翌朝…三人で集まってみれば…
「…コペル君?」
「……」
「お~い?コペル~?」
「…、…」
僕もあんまり寝れた気はしないし、キリト君もそれほど寝れた様子は無いけど…コペル君は明らかに僕たち以上に精彩を欠いていた…
声をかけても特に動きの無いコペル君を見て、溜め息を吐いたキリト君が僕の手を引く…
「…と、どうしたんだい?」
「ちょっと来てくれ。」
キリト君に連れられ、宿の隅の方へ…
「…何だい?」
「コペルの話さ…やっぱり昨日のアレ、不味かったんじゃないか?」
コペル君から距離をとっても一応小声で話すキリト君に倣って僕も声を抑える…
「一々怒鳴ったり、懇切丁寧に倫理説く方が面倒だと僕は思うけどな…こんな世界じゃ法律も機能しないし、元々…裁くのは僕たちの仕事じゃない。」
「そうじゃなくてさ…いや、そもそもあんたに任せたのは俺か…じゃあ何も言えないな…で、取り敢えずコペルの事だけど…」
「…君の目から見てどうだい?これから先、彼は攻略に参加出来ると思うかい?」
「……あんたの見たままだよ…多分無理だ。」
「…やっぱりかい?」
「立ち直るとしても…今日明日って事にはならないだろ。参加は無理だ。」
「ふぅ…仕方無いか…彼をはじまりの街まで連れて行こう。」
「……」
「どうしたんだい?」
「いや…意外だなと思ってさ…あんたそんな事しない奴だと思ってた…」
「…癪だけど、僕のせいでああなったらそれくらいの責任はあるさ。」
「そうか…ま、付き合うよ。コペルはどうせ戦えないだろうし…あんた一人であいつ連れて戻れるか分からないしな。」
「そうかい?助かるよ。」
自分ではろくに動こうとしないコペル君の手をキリト君と交代で引いて、何とかはじまりの街まで辿り着いた…
「ほらコペル…着いたぞ。」
「……」
「俺たちが出来るのはここまでだ…これから先、お前がどうしようとも俺たちはもう関知しない。」
「……」
「コペル君、そういう事だから…僕たちはもう行くよ。」
「じゃあな。」
キリト君がコペル君から手を離し、はじまりの街の広場に突っ立ったままの彼から背を向ける…僕も踵を返し、その背を追おうとして…何となく振り向いた。
「…コペル君…僕は…出来れば君に、攻略に参加してもらいたいと思う…」
「!……」
俯いていたコペル君はそこで顔を上げて、驚きに目を見開いていたが、それは本当に僅かな間で彼はまた下を向いてしまった。
「無理強いはしない…でも、君に少しでも良心があるのなら…考えてみて欲しい。」
「…、…」
「…じゃあ僕ももう行くよ。また会える事を祈ってる。」
今度こそ僕は彼に背を向けた。