彼らの元に戻った僕らは改めて彼らから自己紹介をされる…
グループのリーダー格らしき少年がケイタ君、武器は両手棍。
残りのメンバーは二人目がテツオ君、武器はメイス。
三人目はダッカー君、武器は短剣。
四人目がササマル君、武器は槍。
そして五人目…メンバーの中でただ一人の女性になるのがサチさん、武器は槍だ。
彼らの名前と、使っている武器を聞き終えたところでキリト君が頭の後ろを掻きながら口を開く。
「…このパーティーのメンバーはコレで全部か?」
「はい、僕らはリアルで「あ、待った」え?」
リアル、の単語が出て来たところで僕は口を挟んだ。
「…無闇にリアル情報を口にしない方が良いよ。要らないトラブルに巻き込まれたくないだろう?」
「はい、そうですね…すみません…」
「ああ、良いよ。別に怒ってる訳じゃないから「アルベリヒ、ちょっと来い」ごめん、ちょっと待っててくれるかな?」
「あ、はい… 」
今度はキリト君の方から声を掛けられ、また彼らから離れる…険しい顔をしている…怒ってる、と言うよりは悩んでるって顔だね…
「どうかしたのかい?」
「…いや、正直頭が痛くなって来ただけだ…」
「…彼らについて何か?」
「人柄とかは問題無いよ。テスター相手とは言え、向こうは俺より少し歳上に見えるのに俺を立ててくれてるぐらいだしな…ただ…」
「ただ?」
「いや、バランスの悪いパーティだと思ってさ…」
「バランスが悪い…?」
「あいつらの使ってる武器さ。パーティ組んでる以上、前衛後衛できちんと分けられる組み合わせになるのが普通なんだが、まず全員持ってる武器の癖が強い…」
「ああ、それは確かに…」
言うまでも無いが、初心者でもギリギリ扱える武器は自動的に片手剣だ。僕らは使ってないけど盾で片手が塞がっても取り回しの効きやすい長さだし、近、中二つの距離をカバー出来る。必然的に継戦能力も高くなるだろう…だが、どう見ても初心者にしか見えない彼らに片手剣使いは一人もいない。と言うか、ただでさえ扱いの難しい槍を使っている人間が二人いるのも違和感だ。
「盾持ってる人間が一人しかいないのが一番の問題だ、コレだと前衛張れるのが一人しか居ない事になる…」
盾を持ってるのはメイスを使うテツオ君だけだ…
「…よっぽど、自分の持ってる武器の扱いに自信が有るのかな…?」
「βテストの時も愚痴ってるのが居たけど、なまじリアルで武器を扱えた奴の方が苦労してるパターンがほとんどだったよ……俺も似た様な物だけど。」
「それは…どういう意味だい?」
「…昔、剣道を少しかじってたんだ…まぁそれは今どうでも良いけど…下手に人以上に扱える奴の方が厄介なんだ…ソードスキルが使いにくいからな。」
「ああ…成程ね…」
ある程度リアルで流派を修めてるなら、恐らく身体は状況に応じて自然に武器を振るうだろうね…そこに必ず特定の動きを強いられる上、硬直時間の有るソードスキルは邪魔にしかならないか…それなら自分の慣れた動きで臨機応変に武器を振った方が楽だと考えるだろうね。ただ…
「このゲームはソードスキルを使わないとまともにダメージが入らない…」
僕の言葉にキリト君が首肯を返す。
「そうだ…だから下手に身体に馴染んでる方が不便なんだ…と言うか完全に脱線したけど要はだな、扱った事の有る武器だった、あるいは何となくで選んだ…どちらの場合でも教えるとなるとこっちは相当本腰入れないと大変な事になる…だから頭を抱えてる…」
「…攻略、遅らせても大丈夫かな?」
「どっちだとしても全ては結局あいつら次第になるな。仮に…単にカッコイイからって理由で武器を選んだのなら、先ずはその勘違いを正さないと話にならないし…リアルで習った武器を選んでるなら動きの矯正が必要になる…それと、もう一つ重大な問題が有るな…」
「何かな?」
「……俺は…βテスト時代に片手剣以外の武器を触った事が無いし、リアルでも剣道しかやった事が無い。」
「……声、掛けなきゃ良かったかな…」
思わず僕の口からそんな言葉が漏れる。
「…今更だ、もう声掛けちまっただろ?まぁ俺に出来るのは最低限の事を教える事ぐらいだ。それ以上は責任持てない…」
溜め息を吐くキリト君を見つつ、横目で彼らに視線をやると大人しく待ってる様だ…と言うか暇なのか明らかに雑談を始めている…全く、待たせたのはこっちだけど余りにも緊張感が無い…
「…取り敢えず戻ろうか?」
「…そうだな、これ以上待たせる訳にも行かないか…やれやれだ…」