「…で、お前からの話を聞く前にだ…」
「キー坊の隣に居るのが、メッセージに書いてたプレイヤーか?」
「ああ、アルベリヒだ。」
キリト君が横に居た僕に顔を向ける…一応自己紹介は必要かな。
「よろしく、アルベリヒだ…で、君が…」
「オレっちはアルゴ!鼠のアルゴダ!」
…その髭、猫じゃなくて鼠だったのか。
「まぁ、見ての通りこんなだけど…情報屋としての腕は確かだ。」
「ムッ!キー坊、こんなってのはどう言う意味ダ!?」
「…本当に信用出来るのかい?」
「…少なくとも、この世界でアルゴ以上に有能な情報屋は俺は知らないな…まぁ、元々ロールするキャラとして情報屋を選ぶプレイヤーは少ないだろうけど…と、込み入った話になるし…そろそろ場所移そうぜ。」
「キー坊!まだオイラの「はいはい、取り敢えずここで話すのはやめような?お前が騒ぐから目立ってるし」キー坊の所為ダロ!?」
…出会って早々、僕の中で彼女に対する信頼度が下がっている…普通のプレイヤーなら気にしないけど、情報屋としてならこの性格はちょっとなぁ…
取り敢えず宿に戻り、キリト君の部屋へ…騒いでいた彼女が途端に静かになる…
「…ま、こんなもんで良かったか?」
「OKダ、ありがとキー坊。」
「…つまり、さっきのは茶番かい?」
「ああ。ちなみに、事前打ち合わせ無しの即興劇だ。」
「キー坊は基本、諸々分かった上でやってくれるから…オレっちはいつも助かってるヨ。」
「…で、さっきのは何の意味が有ったんだい?」
「宣伝だよ。情報屋、鼠のアルゴのな。」
まぁ、理由は分かった…とは言え…
「あれだけ騒ぐと、情報漏洩を懸念されないかい?」
「先ずはコイツが情報屋だって伝わってくれる方が重要だからな、今の所はアレで良いんだよ。」
「オレっち自分で言うのも何だけど、これでも仕事は真面目にするからネ。後は、少しずつ信頼を勝ち取って行くヨ。」
…まぁ、今の所情報屋としての腕は何とも言えないけど…それなりに強かな人物なのは分かったかな。
「で、アルベリヒ…チョット良いかナ?」
「何だい?」
「…キー坊からはアンタもテスターだって聞いてる…尚且つ、背中も預けられるくらいに強いってネ。」
思わずキリト君の方に視線を向ける。
「ん?俺は正当な評価を伝えただけだぞ?」
…ここまでストレートに褒められるのはまぁ…悪い気はしないけど、彼の場合…何か裏があるのかとつい、勘ぐってしまうね…
「ただ、その点について…オイラとしてはチョイ疑問がアル…」
「疑問?」
「キー坊はテスターの中でもかなりのトッププレイヤーだったんダ…そのキー坊と共に戦える程の実力ってなると…オレっちが知ってても可笑しくないんダ。」
「まぁ、あの時良く俺と行動してたプレイヤーの事はお前は大体知ってるよな…」
「…で、ダ…アバターの姿が変わっていたとしても、オレっちなら…雰囲気とか喋り方とかで何となく誰かって見抜く自信が有るんダヨ…人間の癖ってそう簡単に消せないからナ…でも、アルベリヒ…アンタの事はオレっちの記憶にはナイ。」
「…それで?」
「アンタ、何者なんダ?」
「当時、君が見落としたって事は?」
「もちろんゼロでは無いけど、考えにくいかナ…ウン、やっぱり変ダナ…」
「…実力は高いけど、キリト君とは当時行動してなかったとか…」
「インヤ、それでもキー坊と肩並べるくらいの強さだったなら…オレっちは多分知ってるヨ。」
「…ふぅ…なぁ、アルベリヒ?」
「何だい?」
「…アンタのその言い方だと、もうほとんどアルゴの疑いが正しいって言ってる様なもんだ…このまま続けるのは苦しいと思うぞ?」
とは言っても…
「アルベリヒ、一つ提案なんだが…この際、アンタの正体をアルゴに話すってのはどうだ?」
「…そんな事をしたら…」
「大丈夫だ。コイツは確かにプレイヤーの情報もガンガン売るが…それでも、本当に言っちゃいけない事は墓場まで持って行く奴だからな。」
「…本当に信用出来るのかい?」
「ああ、俺が保証する…足りないか?」
「いや、君がそこまで言うなら信じるよ。」
初日に彼に全てを話した事は決して間違いじゃなかったと、今でも僕は思ってる。アルゴ…彼女の事はまだ信用しきれなくても、彼の言う事なら…僕は信頼出来る。
「じゃあアルゴさん「何かむず痒いし、呼び捨てでイイヨ」…分かったよ、ならアルゴ…君に聞いて貰いたい事が有る…」
「やっぱりアルベリヒは普通のプレイヤーじゃないんダネ?」
「ああ、今から話すよ…ただ、少し長くなるけど…」
「構わない、教えてクレ。」
「分かった…実は僕は…」
まぁ、すぐに鼓膜が破れそうになるほどの叫び声出されて少し上がっていた信頼度がまた下がるのはご愛嬌かな…ふぅ…ま、それはそれとして…キリト君と同じく、彼女ともそれなりに長い付き合いになりそうだね…