叢雲は…しおらしかったのは最初だけでそこからは口の悪さが目立ったが、正式な軍人でもない俺も口は悪いし特に指摘しようとも思わなかった…指導その物は丁寧で分かりやすいし、理不尽な事で怒ったりはしないしな。
「…基本業務についてはこんな所ね…何か質問は?ある?」
「いや、今の所無いな…取り敢えず書類の書き方はどれもさっき言われた通りでいいんだな?」
「…概ねそうね……取り敢えず書いてくれる?ここにも許可を取らずに勝手に来てるから処分を受ける事になるわ…」
……解体寸前であれば既に軍所属の扱いでは無くなっているだろうから廃墟状態であっても鎮守府に不法侵入した場合…当然このままだと待ってるのは逮捕だろうな…
「ああ。」
叢雲の解体中止の書類を出すとあっさり受理された。…肩透かしを食らった気分だったが揉めるのも面倒臭いので良しとする事にした…
ところで…
「艦娘寮が吹っ飛んじまってるのは分かるが…何故お前はこの部屋で寝る?部屋はいくらでも空いてるだろう?」
「何?悪い?」
「別に?好きにしたら良い。」
初日執務室で雑魚寝をした後、次の日届いた布団を叢雲は何故かこの部屋に敷いた…別にそれは良い…だが…
「…何でこっちの布団に入って来る?」
「……文句ある?」
「……勝手にしろ。」
三日目からは何を思ったか叢雲はこちらの布団に潜り込む様になった…これでは布団の意味が無いだろう…
「…暑い…余りくっ付くな。」
「……」
そう言うと余計に強くしがみついて来る…震えている…?何なんだ…一体…?
「……怖いのよ…」
「何がだ?」
「あの子が…時々夢に出て来るの…」
「俺にはお前の不安は取り除けないが?」
「…居てくれる…だけで…良いわ…」
「そうか。…他の艦娘が来るまでな。」
「……ありがと…」
結局…叢雲は二人目に当たる艦娘…元同僚の加賀がやって来るまで夜はずっと俺にしがみついて寝ていた…
「…ん~?んんんん…」
無線の周波数調整をしていくが特に良い話は聞けない…向こうも警戒してるのか?
「…仕方無い。」
俺は電源を落とした。
「……」
執務机に向かい、書類を書く…ん?
「誰だ?」
ドアをノックする音が聞こえたので俺は声をかける。
「私よ…中に入れて。」
……叢雲か。
「…構わないぞ、入って来い。」
ドアが開き叢雲が入って来る…
「アンタまだやってるの?早く休みなさいよ。」
「俺は仕事が遅いからな…で、お前こそ何の用なんだ、こんな時間に?」
「…今日…」
「ん?」
「…久しぶりに…一緒に寝ても良いかしら?」
「…好きにしろ。…今はまだ書類が残ってるから先に布団に入ってれば良い。」
「…ありがと。」
……俺は今もあの時の布団と同じ布団を使っている。