「そろそろ時間だな…」
「うん…」
ダラダラと適当に時間を潰し、気付けば外は真っ暗…時計はもうすぐ11時を迎えようとしている…ん?
「誰だ?」
『…私よ、入って良いかしら?』
ノックが聞こえ、それに対して返事を返すと次にドアの向こうから加賀の声が聞こえた。入室の許可を出す前に何となく先程見た時計に再び目をやるとちょうど針が11時を指した所だった。
「ああ、良いぞ。」
ドアが開いた。
「…ごめんなさい、待たせたかしら?」
「いんや、ピッタリ時間通りだ…問題無い。」
さすがにもう少し遅くても良かったんだぞ、とか言うつもりは無い…時間厳守するのは時と場合にはよるが基本的に正しい事だ…
「…艦娘たちはもう寝たのか?」
「ええ…いつもよりずっと早いわ…まぁ電気も点かないから特に起きてる理由も無いでしょうけど。」
「…今更だが、電気も点かねぇのに夕飯とかどうした?」
「忘れた?もしもの時の為にロウソクの備蓄有るでしょう?」
「……ああ、そう言や有ったな…」
懐中電灯は肝心な時に電池が切れているパターンが多いしな……あ。
「どうしたの?」
「いや…」
俺は会話していた加賀から視線を切り、壁に一本だけ備え付けてある懐中電灯の方を見る…こういう予感は当たらないで欲しいんだがな…そんな事を考えながら俺はそこまで向かった。
「チッ…やっぱりか。」
手に取った懐中電灯はいくらスイッチを入れても明かりが点かない…参ったな、本当に…残念ながら替えの電池なんて物は補給物資には入ってない…基本的にここから出ないから、電気さえ通ってれば特に使う理由は無いからな…
「あら?点かないの?」
「ああ…昨日は点いたんだけどな…しゃあねぇ、ロウソク使うか。」
まぁそもそもの話、元から懐中電灯はここには一本しか無い…つーか…
「お前手ぶらだが、寮には懐中電灯備えられて無いのか?」
「……寮の方が後から建ったんだから補給物資に含んでくれないと有るわけ無いでしょ。」
「確かに…次からは電池と一緒に何本か回して貰わねぇとな…」
しゃあねぇ…また明日朝一で爺さんに頼むしかねぇか…まぁすぐには届かんだろうが…
深めの皿に溶けたロウで火の着いたロウソクを固定し、加賀に渡す。
「ほい。」
「ありがとう…そう言えばこれ持つと片手塞がるのよね…」
「不審者が居ても対応出来ねぇな…寮は木製だから放り投げるって訳にも行かねぇし…」
まぁ何とかなるか……そうでも思わんとやってらんねぇ…
「んじゃ、行くとするか…取り敢えず俺たちは先に二階に向かうから、お前は一階を回ってくれ。」
「了解…どうやって合流する?」
「ん…そうだな、俺たちは先に終わったら待ってるからお前がこっちに来てくれりゃあ良い…その後三階を一緒に回る。」
「分かったわ…それにしても、本来ならもう一人誰か必要よね…」
「…そうだな、そこまで考えてなかった…ここは三階建ての建物だからな…」
「あの…ごめんなさい…私が一人で回れれば…」
「ん?ああ、気にするな…加賀、悪いんだが…明日にでも誰か信用出来る奴に声掛けといてくれ。」
正直、俺としては一人で回るよりマシだからな…
「分かったわ…それじゃあ後で。」
「ああ。」
さて、行くとしますか…