傍受マニアの艦これ   作:三和

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一応警戒しつつ向かったが…特に何の問題も無く、入り口まで辿り着いた…が…

 

「確かに…開く気配は全くねぇな…」

 

入る時はほとんど抵抗無く開いた引き戸は、今は全くビクともしない…引っ張っても一切揺れる事も無いそのドアの状態…それは、少なくとも自動的につっかえ棒になる様な物が外で引っ掛かってるとかでも無い事を意味している…

 

「…悪戯、とかですかねぇ…」

 

「「何の為に?」」

 

「……え?」

 

赤城の呑気な言葉に対して発した声が龍田とハモる…普段なら若干でも不快感を感じる所だが、正直今回は同意見だ…

 

「あのね赤城さん、部外者の貴女には分からないだろうけど…私たちの中で、この寮の中ではちょっとしたドッキリとかでも実行するのはタブーになってるのよ…」

 

「そもそも…今日俺たちがここに来るのは誰にも予想出来無かった筈だ…だが、艦娘の龍田やお前が引っ張っても全く壊れる気配の無い鍵を着けるなんてのは事前に計画でもしてねぇと無理だっての。」

 

つか、元々ここに鍵を着ける気は無かったからな…以前はそう言う意見も出たが、とある理由からそれは却下されている…

 

「それは分かりますけど……いや、タブーってどう言う事ですか?」

 

「ウチの艦娘は何だかんだノリは良い…まぁ、それぞれ別の鎮守府から来てても多くは姉妹艦の関係とかだったりはするからな…時たま、姉妹の間で軽いドッキリを掛けるくらいには仲が良いんだ……ただ、ここではやらねぇ。」

 

あの幽霊騒動から少し後、お互い距離の有った艦娘たちも多少なりとも絆みたいのは芽生えたんだろう…暇な事も有り、たまにそう言う事を寮でやってたらしい…が、有る時から寮の中では絶対禁止になった…

 

「ここで、何かやるとな…大抵惨事が起きるんだよ…」

 

本来なら少し驚くだけで済む様な悪戯で、ほとんど確定で誰かが怪我をするからな…

 

「俺が聞いた中でもいくつか不可解な出来事は有るがな、例えば…手先の器用な艦娘が良く有る、押すと引っ込むナイフを作ってそれを同室の奴に刺そうとしたら…手元から弾け飛んで目に当たる…後は、仮面被って脅かそうとしたら何故か過剰に反応されて砲を撃ち込まれそうになるとかな…ちなみに、後で聞いたら本当に得体の知れない化け物に見えていたらしい…それから、悪戯じゃないが階段に落ちてた画鋲が原因で転けて階段から転がり落ちるとか…」

 

「……それは、単なる偶然じゃないんですか?」

 

「一度や二度なら偶然かもな…ただ、それが三度、四度、五度、六度なんて立て続けに何度も続けて起きたら…それは果たして偶然か?」

 

と言うか、散逸的ならまだしも同時多発的に事故が起こる日も時々有ったって言うからどれ程の地獄だったのか想像したくもねぇ…本当はここを外から来る奴の宿泊施設として解放するのも一時悩んだ程だ…まぁ、他に場所が無いから仕方無かったが…

 

「何せ、皆が不気味がってドッキリを仕掛けるのをやめても色々起きたのよね…それも、一見すると偶然にしか見えない状況でね…」

 

「……」

 

「如何に丈夫な艦娘と言えど、このままだと最悪死人が出る…俺もそう考えたから、後回しにしてた鎮守府の修復を急がせたのさ…ボロボロでも建物自体はきっちり残ってるから多少突貫でも問題は無いしな…まぁ、今も私物が多かったりでここから出られてない奴も一部居るがそいつらだって、大抵は今日みたいに鎮守府の方の仲の良い奴の部屋に泊まるパターンが多い程だしな…何より、ここは何回修理しても毎回の様に停電が起きるから尚更だ…」

 

艦娘で風呂嫌いってのは先ず居ないって言うくらいなのに、それでも風呂に入るのを嫌がる艦娘も多かったからな(大抵入浴中や、トイレで普通に用を足してる最中にいきなり明かりが消えて全員大パニックになるらしいからな…)

 

「…まぁ、話は分かりました…とにかく、早く脱出した方が良いんですね…?」

 

「死にたくなけりゃあな。正直、さっきから嫌な予感が止まらねぇんだよ…」

 

まぁ、俺はここに出入りする事も多いが…実は幽霊騒ぎ以来、ここまで長時間居た事はねぇ…何せ、何が起きても不思議じゃねぇからな…

 

「…で、脱出の方法だが…」

 

「「……」」

 

「……ぶっちゃけ何も浮かばねぇ…お前ら、知恵を貸せ。」

 

「…ドアを破壊しても?」

 

「出来るんならな…つか、お前ら砲弾有んのか?」

 

「私は持ってないわよ。」

 

「私も、有りません…」

 

「じゃあこの方法は無理だな……ん、龍田。槍で窓を破壊出来るか試してくれねぇか?」

 

「分かったわ。」

 

龍田が近くの窓まで向かい、槍で突く……どう考えても、窓ガラスを叩いたのとは違う硬質で鈍い音が鳴った。

 

「…ちょっと…何よ、コレ…」

 

「窓の破壊も不可能…多分見た目がそうなだけで、全然違う物質になってるな…」

 

「……詰んだのでは?」

 

……しゃあねぇか。

 

「ふぅ…俺は今まで何度かここに出入りしたが、こうしてハッキリ閉じ込められたのは実は今日が初めてだ…ま、多分…何か用は有るんだろうよ。」

 

「……つまり?」

 

「閉じ込めた奴に用向きをとっとと聞いて、開けて貰うしかねぇって事だ…じゃ、行くか?」

 

「何処へ?」

 

「毎回ペースを向こうに握られるのはムカつくんだ…今度はこっちから会いに行ってやろうぜ?」

 

「……相手が何処に居るのかも分からないのに?」

 

「虱潰しに探せば良い…大した広さじゃねぇよ。」

 

所詮は都会に有る、一般的な学校より少し小さいくらいの規模だしな。

 

「良くそんなに前向きになれるわね…」

 

「心が折れたら死んじまうんだから当然だろ?」

 

絶望して泣き落としでもして、どうにかなるんならいくらでもやるが…そうじゃねぇなら結局時間の無駄だ…だったらとにかく動くのが俺なんだよ。ま、自分で選んだ上で…それでも結局死ぬとしてもだ、ただ振り回されて終わるよりはずっとマシだしな…

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