「んで、俺をベータテスターだと思って後を着けたと。」
「まあ、そうだね…」
数分後、僕は待ち構えていた彼と話をしていた…
「にしてもホルンカの場所を聞きたいって…それならアンタもベータテスターじゃないのか?」
やらかした…必死過ぎて段階をすっ飛ばしてしまったよ…ここまで来たら無理に隠してもバレるしもう良いか…この少年、中々お人好しに見えるからね…多分素性を言ってもそこまで問題にはならないだろう…
「それなんだけどね、僕はテスターじゃないんだ…どちらかと言うと製作者側の人間でね…」
「は?…ならアンタもしかして茅場晶彦の「早とちりしないでくれ。僕はあいつの仲間じゃないよ…最も信じて貰える根拠は無いんだけど」…本当なのか?」
「ああ。詳しい事情は今は省くけど僕はたまたま知らずにログインしただけなんだ…ほら。」
僕は右手を振り、出したメニューを可視化してその少年キリト君に見せる…これぐらいはさすがに知ってる…最もこれぐらいしか出来無いけどね…
「…確かにログアウトボタンは無いけど…」
「そもそも僕が今回の首謀者茅場晶彦の側の人間で君に何かしようと思うなら、見つかるのは可笑しいだろう?…というか何故僕は君に拘らなきゃいけないんだ?例えばゲームクリアを防ぐ為にベータテスターを狙ってるなら他にもテスターはログインしてる筈だ…少なくとも君に見付かった時点で一旦逃げて他の標的を探す筈だろう?ここで呑気に話してるのは変じゃないか?」
「…分かった。アンタを信じるよ、アルベリヒ。」
「良かった…助かったよ。製作チームの一人とは言ってもゲームその物はあまりやった事が無くて困ってたんだ…色々教えてくれると助かる…」
「……製作チームの人間がやり方教えてくれって言うのはどうかと思うけど…アンタが正式サービス初日に何の為にログインしてたのか知らないけどさ、他に仲間はいないのか?」
彼の言う通り多分他にもいるんだろうけど…
「……プレイヤーネームが分からなくてね…」
「アンタ、ハブられてるのか…?」
……歳下に憐れみを込めた目を向けられるのはそれなりにイラッと来るな…まあ僕もそうじゃないかと思うし、今更こんな事で騒いだりはしないけどね…茅場晶彦の方がもっとムカつく人種だしね。
「…何か悪い事聞いちまったみたいだな、悪かった…」
「…いや、良いよ。」
謝られるのは何となく新鮮だな…一度あの男と関わって以来、忙しくてあいつ以外とほとんど関わる時間無かったからな……あいつ僕にどれだけ迷惑かけようと謝らないし。
「取り敢えずホルンカまで急ごう、日が暮れると面倒になる。」
「一応聞くがどれくらいで終わるクエストなんだい?」
「さぁ…でもまぁもしかしたら夜が明けるかも…」
「……本当に?」
「…逆に製作チームのアンタに聞きたいんだけどさ、ベータテストの時点で異様に確率低かったと思うんだけど?」
「……さぁ、行こうか、キリト君。」
その辺の話は僕に言われても分からない。その辺のイベント設定もほとんどあいつ一人でやってたみたいだし。
「いや、こっちだから…アンタ本当に製作チームのメンバーなのか?」
「…すまない。」