こちらイタリア艦隊日本支部提督代理、救援を求む! 作:狛犬太郎
また、今後イタリア艦娘達が出てくる事となりますが、基本、日本語での進行となります。
自身がイタリア艦娘好きなのとカッペリーニ号の冒険を見て何となく書きたくなったものなので気まぐれに書いていきます。
夢を見た。やはり夢という事もあって若干あやふやな所もあるが、見覚えのある場所だ。ナポリ、フィレンツェ、そして運河の街ベネチア、過去に観光ではあるが旅をした街々だ。特に印象深いベネチアでは至る所で音楽が流れ、夕焼けが水面に映える光景は夢の中ではあるが感慨深いものである。そんな微睡みをぶち壊すようにラッパの音色が響いたのであった。
ここは日本海軍横須賀鎮守府、イタリアではない。
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「...は?イタリア、でありますか?」
男は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
朝一の呼び出しで既に疑問符全開ではあったが、目の前の椅子に腰を掛ける女上官はこちらの疑問に対して関係ないと言わんばかりの悪意なき笑みを浮かべる。
「そうだイタリアだ。どうした、私の顔に何か付いているのか?」
「...いえ、なんでもありません。」
まさかイタリアの夢を見た後にイタリアの話が出てくるとは思わず、上官の顔をまじまじと見つめてしまった。
世界の海に突如として現れ、人類に多大な被害をもたらした存在『深海棲艦』
そしてこの深海棲艦に相対する存在で、過去に実在した艦艇の魂をその身に宿す『艦娘』が現れたのであった。
それまで深海棲艦になすがままであった人類が艦娘の力を借り、厳しい戦局を打開していったのだった。
そしてそんな国々の中に『イタリア』という国家があった。地中海に海岸線を持つヨーロッパの国で、首都はローマ。
この国は西洋の文化や料理に大きな影響を与えており、有名どころの料理を挙げればパスタやピザ等々。
また、名高い芸術作品や古代遺跡の数々でも多くの人々に知られており、他の主要都市には、ミケランジェロのダビデ像やブルネレスキのドゥオーモをはじめとしたルネッサンスの傑作で知られるフィレンツェ、イタリアファッションの中心地ミラノ、そして運河の街ベネチア。
この歴史ある国家のイタリアにも艦娘が発現しており、イタリアの危機を幾度となく救ってきたと言う。
そして私、『三谷四郎(みたにしろう)』性別男・年齢28・身長178・日本海軍に勤めて6年になる。所属は横須賀、この上官は横須賀鎮守府の提督であり、私はこの横須賀鎮守府で上官を補佐する中尉というただの一士官であった。
「提督殿...そのイタリアと、私に何の関係が...?」
はっきり言って話の展開が全く読めない。イタリアと自身の関係と言えば過去に旅行経験があるのと大学時代に第二言語はイタリア語を選択し、実用イタリア語検定を取得しているぐらいだ。
「えーっとだね三四郎(さんしろう)君。」
「三谷四郎であります提督殿。もうこの海軍に勤めて提督殿とも6年の付き合いになります。」
この提督はやたらと人に渾名を付けたがるようで私の場合は『三谷四郎』を略して『三四郎』と呼ばれる。
正直、この渾名は学生時代に夏目漱石の執筆した『三四郎』で散々弄られてきたのでもう飽きているのだ。
「まぁそう硬い事を言うんじゃない。これは私なりのスキンシップなんだぞ?リラックスリラックス!」
まだ、御歳33だというのに冗談がお好きな方である。海上戦闘の指揮は群を抜いて上手く、整った顔立ちをしているのに少々残念なのだ。
...上官がリラックスと言うのであるならば、少し言葉を崩してもいいだろう。
「...結論、イタリアがどうしたんですか神崎提督。」
一呼吸おいて目の前の女提督に話を促した所、やれやれと言った顔で話し始めた。
「そもそも君が話を脱線させたんだけどね。まぁ本題に入ろう。先日、日本海軍とイタリア海軍で会合があったのは知ってるな?」
「ニュースにもなりましたしね。」
「よろしい、その会合でイタリア側から提案があった。その内容というのが、艦娘育成先進国でもある日本にイタリア艦娘達を送るから指導をして欲しいと言う事だ。」
補足しておくと日本、アメリカ、イギリスの三国は艦娘の発現が他国よりも早く艦娘育成先進国として認知されている。その中でも日本は多くの艦娘が見つかっており、艦種に応じた育成方法や武器開発など他国に比べて多少進んでると言える。
「なるほど、留学のようなものですね。」
「まぁ、そんな所だね。ここ最近の日本近海は深海棲艦の出現も増え始めているしで日本側は一時的とはいえ戦力増強が出来て、イタリア側も艦娘達が力をつけられるならとお互いウィン・ウィンの話らしい。」
イタリアとしては一時的とは言え戦力が削られてしまうことになるが今現在、地中海付近では深海棲艦の攻勢も弱いと聞くのでタイミングとしては今が良いのだろう。
それよりも気になるのが...
「...結局、それと私に何の関係が?」
最初から嫌な予感はしていたが改めて嫌な予感がしてした。
「......三四郎君。君、イタリア語わかるよね?入隊時の履歴書に書いてあったし。」
履歴書の話まで遡って来ると言うことは本格的に怪しくなってきた。しかしそこは事実なので否定出来ない。
「...多少の読み書き会話は出来ます。」
神崎提督は不敵な笑みをこちらに向けて手を差し伸べてきた。
「結論から言おう、三四郎君。お前も提督にならないか?そしてイタリアに行かないか?」
...かの有名な鬼と戦う漫画で見たことある気がする一文であった。この場合「ならない。私と貴女では提督の価値基準が違う。」とでも言った方がいいのだろうか。冗談はさておきまるで意味がわからんぞ。
「...提督、やはり順を追って話して頂けますか?」
神崎提督は「あ、うん」と一言呟いた。ちょっと期待していたのか少し残念そうな何とも微妙な表情だった。
神崎提督宛に届いた書類を確認すれば上層部は日本海軍がイタリア艦娘達の指導をするのは良いが、イタリア艦娘の実力がどの程度なのか未知数であるのと、今後日本の艦娘を海外派遣するなども検討しているようで、イタリア艦娘達と連携して作戦を行うのであれば一度イタリア海軍を視察する必要があると言う見解のようだ。話を聞けばご最もである。
で、私はこの問題の書類について触れていかなければならない
「...あの神崎提督。」
この女提督の目の奥がキラリと輝いた気がする。
この目を見れば私はこの女提督の掌の上で既に踊らされているようだ。
「...なんだ?」
「今回のイタリア視察の担当者指名欄ですが、何故既に私の名前が記載されているのでありますか?」
「既に君の名前が書いてある経緯を言えば半分は無論私が承諾し、私が書いたからな。まぁでも半分はイタリア海軍が直々に三四郎君を指名してきたからだがね。」
...話がおかしい。まず第一に当の本人からの承諾が事後承諾という点だ。私は今話された内容なのに当人の知らぬ間に話が進んでいる。第二にある程度の実績がある提督が今回のイタリア艦娘指導員として選ばれるのであれば、それこそ神崎提督が選ばれたというのであれば納得する。しかし私こと三谷四郎は作戦指揮の補佐こそするが、あくまでも一端の中尉というだけなのだから。名も知れていない名声もない、何故そんな奴をイタリア海軍は指名しているのだろうか。
「まぁ待て、君が言わんとしていることは容易に想像がつく。イタリアがどんな経緯であれ、三四郎君をご指名なのだ。我々日本海軍としても今回の話は利があるものであり、同盟国の頼みを無下にすることも出来ないと考えている。」
一呼吸入れて神崎提督は話を続ける。
「それにだね三四郎君、君も我が日本海軍に入隊して6年目だ。そろそろ次のステップに進んでもいい頃だと考えているのだよ私は。今回のイタリア艦娘指導員を経験し君も提督として独立出来るチャンスだ。」
私は提督になろうとは考えていない。私自身が提督の器ではないと思っているのだ。今までお会いした提督達は神崎提督(少々残念な所もあるが)を含め、作戦指揮・艦娘たちとの交流・各界への繋がり等様々な才能に満ち溢れているような方々である。
それにこの話は面倒な臭いがプンプンする。日本国内で評価を得て提督となるのであれば、私も認められたと実感するが、確実に面倒事になると直感的に感じるのだ。
しかし、この神崎提督が海上戦闘で得意とする逃げ道を塞ぎ、敵を追い込むという戦法のようにジリジリと退路を断たれていく。
「三四郎君、君は今自分には才能も艦娘達のトップに立って先導する事も各界への繋がりもろくに無いとか考えているのだろう?...はっきり言って君に足りていないのは自身に対する評価だ。この私が君の提督としての才能を認めてるのに何故君はそこまで自分に否定的なのかね?とりあえず、それを踏まえて今回のイタリア指導員として良い経験だと思って君を推す予定だったんだ、流石に私が君を推薦する前にイタリア側から指名があるとは思わなかったけどもね。」
「......」
どうやら、私はどう足掻いてもイタリアに行かねばならないようだ。まぁそもそも軍人は上の話に対して『はい』でしか答えられないが...。
「まぁそういう事だ三四郎君。...なぁに心配するな日本に居られないのはほんの3ヶ月程度だ。君の方が知ってるとは思うがイタリアは良いぞ?気候も穏やか、飯も美味い。少し長めの休暇だと思って気楽にやってくればいい。あ、でも指導はしっかりしてくれよ?流石にそこで手を抜かれると私が困る。」
「拒否、とまでは言いませんが御相談等は...?」
「勿論聞こう。今回の話をお断りや時期変更ということ以外であればな。」
やはりこうなってしまう訳だ。
軍人という生き物は時に悲しいものだ。
「......ありません。」
「よろしい!善は急げというものだ。上層部とイタリア側には私から返答しておくから。出発は1週間後だ、三四郎君。それまでにイタリア行きの準備をしておいてくれ。」
「はっ!三谷中尉、これよりイタリア艦娘指導の為、イタリアに向かう準備に取り掛かります!」
話が終わり退室しようとした所で神崎提督から声を掛けられた。
「そうだ三四郎君。」
「...なんでしょうか?神崎提督。」
またこの女提督の目の奥がキラリと輝いた気がする。
「ここのすぐ近くで大規模な工事を行っているだろう?あれはな、新たな鎮守府・兼研修場だ。3ヶ月の研修が終了したらイタリア艦娘達が出向という事で日本にやって来て暫く駐留する。因みに君はそこの提督、まぁ最初は提督代理となるがその予定だからよろしく。」
「.........はい。」
この時ばかりは異論を唱えたかった。しかしこの提督はは返事を聞くなり話は終わりだとスマートフォンを取り出し何処かへと電話をかけ始めた。
早い、いくらなんでも早すぎる。
いつかは提督という話ではあったが気持ちの整理もつかないまま3ヶ月後に代理とはいえ提督というのはまさかの自体である...
『夢に見たことが現実になることがしばしばある』とはイタリアの言葉だがまさかこうもこの言葉通りになるとは思いもしなかった。しかし、こうなってしまった以上仕方がない、私も一端の軍人だ。私のできる範囲ではあるがイタリア艦娘達に指導をし、実力をつけて貰うしか無いだろう。
こうして私こと三谷四郎はイタリアへ渡ることとなり3ヶ月後には代理ではあるが提督となってしまうのであった...。
ーーーーーーーナポリ海軍基地にて
あ、お疲れ様です。えぇ勿論、ちゃんとやってますって!今回の戦闘も被害軽微で作戦完了です...もぉ〜流石にプライベートと仕事の分別ぐらいはありますよ〜!そうそう、日本からの返答は...えっ!?来てる!?ど、どうですか!?日本は引き受けてくれるって!?.........はぁ〜、良かったぁ〜〜!!じゃあ、『彼』がイタリアに来てくれるってことで良いのよね!?良いですよねっ!?まぁ次は私が日本に行くって事もこれで決まりましたし、焦らない焦らない...。ちゃんと日本文化も勉強してるし...エホーロールフェスタ、セッツブーン...えっ?日本語?勿論!なんだったら私だけじゃなく今回の参加者はある程度話せますよ。みんな勉強しましたし!
えーっ!疑ってるんですか!?ならここで話してみせますよ!『不思議なぐらい流暢な日本語タイム』どうですか!?えっ?なんで恵方巻きじゃなくてエホーロールフェスタなのって...あー...実はとりあえず語学から始めてあとから日本行事のーーー
話にストックは無いので出来上がり次第の投稿となります。