来るものを拒む異質な空気、空が見えないドス黒い空間
まるで最果ての地を思わせる禁足地の深部では2体のモンスターが対峙していた。
蒼雷をまとう叛逆者
ライゼクス
光輝く災害の元凶
シャガルマガラ
飛龍と古龍。だが、ライゼクスは今や古龍並の力を持ちステージに上がる資格は充分にある。
「ほぅ、ここまでくるからにはどんなやつかと思えば、飛龍か。だか少しはできるようだな」
「まぁな!伊達に武勇を刻んでるからな。あんたも俺の武勇の一部になってもらうぜ。」
両者に緊迫が走る。
シャガルマガラが空に舞い上がり光翼を広げた。まるで、堕天使ルシフェルが降臨したかのように。
「よかろう。かかってくるが良い!」
ここに開戦の狼煙が上がった。
空中から禍々しい黒いオーラを纏わせながら堕りてくるシャガルマガラ。あたりには瘴気が至る所から噴出しまさに地獄の地雷原のようになった。
「この程度の瘴気で・・・」
だが、ライゼクスの体は非常に重い。瘴気の影響だろう。体が上手く機能しない。
「動きにくそうだな。まぁ当然か。これは、狂竜ウィルスだ
理性を無くし、本能をむき出しにしてしまう。我々の本能は・・・わかるな、飛龍よ。」
たしかに、内から湧き上がる破壊衝動に飲み込まれてしまいそうだ。だが・・・
「俺はこんなもんに屈しない!!!」
ライゼクスの天を穿くような咆哮は周囲の瘴気を振り払う。
まさに、雷神の鉄槌のように。
「今度は俺の番だ!」
雷を体に纏い空を駆けるライゼクス。だが、その一撃は空を切ってしまった。
「その程度・・・何!?体が引き寄せられる!」
ライゼクスはかわされることも織り込み済みで次の一手に動いていた。
「どうだい?この強力な引力の味は?」
ライゼクスの生み出した電磁球は磁石のように強力な引力を持ち、対象を引き寄せかつ雷エネルギーでダメージを与える。
何とか逃れようともがくシャガルマガラの眼に写ったのは天を貫く巨大な光の柱だった。
「こいつでフィナーレだ!
穿て!ゼクスカリバー!!!」
巨大な光の柱がシャガルマガラを断罪するかのように振り下ろされる。直後大地を抉るような轟音と光の洪流にあたりは包まれた。
光が収まると翼がボロボロになり深い傷をおったシャガルマガラが倒れていた。
「あっけなかったな・・古龍といえどこの程度か・・」
その場を立ち去ろうとするライゼクス。だが・・・
「まさか、この力を使う時が来るとはな・・・」
低い声の方を見るとシャガルマガラが翼の成れの果てで体を覆った。直後。薄紫色の衝撃から新たな姿のシャガルマガラが降臨した。
翼は先程までの厚みのある翼ではなく薄く先端が光輝き薄布のように透き通っている。
左右に分かれていた角は中央に集まり神々しい一本角へと変貌を遂げた。堕天使から聖天使へとかわるように・・・
「真狂竜化の力を使う刻が来るとは思わなかったぞ。飛龍よ。もはや生きて帰る望みは貴様にはなくなってしまったな」
ライゼクスの体は震えていた。これまで幾つもの死線を潜ってきた。だが、これは違う。
危機本能が警鐘を鳴らしている。
逃げろと・・・ライゼクスの震えは強者を前にした武者震いではない。恐怖からくる怯えだった。幼き日のトラウマが蘇ったかのように。
だが、尻尾巻いて逃げたら俺の心もトサカも折れちまう。
それに、アイツと約束したんだ。
「絶対生き延びてやるからな!今こそ超えてやるよ!限界ってやつをな!」
空模様に闇がさらに深くなり、ここにライゼクスとシャガルマガラの真の戦いの火蓋が切って落とされた。