妖精王のSAO   作:三和

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「…今日は休みだったのに、何でそんなに疲れた顔してるんだい?」

 

「「色々あった(からね)」」

 

「…あからさまに思い出したくないから聞くなって感じだね…」

 

街に戻り、まだ夕方とは言え特別娯楽も無いからか既に人気の少なくなった広場でコペル君に遭遇…もしかして、わざわざ待っててくれたのかな?

 

「待たせてしまったかい?すまないね…」

 

「…あ、いえ…どっちみち僕もそろそろ戻ろうかと思ってたし、別に約束もしてなかったですから…」

 

「…と言っても待たせたのは事実だろ?悪かった…にしても、何か用でも有るのか?」

 

ここへ来てコペル君のしたい話って言うと…それは当然彼らの事に他ならない…まさか、何か問題でも起こしたんだろうか…

 

「…あいつら、何かやらかしたか?」

 

キリト君も僕と同じ結論に達した様だ。

 

「ん?いや、特に何にもないよ。僕の言う事はみんな素直に聞いてくれたしね…スムーズに解散出来たよ。」

 

素行に問題無し、なら…彼の話は…

 

「ここ何日かの彼らの状況…君としてはどう思う?」

 

多分、これからの事についてだろうね…

 

「…頑張ってはいます…ただ、最終的に二人の求めるラインに到達するかは…何とも言えないですね…」

 

「まぁ、完全に伸び悩みか…そうだよね…」

 

それでも素直にやってくれるならまだマシだ…何となく、僕やキリト君にはこれからも絡んで来そうだけど…

 

「…ま、このままの状態で終わるならそれもあいつらの道だ…今でこそテスターを含む攻略に邁進する道を進む奴と、はじまりの街で引きこもる奴とで大体二分化されてるけど…もし、これから先攻略が進んだなら…恐らくは第三の存在が出てくるだろうしな…」

 

「第三の存在?」

 

「あー…そう言う事か…」

 

コペル君には分かったらしい…となると、コレは今のゲーマーには大体分かる事なんだろうか…

 

「ん?ああ、アンタは分からないか…つっても、アンタだって昔のRPGはやった事有るだろ?ならこう言う経験は有るんじゃないか?例えば…ストーリーの本筋には全く関係無いサブイベントにハマるとかさ…」

 

あー…確かにそれは何度か有った……あ、成程。

 

「つまりこれから先攻略が進んで…行ける階層が増えれば…攻略を進めずに他のサブイベントをやったり、後は…この世界のコンセプト上単なる観光でも楽しいか…要はそう言うエンジョイ勢とでも言うべき人たちが現れるかも知れないって事かな?」

 

「かも、じゃなくてほぼほぼ出て来ると思う。何せ、誰かが一度階層を解放すれば他の奴は誰でも別の階層の街に転移出来る…これだけ現実では有り得ない、広大で幻想的な光景が広がる世界だ…単なる観光ってやつでさえどれだけ楽しいかって話だからな…よっぽどネガティブな奴でも無い限りまず間違いが無くそう言うプレイをする奴らは出て来る…まぁ、とは言え…ここはあくまでも体感型RPGの世界だ…本気で楽しむなら自分を最低限鍛える必要は有るだろうけどな…何せ、観光に必要になるだろうコルだって一番簡単に稼げる手段はMobを狩る事だからな。」

 

「…そんなプレイヤーになら、彼らもなれるだろうね…」

 

「下手に前線に出て来て、死なれたらさすがに寝覚めが悪い…そっちを選ぶならアンタも安心だろ?…ま、さすがにある程度の実力は持ってもらいたいけどな…自衛も出来無いと困るし。」

 

「…微妙な実力の割に、装備にそこまで気を使う必要もないからコルは比較的潤沢…そうか、犯罪者の絶好のカモだね…」

 

「現実でも良く有るだろ?海外旅行に行ったら犯罪に巻き込まれた話…アレ、全部が全部そうでもないけど大抵はそうなるのは日本人だぜ?」

 

「…日本国内の治安は多くの国に比べて遥かに良い方だから国民の大半は平和ボケして警戒心が薄い…まぁ、確かにしてるかもね…」

 

まぁ、違いが有るとすれば…この世界では観光客も武装して自衛出来ると言う事…尤も、逆に言えば…現実世界に有る様な治安維持組織がこの世界には無いから何が起きてもあくまで自己責任で有ると言う事にもなってしまう…

 

「だから、生半可なプレイヤーに襲われたくらいなら撃退出来るくらいの実力は持ってないとエンジョイ勢にもなれない…あー…こうなると、僕は責任重大だね…」

 

「ま、ほぼ確実にお前の役目の大半は最低限自衛くらいは出来るプレイヤーの育成だからな…まぁ、その中から攻略に参加出来る程の人材が現れれば尚良しだけど。…とは言え…高々エンジョイ勢とは言ってもせっかく育てたプレイヤーが犯罪プレイヤーに襲われて死にました…とか、後で知ったりすると当然気分は良くないだろ?」

 

「そうだね…今更投げ出す気は無いけど、本当に大変だな…」

 

「ま、俺たちはあまり手伝えないだろうけど頑張れよ…と、ん?…いけね、今日だったか…」

 

キリト君が何やらメニューを操作してブツブツ言い始めた…何か有ったのだろうか…

 

「どうしたんだい?」

 

「…ん?ああ、実は今日は例の情報屋に会う日だったんだ…少し前に漸く繋ぎが付けれてさ、ここ最近のこの世界の事をある程度探って貰ってたんだ…ちょうどいい、アンタも来るか?」

 

「え?」

 

「紹介する約束だっただろ?アンタは攻略に参加するつもりである以上、これから先頼る機会も多くなるからな…会っといた方が良い。」

 

「そう言う事なら、今日はそろそろ戻るよ。」

 

「ん?別に君も来たって「いや、今回はコペルには外れて貰った方が良い」え?」

 

「僕は現状攻略に参加する気はないから。これから先の話をするなら、キリトとアルベリヒさんの二人だけの方が良いだろうね…」

 

「…確かにそれもそうか…すまないね、話の途中だったのに…」

 

「大丈夫ですよ、途中からメインの話からズレてましたし…それにかの…彼とは別件で会う機会もこれから先有るでしょうしね…」

 

「アルベリヒ、待ち合わせの時間が迫ってるからそろそろ行くぞ…じゃあなコペル…まぁ、明日また会うだろうけど。」

 

「コペル君、今日は助かったよ…ありがとう。」

 

「うん、明日また…」

 

彼との挨拶もそこそこに…キリト君と共に情報屋との待ち合わせ場所へ向かう…

 

 

 

 

 

 

 

行った先で…

 

「キー坊!久しぶり!」

 

「ああ…ホント、姿以外はあの時と変わんないよな…アルゴ。」

 

フード付きのローブを羽織り、小柄な背丈に独特の喋り…それから、まるで漫画に出て来る某動物型ロボットを彷彿とさせる左右の頬に描かれた髭の様な三本の線…後は、声から辛うじて女性だと判断出来る程度…総じて胡散臭いとしか言えない人物がそこに居た。

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