雪山につく頃には夕方になっていた。寒さを感じつつ洞窟の中に進むとガムートはいた。
沈みゆく夕日の光と氷の反射でそこには荘厳でいて厳しい大自然の象徴であるかのように。その中央にガムートは鎮座していた。
「なんだ?寝てるのか?
かわいい寝顔してるんだな」
ハッ!‼︎俺はなんでこんな気持ちになるんだ?
しかし、よく見るとガムートの体は傷だらけであった。以前あった時より体格は増し、体表は薄みのかかった銀にほど近い。
「あんたも、かなりやり手なんだな。」
ライゼクスは踵を返しその場を立ち去る。
「今の俺じゃまだ会えねぇ!
もっと強くなる!そしてその時こそは・・・」
溢れ出る想いに蓋をして空に舞い上がる。舞台は天空山
今度こそ勝ってみせる。もうかつての二の舞にはならない!
「行っちゃった・・・でも、信じてる。必ずまた会えるって
その時は私だって・・・」
あれ?おかしいな。何か体が熱い。なんでだろ?
ガムートはもう一度そのまま眠りについた。穏やかな夢の世界へと。
天空山の麓にたどり着いたライゼクスが見た光景は今まで見たことない様子だった。岩は浮かび上がり停止し、モンスターの亡骸がそこらにある。
「これがウィルスの影響で理性を失ったモンスターの成れの果てか・・・恐ろしい場所だ」
自分も一歩間違えばそうなってしまう。気を引き締めながらその場を後にした。
天空山から離れた樹海に一時的にテリトリーを構えることにしたライゼクスであったが、そこには既に先客がいた。
禍々しい棘が体じゅうにあり、赤茶色の体表で大地を砕いてしまいそうな強靭な足を持ったモンスターが熟睡していた。
周りではランポスが多数騒いでいるが全く気に留めていない。
「なんだ?あのモンスター?
まぁいい。俺の武勇の語り手になってもらうか」
体に雷を纏いランポスを蹴散らし突進を仕掛ける。大概の奴は盛大に吹っ飛んでいった技・・・しかし、結果は違った。
吹っ飛ばされたのは自分の方だった。それどころか何もなかったかのように眠り続けている。
「ならこれならどうだ!」
自身の強靭な翼を叩きつける。
が、それでも眠り続けているだけであった。
「化け物かよ・・・」
驚嘆していると、奴はおもむろに体を起こした。
「何かと思ってみれば、蚊蜻蛉がいるだけか。起きて損したな。」
正直トサカにきたところはあったものの先程の力量を見せつけられては躊躇してしまう。
「おい、蚊蜻蛉!そんなにわしと戦いたいならここで1年生き延びてみろ。何やら最近ウィルスにやられるやつの他に、強大な力を身につける奴もいるみたいだからな。」
そういうと再び眠りについてしまった。
「上等だ!絶対に吠え面かがせてやるからな。」
ライゼクスはその場を後にした。
そこからは阿鼻叫喚の地獄だった。凄まじい速度と高い攻撃性のガルルガ、ドス黒いオーラを纏ったジンオウガをはじめとして、昼夜とわず襲撃に晒される日々が続いた。体はボロボロになりこの地に来たことを後悔した。
だが、やられっぱなしなわけじゃない。最初こそ苦戦したが、今では軽く蹴散らせるようになった。蒼白の雷も自由に操れるるようになってきた。
「今ならやれる!」
ライゼクスは再びあの巨木の真下に来ていた。
奴はまた寝ているのかと思いきや、既に起きていて戦闘態勢だった。
「蚊蜻蛉よ。見間違えたぞようやく強者の領域に足を踏み入れたか」
ドスの聴いた声でそいつは言った。
「だが。まだわしが戦うには値しないな。まぁ・・天空山にいる古龍を倒せたなら考えてやる。」
「ならその時こそがお前の命日だぜ。震えて待ってろ」
ライゼクスは力強くその場を後にした。
「やれやれ・・・あんな奴がまだいるとは外の世界も広いもんだな」
棘龍エスピナスは再び眠りについた。
ライゼクスは天空山の奥地、人間達が禁足地と呼ぶ場所についた。これから始まる激戦の予感に体の雷は一層高まり、武者震いに打ち震えていた。
「さぁ一狩りいきますか!」
禁足地の中央エリアに蒼白の翼をはためかせ駆け抜ける。