妖精王のSAO   作:三和

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「おい、起きろ!」

 

「ん…」

 

耳に聞こえる大声と、身体を揺さぶられる感覚で僕は目を覚ます…

 

「ふわぁ…ん…?あれ、キリト君じゃないか…何で僕の部屋に…?」

 

僕は元々あまり視力の高い方じゃない…リアルのソレがこっちでも反映されてしまい、視界がボヤけて今目の前に居る人物も顔の輪郭しか分からないけど…見慣れた彼の事はそれでもさすがに分かる。

 

「やっと起きたか…あのな、何度もメッセージ送ったんだぞ…もう朝だ…あんたがアイツらに朝まで返事を待つとか言ったんだろ…もうアイツら全員集まってるぞ。」

 

「……ああ、寝坊しちゃったのか…ごめん、すぐ用意して下に……いや、キリト君?」

 

取り敢えず装備を整えようとして、ベッド傍の机に有った眼鏡を掛け…メニューを出して指で触れようと所で僕の動きは止まる…いや、だから何で彼がここに居るんだ?

 

「何だ?…連中を待たせてるから手短にな。」

 

「……何で君は僕の部屋に居るんだい?」

 

ここは僕の部屋だ、メッセージ送ったのに起きて来ない僕をわざわざ起こしに来てくれたのはありがたいが…施錠されていた筈の部屋に彼が居るのは可笑しい…

 

「ああ、それか…先に言っとくけどな、あんた不用心だぞ?」

 

「不用心?」

 

「メッセージ送ったのに返信が無い、仕方無いから部屋のドアをノックしても応答が無い…これまた仕方無く…試しにドアノブを掴んだら、普通にドアが開いたからこっちが驚いた…部屋の鍵くらいちゃんと掛けろ。」

 

「鍵が掛かっていなかった…?」

 

「?…掛けた記憶有るのか?」

 

基本的に僕は部屋の鍵をいつも掛けている…向こうではマンションに一人暮らしだし、セキュリティがしっかりしてる所とは言え万が一の場合は有るから…それはもう習慣になっている…だからこの世界に来てからも宿屋に泊まる時はちゃんと施錠を……あれ?

 

「そう言えば…コペル君が帰った後、部屋の鍵を掛けた記憶が…」

 

「…ああ、俺の所に来た後あんたの所にも来たんだな…で、その後鍵を掛けないで寝たと…何だ、単にあんたの掛け忘れじゃないか…圏内とは言え何が有るか分からない。もうちょっとしっかりしてくれ…」

 

「あー…悪かった…」

 

「…そっちは俺に謝っても仕方無いな…とにかく、俺は部屋の外で待つからさっさと支度しろ。」

 

「分かった、すぐ行くよ。」

 

 

 

「悪かったね、待たせてしまって…」

 

「いえ、大丈夫です。」

 

僕が下に降りると既に月夜の黒猫団が全員一つのテーブルに着いており、僕も空いている席に座った……うん。

 

「話はちゃんと纏まったみたいだね?」

 

彼らは緊張している様子こそあるものの、一様に決意の篭った目を僕に向けている。こうなると彼らの返事も予想が着くけど、一応答えは聞いておくとしよう。

 

「さて、ケイタ君?」

 

「はい。」

 

「…このチームのリーダーである君に答えてもらう事にしよう…君たちはこれからどうしたい?」

 

「…はい、僕たちは…キリトとアルベリヒさんから教えを受けたいと思います。」

 

「……サチさんと話し合いは出来たかな?」

 

「はい…僕も、他の皆も何となく分かってはいたんです…サチが怖がってるって…でも、僕たちがその分カバーすれば良い…そう、思ってました…」

 

自分以外の誰かを守るには必ず大きな力が必要になる…意思だけでは、すぐに挫折する…この世界はゲームで有っても遊びでは無い…力が無ければ理を通せない世界に僕たちは居る…そこに弱さの入り込む余地は何処にも無い…

 

「その想いは決して間違ってはいないけど…それが余計にサチさんを苦しめていた…それも理解出来てるかい?」

 

「はい…」

 

「サチさん、彼らはどうだった?ちゃんと君の話を聞いてくれたのかな?」

 

「はい、皆ちゃんと私の話を聞いてくれました…」

 

「そうか…ケイタ君、サチさんが生産職に転向するのを君たちは受け入れた…それで良いんだね?」

 

「はい、それがサチの気持ちなら…僕たちは受け入れる事に決めました。」

 

「そうなんだね…先に言っておくと…生産職への転向だって実はそう簡単な事じゃない…スキル上昇にはスキルポイントが必要になるし、普段あまり前線に出る事こそ無いだけで最低限のレベル上げも当然必要にはなる…僕らも出来るだけサポートはする、だけど一番は君たちがどこまでサチさんを支えられるか、そこに懸かっている…それは分かるね?」

 

「はい、分かっています…」

 

「それなりに時間も掛かるだろう…サチさんも怖がってばかりじゃいられない…それも分かるね?」

 

「はい…」

 

「どうしても無理な部分は彼らに頼る事は出来るだろう…ただ、サチさん自身の頑張りも必要で、尚且つ他の皆は彼女を支えて行ける様強くならないといけない…出来るかな?」

 

「「「はい!」」」

 

うん…これなら大丈夫かな…本当に良いチームだ…これから先しばらくは手も焼かされそうだけど…それでもそこだけは確かだと思う。

 

「…じゃ、今日から特訓を始めるよ。先ずは…」

 

……まぁ…この後メイス使いのテツオ君含めて、全員を片手剣に転向させると言った所で少し揉めたのはご愛きょ…いや、正直先が思いやられるよ…やれやれ…でも引き受けた以上はやるしか無いか…

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