刻を繰り返した救済者は良き未来の為に   作:クレナイハルハ

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黒き騎士王

藤丸 立香side

 

 

私達は、空洞の奥手前で少し休憩した後大空洞の奥へと来ていた。

 

そこには宙に浮かぶ黄金の杯があった。マシュや所長の言う大聖杯?はあれなのかな。

 

「これが大聖杯……超抜級の魔術炉心じゃない。なんでこんなものがこんな極東にあるのよ……」

 

「あれが、聖杯なんだ。」

 

「おっと、話はここまでだ。奴さんに気づかれたようだ」

 

そう言ってキャスターさんが睨む先には、黒い剣を地面へと差し柄を両手で持ち禍々しく黒色に染まった鎧を纏った人がいた。あの人がセイバー、アーサー王。

 

「あれが、アーサー王だと言うのですか………」

 

アーサー王の周囲に渦巻く魔力は、素人の私にも分かるくらい膨大だ。

 

「見た目は華奢だが甘く見るな。あれは筋肉じゃなく魔力放出でカッ飛ぶ化け物だからな。一撃一撃がバカみてぇに重い。気を抜けば上半身ごと持っていかれるぞ」

 

そんな強敵が相手、改めて覚悟を決める。

 

「了解です」

 

「…………話は終わったか?」

 

 今まで黙っていたセイバーが唐突に口を開いた。

 

「なッ!? テメェ喋れたのか!今までだんまり決め込んでやがったのか!?」

 

その事に驚くキャスター、私もマシュも急に話したことに驚きを隠せなかった。

 

「その台詞はもう()()()()()、黙っていたのは見られているからだ。故に案山子に徹していた。」

 

「なぜ案山子に徹するのをやめた?」

 

「意味がなくなったからだ、どうせすぐ奴が来る。その前にそこのマスター、貴様を試そうと思ってな。」

 

そう言ってセイバーが剣を向けたのは、私だった。どういう事?なんで意味が無くなるの?それに奴って一体?

 

「なぜ彼女を?」

 

「さぁな、色々と聞かせてくれるとうれしいんだが」

 

所長の問いに、キャスターがそう返しながらセイバーの方を向く。

 

「答えるわけなかろう。さて、試させてもらうぞ。人類最後のマスターよ、お前が奴の足枷にならぬかどうかをな!」

 

そう言ってセイバーが物凄い早さで此方に向かって飛んでくる。これがキャスターの言っていた魔力放出で飛ぶ奴!?

 

「下がって!」

 

「チッ!」

 

ウサミミのセイバーがそう言って彼女を押さえようと私とマシュの前に立ち手に持った剣でアーサー王の真っ黒な剣を受け止めた。

 

アニメや漫画のような鍔迫り合いが起こる。

 

「やっぱり、君は力が強いね───グッ!」

 

「邪魔をするな、ライダー。私にはそいつを試さなければならない!」

 

「ッ!」

 

そう言ってアーサー王が一度下がり、手に持った剣を横凪に振るう。セイバーはそれを跳んで避けながら此方を見て口を開く。

 

「マシュ!君はマスターを守るんだ!セイバーはボクが!」

 

「ほぅ、他人を気遣う暇があると思うか?」

 

そう言われマシュが慌てて私の前に出て盾を構える中、アーサー王は空中のセイバーへと魔力放出で即座にセイバーの真横へと飛び剣の横でセイバーを殴打する。空中だったからか避けることは出来ずセイバーが吹き飛ばされる。

 

「セイバー!?」

 

「ぐぅ、まだだよ!」

 

吹き飛ばされながらもセイバーがその剣を地面へと振るう。すると剣の刀身が次々と伸び、まるでワイヤーのように変化し剣の先が地面へと突き刺さる。

 

「何あれ!?剣?鞭?」

 

「蛇腹剣のようです、先輩。ですが、あのような剣を使う英霊は……。」

 

その剣を使い此方へと遠心力を使いワイヤーアクションのように体制を直しつつ此方へと飛んで戻る中でセイバーは体制を整える。

 

でも戻るところをさっきみたいにやられたら不味い!

 

「キャスター!」

 

「おうよ、アンサズ!」

 

キャスターもルーンで火球を作り出しアーサー王へと放つ。

 

「失せろ!」

 

だが火球を剣を振るうことで火球を掻き消した。でも、それによってセイバーは無事着地できたようだ。

 

「セイバー、大丈夫!?」

 

「助かったよ。アサシンスイッチ!」

 

「シャア!!!」

 

アサシンはナイフでアーサー王の背後から突撃するが、アーサー王は回し蹴りをすることでアサシンのナイフを防いでしまう。

 

「アサシン!?」

 

「邪魔をするなアサシン。そこの盾のサーヴァントとマスターよ、試させてもらうか。この一撃を持ってな」

 

するとアーサー王彼女の回りの魔力が彼女の持つ剣に集まっていく。

 

「セイバーの奴、宝具を使うつもりか!」

 

「みなさん、下がってください!」

 

マシュの叫びに私とキャスターが彼女の後ろに回ると、マシュは盾を構える。

 

「仮想宝具、展開します!」

 

マシュが盾を構え、アーサー王は剣を掲げ下から振り上げる様に剣を置く。

 

「卑王鉄槌、極光は反転する。光を呑め!」

 

「『人理の礎(ロード・カルデアス)』!!」

 

「『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!!」

 

黒い斬撃をマシュが受け止める。マシュの盾が押され、後ろへと下がり始める。

 

「マシュなら出来る!頑張って、私がついてる!」

 

そう言ってマシュの肩に手を起き、支える。するとマシュは一瞬此方を見て再び盾を構える手に力を入れ直す。

 

「ぐうぅ、先輩は私が!守る……守ります!ハァァァァァァ!!!」

 

やがて、マシュは見事アーサー王の一撃を耐えきった。

 

「やったねマシュ!」

 

そう言うマシュは嬉しそうに振り返り私の言葉には頷いた。

 

「はい!やりました!せんぱ」

 

()()()()()

 

見ると、いつのまにか目の前にアーサー王がマシュのすぐ横に立っていた。そして、剣でマシュを吹き飛ばした。

 

「ガハッ!?」

 

「嬢ちゃん!マスター下がれ!」

 

所長の魔術で一瞬だがアーサー王の動きが止まる。

 

「ガンドッ!、私だってこのくらいは!」

 

「クッ小癪な」

 

動きが止まったアーサー王に対してキャスター達が前へと出て近接戦をしかける。

 

「ボク達もいくぞ!」

 

「解体するよ!」

 

「マスター、少しの間こいつは俺達が押さえる!お前は嬢ちゃんとこに!」

 

「立香、マシュの所に行くわよ!」

 

キャスターがセイバーを押さえてるうちに私と所長はマシュが吹き飛ばされた場所へと走る。先には横腹を押さえて立ち上がろうとするマシュ抱き起こす。

 

「マシュ、大丈夫!?」

 

「……すいません先輩、所長。」

 

「所長!」

 

「分かってる!」

 

所長は治療魔術をマシュに発動して傷を癒す中で隣に何かが通った。そして次の瞬間、後ろから大きな激突音がして振り替えると、セイバーを押さえているはずのキャスターが壁にめり込んでいた。

 

「やはり貴様らは奴にとって足枷か」

 

見るとセイバーがゆっくりと近付いてきていた。よく見れば、向こうではセイバーとアサシンが傷付きながらも立ち上がり此方に駆けてくる。

 

「貴様らがいなければ、戦いに赴かなければアイツは苦しまなかった。()()姿()にならずに済んだ!」

 

そう話すアーサー王は何処か怒っているようで、悲しんでいる様に見えた。でも一体何に?アイツって一体誰なの?

 

アーサー王が剣を振り上げる。マシュはさっきのダメージで動けないし、所長もアーサー王に怯え座り込んでしまう。

 

キャスターも動けない、アサシンとセイバーも間に合わない。事態は、絶望的だった。

 

アーサー王が振るった剣により体と頭が別れる自信が簡単に想像できた。

 

今動けるものは、私を助けてくれる人はここにはいない。今までの全ての出来事が走馬灯のように過ぎていく。

 

そんな中、最後に思い出したのはレイシフトする前の記憶だった。

 

燃える管制室、マシュの手を握り、共にいた幼馴染み。あんな状況でも、無表情を崩さず。

 

『れいちゃん、私達大丈夫……………かな?』

 

私を安堵させるよう優しく手を握ってくれた。

 

アーサー王が剣を振り下ろそうとするのを見て、思わず両目を閉じる。

 

怖い、怖いよ。お願い、死にたくないよ。

 

助けて、れいちゃん…………

 

 

 

『大丈夫だ。俺が……絶対に守るから』

 

 

 

──ガキンッ!!!──

 

 

 

そんな金属同士がぶつかる音が聞こえ、思わず瞳を開く。そこには青い鎧のような物を着けた黒い体、青い複眼にまるでクワガタ虫のような金色の角のついた頭部を持つ何かが私の前に立っていた。

 

「貴様、私の前でその姿を……ッ!」

 

「───ッ」

 

すると、青い何かは拳を握りしめるとそのままアーサー王に接近し拳を振りきる。アーサー王は何故か聖剣を横に振るった状態で持っていた為に間に合わない。アーサー王は青い何かに殴り跳ばされた。

 

すると青い何かは吹き飛んだアーサー王を見たまま片手を上に伸ばす。すると、空から青い棒の様な何かが落ちて来た。青い何かはそれを掴みとると、即座に棒を後ろに持ち、逆の手を前に伸ばし構える。

 

まるで、アーサー王から私達を守る様に。

 

「なんなの!?もうこの町にはサーヴァントは存在しないんじゃなかったの!?」

 

「それに、あのアーサー王を吹き飛ばすなんて……」

 

《大変だみんな!》

 

するとアラートと共にロマニの声が響き渡る。

 

《今、君たちの所にいる何物かから、信じられない程の神秘のランクが高い何かが!》

 

「ロマニ、何故アイツが近付いているのに何の連絡も寄越さなかったのよ!」

 

《ま、マリーそれが、さっきまで何百メートル、いや何キロメートルも離れた場所で確認されたんだけど、信じられない程の速さでそっちへ向かったんだ!連絡しようと通信機を起動したときにはもう、みんなのところに。》

 

「そんな距離を一瞬とも言える速さで移動するなんて………」

 

ありえない、その言葉が私達の中で繰り返される。

 

「でもアーサー王から先輩を守ったと言う事はあの人?は味方で、良いのでしょうか?」

 

確かに、急に現れたのに何で私を?

 

「アイツ、俺やアーサー王より昔……よっぽど昔の時代の英霊なのか」

 

「キャスター!?大丈夫なの!?」

 

みると、傷付いてはいるが杖を持ち此方へと歩いて来たキャスターがいた。

 

「俺はそんなに柔じゃねぇ、これでも英雄なんでな。」

 

そう言って肩をすくめるキャスターはそれにしても、と口を開いた。

 

「さっき言った通り泥から逃れたサーヴァントは俺だけだ。だとしたら、なんなんだアイツは?人でも化け物でもねぇ。」

 

「サーヴァントじゃない?」

 

「もう、考えるのもバカらしくなってきたわ………とにかく、アイツらでぶつかり合ってくれるなら、私達はどちらかが倒れたタイミングでしかけましょう」

 

そう言って指示を出す所長、マシュやキャスター達が同意するなか、そう言えばセイバー達は?そう思い辺りを見回す。

 

すると、アサシンを背に乗せてアーサー王と青い何かの戦闘の余波から逃れるように此方へと走って来るセイバーがいた。

 

「やっと来たねアサシン!」

 

「うん!お母さんは勝ったんだね!」

 

そう言いながら、まるで希望を見いだした様に笑う彼らにまさかと、そう思った。

 

「おいおい、まさかお前らのマスターって……」

 

そう言いながらキャスターが恐る恐ると言った様子でアーサー王と対峙する青い何者かへと指差す。

 

「そうだよ、彼がボクの……ボク達の自慢のマスターさ!」

 

セイバーの発言に私達全員が声もでない程に驚く。あれが、英霊ではなく人?魔術師だと、彼は言ったのだ。

 

アーサー王の斬撃を意図も容易く棒を使って受け流し、そのままカウンターとして棒を振るう。そんな彼に。

 

「彼も来た、ボクたちも真名隠す意味なくなっちゃったし、名乗ってマスターの援護をしなきゃね。」

 

「うん!」

 

そう言いながら彼らは剣を、ナイフをそれぞれ構えて名乗った。

 

「ボクの真名、シャルルマーニュ十二勇士の一人。セイバー、アストルフォ。」

 

「アサシン、ジャック・ザ・リッパー。」

 

《シャルルマーニュ十二勇士にロンドンの有名な殺人鬼!?そんなサーヴァントを使役しているなんて》

 

「一体、あの人は…」

 

マシュが驚き、アーサー王と未だに戦闘する何者かを見つめる。

 

でも、なんでだろう。あの背中は、何処かでみた気がした。

 

 

 






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