さすがに状況が分からなくて喚く加賀の手を引いたまま廊下を進み…ある程度進んだ所で、俺は手を離した。
「ちゃんと説明して…何があったの?」
「分かってるさ…説明はする…」
喋りながら、半ば無意識にタバコの箱を取り出していた事に咥えてから気付く…やれやれ…俺もだいぶ来てんな…
「提督、オレにも一本くれよ。」
「ん。」
俺は天龍にタバコを渡す…
「私にも貰えるかしら?」
「あ?お前もか?」
「私がタバコ吸ってたら可笑しい?」
「今までそんな素振り見せなかっただろ?」
「禁煙してたのよ…」
「…まぁ、良いけどよ。」
訳有りの雰囲気だったが、俺からは聞くつもりも無い。結果、三人して暗闇の中…その場に座り込んでタバコに火を着けると言う異様な光景が出来上がる訳だ…
それぞれ無言で息を吸い、吐く…加賀ですら実は色々参ってしまってるのか、言葉を発しない。
「……いや、灰はどうすんだ?」
天龍に言われて漸くその存在を思い出す…ポケットを探り、携帯灰皿を置く…結局その後は誰一人言葉を発する事無く、自然と全員が吸い終わるまで終始無言だった…ちなみに、一番早く吸い終わったのは加賀だった。
「…で、そろそろ話して貰っても良いかしら?何が有った……いえ、違うわね…何が、起きてるの?」
俺は新たに取り出したタバコを咥え、火を着ける…さすがに二人はお代わりを要求する事は無かった。
「いや、実は俺らもまだ良く分からねぇんだ…ただ、ちと厄介な事にはなってる様でな……まぁ、聞いてくれ…」
取り敢えず、さっき加賀たちと別れてから有った事を順に話して行く……初めは真面目に聞こうとする雰囲気の有った加賀も途中からその顔は微妙な物に変わって行く…ま、到底信じられる様な話じゃねぇからな…
「それ、本当?本当にそんな事が有ったの?」
「残念ながら全部本当に有った事だ…俺だけならまだしも、天龍も同じ体験をしてたって言えば信憑性も出て来るか?」
「確かに、信憑性は有るわ…でも実際信じられるかって言われたら話は別ね…」
「ま、そうだろうな…俺がもしお前の立場だったら、多分同じ事を言ってるだろうよ。」
「まぁ、信じられるかは問題じゃねぇんだ…とにかくオレらは、一刻も早く叢雲を探すべきだと思うぜ?」
「俺たちにとっては…こうしてお前とだけでも合流出来たと言う事が割と奇跡なんだ…」
「……そうね、取り敢えず信じるかどうかは保留にする…先ずは叢雲を探しましょう。」
「…で、先に言うが…叢雲が見付かったら俺たちは一度鎮守府に戻る…」
「何故?」
「今夜このままここの探索を続けても、面倒な事になる可能性が高い…お前らはこうして妙な事に巻き込まれてるし、仮に探索をやめたとしてもここで普通に夜を明かす事が出来るか分からん…お前らも鎮守府で朝まで待つべきだろうよ…」
「良く分からないわ…何が言いたいの?」
「加賀さん、要は提督はこう言いたいんだと思うぜ?何も知らずに寝てる艦娘たちと違い…オレらはこうして巻き込まれた…探索をやめて部屋で睡眠を取る事にしたとしてもオレらはこの時間軸に閉じ込められたままになる可能性が高い…だから比較的安全な鎮守府で朝まで過ごすってこった。」
「……こっちは、止まった時間に閉じ込められてるなんて事もまだ信じ切れてないのに…」
「だが実際に起きてる…仮に叢雲と合流出来てもこのままお前らをここに残すのは不安だ…」
つか、そうなると龍田も回収しねぇと駄目か…俺にとっては面倒な奴だが、さすがに見捨てる気にはなれねぇ…
「ま、何にしても先ずは…叢雲を探すのが先決だろ?」
「ああ。」
そうだな、あいつと合流出来無きゃ話は進められねぇからな…ふぅ…とは言え、ホントどうしたもんかね…