「つまり…それは…アルベリヒさんが抱える厄介な病気…いや、すみません…要は衝動的な物だと…?」
僕からの説明を聞いたケイタ君がそう言葉を返して来る…うん、僕自身そんな症状が有ると今日まで感じた事は無いからちょっと雑、と言うか…かなりたどたどしい説明にはなったけど…彼なりに上手い事説明してくれて内心ほっとしている……受け入れて貰えるかは別問題だけど。
「うん…と言っても滅多に出ないんだけどね…基本的にああなるのはストレスが溜まってる時くらいだから…子供の頃はともかく今は出来るだけ溜め込まないようにしてるんだけど…この世界に来てからは…色々と、ね…ああ、君たちが原因には含まれてないから安心してくれて良い…」
……まぁさすがに嘘だけど。単にストレスの面だけで言うなら残念ながら彼らも多少なりとも一因になっている…そもそも今した説明全てが嘘だからそんな事言い始めたらキリが無い…元々、子供の頃だって僕はどちらかと言えば表面上怒ってはいないと言う印象を周囲には与えていた筈だ…
もちろん何もしない訳じゃ無く、ストレスの元凶に対して一々その場で糾弾したって仕方無いから、後で出来るだけ僕が関わってると知られないやり方で始末を着けている…だから爆発する程溜め込んだ覚えも特には無い。
あのクソ野郎…茅場晶彦の時だって爆発する前にせめて奴の小間使いを辞めようとしたらあいつが勝手に死んでて…怒りの矛先を向ける相手すらいなくなった上、何としてでも奪ってやろうと思っていた相手すらもこの世から消えてしまって気が抜けただけだった…
「ま、とにかくだ…僕の事はこれくらいにして…君らのこれからについて話すべきだと思う。」
「…僕らの、これから…」
「うん…まぁ僕の事が怖いからもうコーチを受けたくないとかであればこの話はここで終わりだよ、僕たちは君らの元から離れる。」
僕がそう言うと彼らは顔を見合せた。
「…まぁすぐ結論を出せ、とは言わない…明日の朝までは返事を待つ…それと、サチさん?」
「え…何で、しょうか…」
「さっきやったみたいに…自分の意見はハッキリ言った方が良い…後悔したくないのなら、ね…?」
彼らとサチさんには明らかな温度差が有る…恐らくリアルでも仲が良くて、意見が大きく割れる…何て出来事がほとんど無かったんだろう……だから話し合いの機会を設けて無い…と言うか、多分…サチさんが自分の意見を余り言わないのを良い事に今までサチさんの話をろくに聞かずにここまで来てしまったんじゃないかな…?彼らはきっとサチさんが本当に悩んでいる事に気付いていない…
「……はい… 」
「…そう気負わなくても大丈夫だよ。きっと彼らは君が話してさえくれれば…ちゃんと聞いてくれるよ。」
「……」
「じゃあ明日の朝、またここに集まろう…」
僕はそう言って席を離れた…そのままキリト君の方まで歩く…
「…随分勝手に決めるもんだな…」
「結局会話に参加しなかった君に言われたくないけど?」
「…悪かったよ。でも良いのか?今日一日でなんて結論出るか分からないぞ?」
「出なきゃ仕方無い…僕らは彼らの元から去るだけさ…攻略を余り遅らせられないだろう?」
「ま、そうだけどな…」
「文句が有るなら参加して欲しかったんだけどね?」
「混ぜっかえすな、悪かったって…明日の話し合いには参加するからそれで許してくれって。」
適当に言った様に見えて…彼の顔は確かな確信に満ちていた。
「…君はそもそも話が纏まると信じてるのかい?」
「あんたもさっきのサチを見ただろ?怯えてばっかりでろくに喋ろうとしなかったあいつのあんな姿を見たら…期待もしたくなるさ…」
「…それはまぁ、確かにね…戦闘に出られるかは分からないけど…今の彼女なら、もしかしたらこの世界で自分の役割を全う出来るかも知れない…」
不確定な事柄をそうなるかも知れない前提で話を進めるのは愚かだ…昔の僕なら絶対にしない……頭の中でそんな言葉を吐く自分に僕は反発する…何故か分からないけど今の僕はサチさんを信じたかった…