傍受マニアの艦これ   作:三和

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「ほれ。」

 

俺は湯呑みをテーブルに置いた。

 

「ありがとう。」

 

「ありがとうございます。」

 

……自然と、龍田の方に視線が向く…

 

「…つか今更だが、普通に飲めるのな…」

 

「本当に今更ね…さっきも私が飲んでる所、見たでしょ?まぁ、このお茶が入るのはあくまでこの子の身体だけどね…私は味が分かるくらいかしら…でも、生きた人間の身体にこうして入ってると…肉体の方に縛られはするみたい…」

 

「喉が乾くのもそのせいって訳か…」

 

「私的には、乾いた気がする…なんだろうけどね…」

 

「…中々興味深い話ですが、本題からズレてますよ?」

 

「何だ、気になるのか…赤城?」

 

「…フフッ…そう思います?」

 

「チッ…」

 

こいつがそう簡単にボロ出す訳ねぇか…

 

「ま、私の本音はともかく…貴女は、時間が無いのでしょう?」

 

「そうね、本題に戻「あ、その前に一つ良いですか?」何かしら?」

 

「あ、いえ…貴女では無く…」

 

「俺か…何だ?」

 

「元々、鎮守府には子供しか居なかった…それに、貴方は気付いていた…」

 

「…そうだな。」

 

「子供=駆逐艦のイメージは当然だとは、私も思いますけど…潜水艦が居ないと思ったのは何故ですか?」

 

「…叢雲の話だと、自分の同類しか居ない様な言い方だったんでな…後は、勘だ…」

 

「…ホント、貴方は勘が良いですね…」

 

「…龍田、先を話してくれ。」

 

「ええ、分かったわ。」

 

「…いやあの…まだ私「時間が無いって、さっき言ったばかりだろうが」ま、そうですけどね…」

 

「じゃあ続きを…と、言いたいところだけどね…実を言うと、これ以上私から話せる事は特に無いのよ…」

 

「…鎮守府は完全に託児所か、良くても小学校の様な状態…表向きの仕事は当然の如く熟せず、本来の役目を果たそうにも所属艦娘に聞いても難しい話は全く通じず……結果、ほとんど何もせず時間ばかりが過ぎて行ったって事か?」

 

「本当に貴方凄いわね…」

 

「…これくらいは普通予想付くだろ…」

 

「いや、普通無理だと思いますけどね…」

 

「…で、そうなると本当に何もしないまま…お前は最期の日を迎えたって訳か?」

 

「…さすがに鎮守府付近の哨戒ぐらいはやってたわよ…と言うか、提督の話だと…私たちが来るまでは一切やってなかったって話だったわ…戦略的価値の低い場所だとは言ってたけど…いくら何でも本当に軍人なのかと疑ったわよ…」

 

「…で、あの日…襲撃の報せが有った…か?」

 

「ええ…一応あの日、私は休みになっててね…哨戒は別の艦娘が担当してたの…で、まぁ…休みだって事も有って…普通に駆逐艦の子と寮の部屋で遊んでたのよね…」

 

「…先ず言ったのは俺からだけどよ、そもそも一切調査の為の動きが取れなかったのは何でだ?」

 

「そのね、駆逐艦の子たちが…夜間は絶対鎮守府の方に入れてくれないのよ…当時、私たちは艦娘への扱いの酷い鎮守府の調査を中心に行ってたの…で、ここに関しては業務こそほぼ完全に滞ってるけど…あの子たちは特に表面上は苦しんでる様子は無い…でも、夜は人が変わったみたいに全員で、交代交代でガッチリ鎮守府の入り口をガードするの…その辺、あの子たちに朝になってから聞いても…まともな答えが返って来なかったのよ…」

 

「…だが、盗聴器を仕掛ける事は出来た訳だ…どうやった?」

 

「外から来た私たちの中に駆逐艦の子が一人居てね…あの子だけは、中に入れて貰えたから…でも、彼女が私に受信機を手渡した日…その翌日が、私の最期だった…」

 

「…さっきも言った通り、あの日…私は普通に部屋で駆逐艦の子と遊んでたの…もちろん、さっき言った盗聴器を仕掛けたのとは違う子よ…」

 

……そいつが誰かは、今聞いても意味は無いか…取り敢えず、先を聞く方が良さそうだな…

 

「寮の私たちが居た部屋にまた別の駆逐艦の子が入って来てね、『深海棲艦が来た』…って。」

 

「…もう完全にパニックを起こしててね、先ずは落ち着かせるのが先だった程よ…」

 

「…で、お前が死んだのはそいつらを寮の一室にでも避難させる為に移動してる最中…あるいは、その後迎撃の為に海に出る直前…じゃないのか?」

 

「……恐らくそうよ…私も、気付いたから死んでたから…分からないんだけど…ちなみに、正解は後者だと思う…」

 

「……」

 

「…貴方、何処まで見えてるんですか?」

 

「全部じゃないが、当時何が起きてたのかは何となく分かるな…少なくとも龍田、お前が死んだ理由も分かる…」

 

「理由…私が死んだのは、流れ弾によるものじゃないの?」

 

「…深海棲艦が"本当に"鎮守府に来てた場合、当時哨戒に出てたお前の同僚が迎撃していた筈…で、展開によっては…たまたま飛んで来た流れ弾が急所に当たり、お前がいきなり死ぬって可能性はゼロじゃねぇだろうな…艦娘は人間より遥かに丈夫だろうが、それでも首が飛んだり…あるいは、心臓に砲弾直撃したりとかな…そうなれば、いくら艦娘と言えど即死するだろ…」

 

「だから…種類はともかく、私が死んだのは…流れ弾のせいじゃないの?」

 

「ああ、恐らく違うな…」

 

「…じゃあ、彼女は何故死んだと…?」

 

「…龍田、お前にとっては相当酷な話になると思うが…聞くか?」

 

「……そうね、聞かせてくれる…?」

 

「…じゃあ言うが、あの時お前を殺したのは…多分、当時鎮守府に居た…駆逐艦の中の誰かだよ。」

 

「あの子たちが…」

 

「…根拠は、有るんですか…?」

 

「そもそもな…鎮守府は原型残ってんのに、艦娘寮だけを木っ端微塵になる程…向こうが念入りに攻撃してんの、変だと思わねぇか?」

 

「それは、確かに…」

 

「…で、俺は考えた…コレは、そもそも外からでは無く…内部での攻撃だったんじゃないかってな…」

 

「そんな…そんな事…」

 

「信じられないのは分かる…確かに、今となっては証拠は無い…だが、そう考えた方がしっくり来る…」

 

俺は湯呑みの茶を飲み干し……いや、もう冷めてんな…

 

「約束だ、龍田…当時何が有ったのか、俺の考えを話してやる…」

 

今、聞いた龍田の話…それが、ずっと考えていた俺の仮説をある程度補強してくれた…まぁ、まだ分からない事も有るがな…

 

「…龍田、まだ大丈夫そうか?」

 

「……ええ、何とか…」

 

「なぁ、赤城…一つ、頼んで良いか?」

 

「何ですか?」

 

「執務室まで行って、俺のタバコ…取って来てくれよ。」

 

「……必要、なんですか?」

 

「ああ…」

 

とてもじゃないが、普通の状態で口に出来る様な話じゃない…

 

「…ま、良いでしょう…ちょっと待ってて貰えますか?」

 

「ああ。」

 

赤城が床から立ち上がり、部屋を出て行った…

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