妖精王のSAO   作:三和

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階段を降りて行けば既に彼ら全員テーブルを囲む様にして…いや、全員じゃないな…キリト君が居ない…何処に…そう思ってキョロキョロ周りを見渡して居ると後方から声が聞こえ、僕は振り向いた。

 

「やっと降りて来たか…で?何を探してる?」

 

「…いや君だよ、そんな所で何を?」

 

そこには壁にもたれ掛かりながら、腕を組んで立ってるキリト君が居た。……階段のすぐ側なんだけど…この場合気付かなかった僕が鈍いのかな?

 

「何って…俺とあいつらはもう飯は食ったからな、取り敢えずあんたが降りて来るのを待ってたんだ。」

 

……そう答えるキリト君から視線を外し、今もテーブル席で談笑を交わしている彼らの方を見て…またキリト君に視線を戻す。

 

「…別に僕が来るまで食事をするのを待つ必要は無いし、君らがさっさと食べ終わった事にも思う所は無いけど…君も彼らと座って待っていれば良かったじゃないか…何でそんな所に?」

 

少なくとも彼らはそれなりに社交性が高い方に見える…僕と違って歳も近いキリト君があの場に居ても、特に問題無く受け入れて貰える筈だ…

 

「…その言い方だと待ってて欲しかった様に聞こえるけどな。…で、あんたの質問の答えだけど…良いだろ、別に…俺の勝手だ。」

 

そう言ってキリト君が溜め息を吐く…へぇ…君の勝手ねぇ…

 

「ふ~ん……それで?本音は?」

 

僕がそう聞くと彼から舌打ちの音が聞こえた。

 

「……分かるだろ?気不味いんだよ、言わせんな…」

 

「この場合気不味いのは僕の筈なんだけどね…」

 

醜態を晒した上、この場では僕は最年長なのだ…キリト君が気にしないといけない事は別に何も無い筈だ…

 

「ああ言う空気…昔から苦手なんだよ。」

 

「慣れないと今後苦労するよ?」

 

僕も決して得意な方じゃないが、華やかな席は色々自分の利益に繋がったりする物だ…

 

「煩いな、ほっとけ…つかあんたはあいつらに説明する事が有るだろ?詰まった時と、これからのあいつらについて話する段階になったらフォローくらいはしてやるからとっとと行けよ。」

 

そう言うと彼は僕から視線を切り、目を閉じる……やっぱりまだ子供だね、カッコつけてるみたいだけど全然似合ってない。

 

「……寝ないでくれよ?」

 

「寝るかよ、さっきちゃんと仮眠も取ったからな。」

 

そう言って彼はシッシと手を払う…やれやれ…まぁとにかく僕が行かないと始まらないか…

 

「…やぁ。」

 

僕がそう言って彼らのテーブルに行き、そう声を掛けると彼らが一斉に動きを止めてこちらを見た…先程まで有った笑顔は完全に消えている……うん、キリト君…気不味い、と言うのはこう言う状況の事をいうんだよ?

 

「…あ!おはようございます!」

 

ケイタ君が慌てて僕に頭を下げる…他の皆もそれに習った様で全員頭が下に向く……あー…気不味い!次に何を言うか頭から消えそうになる…取り敢えず主導権は僕が握ろう…このままでは話を進められない。

 

「うん、おはよう…と言ってももう昼みたいだけどね…とにかく頭を上げてくれないか?それでは話が出来無いからね…」

 

「…はい…分かりました…」

 

ケイタ君がそう言って頭を上げると他の面子もおずおずと頭を上げ始める…うん、良いチームじゃないか…

 

「ありがとう…そうだね、先ずは…掛けても良いかな?」

 

僕は適当に空いてる席を手で示す。

 

「はい…どうぞ…」

 

「うん、じゃあ座らせて貰うよ。」

 

椅子に座り一息吐く……いや、待ってくれ…

 

「…先ずは肩の力を抜きなよ…サチさんから僕の事をどう聞いたのかは分からないけど…それじゃあ話どころじゃないから。」

 

僕が席に着いただけで全員ビクッ!っと身体が一瞬震えて硬直した…参ったね、今の僕ですらそんなに怖く見えるのか…

 

「…ケイタ、大丈夫だよ…皆も落ち着いて?」

 

おや?意外な所から助け舟が出されたぞ…遠慮がちでは有ったけど…彼らを見渡しながら発せられたサチさんの言葉には確かな力を感じた…不思議と僕の心まで少し穏やかになるのが分かる…

 

「ありがとう、サチさん。」

 

「!…いえ…」

 

とは言え、僕から声を掛けるとやはりまだ少し怖いのか僕からすぐに視線を外し、そのまま俯いてしまった…まぁ当然か…でも先程の彼女からは周りを気にしつつ…自分の弱さとも向き合おうとしていた…そんな雰囲気が有った…どうしてだか分からないけど僕にはそう見えた…何が彼女に変化を与えたのか分からないけど…それがもし僕の影響だと言うのなら……少しは命を懸けた甲斐が有ったのかもね…

 

……まぁ…やっぱりキャラに合わないのか、僕の中で何かが軋む音がするけど。

 

「まぁ気楽に、と言われても無理か…君たちはもう食事は済んでいるとキリト君に聞いている…取り敢えず飲み物でも頼もうか…僕が奢ろう…大した物は無いけど、皆好きな物を頼むと良い。」

 

「え!?でもそんな「気にしないでくれ、ケイタ君…僕が喉が乾いてるだけだから…ついでだよ」……本当に良いんですか?」

 

「ああ、大丈夫だよ。」

 

未だ何処か困惑しているケイタ君と…今度は黙ったままのサチさんとは対照的に奢りと聞いたからなのか少し笑顔の戻る彼らに溜め息を吐きたくなるのを堪える…今そんな事したらせっかく張り詰めていた空気が緩和されて来たのに台無しになるからね…

 

…ややあって皆が注文を終え、飲み物が来たが誰も手を付けない…その代わり、俯き気味のサチさん以外全員僕の方を見詰めている…やりにくいな…

 

「参ったね…もうちょっと気を楽にしてくれて良いんだけどね…」

 

僕は今来たばかりの飲み物に口を付け、一口飲む……水にしておけば良かったかな…不味くは無いけど、正直これならポーションの方が美味いんだが…まぁ仕方無いか…仕方無く僕は飲み物をテーブルに置き、彼らの顔を見回す…

 

「さて…じゃあこの場で僕に聞きたい事が有るなら聞いてくれ。」

 

そう言って、僕は一旦キリト君の方を向く…幸い他のプレイヤーも居ない様だ…後は彼にもこっちに来て貰おう…そう思ったのだが、目を開けている彼は僕と視線が合うと黙って顎をしゃくる……向こうを向け、と。本当に彼はこっちに来る気が無いらしい…仕方無い、面倒だけど…このまま始めるか…

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