どんよりとした空模様
これも嵐龍の影響なのか今日の渓流は薄暗い。まるで不吉が迫っているかのような。
僕が渓流に帰ってくると、ピリピリした空気を感じた。
本当にいるんだ・・・アイツが
襲いくる恐怖を払い除け僕は、テリトリーに向かった。仲間たちはどうなっただろう。一抹の不安を抱えながら着くと周辺は半壊していた。
一体何が・・・考え終わるより先に理由がわかった。
雷を纏った力強くも逞しい四肢と闇も切り裂く青白い眼光を持った森の王ジンオウガが鎮座していたからだ。
アイツが・・仲間を・・僕に怒りが湧いてきた。それと同じぐらい恐怖の感情も生まれた
本当に勝てるのだろうか強くなったとはいえ自信がまだいまいちだった。
「でも、やるしかない!!」
精一杯の雄叫びを上げ僕は開戦の狼煙を上げた。
ジンオウガは僕を見るや否や体に雷光虫を集め出した。みるみるうちに光が体を覆い尽くし帯電状態になった。
体がピリピリする。強者からのプレッシャーなのか雷撃のせいなのかはわからないが僕の体毛は逆立っている。次の瞬間
凄まじいスピードでジンオウガが突っ込んできた。なんとか当て身をして最小限にはなったもののダメージはかなりのものだった。
なかなか立ち上がれずにいる僕に奴は・・信じられない言葉を吐きかけた。
「お前も他の奴らと同じだ。俺の餌になる運命なんだよ。雷の前では水技など児戯に等しい」
「もしかして・・・仲間達は・・・」
「なかなか美味かったぜ。奥地にいたのでは味わえないぐらい美味だったな」
その言葉を聞いて僕の中の何かが切れた。
体はまるで血が沸騰したように赤黒くなりうちから溢れ出るエネルギーを感じ取った。
怒りのままにジンオウガに向かって吐き出した泡には今までとは違う火が宿っていた。
「こんな泡今更・・」
ジンオウガにそれが触れた瞬間大爆発をおこしそのまま後方に吹き飛ばした。
なんだこれは・・・
昔聞いたことがある一部の個体にのみ狐火を宿すものがいるって。なんで僕なんかが・・
「小僧!よくも王を侮辱してくれたな。ただでは返さん!」
だが、今はよく見える。泡で自身を強化し、そのまま体を滑らせて尻尾を叩きつけた。
ジンオウガもまた、腕に雷光を纏い迎撃してくる。両者ともに盛大に吹っ飛んでいく、だが地の利はこちらにある。さらに泡でジンオウガを拘束するとそのままジンオウガの喉元に牙を突き立てた。
致命傷には至らなかったが、ジンオウガに充分なダメージを与えることができた。
しかし・・・
僕も、顔に傷を負ってしまった。顔面にジンオウガの爪牙を受けていた。視界が朦朧とする。
「グゥ・・だがその傷ではじきにお前の光は失われる。それは我々モンスターにとって致命傷だ。勝負あったな」
たしかに、その通りだ。だが完全に失われたわけではない。まだやれる!まだ片目が生きてる。
お互いボロボロになりながらも死闘は続いた。
だが、あたりに不穏な空気が流れた。見たこともない血のように赤い蟲、そして死神を思わせる赤と黒の体をしたジンオウガがこっちに近づいてくるのがわかった。
一瞬の出来事だった。目の前のジンオウガは無惨にもその強大なジンオウガに沈められた。
「一族の面汚しが!こんな小童に苦戦するとは。死を持って償え!」
僕の中の意識がつげる。今すぐ逃げろと。その強大で赤いオーラをまとったものから。
「今日のところは見逃してやる。だが、次はない。我々の名は獄浪龍だ。曲がりながりにもこいつをおいつめたんだ、敬意を表して見逃すことにする。俺は中腹にテリトリーを貼っている。いつでも挑んでくるが良い。」
薄ら笑いを浮かべながら
「餌になりにな」
ソイツは動かなくなったジンオウガを引きずり消えていった。
ボロボロで傷だらけになりながら僕は思った。奴がいる限り安息はないんだ。何より仲間達のためにもアイツは絶対許さない。
意識が遠のいていく・・
あたりには何故か煙が漂い視界が悪い。僕は長い舌みたいなものに引きずられていく感覚を最後に気を失った・・・
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