お久しぶりです。
全然話進んでなくてすみません。
あと今回いつもより短いです。本当にごめんなさい。
「うわっと!?」
人気の少ない路地裏を抜けたちょっとした広場にて、仮面ライダーアトリエは怪人と戦っていた。
全身が黒く、装甲はとことどころだれている。よく見ると、たまに蛆が湧いていたり蠅が飛んでいたりと近付きがたい雰囲気が漂っている。
しかし、だからといって放置するわけにもいかない。アトリエは苦心惨憺しながらも戦闘していた。
「アア……アァ……」
「どうしよ……やっぱヒットアンドアウェイかな」
【Let's play!】
【Inject!】
【サクセスミックス! Let's enjoy,フッ、フッ、フライト!】
「よっし、レッツゴー!」
フライトMIXへと姿を変え、アトリエは宙を舞う。
一発当ててはすぐに離れ、またすぐに近付いて攻撃を仕掛ける。
だが、怪人の方もやられるばかりではない。アトリエの接近に合わせて大量の蝿を飛ばして迎え撃つ。
「うわぁ!?」
すんでの所でアトリエは回避するも、そのせいで体勢を崩し地面に転がってしまう。
慌てて立ち上がるアトリエだが、一つ気になるものが視界に映った。
人影だ。怪人の後ろに、自分とほぼ同年代であろう黒髪の少年の姿が見えた。
「危ないよ! 逃げて!」
アトリエが叫ぶも、少年は逃げようとしない。寧ろ、怪人の方に近付いていく。
そして、ついに口を開く。
「止まれ」
その声が発されると同時に、怪人の動きがピタリと止まる。
怪人の身体を軽く押し退け、少年がアトリエの前に立った。
「……久しぶり、シャリア」
「久しぶり……? どこかで会ったっけ、何も憶えてないんだけど……」
「……だろうな」
苦虫を噛み潰したような表情で、少年は呟く。
「だろうなって……っていうか! 君誰!? 君が『止まれ』って言ったら怪人が止まったんだけど!?」
「それは、俺たちがシャリアを連れ戻すために遣わせているからだ」
「どういうこと……?」
訝しげにアトリエが尋ねる。
黒髪の少年は咳払いをすると、重そうに口を開き話し始めた。
「シャリアは憶えていないかもしれないが……俺たちが出会ったのはおよそ一年前。あの時のシャリアは────」
「そこで何をしている?」
二人の話に割って入ったのはダツタだ。
いつもの仏頂面を引っ提げてこちらに歩み寄ってくる。
「……誰だお前。このバカの知り合いか?」
「私バカじゃないもん! バカって言った方がバカだもん!」
「お前は黙れバカ。俺はこっちの黒いのに話しかけてる」
「理不尽だぁ……」
仮面の下で哀しげな表情を浮かべるアトリエ。
一方のダツタと黒髪の少年の間には、ピリピリとした空気が流れている。
「……シャリアをよく知りもしないくせに、よくもまあ堂々と罵倒できるな」
「そいつがバカなのは事実だ。それより、お前は何者だ? 学校を襲っている怪人の頭領か?」
「名前を聞く時はまず自分から名乗るのが筋じゃないのか?」
「ダツタ・ホーマ。お前は?」
「……サグラス・ハウゼン」
呟くように名乗ると、サグラスはアトリエとダツタに背を向けて歩き始めた。
「おい、待てよ! 質問に答えろ!」
「シャリアならまだしも、お前の質問に答える義理はない」
「おい!」
ダツタが追いかけようと走り出したところで、サグラスは怪人とともに街へと消えていった。
視界外に消えたため追跡を諦め、ダツタは変身を解除したシャリアの元へ戻っていく。
「おい、あいつ誰だ? 知り合いか?」
「私も知らないって! あと私はバカじゃないから!」
「まだ引きずってんのか」
「バカって言った方がバカだから!」
「るっせーな」
面倒くさそうに話を切り上げ、ダツタはその場を去る。
自身に対する罵倒の謝罪や訂正がなかったことに少し腹を立てながらも、同じようにシャリアも家路についた。
「おかえりー。どうだった?」
「……悪い。知らない奴に邪魔された」
「駄目じゃん」
廃家へと戻ってきた黒髪の少年・サグラスは、悔しげに結果を報告する。
一番に反応を返したのは金髪の少女だ。が、すぐに水色の髪の少女も口を開く。
「お姉ちゃん、私たちのこと憶えてた?」
「……少なくとも、俺のことは憶えていなかった。恐らく、皆のことも……」
「……そっか」
「全部、俺のせいだ。俺があの時、あんなことをしなければ……!」
歯軋りしながら、サグラスは机を叩く。
それを宥めたのは、濡れ羽色の髪の少女・ユーヴァだ。
「しょうがないことだったんだよ。あんまり気負わないで」
「……だとしても、やったのは俺だ。俺は、シャリアを信じられなかった……いや、怖かったんだ。保身に走ったんだ。シャリアは、どうしようもないくらい優しい奴なのに……」
頭を抱えてボソボソと呟くサグラス。
金髪の少女は、サグラスに対し寝転がりながら気怠げに返した。
「もう過ぎたことだしどうでもよくない? 大事なのはこれからでしょ」
「それは……そうだけど」
「でしょ。……まだ、シャリアのこと諦めてないんでしょ?」
「……あぁ。シャリアは、必ずこの手で取り戻す」
「その意気。じゃ、私は寝る」
「……せっかくいい師匠っぽい感じだったのに台無しだぞ……」
「話は聞いた。お前、記憶喪失らしいな?」
昼休みの空き教室。
ダツタはシャリアを呼び出し、話をしていた。
内容は、シャリアの記憶について。
「そうだけど……誰から聞いたの?」
「先生から。まあそれはいい、お前はいつから記憶が無いんだ?」
「えーっと、大体51年くらいだから……ここに入学してから?」
「なくなり過ぎだろ」
「だって……本当にそのくらい無いんだもん」
「無いんだもんじゃねぇよ。なんで記憶がないのか気にならねぇのか?」
「そりゃあ気になるよ。でも……」
シャリアとしても、自分の記憶喪失の原因を知りたくないわけではない。
しかし、手がかりが一つとして存在しないのだ。
唯一手がかりがあるとすれば、それは恐らくあの黒髪の少年だろう。だが、シャリアはあの少年に猜疑心を抱いている。
過去の自分を知っている可能性があるが、時折現れる怪人を従えているとなると、嘘で丸め込もうとしている可能性も包含している。
「今が楽しいし、それならそれでいいかなって」
「目の前のことしか見えていない楽観主義者の台詞だな。後悔するぞ」
「その時はその時だよ」
「それは先のことを何も考えていない計画性のないやつの台詞だ。お前みたいな馬鹿にはピッタリだが」
「私のことめちゃくちゃ馬鹿にしてくるね!? そういうそっちはどうなのさ!」
「今はお前の記憶喪失の話をしている。論点をずらすな」
「むぅ……!」
「まあいい。お前に記憶があろうがなかろうが、俺には関係のないことだ。お前の好きにするといい」
吐き捨てるように呟くと、ダツタは空き教室を去っていった。
一人取り残されたシャリアは、時間も忘れて思考を巡らせていた。
放課後、再び怪人・ロンリネスマテリィがシャリアの前に現れた。
相変わらずの腐臭は、シャリアの表情を簡単に曇らせる。
しかし、逃げるわけにはいかない。彼女は仮面ライダーの力を持つ存在、敵前逃亡は許されない。
「よし、行こう」
【Let's play!】
【Inject!】
【サクセスミックス! Let's enjoy,シャッ、シャッ、シャウト!】
仮面ライダーアトリエ シャウトMIX。
発声によって遠距離から攻撃できるこの形態は、ロンリネスマテリィ相手には最適の形態となる。
「わーっ!」
アトリエの声が響き、ロンリネスマテリィの外装にダメージを与えていく。
しかし、この形態は攻撃の範囲が広すぎる故余計な被害を出しやすいのが玉に瑕だ。街中では戦闘しづらい。
アトリエは声による攻撃を行いつつ、周囲に被害が出にくい森の方へと誘導した。
「ここならオッケー! じゃあもう一回! あーーー!!」
「わー! まー!」
「あー! ……や、やばい、喉枯れそう……」
シャウトMIXはその特性上、長時間戦闘を行い続けると喉を潰しやすい。
そのため、よほど強い喉を持っていない限りは短期決戦を強いられる。
アトリエもこの例に漏れず、喉を潰しかけている。シャウトMIXで戦うのはそろそろ限界だろう。
「うー、仕方ない。これを出そう……!」
アトリエが取り出したのは、竜巻のレリーフが刻まれた瓶だった。
中では、黄緑色の液体が静かに揺れている。
アトリエはコルク詮を弾き飛ばし、アトリエドライバーに装填した。
【Let's play!】
【Inject!】
アトリエドライバー下部のレバーを引っ張ると、液体が中央の容器に注がれていく。
液体はこれまで使用したシャウトライダーエキスと混ざり、不思議な色合いへと変化する。
【サクセスミックス! Let's enjoy,トッ、トッ、トルネード!】
仮面ライダーアトリエ トルネードMIX。
まるで竜巻に包まれているかのように全身のアーマーは渦巻いており、頭部に覗く眼は黄色く光っている。
配色としては全体的に薄めだが、その静けさの中に強さを持つフォームだ。
「まずはこれ!」
アトリエはロンリネスマテリィに右手を翳す。
すると、アトリエの手から竜巻が発生し、ロンリネスマテリィを数メートルほど吹き飛ばした。
「まだまだ! もういっちょ!」
左手も前に出し、アトリエは両手から次々と竜巻を生み出していく。
ロンリネスマテリィも何度かは避けられたものの、全てを避けきることは出来ず度々吹き飛ばされていた。
「今がチャンス! 突撃〜!」
アトリエは自らの周囲に竜巻を発生させ身に纏うと、そのままロンリネスマテリィへと体当たりを行った。
8の字を描くように飛び回り、ロンリネスマテリィにダメージを与え続ける。
やがて、ロンリネスマテリィの足取りがふらつき始めた。残り体力が少なくなっているであろうことが容易に想像できる。
「よっし、とどめだぁ!」
【Let's play!】
【Inject!】
【フィニッシュミックス! Let's GO!】
「よいしょお!」
アトリエは小さめの竜巻を腕に纏うと、それをロンリネスマテリィに投げつけた。
竜巻はロンリネスマテリィの足に命中し、その場から動かないよう拘束している。
その隙にアトリエは飛び上がり、右足を突き出したままロンリネスマテリィを貫く。
「はあああっ!」
ロンリネスマテリィは爆散、塵一つ残らず消え去った。
「よぉーっし! 今回も私の大勝利! いぇい!」
勝利に喜び、高々とピースサインを掲げるアトリエ。
その姿を、陰から覗く者がいた。
「あれが仮面ライダーアトリエ! いいね、おんなじ匂いがする」
期間空けてたくせにいつもより1000文字くらい短いです。本当にごめんなさい。
『AIのべりすと』というサイトに浮気してました。
その影響もあって文が変になってるかもしれませんが、何卒ご寛恕くださいますようお願い申し上げます…………
なお、仮面ライダーアトリエの世界では『エルフにとっての1年=人間にとっての17年』という計算になっております。