妖精王のSAO   作:三和

72 / 72
72

「サンキュー、アルゴ。これが今回の報酬だ…」

 

「…キー坊、これはさすがにこの程度の仕事には見合わないくらいコルが多いゾ?」

 

「いや、今回お前は十分に良い働きをしてくれた。それでも少ないくらいだと俺は思ってる…どうしても気になるなら、余剰分は情報屋アルゴの未来への投資だと思ってくれ。」

 

「ンー…マァ、そう言う事なら…」

 

二人のやり取りを聞きつつ、話の終わりを悟る…さて、これで僕も今日の役目は終了かな…

 

「…じゃ、キリト君…それにアルゴ君「何かむず痒いナ…オレっちの事は呼び捨てで構わないヨ」分かった、じゃあアルゴ…話は終わりの様だし、僕は先に休むよ。」

 

「ああ、明日も宜しくな。」

 

「アア…っと、ちょっと待ってクレ。」

 

「ん?何だい?」

 

「ほらフレンド登録…お互い連絡取れないと色々困るダロ?」

 

「!…ああ、そうだったね…」

 

…そして、僕のフレンドリストにアルゴの名が記録された…やれやれ…せっかく情報屋と繋ぎが付けれたのに、こんなに大事な事を忘れるなんて…最近、どうもペースが乱れてるな…

 

「ヨシ!じゃ、アルベリヒ…これからも情報屋アルゴをご贔屓に!」

 

「ああ、次からは僕も色々頼らせて貰うよ「こっちから仕事を頼む事も有るだろうから宜しくナ!」あー…うん、こちらこそ宜しく…」

 

色々面倒な事をお願いされそうな予感は有るけどまぁ…何とかなるか、な…

 

「じゃ、失礼するよ…」

 

僕は二人に背を向け、キリト君の部屋を後にした…

 

 

 

 

 

 

 

俺と一緒にアルベリヒが出て行ったドアをしばらく見詰めていたアルゴ…やがて、大きく息を吐く音が聞こえたので俺はそちらに顔を向けた。

 

「…何か、色々抱えてそうな奴ダナ…」

 

「ん?…ああ、お前にも分かるか…」

 

「キー坊もその節は有るケド、アレはそれ以上だネ…で、チョット聞いても良いカ?」

 

「何だ?」

 

「そりゃモチロン、テスター時代も孤高のソロぼっち気取ってたキー坊が何でアルベリヒと連むようになったかダヨ!お姉さん凄く気になっちゃうナァ…」

 

……俺は無言でアルゴに近付いた…

 

「ン?どうしたキー…イタァ!?何するんダ!」

 

俺はアルゴにデコピンを当て、溜め息を吐いた…

 

「誰がソロぼっちだ…人付き合いが苦手なだけで孤高気取ってたつもりはない…たまにだけど、一応仲間と行動してた事も有るし…つか、お姉ちゃんってお前な…そんなちっこくて良く言えたな…」

 

「ム~…!ちっこい言うな!キリトがデカ過ぎるんダロ!と言うか、オレっちの方が絶対歳上なんだからもうちょい「俺は多分比較的平均内の身長だろうし…つか、歳の差はそもそも分からないだろ?俺はお前の歳なんて聞いた事ないぞ?」ム…まぁ、それはそうだケド…」

 

「…そう言えば、お前歳いくつなんだ?」

 

割とテスター時代…コイツと過ごした時間はそれなりに長いと記憶してるけど…良く良く考えたら、基本コイツのリアルに繋がる情報はほとんど聞いた記憶が無い…まぁ、当たり前と言えば当たり前だが…その癖コイツは周りに誰も居ないと俺がふと漏らしてしまったリアル情報で遠回しに俺を揶揄って来たりするから…俺だけ何も知らないのは癪では有る…

 

「…キー坊、レディの歳は気安く聞くもんじゃないゾ「いくらだ?」…じゃあ、このくらい出してくれたら教えるヨ。」

 

アルゴが送って来たメッセージを見て俺は…

 

「…いや高っ…さすがにぼったくりだろコレ…」

 

「レディの歳を聞くんだから当然ダ「ちなみに他のプレイヤーの年齢だったら?」…今確認出来てる人数少ないけど、マァ…相場はこんくらいダナ~…」

 

再びメッセージが送られて来る…

 

「…おい、男性プレイヤーと女性プレイヤーの値段の差はまだ納得出来るとしても…お前の方とゼロ二つは違うぞ。」

 

「ニャハハ!オレっちは情報屋…鼠のアルゴだからナァ…そりゃ、そう簡単には教えられないナァ~…で、どうするんダ?」

 

…ふと考える…果たして俺は、こんな額を支払ってまでアルゴの歳を聞きたいのかと…確かに、今の段階でもギリギリ払えなくもない額だが…いや、考えるまでもないか…

 

「いや、やっぱり良い…」

 

元々…そこまでコイツのリアルの話に興味が有る訳じゃない。俺にとってのコイツは…テスター時代からの腐れ縁…情報屋アルゴ。結局それだけ分かってれば良い……まぁ、俺だけ色々知られてるのは少し納得行かなくは有るが。その辺は俺が甘かったんだと…そう、割り切るしかない…

 

「そうか…残念ダ…今ならお得価格だったんだけどナァ…」

 

「次からは額変わるのか?」

 

「モチロン…次からは倍だヨ。」

 

ハァ…全くコイツは…

 

「…ア!話が逸れてるゾ!オレっちは何でキー坊がアルベリヒと連む様になったのカ!それが聞きたいんだヨ!」

 

「あー…」

 

確かに…さっきのアイツの説明は俺との出会いの経緯とか、細かい所は省いてるからな…加えて、どうにも危なっかしいアイツの根っこの部分とかはアイツ自身も指摘されるまでは忘れてる節が有る…逆に言えば、そこら辺がアイツに関して俺が信用も信頼も出来る理由では有るんだけど…

 

「…言わなきゃ、駄目か?」

 

「…そんなにヤバい話カ?」

 

「強いて言うなら、俺がアイツを信頼する理由の根幹にアイツがさっき言わなかった…リアルの話に通じる部分が有るからな…俺が勝手に話していいもんなのか…」

 

「キー坊はそこまで聞けたのカ…」

 

「んー…まぁ、意図せずにと言うか…初対面のそれも、自分よりも遥かに歳下だろう俺みたいなガキに勢いで話してしまうくらい当初のアイツは余裕無かったしな…今だって、一見安定してるように見えてるのが逆に不安になるくらい…あの時はヤバい状態だったからな…」

 

「ン~…そうなのカ…」

 

とは言え、アイツには俺以外にももうちょっと支えてくれる味方が必要な様にも思う…つか、寄りによってデスゲームでなくても色々嫌なモノ見る事が多そうなオンラインの世界に何で来ようと思ったのか…アイツに関しては、ここよりもいっそリアルで精神科にでも掛かった方がまだマシだった様に思う…逆に言えば、それだけリアルでの事がもうアイツにはどうでも良かったって事なんだろうけど…まぁ、それはそうとだ…

 

「…アルゴ。」

 

「ン?」

 

「お前は…俺たちと共犯になると言ったな?それに偽りはないか?」

 

「…アア、アレは…その場限りの虚言とかそんな軽い言葉じゃない…嘘偽りの無い、オレっちの…いや、"私"の本心よ。」

 

…いつもの気取った言い回しじゃない…コレは、明らかにコイツの本音だと分かる…いや、にしても…

 

「…お前、普通に喋れたんだな…」

 

「いやどう言う意味!?私だって本当に大事な時は普通に喋るわよ!え!?私、アレが素だと思われてたの!?」

 

「いや、そうは言ってもな…俺もその口調聞いたの初めてだぞ?」

 

「いやまぁ、そうだけど…ハァ…確かに何か、もう自分でもしっくり来ないし…元に戻すわ…とにかく!オレっちがあの場で言った事に嘘は無いヨ。」

 

「…まぁ、お前が本気でああ言ったのは分かった…で、アルゴ…これから話す事は…仮にこれから先、コルをいくら積まれたとしても基本的に誰にも言わないで欲しいんだ…」

 

「…話してくれるのカ?」

 

「ああ…本当は俺の口から言うべきじゃないんだろうけどな…お前には言っておくべきだと思う…で、先の約束は守ってくれるか…?」

 

「…アア、分かっタ…今から聞く事はテスターの情報と同じく…オレっちは全部纏めて墓場に持って行くと誓うヨ。」

 

「…一応、緩和条件を付けておく…もし仮に、これから先お前が直接アイツから今回の内容を聞く事が出来て…その上でアイツからの許可が降りたなら…そして、お前が信用出来ると判断出来る奴が現れたなら…ソイツには、話してくれて良い…その時は、後でも良いから俺に教えてくれ。」

 

「ン~…随分変則的な条件ダナ~…と言うか、アルベリヒの事については正体の時点でもう一種の爆弾だし…下手に人に言わない方が良いんじゃないカ?」

 

コイツが本気で俺たちと共犯になるつもりなら…アイツにすら話せなかった、兼ねてより考えていた計画について話すのも良いかも知れない…何より、俺一人だともう色々限界だ…俺より頭の良いコイツに一つ、アイデアを出して欲しい…

 

「普通ならそうだ…けど、アイツに関してはもっと味方が必要だ「精神的に危ういからカ?」それも有る…でも、理由はそれだけじゃない…」

 

「他に理由ガ?」

 

「アイツは…場合によってはこの世界を脱出する鍵の一つになり得る…取り上げられたとは言え、来た時点では確かにGM権限を有していたと言うアイツなら…」

 

「キー坊、それは…アルベリヒにとって辛い選択になるんじゃないカ?だって…須郷伸之は絶対に英雄にはなれない…向こうに戻ったら、即座に拘束されると思うゾ?」

 

「分かってる…だからこそ、味方が必要なんだ…俺やお前以外に事情を知る味方が…一人でも多くの人間を仲間にして、生き残る事が出来れば…リアルにさえ戻れれば、仮にもデスゲームに巻き込まれた当事者たちからの嘆願だ…世間も無視は出来無い。」

 

「…キー坊、具体的にはどう…いや、今は良いカ…取り敢えず、アルベリヒについて詳しい話を教えてクレ…」

 

「ああ…先ず、アイツに最初に会ったのは初日…ホルンカに向かう道中の事だった…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。