妖精王のSAO   作:三和

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キリト君に起こされ、見張りの役目を交代する…さすがに深夜ともなれば街中にプレイヤーが居る様子は無い…

 

「ふぅ…」

 

地面に座り込み、溜め息を吐く……正直な所…些か、暇である…まぁここは圏内だし、そりゃこっちも慣れても来る…ただ、万が一の事を考えたら間違っても居眠りなんてのは出来無い…娯楽は無いけど、それでも何か出来る作業でも有れば良いんだけどな…ん?

 

「……サチさん?」

 

物音が聞こえ、そちらを見れば…寝ていた筈のサチさんが立っている…

 

「……眠れないのかい?」

 

僕の言葉に彼女が頷くのが見えた…う~ん…

 

「……座るかい?話くらいなら聞くよ?」

 

そう言われた彼女はビクッと一瞬身体を震わせたが、それでも頷いた。

 

僕から少し離れた所に座る彼女……体育座り、ね…多くの場合、自分にあまり自信の無い人が選ぶ座り方だとか…何かどっかで聞いた気がするな…

 

「……」

 

彼女が口を開く様子は無い…彼女の性格はもう大体把握してるから、特に僕から促す気は無い…こうして座ってるだけで落ち着く、と言う場合も有るし……まぁ僕から話し掛けるつもりも別に無いんだけどね…

 

「あの…」

 

と思っていたら、彼女が言葉を発した。

 

「何かな?」

 

「……ありがとうございました。」

 

「それは、何についてのお礼かな?」

 

謝罪や感謝の言葉と言うのは、良くも悪くも…相手に意図が正しく伝わっていて初めて成り立つ物だと僕は思っている…それが言われた相手にとって意味が有るか無いかでも無く、先ずは伝わる事…それが一番大事な事だ…

 

「その…私、まだあの時助けて貰ったお礼言ってなかったから…」

 

「ああ…」

 

そう言えば、言われた記憶は無いね……ちなみに僕は、さっきの持論とは別に、感謝の念は言葉だけではいけないとも思っている…人に恩を受けたら言葉以外にも何かで報いる事…自分がヘマをしたとしても、フォローして貰えるくらいには最低限の信頼関係を結び…助けて貰ったならその埋め合わせはする……この繰り返しがお互いの関係性を強固にする…まぁ、なので僕は基本的に貸しは作っても出来るだけ借りは作らない様にしている……そう考えると、この世界に来てからキリト君に借りばかり作ってるのはかなり業腹だったりもする…

 

とは言え、僕は今…この世界に来てからはほぼ初めてになる感謝をされてる訳だ……ここに来る前…いや、更に遡ってどっかのクソ量子物理学者に会う前ならあからさまに見返りを要求したかも知れない…

 

「いや、まぁ気にしなくて良いよ。」

 

ただ、今の僕はさすがに歳下…それもまだ子供で、しかも女の子に特に何かを要求する気にはならない……まぁ、礼すらろくに言わないアスナ君は論外だけど…一応僕も助けて貰ったし、これまで世話した分はチャラだ…今後関わって来なければ別に良い…

 

「一つ…聞いても良いですか…?」

 

「ん?」

 

「どうして、そんなに強いんですか…?」

 

「強い?」

 

「……貴方は…この世界が怖くないんですか…?」

 

「う~ん…」

 

思わず考え込んでしまう…僕の場合、こうして意識してみて初めて確かにちょっと怖いかな、と思える程度の感覚だったりする…まぁ、死んだら死んだでしょうがないかな、が本音なんだよね…僕はリアルにだってそこまでの未練有る訳じゃないし…

 

"彼女"が居ない世界は、僕には色彩すら感じられないからね…全てが色褪せてしまう……ま、ここの方がマシだと思っているせいも有るだろう…ここなら嫌でも色を感じる羽目になる…何せ、一日一日を生きるのが決して楽じゃないし。

 

「私は怖いんです…モンスターは怖いし、死ぬのも怖い…この世界そのものが怖くて堪らない…いっそ、何処かに逃げ出してしまいたいんです…」

 

……。

 

「……サチさん、逃げる方法なら…一つだけ有るよ。」

 

「え!?どうやってですか!?」

 

「簡単さ、死ねば良い。」

 

その言葉を聞いた彼女の顔が青ざめて行く…やれやれ…柄じゃないんだけど…このままずっと、今置かれてる現実から目を背けられても皆の足を引っ張るだけだからね…

 

「死ねば君の恐怖は終わる…死ぬのが怖いとも言ってるけど…でも、その瞬間君はこの世界からは出られる…死は、一瞬だ…一瞬で、全て終われる…君は、どうしたい?」

 

「私は…嫌です…この世界で生きるのは怖いし…死ぬのも怖いです…!」

 

「それは矛盾だね、この問題には…どちらか一つしか答えは選べない…」

 

「……」

 

「最低限生きられる術は教える…君がやる気を失わない限りはね…ただ、最終的に君が怖がってるだけで何もせず…仲間に頼りきるだけの存在で居ようとするのなら僕やキリト君は…君を普通に見限る事も忘れないでくれ。」

 

「……」

 

また逃げ出すかと思ったが、彼女はその場から動く様子は無い…まぁ、それだけでも成長か……まだ早いかもとも思ったが、何れは直面する問題だ…答えを見付けるならそれこそ早いに越した事は無い…何せ一年やそこらで…この世界から出られる訳が無いからね…

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