彼女の瞳に揺らぎは無い…本気で僕がそうだと確信している様だ。ふむ、そうか…なら僕は一つ、君を試さないとならないな。
「須郷伸之ねぇ…それって、このゲームの開発チームの一人の?……成程、君はさっさと現実世界に戻りたい…もし僕が本当に須郷伸之なら…君だけでも最悪帰る事は可能かもね…」
「っ…認めるんですか!?貴方がこのデスゲームを仕組んだと!?」
アスナ君は腰に差したレイピアに手を掛けている…遅いな、仮に僕がそうだと思ってるなら…最低でもそれは先に抜いておくべきだ…だって本当に僕がデスゲームの首謀者なら、僕はGM権限を持って然るべきだ…この世界はゲームで有っても遊びじゃない…言わば僕はこの世界の王…何をして来ても良い様に、もう少し慎重に動くべきだ……何より…
「そう慌てないでくれ、まだ僕は…自分が須郷伸之だと認めた訳では無いよ?」
「今更何を!?」
「いや、そもそも根拠は無いんだろう?つまりただの君の勘って事だ…とは言え実際その結論に至った辺り、君はきっと須郷伸之と面識が有るんだろう…じゃあ一つ、質問して良いかな?」
「……何ですか?」
「先ず僕は、この疑いを掛ける根拠が単なる君の勘でしか無い以上…まともに取り合う義理は無い…仮に、本当に僕が須郷伸之だったとしても…そうだと認める理由は無いんじゃないか?」
「そんなのただの詭弁じゃない…!」
ふぅ…君に教えてあげよう、ろくな証拠も無しに人に疑いを掛けると言うのが…一体何を意味するのか…
「…と言うかだね、アスナ君?今君は、自分が須郷伸之と面識が有ると認めた訳だ…違うかい?」
「っ…そうです、確かに私はあの人と知り合いです…!それが何ですか…!?」
「……じゃあ、今この場で首謀者に一番近い所に居るのは君だ。寧ろ君がこの事件を仕組んだ側じゃないのか、そう言う疑いが出て来るんだよ。」
ハァ…本当に、君は初めて会った時から脇が甘い…だからこうして、付け込まれる…
「何言ってるんですか!?私は…!だっ、大体!私がそうなら、この場で犯人を糾弾なんてする訳無いじゃないですか!?」
……君も推理小説の一つでも読んでみたらどうかな?それは犯人が良く口にする、テンプレな言い訳の一つなんだよね…
「さっきの言葉をそのまま返してあげよう…そう言うのを人は詭弁、と言うんだ…一つ、勉強になったじゃないか。」
「……私は、違う…」
彼女は膝から崩れ落ちた…既にもう終わりは見えている…けど、コレだけは言っておかないとね…
「話は終わりだね。約束だ、もう僕の前には現れないでくれよ?……ああ、安心してくれ…さっきの話は誰にも言わないさ…」
最もあれだけ騒いでたんだから、誰かが聞いてても何の不思議も無いけど…まぁ、それで彼女がどうなろうと僕の知った事じゃない…この結末を選んだのは結局彼女自身でしかない…もう僕が、彼女の事を気にする必要は無い。
「まぁ、はじまりの街にでも帰ったらどうかな?運が良ければ…いつかはこの世界から出られるかも知れないよ?……実際いつになるかは、正直分からないけどね…」
さて、少しは僕も休みを取るとするかな…全く、本当に余計な時間を取らせてくれたよ…