ハッピーエンドを目指す剣士たち   作:キラトマト

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知らない人のために言っておくと、基本敬語なのが倫太郎です。


第2話 悪意のボーダーライン

 前日、無事に宿泊場所を獲得した3人はまず、この世界の異常性について確かめることにした。

 

「まず誰かに聞き込みでもしましょうか?」

 

「あぁ、そうだな」

 

「じゃあ俺はちょっと昨日の人のところにお見舞いに行ってくるから。賢人と倫太郎は頼んだ」

 

「あぁ、聞き込みは俺たちに任せろ」

 

 賢人はそう言って、まずはこの青葉医院に住んでいる『宮代拓留』という男子高校生? に話を聞いた。

 

「あの……なんでしょうか」

 

「少し教えて欲しいことがあるんだけど、いいですか?」

 

 倫太郎は敬語を欠かさずに拓留に声をかけた。

 

「え、えっと、え……」

 

 拓留はしどろもどろになりながらも、喉から言葉を捻り出して賢人の質問に答えた。13日前の9月7日に配信中に手首を切り取って自殺したという事件があったということ。

 

 そして昨日、死には至らなかったが、路上ストリートミュージシャンの『高柳桃寧』という女性が腹部にスピーカーを埋め込み、大怪我したというのだ。しかも通りがかりの人が救急車を呼んでいなければ手遅れだったと、付け加えられた。そして、更に彼女は渋谷復興記念のLIVEを行う予定だったらしいからネットニュースにも取り上げられたということ。更にその事件の日付が5年前に起きた連続殺人事件と一致していたというのだ。

 

 賢人は内心、あの時の……と思ったが、今はそんなことよりもその、『5年前に起こった事件』について詳しく聞いてみることにした。

 

「あのさ、5年前の事件のこと、教えてくれないかな? 俺たち、あー、昨日ここに泊まらせてもらった2人も最近ここに引っ越してきたばっかりだから、全然分からないんだ」

 

 賢人は少し、おどけた調子で言ってみせた。なにせ相手は彼とはあまりにも年が離れすぎてているのだ。接しやすさを出すのは重要であろう。

 

「え、えっとそれは……」

 

 すると拓留は話し始めた。『ニュージェネレーションの狂気』という事件について。その異常な犯行現場の様子や、狭すぎる犯行が起きた範囲。更には……と付け加えようとしたが賢人が止めた。

 

「いや、もういいかな。で、それで君その今起きてる事件について調べてるんだろう? だったらそれに、俺達も同行してもいいかな? 飛羽真と倫太郎には後で言っておくから」

 

「は、はい……いいで、すけど……」

 

「ありがとう。じゃあ今度君と一緒にその事件を調べてる子達も紹介してよ」

 

 そして飛羽真は先日助けた女性の安否を確認するため、ある総合病院を訪ねた。

 

「あのすみません、面会って出来ますか? 昨日の……えっと……昨日ここに運ばれてきた人です!」

 

「えっと……高柳桃寧さん、ですか?」

 

「そうですそうです!」

 

 聞き覚えのない名前だったが、先日名前を聞いていなかったので肯定して病室へと向かった。

 

「失礼します」

 

 ガラガラと扉を開け、高柳桃寧の名前が表示された病室へと足を踏み入れた飛羽真はまず、桃寧に声をかけた。

 

「ごめんね、こんな大変なときに」

 

「え……」

 

 桃寧はひどく困惑した様子だった。それもそうだ。名前も教えていない異性が突然訪ねてきたのだ。だが彼女は少し飛羽真の顔を見つめ、なにかに気づいたように「あっ」と声を上げて驚く。

 

「……もしかして、私を……」

 

 飛羽真は目を輝かせる。

 

「助けてくれたの?」

 

「そうだよ! って、覚えててくれたんだね」

 

 飛羽真はしばらく桃寧と会話を続け、どのような経緯であんなことになったのかを説明してもらった。どうやら謎のメールが届いてからの記憶が無く、気づいたら病室で寝ていたらしい。

 

「そうなんですね……。じゃあさ、また来るから、思い出した事があったら、聞かせてね!」

 

 飛羽真は笑顔で手を振って病室を出る。そして病院を後にした飛羽真は青葉医院へと戻り、倫太郎達に会う。

 

「あ、拓留くんはもう学校に行ったんだ」

 

「あぁ、だが重要な話を得られた。少し部屋に戻って状況を整理しよう」

 

「そうですね」

 

 飛羽真たちは一旦自分の戻り、ノートに昨日と今日で得られた情報を纏める。

 

「まず昨日起きた事件と、俺たちがこの世界に起こった事件に共通性があるようなんだ」

 

「はい、確か5年前のニュージェネレーションの狂気でしたっけ」

 

「あぁ、それの1つ目と2つ目の事件の日付と、一致しているようなんだ。幸い、昨日起きた事件は未遂に収まったが」

 

「あ、それで昨日の事件のことなんだけど」

 

「ん? なんだ飛羽真?」

 

「さっき病院に行ってきたんだ。それで、昨日のあの人に会ってきたんだ。それで話聞いたんだけど、昨日のことは覚えてないらしいんだ」

 

「そうなんですね……残念です」

 

「あ、でも1つ! 手がかりを見つけたんだ!」

 

 飛羽真は手で1のサインを作り、スマホを取り出し、ニコニヤ動画というサイトにアクセスし先程の女性の『歌ってみた』動画を見せた。

 

「これ……なんだけど、なにか違和感を感じないか?」

 

「え……? なんですか飛羽真?」

 

「もっとわかりやすいのだと……これ」

 

 次は彼女の、会場で行っているLIVEの映像を見せた。

 

「……異常、だな」

 

「……はい。明らかにお客さんの様子がおかしいです」

 

「サクラならこれもあり得ると思うが、復興祭で歌を披露する予定の歌手がそんな真似をするとは思えない」

 

「でも、だったらどういうことなんですか?」

 

「ここからは俺の、なんの根拠もない推測なんだが、もしかしたら彼女はなんらかの力……それに準ずる能力を持っていた可能性が高い」

 

「そうか……つまりあの女性……高柳桃寧はそれを持っていたから死にそうになったと」

 

「……もしかしたらだけどね。でも、それならなんで犯人を直接手を下さなかったのかが分からないんだ」

 

「それに確か、彼女は自分で腹部を切り裂いたんでしたよね」

 

「あぁ、ニュースではそう言っていた。もしそれが本当なら、尚更訳が分からなくなる」

 

「そうだ! 拓留くんに話を聞いてみるのはどうでしょうか! 彼はあの事件について友人と共に調べていると言っていました」

 

「え、拓留くんが!? それ、巻き込まれないかな……。しかも、友達と一緒にか……」

 

「なぁ、飛羽真。拓留が帰ってきたら、話を聞いてみないか?」

 

「そうだな、賢人。じゃ、拓留くんが帰ってくるまでに、これもっとわかりやすくして拓留くんにあげないか?」

 

「あ、いい提案ですね飛羽真!」

 

「じゃ、そうと決まったら取り掛かるぞ。飛羽真」

 

 そうしてこの以上な事件へと足を踏み入れるようになってしまった飛羽真たち。だが、飛羽真たちはこの事件がどのような結末を迎えるのか、全く知らないのであった。




ある総合病院って言うことでAHもそれ以外でも対応出来る秘策
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