「…まぁ、うん…彼らが見ててギスギスしてるのは、僕の目から見ても明らかだから…何か言うのは構わないんだけどね…だけど。」
「?…だけど?」
「少なくとも今回、僕が彼らに何か言うのは何か…色々違うかなって思うんだけど…」
…そこまで聞いて僕は有る事に思い当たる……キリト君はどうやらまだ問題に気付いて無い様だ…
「…キリト君。」
「ん?」
「…コペル君は現状、彼らの問題に関しては今の所ほとんど関わりを持ってない。」
「……あ、そう言えばそうか…」
「…う~ん…まぁ、しばらくは成り行きに任せるで良いんじゃない?」
「…結局、放置するしか無いって事かな?」
「…いや、多分放っておいても何とかなるって言う方かな。」
「…あいつらってか、ケイタは俺の目から見てもかなり拗れてる様に見えるんだが…」
「……実際ほんのちょっとのズレから友情の崩壊、そのままずっと大人になっても絶縁状態なんて良く有る話だしね…ましてや、グループ内の問題となるとねぇ…本来当人同士の1体1の話し合いで事は済んでた筈なのに見かねた部外者が口出したら、そのまま何故か連鎖的に他のメンバーにまで飛び火して完全に仲違い…そのまま全員バラバラになった例も知ってるから尚更口出ししたくない、って言うのも有る…まぁでも、それ以上に…今回はあまり手出ししない方が上手く行く気はするかな…」
「?…あまり?」
「…さすがに低い確率だとは僕も思うけど…彼がサチさん、あるいはサチさんを含めた仲間たち全員を巻き込んで心中するなんて事は一応有り得るかな…だから、出来るだけ目を光らせる必要は有るかと思う。」
「成程、お前はそう思うか…まぁ正直、俺はまた違う意見だけど…ケイタを見張るのは必要かな。」
割と衝撃的な事をコペル君に言われて、僕は一瞬言葉が出なかったけど…まぁ、考えてみれば人を殺すハードルはこの世界だとリアルに比べて断然低くなるからね…十分に有り得るか……ま、リアルでも学生だからって大それた事やらないとは限らないしね。…しかし、見張りか…
「意見は違うのにどちらも見張りは必要か…一応参考までに君の方の理由を聞いても良いかな?」
「……どうやらマジで分からないみたいだな。」
「他人を理解するって言うのはそんなに簡単な事じゃないよ。と言うか、今どきの高校生の考える事なんて全然分からないさ…」
僕にも学生時代は有る…ただ、当時他人と深い付き合いはほとんどしなかったし…何より、世代違えば当然考え方も変わって来るだろうしね…
「…まぁ、そりゃそっか…じゃあハッキリ言うけど正直、あいつに心中なんてする度胸は多分今の所無いよ。後々性格も変わっては来るかもしれないけど…間違い無く、今のあいつには出来無い。仮にやるとしたらそうだな…ろくに手も下さず自分で罠に嵌めて、自分以外の全員を皆殺しにして悲劇のヒロインでも気取ってそれに心地好く酔いながら生きるとか、後は同じく全員を罠に嵌めた後…他の仲間が確実に死んだのを確認してから…自分が仕組んだ癖にサチだけを助けて好感度上昇と、自分への依存を狙うマッチポンプとかになるんじゃないか?…まぁ、とにかく…今のあいつに自分が死ぬ度胸は無いだろうな。」
……どう考えても心中の方がマシに感じるくらいクズ過ぎる内容だったけど…でも、敢えて感想を言わせて貰えば…
「「…十分に有り得るね。」」
「だろ?」
コペル君と言葉がハモる…まぁ、今のは半分無意識に出た言葉だから…僕も思った以上にケイタ君に対して信頼みたいなものが無いんだとは思ったけど…まぁ、今回は仕方無いとも言える…
「結局彼の人柄がどうかって言うよりこの世界だとね…直接手を下すのに躊躇いは有っても罠に掛けるなら簡単だ…他の人の手もほとんど借りずにやれる……その、実際僕も君たちにそうしようとしたし…」
どうも気まずい空気になって来たので取り敢えず、彼の言葉をスルーして僕は結論を出した。
「…ま、とにかくこの件自体は様子を見るけど…その代わり、しばらくは彼を見張るって事で良いかな?」
「「異議無し。」」
ハモッた事に気付いた二人が顔を見合せて軽く笑みを浮かべた……君たちってそんなに仲良かったっけ?まぁ、僕もさっき見事なシンクロやったんだけどさ…