高等部に進学し、生徒会長に就任したタイミングで、テイオーは可笑しくなり始めた...

はっきり言って、狂っている。

どうか、話を聞いてくれないか。

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重馬場生徒会長 トウカイテイオー概念

あぁ、君か。久しぶりだね。会えて嬉しいよ

 

痩せたか?だって?

 

どちらかと言うとやつれた。かな。

 

君の想像通りトレーナーとしての仕事も疲労に拍車をかける要因の1つだけどね。

 

いや、仕事の一部なのかな。僕の担当ウマ娘を知っているかい?

 

ははっ、そんなに興奮しないでくれよ。

 

僕の担当ウマ娘は、

 

【帝王】トウカイテイオー

 

三度の骨折を乗り越え、人々に感動と熱狂をもたらしたウマ娘さ。

 

自分で言うのも何だけど、彼女は今でも圧倒的な実力と人気を誇っている。

 

ん?トレーナーとしての重責?

 

最初の内は確かに辛かったけれど、流石にもう慣れたさ。むしろテイオーを担当できた事に誇りを持っているくらいだよ。

 

...ウマ娘ってさ、人間と比較して本能が顕著に出やすいのは知っているかい?

 

多くのウマ娘はレースに闘争本能を燃やして走っているんだ。

 

でも欲望となりうる物はレースだけじゃない

 

食欲に転換しやすいのは有名かな?オグリキャップとか、スペシャルウィークとか。

 

テイオーは何に欲望を向けたと思う?ちなみに最初はレースに対してだったよ。シンボリルドルフへの憧れもあったから、本能と言えるかは微妙だけど。

 

はちみー?

 

ははっ、それは否めないかもね。

 

正解はね…

 

【愛する人への独占欲】

 

テイオーに異常を感じたのは彼女が高等部に進学した時期だった。幾度の困難も乗り越え「この先も一緒に走って行こう。」と、硬い絆で結ばれていたと思う。

 

「おはよー!トレーナー!」

 

朝練の度にテイオーは僕に飛び込んできてやれ頭を撫でろだの、ハグをしろだのスキンシップを取るにようなっていたんだ。

 

三年も苦楽を共にした仲だからね。僕もテイオーに深い愛情を持っていたし、テイオーも同様に信頼しての行動だと思っていた。

 

だって年の差が離れているんだぜ?

 

年頃の少女からしたら八歳上なんて、恋愛感情を持つ訳がないと思っていたんだ。

 

...そう、【独占欲】は僕に向けられた。

 

憧れの【皇帝】シンボリルドルフが卒業してしまったと言うのもあるかもしれない。

 

生徒会室に入り浸っていたから、今まで自分に向けられていた愛情が不足していると感じたのだろうか?

 

今となっては分からないけどさ...

 

テイオーが【皇帝】の背中を追い生徒会長になったのもつかの間、僕のチームを持つと言う話が握りつぶされた。

 

僕は多くのウマ娘をスターにしたくてトレーナーになったから、当然反発したよ。

 

それがお気に召さなかったらしい。

 

ペラリ

 

この腹を見てくれ。見事に痣が付いているだろう?

 

「トレーナーは何でボク以外のトレーナーになろうとするの?トレーナーはボクのモノだよね?何で僕から離れようとするの?」

 

ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

 

「何でッ!」

 

人間はウマ娘には敵わない。

 

僕は為す術なく壁に向かって吹き飛んだ。

 

そしてこう言ったんだ。

 

「ボク以外のウマ娘と会話したら...」

 

「怒っちゃうよ、トレーナー」

 

以降、【支配】が始まった。

 

反抗したのかって?まさか!

 

僕は自殺志願者じゃない。テイオーの毛を逆立てる様な事をするべきではなかったからね。

今まで飲みに行ってた同僚や、後輩トレーナーはもちろん。今まで気を配っていた生徒との関わりも最大限断った。

 

僕は退職の準備を始めた。自分ではウマ娘を適切に指導することは不可能だと思ったし、何より命の危機だった。朝から晩まで傍にはテイオーが付き纏い、行動が制限された。カフェテリアで他のウマ娘を見よう物なら...

 

「向こうにいこう?...来いッ!」

 

人目のつかない場所まで誘導され、【お仕置き】として首筋を噛まれたよ。肉が裂けて絶叫しようにも口を塞がれ声すら出せない。そんな状態が続いたら人は正気では居られない。

 

その日から一日の大半をトレーナー室でテイオーと共に過ごした。

 

大人しく従い、静かに退職の準備をすれば僕の運命は変わったのかもしれないね。

 

あぁ。僕のウマ娘をスターにすると言う夢を抑えきれなかったんだ。

 

日に日に摩耗し生徒からの評判も悪くなりつつあった時に、新入生に声をかけられた。

 

「トウカイテイオーさんに憧れている」

 

「私もトウカイテイオーさんのようなウマ娘になりたいから指導して欲しい」

 

話せばもう少し長くなるけど、要約すればこんな感じ。当然僕は直ぐに立ち去ろうとしたけど、半ば無理矢理に走りを見る事になった。

 

正直に言って才能がある訳では無かった。

 

でもテイオーに感じた、目標への無邪気な気持ちと、純真さに惹かれてしまったんだ。

 

有り体に言えば彼女にテイオーを重ねていたのだと思う。幾ら暴力を振るわれても彼女の走りに魅了されていたのは変わらない。もっと走りを見ていたいと無意識に感じていた。

 

その時の僕は興奮していて、周りを見ていなかった。彼女の手を取り、メニューを考えようと約束をした。...してしまった。

 

パラリ

 

今後の予定のすり合わせをしてトレーナー室に帰っている最中に一部が欠けた壁を見た。

修繕の必要アリと報告しなければ...

僕の熱は冷めきらず、過去に行ったトレーニングメニューを見返していた。才能はハッキリ言って雲泥の差だが脚質や距離適性自体はほぼ同じ。テイオーのメニューを流用出来ると思ったからだ。

 

うん。愚策だよね。トレーナー室で作業したら...

 

「入るよ。トレーナー」

 

こうなる事は...

 

「ねぇ?何してるの?」

 

わかりきっていたのに...

 

メニューを見返していたんだと惚けた。実際その通りなのだし、周りには注意していたと思っていたからバレるはずないと思っていた。

 

「そうなんだね?トレーナー」

 

「じゃあさ、コレはどういう事?」

 

テイオーが置いたスマホには、つい十分前のあの娘とのやり取りをしている写真が写っていた。この時初めて現状に気づいた僕は青ざめ、ガタガタと震えるしかなかったよ。

 

「ボクは無敵のテイオー様だもんねっ!何だってお見通しなのだー!」

 

「でさ、トレーナー。ボクの言った事忘れちゃった?」

 

掴んでいた机にヒビが入り始めた。

 

「ボク以外に目を向ける事は許さないって」

 

「あまつさえ他のメスのトレーニングを見る?」

 

「お仕置きだね♡」

 

首筋をいつもより深く噛まれた。肉が抉れる痛みに気を失いそうになる。

 

「実はアグネスタキオンに発信器を作らせたんだ。一回付けたら絶対に外れないヤツ」

 

カプセル状の機械を取り出し、抉れた筋肉にねじ込まれた。どこかは分からなかったが、筋肉と同化していく感覚が不快だった。

 

「コレでもう逃げられないよ」

 

「トレーナー♡」

 

...その後は酷い有様だったよ。当然の様に権力を使って傍に居させようとするし、外出などしようものなら一生手は離さなかった。

 

...逃げる事も隠し事も出来ない。でも、

 

...何でここに居るのか?と疑問に思ったね?話では発信器が付いていて、束縛されている筈なのにと。

 

...マフラーで隠してたけどさ、コレを見てくれ。傷ばかり見せて申し訳ないけど

 

吐き気を催したよね。そう、自分の首筋を抉ったんだ。テイオーのいない隙に。

 

親友のよしみだ。頼みをひとつ聞いてくれ。安全に海外へ逃亡させて欲しいんだ。力のある資産家の君なら出来る筈だ。プライベートジェットの一つや二つ持っているだろう?

 

頼むよ。これほどのチャンスはもう巡ってこないかも知れないんだ!テイオーが丸一日いない日なんてもう来ないッ!

 

頼ッ!......

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

すがりついてきた親友をスタンガンで気絶させた。仕方の無い事なんだ。連絡を入れようとスマホを取り出そうとするが...

 

「ご苦労さま。直ぐに逃げ出しちゃうんだから困ったものだよ」

 

「そろそろ従順になってボク以外見えなくなる予定だったんだけどねー」

 

「お疲れ様です。トウカイテイオーさん」

 

いつからいたのだろうか?どこからともなくトウカイテイオーが現れた。

 

「うんうん。目を掛けてやった甲斐があったよ。お陰でこんなに役に立ってくれた」

 

ガタガタと身体が震えてくる。俺はこのお方に逆らう事が出来ない。

 

「丁度良かったよ本当に。トレーナーの周りに金のためなら裏切るクズが居て」

 

「友情って儚いね?金と金を得るための人脈をチラつかせれば簡単に壊れる」

 

「おっしゃる通りで...約束は果たしてくれるんですよね?」

 

「金銭の援助をするってヤツ?それはもう必要はないね」

 

その言葉は決して援助するまでもなく金を得たからとか。そんな理由ではない。

俺は、切り捨てられるんだ。

 

「トレーナーを手に入れる為のコマになってくれて本当に感謝してるよ」

 

「トレーナーに近づくメスの排除とか。記者の始末とか。色々やってくれたね?」

 

何もかも失ってしまう。それだけは嫌だ。

 

「そう...ですッ私は従順な」

 

「でも、もう耐えられない。お前のような薄汚い金の事しか考えていないクズがトレーナーと関係を持っている事に」

 

「トレーナーにはボクだけが居ればいいんだ。もちろんボクもトレーナー以外は何も望まない」

 

「ボクのトレーナーには綺麗な身でいて欲しいからね!だってお前はトレーナー自身にも悪影響だし、最終的にはボクたちの子供にも悪影響になるでしょ?」

 

「だからもう消えてもらうね」

 

「さようなら」

 

トウカイテイオーがアイツを愛おしそうに抱え、背を向けて去っていく。俺はもう終わりだ

 

終わるなら爪痕くらい残してやるッ!

 

「おいッ!綺麗な身でいて欲しいと言ったなッ!どうせアイツがまだ性交経験すらない童貞だと思っているんだろうッ!」

 

「は?」

 

床を踏み砕き、こちらを殺さんとばかりに睨みつけてくる。知ったことか...

 

「お前とアイツが出会う前、アイツは俺の彼女を抱いているんだよッ!あぁそうさ!俺が性欲を満たすためだけに寝とらせたッ!」

 

「アイツは俺がわざと寝とらせた事に気づいていないけどな!」

 

「アイツの身は純潔じゃあないッ!」

 

言い切ってやったぞ!ざまぁみろ!これでアイツは一生くr

 

「黙れよ」

 

何故俺の背中が、自分で見えるんだ...?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どちゃッとクズが肉塊になった。あのクズのせいでボクのトレーナーが...

 

ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセ

 

許せないッ!

 

怒りが収まらずグシャグシャに踏み潰してしまった。せっかくトレーナーに買って貰った靴が汚れてしまった。

 

本当に死んでも尚恨めしい。

 

でも、クズは全員始末した。

 

「もう少しだよトレーナー」

 

「ボクは【無敵のテイオー様】だからね」

 

「これからはずっと一緒だよ?」

 

「トレーナー♡」




ふざけるな!絶対にトウカイテイオーはこんな事しないっ!という気持ちと、 良いぞもっと暴れろっ!という気持ちの二律背反に悩まされながら書きました。

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