静寂の中最初に口火を切ったのはライゼクスであった。
震えを抑えながら自慢の翼を叩きつける。しかし、命中はしたものの手ごたえがない。
「その程度か?」
薄気味悪い声が聞こえた直後ライゼクスの体は空を舞った。
「本当の翼の一撃とはこういうものを言うのだ」
シャガルマガラの一撃でライゼクスは後方に吹き飛ばされてしまった。
「なんて威力だ・・・」
その凄まじい威力で電荷状態が一瞬で無に返ってしまった。
「まだ終わらぬぞ」
シャガルマガラが咆哮をあげると周囲にドス黒い球体が無数に出現した
次の瞬間ライゼクスに向かってそれらは一斉に襲いかかってきた。大ダメージは避けられなかったが、何とか耐え抜いた。
今なら・・・角に雷を纏いブレードを形成していく。
「これならどうだ!」
しかし、結果は無惨なものに終わった。
ライゼクスが振り下ろした瞬間シャガルマガラは距離を詰め逆に自身の角で迎撃してきたのだ。結果はなんとライゼクスの角の方がへし折られてしまったのだ。
あらゆる敵を打ち砕いてきた
誇りでもあるトサカが砕けライゼクスのプライドすらも砕いてしまった。
放心状態のライゼクスにシャガルマガラは冷たい声で語り始めた。
「終わったな。だがよく戦ったと誉めてやろう。」
シャガルマガラが両手を振り上げる。
「俺はここで終わってしまうのか・・・」
その時、ライゼクスの体に異変が起こった。内から湧き上がる途方もないエネルギーに晒され体が急速に熱を持ってきているのがわかった。
思えば不思議だった。なぜ自分はウィルスに飲まれないのか。
ライゼクスの強靭な精神はウィルスを凌駕していた。それどころか更なる力を与えた。
なんと、折れた角は以前より大きくて逞しいものに再生し、目は羅刹を思わせるほどに紅く染まっていった。
シャガルマガラはおもわず距離を取る。
「それは、狂撃化!」
自身のウィルスにさらされたものがそれを克服した時そうなるのは当然知っていた。だが、今までそうなる前に決着はついていたのでシャガルマガラはそんなもの無意味だと思っていた。
「俺は、絶対に負けねぇ!例え命がつきてもな!!」
蘇った角から再び光剣が立ち昇る。先程より太く周囲の砂鉄を巻き上げ黒くなるほど強力な電磁力を有して
シャガルマガラはそれでも角を携え向かってくる。
そして、最後の一撃が放たれた。
轟音と小規模な地震を巻き起こしシャガルマガラの角を木端微塵に粉砕し、シャガルマガラは
絶命した。
「俺だってやれるんだ・・・これでまた一歩近づけたかな
また、話す内容が増えちまったぜ・・・」
ライゼクスは強力な力を使った反動もあり意識はそこで途絶えた。
「やれやれ、心配になって様子を見ていたがまた一皮剥けたようだな。まさか、一瞬とはいえ雷極竜と同等の力を使うとはな。」
エスピナスはライゼクスを背中に乗せると再び樹海に向かって羽ばたいた。
禁足地はシャガルマガラを倒したことにより澄み渡り雲一つない壮麗な世界を形成していた。まるで、大局を征した勇者を讃えるように