「えー…まぁハッキリ言わせてもらうと…駄目だな。」
何とか立ち直り、彼らの元に戻ったキリト君は期待の目を向けるケイタ君たちに開口一番そう告げた。
「…どこら辺がダメかな…?」
「正直に言うなら全部だ。お前ら全員、それぞれ問題が有り過ぎる…」
そこまで言うとキリト君は僕に視線を向けて来る…成程、後は僕に説明しろと…やれやれ…恐らく頭の中で上手い事纏まらなかったんだろうけど…初心者に毛の生えた様な僕に丸投げしないで欲しいね…まぁ出来るけど。
「そうだね、先ずはケイタ君…結構変わった武器を使っている様だけど…それ、リアルでも得意な武器かい?」
「…いえ…触ったのはこの世界に来てからが初めてです…」
…ま、そうだろうね…
「…君の場合は多分、ほとんど武器の練度不足だから好きにすると良い…僕もキリト君も両手棍なんて触った事無いから良くは分からないしね…後はパーティーリーダーは君なんだろう?じゃあ仲間への指示出しの仕方くらいは覚えないとね。」
「…指示、って言われても…具体的にどうすれば…」
「ま、そこら辺はおいおいね…一応最低限は教えると約束したからね…じゃあ次、ダッカー君…君は短剣使いだよね?」
「…はい…そうです…」
……キリト君がハッキリ駄目だと言ったせいか完全に落ち込んでるね…会話こそしてないけど、彼はもう少し明るい性格の雰囲気が有ったんだけどな…
「…あくまで一回戦闘を見た上での判断だけど、取り敢えず君は短剣そのものが向いてない。何故か分かるかな?」
「……何故でしょうか?」
「君が無意識に選ぶ間合いが短剣の距離にしては遠いんだ…途中で気付いて前に出るパターンも結構有るけど、その時は今度は近過ぎる…」
短剣…ナイフの扱い方に詳しい方じゃないけど元々短い武器と言うのは敵にある程度近付かないと意味が無いのは確かだ…ただ、不用意に近付いても…
「相手の隙を点いた訳でも無いのに、無理に突っ込んでも反撃される…初めに取る間合いの範囲や君の短剣の振り方から見ても君は多分、僕たちと同じ片手剣の方が向いてるよ…僕たちからは変える事を提案するね…」
「……どうしても無理ですか…?」
「矯正かけるにしても相当時間がかかるだろうし…その場合、悪いけど僕たちからは教えられる事は何も無いな…」
「……そう、ですか…」
「…次に行こうか、じゃあササマル君…」
……こんな感じでそれぞれ戦闘を見て感じた疑問をぶつけつつ問題点を指摘して行く…キリト君は何も言う様子は無いから多分間違ってはいないんだろう…さて、最後か…
「最後だね、サチさん…」
「はっ、はい…」
…モンスターでも無い僕に声をかけられて怯えている…いや、何となく何を言われるのかは分かっているからなのか…
「…サチさん…君は、戦う事そのものが向いてない。」
「すみません…それってどういう意味ですか…?」
ケイタ君が口を挟んで来る…うん、今は君と話してるんじゃないんだけどね…
「…戦力外って事だよ。ボスでも無いMobにああまで怯えてるんじゃ、戦闘にはとても参加出来無い。」
キリト君がそれを言った瞬間にサチさんは踵を返して走り出した。……本当、面倒だな…と、思いつつ僕の足はもうサチさんを追っていた…無理に距離を詰めると逆に追い込んでしまうだろうと考えて緩めのスピードで走ってると横にキリト君が並んで来る…
「…彼らは?」
「置いて来た、俺たちならすぐ追い付けるだろ?」
全員でゾロゾロ追われるのは今のサチさんには厳しい…それは分かってるんだろう…そう言う機転は利くのに、どうしてこう君は毎回言葉足らずになるんだろうね…善人はそう多くないだろうこの世界、誰にでも気を許せとは言わないけど…彼にはもう少し人に気を遣う事を覚えて欲しいね…