妖精王のSAO   作:三和

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「もう少し、発想を柔軟にしてみよう…確かにさっきのは悪くなかったけど、それでも出来る事はまだ有った筈だよ。」

 

「はい…」

 

「……」

 

取り敢えずテツオ君が落ち着いた辺りでケイタ君を起こし(そもそもこの世界では息が上がる事は無いし、気絶も基本的にしない筈だけどね…何より痛みも無い)その場に座らせた二人にそう告げる…

 

テツオ君からは凹み気味とは言え、一応返事が返って来たけど…ケイタ君は顰めっ面のままそっぽを向いて黙っている…こんな所まで来て座学がしたくないのか、それともサチさんと仲の良い(別にそんなつもりは無いけど多分そう見えているんだろうね、彼には…)僕の事をとにかく認められないのかどっちか知らないけどもう少し真面目に聞いて貰いたいものだね…

 

何せ、僕は元々キリト君の様に身体に無理矢理叩き込むより…本来、こう言うやり方の方がまだ性に合っているんだから……まぁ、教師に向いている方だとも思わないけど。

 

「…で、先ずテツオ君?」

 

「はい…」

 

「…ケイタ君が攻撃をする隙を作る為に最初に仕掛けて来たのは良いんだけど、その後が良くなかったね…君はその後はろくに動こうとしなかった…あの場合、君はもっと積極的にサポートに回るべきだった…そうすればケイタ君の攻撃は僕に当たっていたかもしれない…」

 

「はい…でもその、俺…ケイタに、貴方に攻撃を当てれるように協力してくれとか言われただけで…具体的にどんな攻撃をするかはちゃんと聞かされてなくて…」

 

……いや、作戦はきちんと立てようよ…ちゃんと戦う前に時間をあげたのに…

 

「成程、でも彼の事を見ていれば何となくは分かったんじゃないかな?君たちは、それなりに付き合いは長いんだろう?」

 

「はい、そうです…」

 

……彼から何処と無く困惑の雰囲気が伝わって来る…多分、最近のケイタ君の行動が理解出来て無いんだろうね…まぁ、最近の彼からは単純に僕に対する敵愾心を感じるし…間違い無く、良くない兆候では有るけれど…今僕から言える事は無いなぁ…今彼に注意しても聞いてくれないだろうし……最も、それはこれからするアドバイスにも言える事だけど…ふぅ…ま、一応効果が有るかも知れないとは思っておこう…

 

「じゃあ、次…ケイタ君「殴ろうとしたのが良くなかったんですか?」ん?」

 

「どうせ貴方を殴ろうとしたのが良くなかったんでしょう?」

 

……彼は何を言っているんだ?

 

「いや、別にそれ自体は有効な手段だよ。多分、その辺のMob相手なら状況にも寄るけど…十分に意表を突けると思う。」

 

まぁ、それでも本当に状況に寄るのは確かだ…実際Mobの群れと戦う羽目になった僕だから分かるけど…あの時、奴らは途中から明らかに学習をしていた…さっきまで通っていた筈の攻撃が中々通用しなくなって行った…あいつらは仲間のやられ方をきちんと見て、自分がどう動くべきか考える知能が確実に有った…散々手は焼かされたけど、僕にも学べる物は確かに有った。

 

「じゃあ何ですか、僕の何が悪かったんですか?」

 

「一つずつ挙げて行こう、先ず…盾は簡単に捨てたら駄目だ…一々剣で受ければ剣に負荷が掛かって壊れやすくなる…当然だ、剣は元々そんな風に使う物じゃない…技術として存在しない訳じゃないけど、それでも出来るだけ剣では攻撃を受けないようにした方が良い…で、盾に関しては元々受ける為に作られているんだから当然剣より遥かに丈夫だ…ここまで聞くだけでも、捨てるのはリスクの方が高いと分かるだろ?」

 

「……」

 

返事は無し、まぁ、一応聞いてると思って話を進めよう…

 

「ただ、必ずしもあのやり方が悪い訳じゃない…少なくともアレには僕も驚いた…相手に向かって受ける為に存在する盾を投げ付けると言う発想はその場では中々出ないものだ…だから君のやった事は間違ってる訳でも無い。」

 

「……」

 

「ま、さっきも言ったけど…結局の所状況に寄るんだ…僕だって状況に寄っては、自分から剣を捨てて…そのまま相手に殴り掛かる事も有るだろうと思う…」

 

「…ハァ…回りくどいんですよ、何が言いたいんですか?」

 

彼も焦れて来てるみたいだけど…そろそろこっちの方がイラついて来た…全く、誰の為にやってると思ってるんだか…

 

「ふぅ…そうだな、じゃあハッキリ言おうか?」

 

僕は座っていた状態から立ち上がり、彼の顔面に蹴りを入れた。

 

「グアッ!?…何を!?」

 

僕の行動が予想出来無かったのか、彼は僕の蹴りを食らってそのまま倒れ込む…仰向けに倒れた彼の横で屈み、彼の腹に片膝を置く…そこから彼の顔の横の地面に向かって拳を落とした。

 

「ッ!?」

 

「口で言って分からないならそう言ってくれないか?僕だって教師役なんて柄じゃないし、やり方を変えるよ…で、結論を言えばだね、要は殴るならもっと相手に当てやすい状況を作れと言ってるんだ……分かったかな?」

 

剣を持っていれば、リーチは伸びる…つまり素手なら、それだけ相手には当てにくいって事だ…

 

「あの時、確かに君には殴る以外の手段は無かったかも知れない…ただ、馬鹿正直に殴る場所を教えてる以上受けられて当然だ…」

 

もしアレがフェイントで、実際は違う場所を殴ろうとしてたなら僕も受ける事は出来無かった。しかし…彼はそのまま最初に指定した場所、顔面を殴ろうとして来た。なら僕は、そこに持っている盾を置くだけで良かった…技後硬直から動ける様になったのは顔面に拳が当たる本当にギリギリのタイミングだったのに普通に受けられたのはそのせいだ…

 

「一応君にも学習能力は有るんだと思って言わせて貰おう…その頭の中に有る物は飾りなのかい?学んだ事から応用するなんて、その辺の幼稚園児にだって出来る事なんだよ?」

 

「ッ…僕は…!」

 

「ふぅ…今日はもう終わりだ…キリト君の所に戻りなよ……あ、ついでにダッカー君とササマル君を呼んでくれ…次は彼らの相手をするから。」

 

そう言って僕はケイタ君の上から退いた……思いの外凹んでいる彼を見てたら、少し大人気無かったかなとも思う…ただ、僕もそう気が長い方じゃないんだ…やる気が無いなら、こっちもそう言う対応をするだけの話だ……いや、本当にやる気が無いならやめてくれても一向に構わないんだけどね…

 

彼はしばらく両手で顔を覆って、何かを堪えるように時々身体を小刻みに動かしていたが、仕舞いにうつ伏せになってから立ち上がり…僕に背を向けたまま歩いて行った……心配そうに立っていたテツオ君を無視して。

 

慌てて追い掛けるテツオ君を見ながら思う…もしかしたら、もうこのチームは駄目なのかも知れないなと…

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