「んん~…あー…ハァ…」
宿屋の前に着き、自然と組んだ手を頭の上まで上げ背伸びする…次に首を左右に動かす…仮想の身体で感じる肉体的な疲労は気の所為の筈なんだけど、不思議と解れた様な気はするからやって損は無いと思う…緊張も抜けて行くしね。
「ジジ臭い声だな…」
……ムッとしたけれどこんな事で一々怒るのも大人気無いだろう、ここは歳上としてスマートに…スマートに…!
「…言いたい事があるならはっきり言えよ、今アンタ、凄い顔してるから。」
…くっ!この世界はすぐに顔に出る事を忘れていたよ…!
「…悪かった、そんなに怒るなって。そもそも、俺は別に間違った事は言ってないんだけどな…」
…改めて遠慮が無くなって来たな…そんな事を考えながら溜息を吐くと、茹だった頭が冷えて来た様な気がする…と言うか何で僕はこの程度の事でイラついていたのか…
「気にしてないよ、キリト君「気にしてない顔じゃなかったぞ?」…うん、混ぜっかえすのは止そうか?」
……僕はアレから結局キリト君と別れる事無く、今もこうしてパーティを組んでいる。
「…大体さ、迷宮区の攻略があんま進まなかったからってそんなにピリピリすんなって。…俺たちだけで無理したってクリア出来る訳じゃない事ぐらいは分かるだろ?」
「…分かってるさ、分かってるつもりだよ…」
僕が焦ってもしょうがないのは分かってるし、そもそも今更僕に急ぐ理由が無いと言えば無い…向こうに帰ったってやる事は僕をここに送り込んだ奴の行方を知る事…要は犯人探しくらいだ…ま、そもそも僕の方がこの事件を計画した茅場晶彦の関係者と思われてそうだから、自由には行動出来無いかも知れないけど…でもそうじゃないんだ…
「性分でね、あまりちまちまやるのは好きじゃないんだ…」
「そう言って死んだら元も子も無いな。こうしてパーティ組んで結構時間は経つけど…アンタまだまだ動きに甘さが目立つ…おまけに最近は早く終わらせ様として雑にやってるのがバレバレだ…もうちょい慎重に行動してくれ、こっちは一々心臓に悪いし、フォローするの大変なんだ…」
「…悪かった、これからは本当に善処する…」
歳下のそれも子供である彼に頭を下げるのは未だに抵抗はある…だけど迷惑をかけている以上仕方無い…今も残っているプライドのせいか、下げる度にストレスが溜まる気がして来るけどね…!
「……うん、先ずは謝る表情作る練習しようか…謝る気があるのは俺も付き合い長くなったからもう分かるけど…その顔だと間違い無くこれから先誰かと揉めるからな。」
本当に…!感情を隠せないこの世界がとにかく恨めしい…!