傍受マニアの艦これ   作:三和

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あれから二階の空き部屋を巡ったが、特に人が居た痕跡は何も見つからなかった…

 

「後は自動的に艦娘たちが使っている部屋だけになるが…」

 

「大事にするのはまだ早いと思うわ…」

 

加賀が先程とは打って変わって消極的な意見を口にするが、正直俺も同感だった…初日からいきなり可笑しな事こそ起こっているものの…何せ当初考えていた不審者が居る気配などはまるで無く、どう考えても居るのは幽霊と言う結論しか今の所出す事は出来無い……何か事件が起きてるならまだしも…姿を目撃されてるだけで今の所特に実害は無いからな…

 

「!…もうこんな時間か…」

 

懐中電灯で官給品の腕時計を照らせば既に1時を回っている…どうやら二時間以上寮の中をウロウロしていた様だ…しかも収穫はほとんどゼロと来た。

 

「今日は解散するか…」

 

自然と俺の口からそんな言葉が漏れた。

 

「良い、の…?」

 

叢雲が複雑そうな感情を帯びた声音でそう聞いて来る…いや、だってなぁ…

 

「不審者の可能性も有るからこうして見回りなんて始めたが…艦娘以外の第三者が居る可能性が皆無なんだ。しかも、仮に幽霊だとしてもこっちから会おうとしたらこうやって透かされる…元々実体が無い上、追っても捕まえられねぇんだから一旦様子を見るしか無いだろ。」

 

「同感ね…明日からは私も見回りに参加するわ…二手に分かれたらきっと出会う確率も上がってくるでしょう。」

 

「ああ、頼むわ…あ、ついでと言っちゃなんだが…もう一つ頼まれてくれねぇか?」

 

一応、加賀に確認させておくか。

 

「何かしら?」

 

「…頼む前に一つ聞くが、お前は叢雲含むここの全艦娘に一定の信用を得られてる、って事で良いのか?」

 

「……他人の視点から見た自分のイメージを正確に語れる人って居ると思うの?」

 

「普通は居ないな。」

 

確かにそんな奴が居たら胡散臭いとしか言えないが、聞いちまった手前今更謝罪も出来無いから俺はそのまま流す事にした。

 

「ハァ…でも、そうね…ある程度は信用されてると思うわよ…そう、思ってたんだけどね…」

 

加賀の答えは消え入りそうな呟きだった…まぁ加賀は今回の騒動を全く知らなかったんだ、自信を無くす気持ちは分かる…

 

「わ、私は加賀さんは頼りになると思う…!」

 

「ありがと、叢雲…」

 

叢雲が慌ててフォロー入れてるがそんなに必死だとかえって説得力が無い…大体…

 

「…加賀、俺の事はどう思う?」

 

「……そうね、ごめんなさい…」

 

信用されるどころか上層部が適当な事言ってるせいで、謂れの無い非難を受けてる俺に比べたら加賀は悪くない立場の筈だ…ちなみに以前、加賀から聞いた事が有るが叢雲の方も艦娘たちの間ではほとんど腫れ物扱いらしい…何でも叢雲には駆逐艦「叢雲」本来の勝気さがまるで無い為、艦娘たちが戸惑っているんだとか……俺には強気だからそんな事になってるとは思いもしなかった…(後に実際の「叢雲」を見て…本当に叢雲とは違う事を深く痛感する事になる…)

 

「まぁとにかくだ、お前には明日目撃された幽霊の特徴について聞き出して纏めておいて欲しいんだわ。」

 

「…どうせ聞くつもりでは有ったけど…一応、怖くて話せないって事も有るだろうし…明日一日で纏められるかは分からないわよ?」

 

「元々一日二日でどうにかなるとは思ってなかったからな…分かった事から順に教えてくれたら良い…ああ、目撃した艦娘の情報も頼むわ。」

 

何が手掛かりになるか分からんからな…気になる事は全部試した方が良い。

 

「了解したわ。」

 

「んじゃ、俺は寝る…行くぞ、叢雲。」

 

「うん…」

 

貴重な時間を無駄にした気がしてならないが、まだ始まったばかりだと自分に言い聞かせ、俺は加賀の部屋のドアノブを掴んだ。




「あ、ちょっと待ちなさい。」

「あん?」

「この停電は歴としたトラブルよ。業者を発電所に寄越してくれる?」

「…そりゃそうか…んー…しゃあねぇな…んじゃ爺さんに「貴方何言ってるの…?」あ?」

「担当の業者の方に頼むだけでしょう?」

「……この島の発電所に担当の業者なんて居たのか?」

「本当に何も聞いてないのかしら?定期的に島に上陸して、整備をしてる筈よ?」

俺はこの時…初めてこの島に一般人が出入りしていることを知ったのだった…と言うか、叢雲にすら何も知らされていなかった…全く…本当に上層部は仕事しねぇな…まぁ良く考えたら完全無人の発電所なんてそもそも有り得ないのだが…
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