拝啓渓流の仲間達。お元気ですか?僕は今とんでもない状況になり今にも逃げ出したいです。
誰か助けて〜〜。
古代林で出会った立派な剣を思わせる尾を持った彼女。自分を変えたい!その思いでしばし同行しているのだが、行く先々でいろいろな猛者との闘いに巻き込まれてしまっています。
今日は運が悪かったのか、リオ夫妻とかち合ってしまった。
「アンタらが噂の飛龍夫婦だろ?2頭で闘うなんて恥ずかしくないのかい?」
ディノバルドさんは挑発も込めていい放った。
すると、緑色の方、レイアが冷たい声でいった。
「アンタももう一頭つれてるじゃないか。タマミツネ種だろそいつ。なんとも弱々しそうだね〜。死んじゃうよそいつ」
リオレイアから冷たい視線を送られ僕は硬直してしまった。
「こいつは勝手についてきてるだけさ、やるなら勝手にやるといいさ。」
お互いに緊張が走る。次の瞬間、赤熱状態となった剣が2頭の前に振り下ろされた。
ここに、戦いのゴングが打ち鳴らされた。
しかし、決着はあっけなかった。お互い火を操る特性を持っているが、対面物理火力ではディノバルドさんが上だった。
2頭は敵わないと思うや否や一目散にその場を離れた。
かなり熾烈な闘いだった僕は逃げ回るばっかりで何も出来なかった。それどころか尻尾の先が少し焦げていた。
何も役に立てず項垂れている僕に彼女はこういった。
「アンタ、少し思ったんだけどアンタが出す泡
それで探知とかできないのかい?」
僕は、唐突に言われた言葉に呆気にとられた。
「いつも敵から逃げる時に泡を飛ばして距離を測ってはいたんだけど闘いには使ってなかったんです」
「なら尚更だね。闘いにそれを転用すればいいんじゃないの?でもそのためには他の感覚器官もきたえな。特に聴覚、嗅覚、触覚だね。」
この人はなんでこんなこと僕に指導してくれるんだろう?
「なんでそんなに丁寧に教えてくれるんで・・・」
僕の顔の横に刃が振り下ろされた。
「勘違いするんじゃないよ!アンタは成り行きとはいえ私についてきてるんだ女々しいままじゃ私が弱くみられるんだよ!」
ほんの少し、ディノバルドさんが照れてるのがわかった。
あれ?なんで僕照れてるってわかったんだろ?
「とにかく、アンタは感覚を磨きな。ここ数年でアンタは少しは強くなった筈なんだから」
そう言ってスタスタ歩き出した。
よし!今日から特訓開始だ!
他の感覚を磨くには目を閉じればいいってじっちゃんが言ってた気がする。
それから僕は出来るだけ視界に頼らずに耳や体に触れる風や擦れる木々の感覚を感じ取るようにした。初めは大きな木にぶつかったり、凶暴なモンスターから追いかけられる羽目になった。
散々な結果だったが今では泡で様々な情報を得ることができるようになった。
僕も成長したな〜。
よし、力を試してみよう。
古代林ねはずれには湖があり、そこにはガノトトスがいる。
僕はまず泡を飛ばしガノトトスの注意を自分に向ける。
ガノトトスは僕を見ると体を捻りタックルの体勢をとった。
いつもならビビって逃げてしまうけど今日は違う。自分の足元に泡を展開し、そのスリップ力を利用して避ける。タックルは空を切り不発に終わった。
その隙を突いて水流ブレスをガノトトスに見舞うとガノトトスは湖に逃げていった。
確実に強くなってる。少し、自信がついた気がした。これも彼女のお陰かも。
それからしばらくして、ディノバルドさんから不吉な事を聞いた。
「渓流ってアンタの故郷だろ?最近そのあたりに、嵐龍が現れて雷狼龍が麓まで追いやられてるって話だよ。行かなくていいのかい?」
戦慄が走った・・・
雷狼龍ジンオウガ。雷撃を操るあいつらは僕達の天敵だ。
でも今の僕ならもしかしたら
でも・・・
「迷うぐらいならさっさといきな!こっちはアンタみたいなのが居なくなって清々するんだから」
その言葉で僕は決心した。
「僕、行きます!今までありがとうございました。」
そう言って僕は一目散に渓流を目指した。待ち受ける死闘の予感を感じながら・・・
「ふぅ・・・やっと行ってくれたわ。でも、なんで私少し寂しいと思ってるんだろ?1人で生きて強くなって家族を殺したアイツに復讐するってあの時決めたはずなのに・・・」
でも、アイツは・・・タマミツネはまたどこかで会える。
そんな気がした。
強敵として・・・