暗闇という事も有り、階段を駆け下りるなんて事は当然出来無い…オマケに、叢雲も色々続いて少しは逆に落ち着いては来た様だが…未だビビってるらしく動作は緩慢だ…
「先に言っておくが…艦娘を起こしたらその時はお前に秘書艦として指示出しを担当して貰う事になる…その時は手は離すからな、覚悟は決めとけよ?」
「…人も増えるしそれは良いけど…あんたはどうするの?まさか…何もしないつもり?」
「当然俺も追うさ「一人で?」加賀に着いて貰う…俺だって一人で回るほど馬鹿じゃねぇよ。」
そんな事を言っている内に二階に着いた…足音は…
「…静まり返ってるとは言え、嫌にハッキリ聞こえるな…」
出来たばかりのせいか軋みこそ少ないが、板敷きの廊下は音がそれなりに響く様だ…何せ…
「何か微妙に音が遠いと思ったら…この音、一階から鳴ってたのね…」
「まぁ良い…二階がハズレならこのまま降りるぞ…」
暗闇の中、叢雲が頷いたのを確認しつつ…俺たちは階段を下りて行った。
階段を下りたところでドアが閉まる音を聞く…
「廊下の端の方からだな…って事はトイレか?」
「こんな時間にお風呂はあまり使わないでしょうし…そうでしょうね…」
「この暗闇じゃ、トイレも躊躇すると思うけどな…そもそもここの艦娘かも分かんねぇけどよ…と、叢雲?」
「何?」
「艤装、出しときな。」
「……私、撃てないんだけど。」
「脅しだよ、相手が単なる不審者ならそれだけで抵抗は諦めるだろ。」
「…そもそもこんな所に何しに来たのかしら…ここが再稼働してるのを知ってるのって、外部の人間だと海軍関係者しか居ない筈じゃないの…?」
「…視察とかならこんな時間には来ねぇな…最も、迷い込んだ民間人って事も無くはねぇか。」
「民間人?ここに…?」
「…民間の船舶も一応今は極少ないが操業してる…船から落ちた奴がここに流れ着いたんじゃねぇのか。」
最も、それは本当に極低い確率になるが。
「どっちみちここは軍事施設扱いの上、女子寮だ…迷い込んだ奴には悪いが拘束の必要は有る…」
「暴れたら?私、撃てないのよ…?」
「さて、どうするかねぇ…」
叢雲と話をしつつ…ゆっくりトイレには近付き始めていた… さて。
「…着いたな。」
「…入るの?」
「中に入ったのは間違いねぇし、出て来てねぇのは確かだ…ここで捕まえる。」
「……」
俺はドアに手を伸ばし…たところで中から水の流れる音が聞こえた。
「……出て来るな。ここで待つぞ、砲を向けとけ…言うまでも無いが、撃つなよ?」
「…分かってる…あの時の様な事はもう嫌だもの。」
そんな事を話している内にドアが開いた…そこには…
「…話し声がすると思ったら貴方たち…?ここで何を…!砲なんて向けて…何のつもり?」
「何だお前か…叢雲…艤装、しまって良いぞ。」
「加賀さん!?ごめんなさい!」
困惑と怒りの入り交じった顔をする加賀が立っていた。