん下でご飯作って待ってるよ」
そう笑顔で話す彼女の言葉に頷き俺はそれに頷いて返し、チラリと日記と見る。
そうして俺はあの場所へと戻る前に戻った事を確認して、俺はベットから降りる。
また俺、神渚 零夜《かんなぎ れいや》は時を巻き戻しやり直した。
頭には今まで繰り返してきた記憶が、しっかりと残っている。
絶望がこの先に待っている未来。
短命、捕縛、死、喪失。
全てを希望に、絶望の運命を変える。
神様が俺に与えてくれた、この力で俺はこの世界の運命を、物語を変えてみせる。
今までに培ってきた知識を、敵だと勘違いされないように考えて使い、彼女や、皆が笑顔で生きて暮らす事が出来る未来が来ることを信じて、俺はこの力を使う。
今度こそ、俺は自分の命に変えてでも。
──────皆を救って見せる。
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