妖精王のSAO   作:三和

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本来ならチームを組んでいる彼らに、ソロプレイでの戦いを教える意味は無い……本来なら、ね…

 

「ハァッ!」

 

片手剣単発スキル…スラント。右上から剣を振り下ろす技…基本中の基本技で有り、威力も高くないが…使用後の硬直時間が短いので、仮に当てれなくても仲間が居るなら瞬時に交代する事も可能だったり…そもそも連続攻撃の最後に持ってくれば怯んだ相手に当てる事も可能だろうこの技…確かに良い技なんだけどねぇ…

 

「さすがにいきなり使われても、当たってあげられないな。」

 

「あ…うぎぃ!?」

 

まさか初太刀にそのまま使って来るとは予想外だ…と言うか、いきなり使って当てられると思われてるなら…さすがに僕を舐め過ぎだ…目を覚まして貰う意味も込めて、サイドステップで彼から見て右側に移動する事で彼の剣を躱して…ソードスキルを使って硬直した直後の彼の顔面に振り被った拳を叩き込む……別に僕は格闘技の経験は無いし、文字通りただ殴っただけなんだが…僕はスピード寄りのキリト君と違い腕力寄りにパラメータを振っている上、今のは完全にカウンターとして入ったらしく…彼はそのまま後ろに吹っ飛び、背中から地面に倒れ込む…

 

さて、普通のルール有りきの試合や組手なら反則だけど…これはあくまで実戦を想定しているからね…僕は彼の所まで駆け寄り、顔に向けて足を落と…

 

「うわ!?」

 

……顔の手前で足を止める。まさかビビって両腕で顔を覆うとはね…しかも剣も盾も吹っ飛んだ時に落としてるし…正直、これくらいは躱してくれないと話にならないんだが…まだ無理な相談か…

 

「そろそろ夕方だ、今日はここまでにしようか。」

 

「っ…ありがとうございました…」

 

……敬語じゃなくても良いって言ってるんだけどね…まぁ結局の所、先ず個人の動きが駄目なんだから、チームプレイを教えても無駄なんだよねぇ……何気に、まだ残りの面子をしばき倒しているキリト君に終了を告げに行く…あの時彼と交代はしたは良いけど、暇だったらしく彼が残ったメンバーを纏めて相手し始めたんだよね…あまりにも基礎が出来て無さ過ぎて、何をして来るか予想が付かないから彼らを纏めて相手するのなんて僕なら遠慮したい…なので必然的に僕が1体1での戦い方を教え、キリト君がチームでの戦い方を教える事になった(とは言え、今の所彼らはただ翻弄されるばかりで…完全に僕らが蹂躙してるだけになっている…まぁまだ初日だしね…)

 

「ほら、キリト君…今日はもう終わりにしよう。」

 

「……そうだな。」

 

一応三人がかりで、キリト君に一撃も当てれた様子は無いのは横目で何度か見ている…メンバーを何回交代しようが、その辺は変わらない…何でそれぞれ全員、好き勝手に攻撃し始めるんだろうね…一体何の為に仲間と居るんだか…

 

と言うか、三人とももう完全に心が折れてる様に見えるんだけど…今さっきまで僕と戦ってたケイタ君まで起き上がろうともしないし…ま、一応そのままでも…良いんだけど。

 

何せ彼らは僕らが良いと言うまでフィールドに出るのは禁止している…要は金を稼ぐ手段が無いから、このまま野宿になる……もちろん彼らに付きっきりになる以上、同じくフィールドには出られないから、僕らも。

 

「あ…」

 

取り敢えず離れた所で改めて戦い方を教わる事になったサチさんがコペル君と戻って来る……お、少し雰囲気が変わってるね…何か自信が付くような事でも有ったかな?

 

「うわ…かなりキツくやったみたいだね…」

 

僕たちの所に戻って来たコペル君が仰向けに寝転がり…現実を否定する様に両目を腕で覆うケイタ君と、完全に地面に座り込み俯いている残り三人を見てそう零す…

 

「キツくって言う程、キツくしたつもりは無いんだけどな…一方的にやられてるのは結局こいつらが甘いだけだし…」

 

正直、同感だ…片手剣に転向させたばかりとは言え、一応初心者向けとも言える片手剣でこうも動けないとはね…

 

「いや、どちらかと言うと二人が特殊な例なんで有って…」

 

「実戦なら何が起きても不思議は無いし、こっちもゆっくりやってる暇は無いからね…多少荒くてもついて来てくれないと困る……でもまぁ、止めたいなら今この場で言って貰えると助かるな、ちなみに仮に止めたいと言っても、後はコペル君がはじまりの街まで送って行ってくれるし、今なら僕とキリト君も護衛に着こう……どうする?」

 

「僕は…もう少し、頑張ってみたいです…」

 

消え入りそうな声だったが、ケイタ君からはそう返事が返って来た……その後は残りの三人からも一応続行の意思確認が取れた。

 

「サチさん、君はどうかな?」

 

「私も…頑張りたい、です…皆には遅れちゃうかも知れないけど…」

 

「大丈夫だよ。恐怖そのものは消えなくても、対処の仕方さえ覚えたら無闇に怖がる事も無くなるから。」

 

「うん…」

 

二人きりで居たからか、コペル君とサチさんは打ち解けたらしい……微妙に人見知りの雰囲気は有ったからそういう面でもどうなるかと心配だったが…問題無さそうだね…しばらく彼にはサチさん専属で居てもらおう。それで、サチさんが最低限戦える様になったら彼にもこちらに加わって貰うのが良いだろう…ある程度の実力が有る彼に、武器の使い方の説明だけさせると言うのは正直、勿体無い。何より変則的な僕たちと違い…正統派の盾有り片手剣士スタイルの彼から学べる事は多い筈だ。

 

……さて、ここで解散!…みたいな事が言えるならしっくり来るんだけど…今の所野宿しか無いんだよね…フィールドに出て金が稼げるなら宿も取ってられるけど…仕方無いね。結局僕らは圏内とは言え、万が一の事を考え一応それぞれが交代で見張りに着く形で…朝まで休む事になった。

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