妖精王のSAO   作:三和

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自分が彼らにあんな提案をしたせいとは言え…時間が余ってしまった…フィールド内でさえ夜は危険になる事を考えれば既に昼を過ぎた今から攻略に行くのはちょっと遅いし、予定が無いならまだしも朝には宿には戻ってないとならないから下手に出かける訳にも行かない。

 

…街の片隅、店先に有った木箱の上に座り途方に暮れていた所でメッセージが届く。

 

「……キリト君?」

 

キリト君とはさっき別れたばかりだ。仮眠を取ったと良いながらもあくびをしながら部屋に戻る、とか言っていたからてっきり寝てるんだとばかり思っていたんだけど……まぁ良いか、僕はメニュー画面をタップしてメッセージを開いた。書かれていたのは…

 

"何処にいるんだ?"

 

……簡潔に、たった一言これだけ…さすがに溜め息を吐き、次いで頭の後ろを掻く…オンラインのゲームだとチャット…要は他のプレイヤーと会話しながら連携をとる事も有ると思うけどこれじゃあちょっと…まぁ彼の語彙力の無さについてはもう慣れてるけどね…

 

"宿の外だけど…何か用かい?"

 

"今、俺の目の前にサチが居る"

 

……別に予想の範疇では有るけどそれでわざわざ僕に連絡する意味が分からない。

 

"で?あんたは街の何処に?"

 

"道具屋の前だけど、結局何か用なのかな?"

 

まぁ別に場所を隠す理由は無いので普通に答える…とは言え彼自身は僕の質問に答えていない。これじゃあ会話にもなってない。

 

"取り敢えずサチと二人でそっち行くよ"

 

"別に来ても構わないけど…用向きは教えてくれないのかい?"

 

……今度は返事が無い。まぁこっちに着いたら話すって意味なんだろうけどね…

 

「キリト君…その不器用さ、直さないとこれから苦労するよ…?」

 

そう思っても今更僕は彼に一々指摘はしない。何れ嫌でも分かるだろうしね…

 

「ま、暇潰しにはなるかも知れないね。」

 

 

 

「で、要はサチさんからの相談事だと?」

 

やって来たキリト君はわざわざ連れて来たサチさんを店の前に残して、僕を店の裏まで連れて来ていた。

 

「ああ。」

 

「それで何故僕の所に?相談を受けてるのは君じゃないのかい?」

 

「まぁそうなんだけどな…」

 

来た理由を尋ねてみれば、彼は僕から目を逸らす……あー…

 

「要するに、手に負えなかったんだね?」

 

「……ああ、そうだよ。」

 

それならメッセージで先にそう言ってくれれば良いのに…頭に過ぎった言葉を無意味に感じて打ち消す。実際、そうならなかったから僕はサチさんが来るまで結局何も聞かされていない…

 

まぁ…何となく相談の内容は想像つくけど。

 

「…仲間に戦闘に参加したくない、そう伝えたいけどどう伝えたら良いか分からない…彼らに失望されたくないとか…そんな感じかい?」

 

「…まぁ、大体合ってる…」

 

……仲の良い友人同士で有っても、それが複数人の集まり…グループなら考え方全てが一致する事は先ず無い。それはどれだけ長い付き合いでも当たり前だ、必ず何処かで衝突は有る…本来それを怖がってちゃ友人付き合いなんて出来無い…今までそんな機会が無かったからと言って、実際に自分の意見を口にしたら批難して来る様なら…そんな物は友人とは言わない。

 

さっさと縁を切ればいい…サチさんにそう言うのは簡単だ。僕には別に彼らのチームが解散するどころか、深い溝が出来た所で何らデメリットは無い……別に、彼らが居なくなっても正直困らない…今の実力なら攻略に参加させようとも思わないしね。

 

ただ…一度面倒を見ると言った以上そこを丸投げと言う訳にも行かないだろうな、とは…さすがに思う。

 

サチさんの気持ちが分からない訳でも無い。今までそうして来なかったんだ…そりゃ怖くもなるだろう…彼らが自分の目の前から消えたらもう立ち直れない……そう思う気持ちは分かる…

 

「キリト君、サチさんが仮に意見を口にして彼らが彼女を見限ったら……どうするんだい?」

 

「どうするって?」

 

「面倒を見ると一度は口にしたし、サチさんを戦闘に参加させないのは僕らの方針だ…最低限の事はしないとならない。」

 

「……じゃあサチに言うべき事は…」

 

「彼らにもし見放されても生産職としてやって行ける様に僕たちは面倒を見るから、彼らに自分の気持ちを遠慮無くぶつけたら良い…そう伝えれば良い…まぁ彼女の中でもう結論は出ていて、背中を押して欲しいだけの気がするけどね…」

 

失望されたくない…キリト君がそう言った割には彼女の顔に悲壮感は無かった…もう最悪彼らと別れる覚悟を決めているか、あるいは…

 

「そもそもその程度の仲間意識なら…とっくに彼らは彼女を切ってると思うけどね…」

 

リアルでの付き合いだと言う彼ら…このゲームが始まってからそれなりに時間も経って来ている…彼らが彼女に特別期待を寄せておらず、彼女の事を尊重する気が一切無いのなら…もうとっくに関係性は切っているだろう……実際、彼女は戦闘にはろくに役に立って無いんだから…見限るならとっくの昔に見限られてる筈なんだ。

 

「…とまぁ…そう君の口から伝えれば良いんじゃないか?」

 

「……と言うか、やっぱり俺が言うのか?」

 

「君の方が歳が近いからね。」

 

まぁ正直に言えば…いい加減面倒になって来ただけだけど。

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