ハッピーエンドを目指す剣士たち   作:キラトマト

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第1話 音が漏れ、剣士は世界に現れる。

 2021年

 

 ここはノーザンベース。ソードオブロゴスの剣士たちが集まる基地である。そこに集まる3人の剣士、セイバー ブレイズ エスパーダ。彼らは近頃発生しているライドブックによる怪奇事件について話し合っていた。それは謎の本を開けたことによる人の失踪事件。そして戻ってきた頃には既に廃人同然の状態となっておりまともに会話もできる状態ではなかったという。

 

「一般人がライドブックを開けた、か……」

 

 小説家、神山飛羽真は顎に手を当てて考え込んでいた。

 

「というか、そのワンダーライドブックは回収したのですか?」

 

 水の剣士である新堂倫太郎はソフィアに問う。どうやら被害に遭った人物が戻ってきた時に、一緒に落ちていたようだ。

 

「はい、それがこれです……」

 

「これが新しいライドブック……」

 

 雷の剣士であり飛羽真の幼馴染である富加宮賢人は考察する。

 

「というか、そのライドブックも全知全能の書から生まれたってことだよな?」

 

「いえ……どうやらその本というのは新しく生まれた全知全能の書から生まれたもののようなのです。なのでセイバー、ブレイズ、エスパーダ、その本を回収、更にその世界に行って事態の再発を止めては貰えないでしょうか?」

 

「はい、もちろんです。それでそのライドブックの名前ってなんなんですか?」

 

「CHAOS;CHILD……」

 

「直訳すると狂った子供……。あまり考えたくはないが、恐らくは危険な世界だろうな……」

 

「覚悟はあります。皆さんもいいですか?」

 

「もちろんだ。飛羽真は?」

 

「もちろんっ! 被害に遭う人がもう居ないようにね!」

 

 そう言って3人は手を重ねて、ライドブックを開いた。

 

『〜この世界に希望はない。いつか希望を見出す者を探して〜』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────

 

 2015年9月19日、未明。熱狂的なファンを抱えるシンガーソングライター(歌い手)、高柳桃寧はある一通のメールが届けられたことによって、人生を大きく変える決断をすることになる。彼女はコンビニに赴き、カッターナイフと、ガムテープを購入し、帰宅する。そして彼女はカッターナイフを自分の利き手に携え、その刃を自分自身の腹部にあてがい、利き手に力を込める。

 

「ッ……」

 

 するとどんどんと刃が彼女の腹部の奥へ奥へと食い込んでいく。だが彼女は一切痛がる素振りを見せず、それどころか艶美な顔で、更に腹部を切り開いていく。そして腹部に一定の空間が確保されたところで彼女は手を止め、自分の歌声が録音されたスピーカーをリピート再生に設定し、それを自分のスマホにBluetoothで接続する。そしてそのスピーカーを自分の空いた腹部に埋め込み、そして腹部を裁縫用の針と糸で縫い合わせ、その縫い合わせ部分を隠すようにガムテープを貼って捲っていた上着を下ろし、演奏用のギターを背負い夜の街に繰り出した。

 

彼女は自分のコンプレックスである『こけしのような顔』を隠すように俯きながら歩いていた。そうして歩いているって他の通行人にぶつかってしまうのは明白。だが、不幸中の幸いと言うべきか、ぶつかってしまったのはこの世界に来たばかりの3人の剣士であった。1人を除き奇抜な格好をしている3人組を見た彼女は自分の腹部の状態など忘れたかのように萎縮してしまう。だが、彼らの発言は彼女の予想とは反するものだった。

 

「だ、大丈夫? ごめん俺たちちょっとよそ見してた」

 

 飛羽真はそう言って手を合わせて謝意を示した。だが彼女は声も出さずに通り過ぎてしまった。

 

「なんだったんでしょうか……」

 

 何の気なしに倫太郎が彼女の通った道を振り返ってみると赤い痕跡が彼女へと続いているのに気がついた。

 

「まさかこれ、血……? と、飛羽真これ!」

 

 飛羽真は真っ先に先程の女性の元へと駆け寄る。そして彼女の足元を見た飛羽真は驚愕する。そう、多量の血が彼女の腹部から漏れ出していたのだ。後から駆けつけた倫太郎と賢人と共に、周りの目など気にせずに女性の腹部の傷を確認する。

 

「と、とりあえず救急車を呼ばないと! 飛羽真!」

 

「あ、あぁ、わかった!」

 

 この時代にしてはハイスペックすぎる2021年のスマホを用いて119番へと電話をかける。飛羽真は場所がわからなかったので周囲の建物の名前を言って電話を切った。そしてあまりにも異常すぎる彼女の状態から事件性を見出した賢人は彼女のスマホを取り出した。そして取り出した拍子にどこかのボタンを押してしまい、どこかからか音楽が漏れ出す。

 

「な、なんだ!? 急に歌が……」

 

 賢人は耳を済まして音の出処を特定した。

 

「この人の中から聞こえる……」

 

 ちょうど腹部のガムテープを剥がし終えた2人。腹部の拙い縫い合わせの跡を見て、賢人の考察は更に真実味を帯びていく。そして3人の剣士たちはなんとか女性が死なないように延命措置を施す。そして、そうこうしてるうちに救急車が到着する。

 

「早く! この人です!」

 

 飛羽真は救急隊員に急いで伝える。彼女は担架に運ばれて救急車に運ばれる。

 

「助かるといいな……」

 

「えぇ」

 

 飛羽真たちは救急隊員に病院の場所を伝えてもらい、その場を立ち去った。そして飛羽真たちはとりあえずの仮宿としてホテルにて一泊することにした。そんな翌日、彼らは街の人たちから聞いた「青葉医院なら泊めてくれるかも」という言葉を信じて青葉医院へと足を運んだ。

 

「「「お願いしますっ!」」」

 

 頭を下げて3人は院長である佐久間亘にお願いした。

 

「ちょ、ちょ頭を上げてっ」

 

「お手伝いでも何でもしますっ!」

 

「いいんだけど……」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「でももう部屋ひとつしかないんだけどなぁ……」

 

「あ、別に同部屋でもいいですよ」

 

 かくして、飛羽真たちはこれからの宿泊の宛ができたのでした。




セイバー側の時系列は決めてないので読者さん側で考察してください(投げやり)
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