妖精王のSAO   作:三和

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SAO…仮想現実に入る際には大抵、キャリブレーションを行い、現実の身体の動き方と、仮想現実の動きとに差異を無くすのが普通らしく僕もやった。

 

その際、今回の一件が無くても須郷伸之としての顔で出るのは色々面倒な事になる、と言う意識はあったから顔は完全に変えた…ただ、無くしたら違和感しか無いだろうから眼鏡は着けた…

 

……そしたら普通なら伊達眼鏡になるだろうそれは…本当に無いと視界が確保出来無い代物になった…全くままならないね…壊すのもそうだけど戦闘中に落としたら多分僕は終わりだよ…

 

「その割に、あんた結構派手に動くよな…?」

 

……頭の中でボヤいただけのつもりだったが、どうも口に出していたらしい…

 

「ん?口に出ていたかい…?」

 

「眼鏡についての愚痴を多少な…多分あんたの言う通りだろう…確かに普通はそれは伊達眼鏡になると思うよ…テスター仲間にもリアルでは眼鏡が無いと生活出来無い程視力が悪いのに、こっちでは無くても問題無いって奴がいたからな…」

 

……今、僕たちは会話しながらもしっかり戦闘を行っている…もちろん、激しく動きながら、だ。

 

剣を持ってない左手でズレてしまった眼鏡を持ち上げ、猪型mobフレンジーボアの突進を身体を捻る様にして直前で躱し、横から蹴りを入れる…あ、意外に遠くまで飛んだ…

 

「…で、調子は?…って、聞きたかったんだけど…その様子なら問題無さそうだな…」

 

「ああ、うん…今は割と良い感じだよ。」

 

万が一の事を考えて先ずはフィールドで戦ってたけどこの分なら行けそうだね…

 

「じゃ、迷宮区に行くぞ。」

 

「うん、じゃあ行こうか。」

 

 

 

そして…向かった迷宮区で僕たちは彼女に出会った。

 

「こんにちはキリト君……後、アルベリヒさんも。」

 

「…ああ、こんにちはアスナ。」

 

「…こんにちはアスナ君…君も攻略かい?」

 

「……見れば分かるじゃないですか。」

 

キリト君にはかろうじて作り笑顔を向けていたものの…僕にはあからさまに嫌悪感を剥き出しにした顔を向けて来る…ふぅ…困ったものだねぇ。

 

「…ねぇ?何か用なの?用が無いならもう行っていい…?」

 

挨拶したきり、黙ったまま気まずい空気が流れるのを嫌ったのかアスナ君がそう聞いて来る…正直さっさとこの場を離れたい…

 

「…いや、僕たちは特に用は無いよ…行こうか、キリト「アスナ、ちょっと提案が有るんだが」…ん?」

 

「何かしら?」

 

「今日はこのまま…一緒に攻略に行かないか…?」

 

何を言うのかと思っていたら彼は特大の爆弾を落として来た…案の定、アスナ君は不機嫌そうな表情を浮かべている。

 

「…何故?そんな事をして私に何かメリットが有るの?」

 

「…あるさ。君は生存率が上がる…俺たちは優秀なプレイヤーと一緒に効率良く攻略を進められる。」

 

確かに、実際に見た僕からしても彼女は優秀とも言えるプレイヤーだろう…危なっかしいところもあれど、ギリギリ僕たちでフォロー出来る範囲と言えなくも無い…しかし…

 

「……嫌よ。」

 

僕は最初から彼女が断るだろうと正直思っていた。

 

「……理由を聞いても良いか?」

 

「貴方はともかく、そこにいるアルベリヒさんはどう見ても強そうに見えないし…それに…」

 

「それに?」

 

「…知ってるわよ?この世界はただでさえ女性が少ないんでしょう?そんな中で数少ない女性を男が誘うなんて…何か有るって思うのが普通じゃない?」

 

「…要するに俺たちが信用出来無い…か?」

 

「ええ、信用も信頼も出来無い。腕も…人となりも、ね。」

 

「……そうか。」

 

「もう行っていい…?」

 

「ああ、呼び止めて悪かったな…」

 

……と、別れようとしたところで気付く…ここは完全に一本道だ…

 

「……」

 

仕方無く僕たちは…スタスタと無言で前に進むアスナ君を見送った…

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