神渚 零夜side
目が覚め、最初に感じたのは熱。熱い炎の燃え盛る、瓦礫が崩れ落ち荒れた町の中。
瓦礫が乱雑に落下していた場所に、俺は1人で倒れていた。
「冬木、相変わらず熱いな」
どうやら、今回は立花達とは別の場所に転移したらしいな。何度か繰り返した経験から、この場合はどうするかを考える。
まず、予定通りアインツベルン城へと向かいながら聖晶石を探し、道中のスケルトンを倒すと聖晶石を落とす。
だから、スケルトンを見かけたら倒しに行くことを考えよう。
それにしても、目が覚めてすぐにスケルトンの群に襲われないな、こんなこと今までにはなかったけど。
それに視線を感じない、どうやら今シャドウアーチャーの注意は立香の方に向いているらしい。
速く移動するならバイクを召喚した方が良いけど、ここで使うとシャドウサーヴァント俺の位置がばれる。
だからアインツベルン城には走っていくしかない。
「行くか、アインツベルン城に」
手元に力を入れ念じると、黒い刀のような大剣が現れる。所々に青と銀色の装飾。刀身の一部が透明になっている。
メダジャリバー、これなら彼らの力を借りなくても呼び出せる武器だ。それにスケルトンならこの剣を一度振るうだけで倒せる。
メダジャリバーを片手に持った状態で荒れた町の道路を走る。周囲を見渡し、聖晶石が落ちていないか探す。
聖晶石を使い、英霊……サーヴァントを呼び出すには聖晶石が三つ必要だ。アインツベルン城の部屋にある聖晶石は二つ。
せめて、二体はサーヴァントを召喚したい。最初に二体召喚出来れば、特異点の攻略がしやすい。
ふと、瓦礫の重なってて出来ている場所が光ったような気がした。
即座にその場所を覗き込むと、虹色の鋭的な石が二つ落ちていた。
まず二つ、あと四つは石がいる。そう考えながら意思を服のポケットへと入れ再び走り出す。
「─いた」
走った先には、一体の骨だけが動いているゲームで言うスケルトンのような存在。竜牙兵が歩いていた。
背中を此方へと向けている、チャンスだ。
走りつつそのままメダジャリバーを構え、横凪に振るう。竜牙兵の首を斬り頭と体が離れる。
頭部がカツンと言う音と共に地面に落ち、体から粒子が放出されて消滅した。
消滅した場所の足元には予想通り聖晶石が1つ落ちていた。
これで三つ、ここら辺はあらかた探し終えたな。燃え盛る町を抜け、森に入る。
森の中を走る、このルートならまだバーサーカーは居ない筈だ。山道を走る、山道にも竜牙兵がいる、でも戦闘をするとバーサーカー、ヘラクレスが戦闘音を聞き付けて来る。
出来るだけ竜牙兵に気付かれぬようアインツベルン城を目指すと同時に聖晶石を探す。
アインツベルン城を目指し、出来るだけ足跡を殺し道を歩く。木の根元に聖晶石が1つ落ちているのを見つけ、回収する。
後は、アインツベルン城の部屋にある石を回収するだけだ。
アインツベルン城へと潜入し急いで聖晶石のある部屋へと入る。部屋の隅にある机の引き出しを開けると、予想通り聖晶石が二つ入っていた。
「よし」
そう呟き、隣部屋に入る。部屋の絨毯からは何か線のようなの物がはみ出ている。
よし、前と同じだな。
俺は部屋に敷かれている絨毯を引っ張り、捲る。部屋の床には魔方陣が描かれていた。
「これを使えば、魔方陣を書かなくて済む。」
そう呟きながら、ポケットから拾ってきた聖晶石を全て取り出し魔方陣の上へと置く。
これで、英霊召喚の準備は整った。胸ポケットにいれていた彼女のナイフを触媒として使うためを取り出す。
「もう一度だけ俺に力を貸してくれ……」
彼女のナイフを聖晶石の近くに置き、魔方陣の上へに立ち深呼吸を一度行い、口を開き詠唱を開始する。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
────降り立つ風には壁を。
──四方の門は閉じ、王冠より出で。
───王国に至る三叉路は循環せよ。
─閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ、閉じよ」
詠唱をした事で魔方陣が光り輝き、聖晶石が浮かび、ナイフも空中へと浮かび上がる。
「────繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻ときを破却する
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意
この理ことわりに従うならば応えよ。」
聖晶石が融け、三つの光りの輪を生み出す。そして、その光の輪にナイフが入っ行くと三つの光輪が高速で虹色に光り輝きながら回転し始める。
「誓いを此処ここに。
我は常世とこよ総すべての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷しく者。
汝 三大の言霊を纏う七天。
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ」
何度みても、この光景は幻想的でとても綺麗だ。そう思いながら最後の詠唱を終えると三つの輪が収束し、弾ける。
それと同時に部屋の中を目を覆うほどの光が溢れる。両手で光から両目を庇う、そして光が収まり、両手を下へと下ろす。
英霊の召喚は成功した、後は誰が召喚されたのか。ほとんどの英霊は見たことがあるし、好きなものも覚えている。
誰が召喚されたのかを見ようも視線を先へと向ける。
桃色の髪を腰まで伸ばし、黒と白のエプロンドレスを美少女と取れる姿をした英霊は跪いていており、もう一人は真っ黒な外套を羽織り、露出の高い服を着用し頬に切り傷の残った幼い容姿の少女が立っていた。
「っ!?」
目の前に現れた英霊たちは、俺の感情の拘束を外すのに十分だった。どちらも俺を庇って消えた英霊、そして俺がループする前に初めて召喚した時に答えてくれたサーヴァント達だった。
一瞬だが崩れたポーカーフェイスを直す。彼ら英霊は、召喚されたときその時より以前に召喚されたときの記憶を持って召喚される事は奇跡でも起きない限りあり得ない。
更に言えば俺はこの旅を、召喚をした事がなかった事になっている。ループしているために、過去の召喚として世界に認識されることはまずないだろう。
あの時と変わらず、女性らしい姿をした
おかしい、俺や立香が召喚した時に発していた楽しそうで、元気な彼の台詞が聞けていない。
繰り返した時の中でこのような事なんて一度もなかったはずだ。
何が起きている?
そう考えていた時だ、彼が口を開いた。
「サーヴァントセイバー、真名アストルフォ。
マスター、僕は貴方の剣。
なん、と言った?
彼は今度こそ、そう言ったのか?なんでそんな事を?まさか、覚えているのだろうか?
だが、そんな事はあり得ない。ループしている俺が彼を召喚した時の記憶を持っているだなんて、それこそ奇跡でも起きない限り……。
今までになかった現象に頭が混乱し思考を続けるなかでもう1人のサーヴァントが、俺を見て笑いながら、口を開く。
「アサシン、ジャック・ザ・リッパー。
そんな少女の言葉には、先ほどの彼と同様に記憶を持って召喚されているような物だ。
わからない、あくまでもそう聞こえただけなのかもしれない。
そう思い俺は口を開く。なんども口にしてきた慣れた言葉を
「初めまして、俺の名は神渚 零夜。どうか俺と共に戦ってほしい」
「違うよ、お母さん。私たちは初めましてじゃない」
「そうだね、マスター。ボクらは君との戦ったことを覚えてる」
「なんで………」
こんなこと今まではなかったのに。記憶、それも俺がリープしていた時の記憶を持ったサーヴァントが召喚されるだなんて、それこそ奇跡でも起きない限りあり得ないはずなのに。でも、彼らが召喚されたと言う事は俺と同じように未来を知っている。なら、彼らは立香を守るために行動をしやすくなる。
「二人とも、ごめん。また俺に付き合ってくれて」
「大丈夫だよマスター、僕は君の剣。君に初めて召喚された時からそう決めてたんだ、今度こそ救おう。」
「わたしたちの思いはかわらないよ、お母さん。」
「ありがとう、これからの行動を説明する。」
そう言ってふと近くへと何かが迫ってくる感覚がした。恐らく、バーサーカーが英霊召喚の光を見て近付いてきているのか?
「まずここを出るとき恐らくバーサーカーが出てくる、俺が奴を引き付けるからその間に二人は立香達の元に向かってくれ」
アストルフォとジャックは少し心配そうな顔になるが、大丈夫だからと言いすぐに移動するよう頼む。
「信じるよ、マスター」
「待ってるよお母さん」
そう言って二人が行動を始める、俺も一緒に外に出る。今回、アストルフォはライダーではないからヒポグリフでの高速移動は不可能。
恐らく、アストルフォ達が合流するのは少したった後だろう、アストルフォとジャックはそれぞれの時の記憶を頼りに立香の元へと向かってくれるはずだ。
俺は両手を腹部へと翳し、念じる。
最初の特異点、旅の始まりの場所。
救済を始める為の第1歩、ならばあの姿なら逃走も応戦も出来る。即座に立香の元へと向かうのも、戦いの手数もある。
「■■■■■■ーーッ!!」
「きた、か。」
腰から出現する異物、中央には灰色の宝玉が埋め込まれており、所々に小さく古代の文字であるリント文字が刻まれている。
見ると、奥から大気を震わすほどの叫び声を挙げながら現れたのは黒い肌に大きな石で出来た大剣を持った巨体の男。ギリシャの英雄であり、この城を守り続けているシャドウサーヴァント。バーサーカー、真名ヘラクレス。
「■■■■■ッ!」
早く行かなきゃ、いくらジャックとアストルフォがいるとしてもセイバーオルタは一筋縄では行かない。立香や所長を守るには、速くこいつから逃げる、いや倒すしかない。
アストルフォ、ジャック少しの間だけ頼む。
今頃、アインツベルン城元の森を走り抜けたであろう彼らへとそう願い、俺はベルトの横に左手を置き、右手を前へと向けて構える。
ヘラクレスは俺を敵と認識し、その大剣を振り上げ襲いかかってきた。
「■■■■■■ーーッ!」
side out
藤丸 立香side
私にとって彼、神凪 零夜は幼馴染みの友達だ。
いつも笑顔で優しい、将来的には先生や保育士さんが似合いそうな人。
以前に迷子の子を泣き止ませる為に夢のような物語を聞かせて泣き止ませていた。
そんな彼が家も隣同士で同い年の幼馴染み、そんなまるでライトノベルの主人公とヒロインみたいで、少し運命じゃないかと考えたこともあったっけ?
この場所、カルデアへと連れてこられる前の日。
彼は変わってた。
叔母さんから彼を起こしてきて欲しいと頼まれ、彼の部屋に入った。そこにいた零夜は何処かいつもの零夜と違って見えた。
チラリと見えた腕は細いのにしっかりとした筋肉が付いていた。いつの間に筋トレしたんだろ?そう思いながら零夜を起こした。
目蓋が開き現れた瞳は凄く曇ってて、凄く暗かった。まるで、この世の全ての絶望を見てきたような。
目を覚ました彼は滅多に感情を表にすることは無くて、いつも無表情になっていた。
だから、私は彼と一緒にいようと思った。
これ以上彼にあんな目をしてほしくないから。
そんな彼と私は同じ職場で働くことになった。人理継続保障機関カルデア?に、彼と一緒に献血をしたときにスカウトされ、それを受けて入ることになった。
そんな彼との初仕事初日、爆破テロに巻き込まれた。後輩であるマシュを助けるため走り、後を追い掛けてきた零夜とれいしふと?した。
そして目が覚めると、私たちの近くに零夜はいなかった。マシュと私はたまたま同じ場所に転移していたらしい。そしてマシュは元の姿から少し際どい感じの服装で盾をもっていた。
デミ・サーヴァントと言うらしい。そして私達は、謎の影を纏った黒い奴と戦うことになった。そして骸骨、スケルトン?に追いかけられていた所長と合流し、この町を調査をする事になり黒い影を纏っている奴ら、シャドーサーヴァント?と、戦う事になった。
途中で助けてくれた杖を持ち、青いローブを羽織った男の人。キャスターと名乗った、キャスターさんの助けもあり、シャドウサーヴァントを倒すことが出来た。
その後、近くにあった高校に入り休憩することになり私達はマシュの宝具を使えるように訓練した。そんな中、キャスターさん以外にも泥?から逃れた二人のサーヴァント?が合流した。
でもキャスターさんの話だと、影みたいなのを纏ってないサーヴァントはキャスターさん以外にはいないらしい。
一人は剣を持ちウサ耳を着けたセイバー。女の子のような容姿で男だと言うのだからマシュはひどくおどろいていた。
そしてもう一人は黒い外套を羽織り露出の多さに思わず顔を覆いそうになったのは秘密。白い髪に頬に傷のある幼ない見た目の少女のアサシン。話を聞いたところその二人はキャスターと同じ野良サーヴァントではないらしく、マスターに頼まれて私たちの元へと来たらしい。
もしかしてそんな考えと共に零夜、れいちゃんの姿が頭に浮かぶ。でもあり得ない、私もれいちゃんも魔術とは縁のない一般人だ。
「貴方のマスターは誰なの、答えなさい。」
オルガマリー所長がそう聞くが、セイバーもアサシンも話さなかった。
「ごめんね、今の僕らにそれを答えるとは出来ない」
そう言って。さっき所長が話していたAチームの人じゃないか?そんな会話をドクターとマシュの間で聞く私。
それにしてもマスターの事を話す事は出来ない、じゃあ彼女達のマスターの状況は聞ける?
「お前らのマスターは今なにをしてる?」
そう考え、聞こうとする前にキャスターがそう口を開いた。
「マスターは今バーサーカーと戦ってるよ」
だけど、聞こえたのはセイバーから発せられたあり得ないであろう発言。
「はぁ!?」
「何ですって!」
所長とキャスターが大声を上げて共学する。あり得ない、まず人間はサーヴァントには敵わない、さっき所長やマシュから教わったばかりだ。
Aチームにはそんな人もいるのか?
「あり得ない、なんなのよ一体………」
「サーヴァントなら一緒にいて守ってやるのが普通だと思うがな」
「ボク達はマスターの事を信じてるからね」
「召喚されてすぐにサーヴァントにここまで信用されるとはな。」
「待って、サーヴァントってアーチャーじゃないと単独で行動できないんじゃ無いの?」
「先輩、アーチャーはマスターからの魔力が途切れても大丈夫なように魔力をためておくことができるんです。もし、サーヴァントのマスターの魔力を大量に与えられていればこのように行動できると文献で見たことがあります」
「そうだったんだ、流石マシュ。」
「なら、恐らくは魔力量が多いAチームなのかしら。でも、サーヴァントと戦闘出来る人なんて……ロマニ、聞いてるでしょ?Aチームでこれほどの魔力を持った人物は?」
《今調べたところ、それに該当する程の魔力を持った人物はいない。恐らくは一般採用で受かった神凪 零夜君の可能性が高いね。》
通信システムからのドクターの話が聞こえ、思わず目を見開く。
「れいちゃんが!?」
「だとすると神凪さんはなぜ英霊召喚を行えたのかが不明になります。彼は先輩と同じ一般からのスカウトですし、詠唱を知らないはず。それに、バーサーカーと戦闘だなんて……」
「いったい誰が…………」
「取り敢えず、そこの二人が言うにはバーサーカーは任せていいんだな?」
そんな中で、そう聞くキャスターにセイバーは自信満々の様子で頷いた。
「うん、マスターなら絶対に勝つよ」
「なら俺達は、このまま大空洞に向かうぞ」
「う、うん」
れいちゃん、どうか無事でいて。
ご愛読ありがとうございます
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