「さて……じゃ、続きと行くか?」
「……彼女、待たなくて良いの…?」
「…一応そのつもりだったが、どう見てもお前が限界なんでな…それと…」
「それと…?」
「俺はあいつを全く信用してないんだよ…あいつの上官は比較的まともと言えるが、あいつ自身は典型的な狂人だからな…」
艦娘としてこの世に生まれた時からそうだったのか、それとも後からそうなったのか…まぁ、そんな事は良い…結局重要なのは、あいつはまともじゃないと言う事だけだ…
「…まぁ、話してくれるならありがたいけど…」
「ただし、『龍田』を返してくれるのが条件だがな…」
…まぁ、交渉の仕方としてはこれは可笑しい…何故なら、元々俺はこいつにあの日の事を話す事を条件に自分の考えを話す事を既に約束している…この期に及んで、それは欲張り過ぎでは有るだろう…だが、龍田は大事な部下だ…例え、信用しきれなくても…そこだけは変わらん…ま、同じ信用出来無い奴でも、赤城より遥かに人柄はまともだしな…
「それはもちろん、約束するわ……例え、成仏出来無かったとしても…この子の身体は絶対に返すわ…まぁ、どっちみち…段々剥がされて行ってるけどね…同個体とは言え、やっぱり別人の扱いにはなるみたい…」
そりゃ、そうだろうな…ただ、それは…元々こいつに『龍田』を乗っ取る気は無かったのと、それだけの"力"が無かっただけの話だろう…俺か、あるいは龍田がそうなのかは分からないが…非常に運が良かっただけと言える…
「…じゃあ、聞かせてくれる…?あの日、何が有ったのか…貴方の考えを…」
「おう……ただ、話そのものは…先ずはもっと前に遡るがな。」
「?…何故…?」
「おっと、さすがに手短に話すから安心しろ。…で、そもそも如何に戦略的価値が低いと言っても…駆逐艦しか居ない鎮守府なんて不自然だ…例えば叢雲の様に、敵を撃てなくなった艦娘なんかの療養施設扱いになってた…そう考えるのは一見自然では有る…だがな、そう考えても可笑しいんだよ。」
「あの子たちは皆何処か可笑しかった…だったら、そう考えるのが妥当じゃないの…?」
「…じゃあ一つ聞くが、それなら…そもそもお前らが派遣される事自体がねぇんじゃねぇか?」
「それは、確かに…」
「お前らの様な、鎮守府への内定調査を専門とする艦娘が派遣された…その時点で、ウチは普通じゃなかったと考えるべきだ…じゃあ、何が起きてたかだよな…?」
「ええ…」
「……話は少し逸れるが、お前は艦娘と深海棲艦…この両者についてどう思う?…共通点が結構有るな…と、思った事は無いか…?」
「…ハァ…嫌な聞き方するわね…そもそも、私は真実を知ってるわよ…貴方も確信は無さそうだけど、そう思ってるんでしょう?」
「…じゃ、答え合わせだ…所謂轟沈によって、海上で没した艦娘は…その後、深海棲艦になる……正解か?」
「…そうよ。まぁ、上は隠し通してるつもりみたいだけど…ある程度ベテランの提督なら、多分…薄々察してるでしょうね…」
やっぱりな…
「…そろそろ、本題に行って貰って良い…?」
「ああ…とは言え、もう少し前置きが有る…先ず、前提として…艦娘は海で死ぬと深海棲艦化する…で、明らかに様子の可笑しい艦娘が集められた鎮守府…ここから、俺は一つの仮説を導き出した…」
「……」
「この鎮守府は恐らく…深海棲艦化の兆しの見えた艦娘、それも…比較的御しやすい駆逐艦の艦娘を集めた実験、観察の場だった…そう考えると、しっくり来るんだよ。」
「…つまり、私の上官は…」
「その辺、気付いてたのか…あるいは…」
「…あるいは?」
「…表向きの情報に踊らせれてたのかもな…」
「表向き?」
「どうしてだろうな…俺の知る限り、ある程度高い地位に居る奴は…多くが小児性愛者だったりするんだよな…」
「…つまり、慰安所扱いされていたと言う情報を何処かから得て…?」
「本当にそう言う使い方もしてた可能性も有るけどな…何せ、本当に見た目だけじゃなく…中身もガキの奴しか居なかったんだからな…」
「っ…」
龍田の顔色は良くない…まぁ、正直…俺だって胸糞は悪い……最も、これはあくまで俺の仮説でしか無いがな…
「……続けて良いか?…そろそろ、本題だ。」
「…ええ、お願い。」
「……じゃあ本題だ。始まりが何だったのかは、俺にも分からん…ただ、あの日何が起きたのか…ここまでの話を踏まえた上で俺は…一番可能性が高そうなものを話させて貰おう…」
「……」
「あの日は恐らく…複数の艦娘が一斉に深海棲艦化した…そして、起きちまったんだよ…味方同士での撃ち合いがな…」
……チッ…やはりタバコか、酒が欲しい…こんなクソみたいな話…素面で言いたくないぜ…