仮面ライダーアトリエ   作:青ずきん

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お久しぶりです。
いや本当に。
AIのべりすとにハマってたりテストがあったりでなかなか投稿出来ず申し訳ないです。書きたい展開を書いたらそこで終わりにするため文字数も各回でバラバラになりますが、どうか本作をよろしくお願いします。
   


第6話 手品→古生物のちエンターテイナー

   

「えーっと……ごめん、誰?」

 

「あ、やっぱりいきなりはアレだったかな」

 

「いきなりっていうか……なんていうか、メンタルすごいね……」

 

 放課後、帰路につこうと靴箱まで向かっていたシャリアは、ある男子生徒に絡まれていた。

 名はラマン・マーチャンダイズ。

 普通魔法科に所属している初等部四年生らしい。

 

「ほら……こう言うとアレだけどさ、錬金術って結構注目されにくい学問じゃん?」

 

「すごいストレートに言うね」

 

「でさ、実は俺『手品』を勉強しててさ。手品もあんまり注目されてないから、親近感を感じたんだよ」

 

「手品……?」

 

「そう。手品っていうのは、こういう感じで……」

 

 ラマンはシャリアの前にOKの形にした左手を出す。

 そこに右手の親指と人差し指を近づけると、グッと前に押し出した。

 押し出された右手は、なんとそれまで姿も形もなかったコインを摘まんでいた。

 

「おおー! 何その魔法?」

 

「だから魔法じゃなくて『手品』。魔力を使わずに、魔法みたいなことができるんだよ」

 

「へー!」

 

 それからも、シャリアはラマンの話を頷きながら聞いていた。

 この『ディスパル』という星では、魔法を中心として世界が回っている。

 それゆえ、実際の魔法よりも実用的でない手品は流行りにくかった。

 全員が当然のように魔法を使うこの世界では、『魔法みたいなこと』をする必要に駆られなかったわけだ。

 

「へぇ……うわ、もうこんな時間だ。じゃ、私帰るね!」

 

「うん。よかったら、明日も手品を披露するよ」

 

「よろしくー!」

 

 大きく手を振りながら走り去るシャリア。

 ラマンは、その姿を胡乱げに見つめていた。

 

 

 翌日の下校時間、学校近辺にマテリィが出現した。

 全身からナイフが飛び出た怪人、『ナイフマテリィ』だ。

 全身凶器と呼ぶに相応しいその見てくれは、見る者に恐怖と不安を与える。

 

「うわぁ……何あれ……」

 

 騒ぎを聞きつけて駆けつけたシャリアだが、やはりナイフマテリィの外見に若干引いているようだ。

 黒い外装に覆われた肉体、様々な角度で飛び出すナイフ。

 本来眼があるはずの位置から飛び出しているナイフは、他とは違う輝きを宿している。

 

「……まあ、いつも通りやろう」

 

 シャリアはアトリエドライバーを取り出し、すぐさま仮面ライダーアトリエ ブランクMIXへと変身した。

 ナイフマテリィの元まで一気に駆け、胸部に飛び蹴りを浴びせる。

 しかし、効いている様子はない。

 それどころか、逆にアトリエの方がダメージを負っていた。

 

「痛ったぁ!?」

 

 というのも、ナイフマテリィは全身のほぼ全てが隙間なくナイフに覆われているため、まともな肉弾戦をしようとすればこちら側がダメージを負うことになってしまう。

 近距離戦は不利だと悟ったアトリエは一旦距離を取り、自身の懐をまさぐってシャウトライダーエキスを探した。しかし、どうにも見つからない。

 

「……切らしちゃってたかな」

 

 ライダーエキスは、変身・フォームチェンジの度に消費されるアイテムだ。そのため、定期的に調合をしておかなければ肝心な時に使用できないという事態が発生してしまうのだ。

 

「じゃあ、一か八かこれで!」

 

【Let's Play!】

【Inject!】

 

【サクセスミックス! Let's enjy,バッ、バッ、バースト!】

 

 アトリエはバーストMIXへとその姿を変え、反撃を図った。

 

「これでっ!」

 

 ナイフマテリィの胸部に上段蹴りを浴びせるアトリエ。その直後にナイフマテリィが爆発、お互いに吹っ飛ばされた。

 

「痛たた……でも、これなら向こうのダメージの方が大きいはず!」

 

 立ち上がり、アトリエは再び攻撃を仕掛ける。

 しばらくは腕を交差させながらアトリエの攻撃を受け止めていたナイフマテリィだったが、防戦一方の現状を打破する力がない訳ではない。

 少しだけ後退りすると、ナイフマテリィは自身の身体からナイフを引き抜いてアトリエに投げつけた。

 

「づっ!?」

 

 投擲されたナイフはアトリエの左腕に命中、攻撃の手を緩めさせることに成功した。

 これを好機と見て、ナイフマテリィは続け様に攻撃を行う。

 

「あうっ、うぐぅっ!」

 

「おい落ちこぼれ馬鹿! そこをどけ!」

 

「うえっ!?」

 

 慌ててアトリエがその場を離れると、そこに風の刃が飛来しナイフマテリィを襲った。

 ナイフマテリィが後退したのを見て、アトリエを助けた人物であるダツタはアトリエの隣まで駆け寄る。

 

「アホかお前。アイツの身体見たら遠距離からの攻撃が適切だって分かるだろ」

 

「私だって分かってましたー! でも遠距離攻撃が出来るフォームに変身するためのエキスが今ないんですー!」

 

「それはお前の準備不足だろ」

 

「ぬああんムカつく! こっちは素材集めから調合まで全部やってるから大変なの! 少しはその脳みそで考えたら!?」

 

「言ってる場合か!」

 

 ダツタはアトリエを蹴り飛ばすと、自身もその場から離れるように地面を転がる。

 その瞬間、二人を掠めるようにして数本のナイフが空を切った。

 外したことに僅かに苛立ちを覚えながらも、ナイフマテリィは再びアトリエ目掛けてナイフを投擲する。

 

 

 そこから少し離れた場所で、ラマンはアトリエの戦闘を陰ながら眺めていた。

 

「あぁーそこはちょっと、あぁ、首攻撃した方がいいって……」

 

 アトリエの一挙手一投足に思うことがあるのか、ぶつぶつと愚痴るように呟いている。

 しばらく眺めていたが、一向に戦闘が終わる気配がない。

 業を煮やしたラマンは、ついに()()()()()()()()()()アトリエたちの元に向かった。

 

 

「うぅ……やっぱりそろそろ限界感じてきたなぁ……」

 

「おい、何か別のはないのか?」

 

「あったらとっくに使ってますー!」

 

 ダツタと口論を行いながらも、アトリエはナイフマテリィと一進一退の攻防を続けていた。ただ、このままでは埒が開かないのは百も承知。

 しかし、アトリエには現在の状況を打開する手立てが存在しない。

 戦闘が長引けば、底の知れないナイフマテリィが有利になるのは確実だ。

 ダツタが撤退を提案しようとしたその時、その男……ラマン・マーチャンダイズが現れた。

 

「あっ、昨日の子!」

 

「やあ、昨日ぶりだね、シャリアちゃん」

 

「……コイツは誰だ?」

 

「えっと、昨日手品……? だっけ? を、披露してくれた子」

 

「そ。ラマン・マーチャンダイズ。憶えてね」

 

「……どうでもいい。それより今すぐ帰れ、ここは危険だ」

 

「……それ、俺のセリフなんだけどなぁ」

 

 呆れるように呟くと同時に、ラマンは手に持っていた『エンシェントドライバーレプリカ』を腰に巻きつけた。

 赤いカーテンのようなデザインの上に黒い箱のようなものが鎮座しており、中央には白い『?』の文字が描かれている。

 右手側にはマジックステッキを模したレバーが取り付けられており、まるで手品ショーのステージを模しているかのようであった。

 

「何それ!?」

 

「……ドライバー……? でも、あのバカのドライバーとは違う……」

 

「そう。まあ、模造品っぽいけどね。イミテーションってやつ」

 

 笑いながら答えつつ、ラマンは一枚のカードを取り出す。

 トランプのような意匠で、アノマロカリスのイラストが描かれている。

 

「さあ、世にも不思議な手品ショーの開演だ」

 

【Enter!】

 

 ニヤリと笑うと同時に、ラマンはカードをドライバーに挿入した。

 ポップな待機音が鳴り響き、場が熱気を帯びていく。

 

「変身」

 

 小さく発すると、ラマンの手によってマジックステッキの形をしたレバーが上げられた。

 カーテンが開くように黒い箱型の部分が左右に開く。そこには先ほど挿入されたカードが覗いている。

 

【Show time!】

 

【Ladies and gentlemen, welcome to the magic show!】

【ただいまより、『アノマロカリス』を公演いたします】

 

 真っ黒なシルクハット、質素な銀色の顔の中で光る赤く鋭い複眼。

 燕尾服をイメージさせるシックさと攻撃的なシャープさを同時に演出する外装は、奇妙で奇異で摩訶不思議な魅力をナイフマテリィ(観客)に与えている。

 

「変身した……!」

 

「凄い……私以外の子の変身見たの初めて……!」

 

「さあ、ここからはこの俺……いや、私『仮面ライダートリクシェント』がお相手しよう!」

 

 仮面の奇術師・仮面ライダートリクシェント、堂々開演。

 こゝからさき、まばたきするべからず。

 

「ちなみに、公演時間は戦闘開始から(観客)撃破(魅了)するまでだ」

 

 格好つけて呟くと、トリクシェントは全身を包むように真っ赤なカーテンを纏った。

 その直後にカーテンは重力に従って地面に落ちたが、そこにトリクシェントの姿はない。

 アトリエたち含め全員が困惑する中、トリクシェントは突然ナイフマテリィの背後に現れてその首に飛び回し蹴りを見舞った。

 ナイフマテリィが身に纏うナイフなど意にも介していない様子で、膝蹴り、エルボー、ソバットというような連撃でナイフマテリィを追い詰めていく。

 

「あいつ……ナイフが効かないのか?」

 

「よっと……手品の種明かしは禁忌だからね、その疑問には答えられないな」

 

 戦いながらもダツタの言葉に反応し、余裕を見せるトリクシェント。

 実際、ナイフマテリィはトリクシェントに全くダメージを与えられずにいる。

 

「そろそろ終演が近いね……寂しいな」

 

 感慨深そうな台詞を吐きつつ、トリクシェントはドライバーに取り付けられたレバーを再度動かす。

 

【Show time!】

 

【The last magic trick, start!】

 

 トリクシェントは飛び上がってその場にとどまり、肩甲骨のあたりからアノマロカリスの前部付属肢を連想させる触手を伸ばした。

 ナイフマテリィを掴んで引き寄せつつ右足を突き出し、足先から紙吹雪を溢れさせながら必殺のキック『トリック・レ・トリック』を放つ。

 

「うおらああっ!!」

 

 勢いよく吹き飛ばされたナイフマテリィは盛大に爆散し、カラフルな紙吹雪を散らした。

 

「ご覧いただき、ありがとうございました」

 

 深く頭を下げてから、ようやくトリクシェントは変身を解除。

 楽しそうな笑みを浮かべるラマンとは対照的に、アトリエとダツタは胡乱げな視線を向けていた。

   




   
新ライダー・トリクシェント参戦!
トリック+エンシェントでトリクシェントです。

にしても、この作品の舞台は地球じゃないのになんで地球にいた生物の情報があるんですかねぇ……
   

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