『ふざけんなよ…!何で…!何でお前なんかが…!』
『……』
胸ぐらを掴みながら僕に向かって喚き立てる男…僕はその手を掴む…
『そんなの僕だって知らないよ、何であいつが僕にこうも構うのかなんてさ…』
『テメェ!何でなんだ!?何でゲームの事もろくに知らないお前なんかが…!』
ほとんど僕に…と、言うより自問自答してるその男を見ながら溜め息を吐く…本当に僕だって聞きたいよ、寧ろ何で君は気に入られないんだろうねぇ…?顔が何故かはっきり見えない男にそういう疑問を抱くが口には出さない。
『何だよ、その目は…!そんなに俺が滑稽かよ…!?』
そうだねぇ…最低限与えられた仕事もほっぽり出して、僕に構う君は酷く笑えるよ。
『…そろそろ離してくれないか?君の敬愛する茅場晶彦に見られたら…さすがに困るだろ?』
『クソッ…!どんな手を使ったか知らないけどな、何れ必ずお前の化けの皮を剥がしてやるからな!?』
そう行って僕に背を向ける男にもう一度静かに溜め息を吐く…僕は自然体だよ…寧ろ、本当の姿を必死こいて隠してるのは君くらいだ…あいつだってある意味では表裏の無い…強いて言うなら酷く幼稚な男だ…そんな自己中心的姿が、天才たる独特の感性がそうしてる…そう、その辺の凡人にはそう見える…
僕だって蟠りが無ければ憎まないし、と言うかそもそも何の接点も無く、終わっていた可能性は高い。大体、僕がゲーム製作の役になんて立たない事ぐらいあいつにだって分かってた筈だ…何でこうも理不尽な目に遭わないとならないのか…!
僕がやってるのはただの雑用係に過ぎない…そんなに代わって欲しいなら何時だって代わってやるのに…毎回、甲斐甲斐しくあいつの世話を焼く彼女の姿を見るのだって辛いしね…ん?
『あれ…?』
視界が揺らぐ…そこで僕は漸く気付いた…
『これは…そうか、これは夢なんだ…』
自分の事を認識する…僕は仮想世界にいる筈だ…現実には何時帰れるかも分からない…そんな地獄にいるんだ…それも、待ってるなら帰れる…なら、まだしも…それが有るとして何時か分からず…少しでも行動を間違えれば死ぬかもしれない…そんな地獄に僕はいるんだ…
『しかし…夢ですら彼の顔を思い出せないとはね…』
今やっと思い出した…あの頃、僕に一番絡んでいたのは…彼だ…多分僕にソードアート・オンラインを勧めたのも彼だ…でも、僕は彼の名前は愚か、こうして出てこられても顔も思い出せない…
『まぁ…良いか。きっと彼もあの世界にいる筈だ…』
さすがに、出会えば思い出す…そこで決着を着ければ良い…それだけの事だ。